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第10章-Ⅱ 【記憶の旅人】
第10章35 【拾う記憶】
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ヒカリ「これをこうして......こうじゃ!」
パソコン型の操作権限を利用して、私はついに成し遂げた。
ユミ「なあ?何やってんだ?」
ヒカリ「これで世界の書庫は再び私達の物よ!」
真っ暗だった空間に光が戻り、それと同時にたくさんの本棚が鎮座する。久しく見てなかったせいでもあるが、こんなに多かったっけ?って思うくらいにビッシリと本と本とが並んでいる。これ、全部あの子の記憶から生み出されたものなのよね......
ユミ「俺にはこれが何なのかイマイチ理解に及んでねぇけど、これを取り戻すことによるメリットってなんだ?」
ヒカリ「......あの子の記憶を呼び戻すのよ。あの子、今は全てを失って廃人同然になってるからね。それを、ここにあるあの子の記憶全てを注いで蘇らせるの。悔しいけど、私達じゃ、あいつらに勝つことは出来ないから」
ユミ「ヒカリ・ラグナロクか......。んなもん、俺の刀で一太刀って言ってやりてぇんだけどな......」
流石のユミでも、先生に勝つことは無理だ。最も、私はユミの戦いをこの目で見たことがあるわけじゃないから、何か切り札的なのを持ってて、それならば勝てるっていう展開があるのなら、それはそれでいいのだけれど、可能性は低い。だから、あの子を呼び覚ます必要がある。
ヒカリ「さあ、そろそろ目を覚ます時間よ、ネイ。あんたの為に、どれだけ多くの人が戦ってるのか、それを痛いくらいに思い知りなさい」
私は、この端末を使って、ネイの中にある小規模な世界の書庫に接続を試みる。接続さえすれば、ここにある記憶からあの子の人格を再形成して、1箇所に集めた仲間達の記憶から、あの子の長い眠りを覚まさせる。プランはこれで完璧。後は、ここで引っかからないかどうか。
ヒカリ「........................よし、繋がったわ」
ユミ「で、次は何するんだ?」
ヒカリ「とりあえず、あの子の人格を作るきっかけになりそうな本を持って来て。全てメモリにしてぶち込んでやるから」
ユミ「おいおい、ここにどんだけの数があると思ってんだよ......」
ヒカリ「片っ端からでいいのよ。適当にたくさん持ってきて。必要かどうかは私が判断するから」
ユミ「へいへい。適当でいいんだな」
そう言って、ユミはとりあえずとばかりに近くにある本棚からそそくさと本を回収していく。で、氷で道を作って私のところにまで滑らせる。本の神様ごめんなさいって言いたいところだけど、時間効率を気にするならこれが一番だ。
ヒカリ「さあ、ネイ。もう目を覚ます時間よ」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
シンゲン「雷雨・閃光の刃!」
敵に逃げ場を与えないほどに広範囲の雷を1つ降り注がせる。だが、敵は見えてるぞ、と言わんばかりにギリギリ範囲外に逃げて攻撃を回避する。
さっきからこんなのばっかだ。一体どうなってるのだろうな?どんな攻撃を仕掛けれど、予知でもされてるかの如く回避される。クウガや、カイリの魔法による粉塵の中でも、奴は全てを避けきっていく。
シンゲン(どうなってんだ......?)
迷いを表情には出さないが、心の中ではめちゃくちゃに迷っている。あれもダメ。これもダメ。打てる手段は打ち尽くした。それでもダメなのであれば、もう勝ち目はない。
いや、ここで諦めてどうする?地獄から這い上がって、折角デルシアにカッコイイところを見せられたんだ。こんなところで跪いて、今更「無理でした」なんて言うつもりか?そんなわけにはいかん。状況報告によれば、アルフレアもこいつにやられたらしいからな。2人の仇、何としてでも取らねばならない。
シンゲン「セヤァッ!」
ヒカリ「いい加減に諦めたらどうですか?白陽の王」
シンゲン「諦めたところで何になる!?貴様らに対し、跪き、命乞いをするのか!?そんな惨めなこと、白の王族としては到底出来んな!」
急に話しかけてきたもんだから、多少驚きはしたが、俺はすぐにそう切り返す。
ヒカリ「どれだけ攻めたところで、あなたの攻撃は私には当たらない。当てることが出来ない。あなた達がどれだけ束になって攻めてこようとも、私はその前に察知し、全てが思惑通りに行かないようにする。それが私の戦い方です」
シンゲン「かもな!だが、そんなの長続きはしない!いつかはボロが出るはずだ!」
奴に攻撃をさせなければ......俺達が一方的に攻撃をし続けていれば、いずれ奴は何かを見誤る。その隙をついて一気に畳み込む。大丈夫だ。ここに来た仲間達は、まだ誰一人としてやられていないし、息切れも起こしてはいない。
奴とは適度に距離を取り、反撃を喰らわないタイミングで攻撃を仕掛ける。当たりはしないが、奴は俺達の攻撃を読んで反撃はしてこない。いや、もしかしたら、しようと思えば出来るのかもしれない。しかし、反撃してきた時が奴の最後だ。奴の腕をがっちりと掴んで、絶対に離しはしない。そうすれば大きな隙が生まれる。攻撃を受けた側はどえらい事になるだろうが、それも勝つための我慢だ。なるべく俺がその役割を請け負いたいがな。
シンゲン「......」
刀を右肩の上に構え、じっと奴の動きを見る。激戦とは言えないが、奴とはそれなりの戦いをした。だが、未だに奴の考えていること、奴の動き、そして奴の力を見定められていない。余裕の態度で挑む奴に対し、俺達は常に必死。数が多いからという理由で、奴が隙を見せる方が先だと踏んでいるが、確信を持って言えるわけではない。せめて、奴の弱点くらいは見つけなければならない。この命に変えても......
シンゲン「雷光・閃光槍!」
考えても埒が明かないと判断し、俺は空から降り注ぐ雷の如く素早い動きで奴に詰め寄る。だが......
ヒカリ「考えは全てお見通しです、白の王」
シンゲン「グハッ!」
何が起きたのかは知らんが、奴が寸前のところで俺の攻撃を回避し、背中に刀で一突きを加えてくる。
幸い、鎧のお陰で深くは刺さらんかったが、それでも、たった一瞬で鉄の塊を貫通させてきた。なんという力技、いや、魔法なのか?
ヒカリ「惜しかったですねぇ。その塊さえなければ、今頃あなたは天に旅立っていたでしょうに」
どうやら、奴も奴とで俺達が痺れを切らすのを待っていたようだな。
ヒカリ「戯れはここいらでお終いとしましょう」
奴が刀を鞘にしまい込んだ。
シンゲン「......何をするつもりだ!」
ヒカリ「いえね。流石にあなた達の相手は飽きましたよ、と」
奴が空に向けて閃光のような何かを発射した。閃光は、空を覆っていた厚い雲をぶち抜き、高く高くへと飛びだって行く。そして、数秒としないうちに数え切れないほどに数を増し、俺達の頭上に降り注いでくる。
まるで、流れ星のようだと思った。綺麗かどうかなんてことを考える暇はなかったが、1つだけ察したことがある。
......死ぬ。
死の予感を感じた。
どうやら、人は死ぬと本気で感じると、何も出来ないらしい。命を守るために防御をすることも、最後に何かを呟くことも......
シンゲン「............っ!雷盾・防雷の陣!」
何を考えているんだ......俺は!
こんなところで死んでたまるか!諦めてたまるか!
例え、奴に適わないのだとしても、最後の1分1秒まで抗ってみせろ!それが、白の王だ!
シンゲン「っ......うぉぉぉぉぉぉぉ!」
俺が敷いた雷の防御陣も、流星群のような攻撃によって、ぷつりぷつりと雷の糸を切らせている。だが、この攻撃は何としてでも耐えきってみせる。ここで俺が負ければ、仲間達も死ぬ!その意味を考えろ......!
ヒカリ「しぶとい相手ですねぇ。ですが、流石にこの攻撃を喰らえば、あなたが立ち上がることはないでしょう」
奴は、流星群に耐える俺達を嘲笑い、身を翻してどこかへと向かった。
向かった方角は......確か、あっちはデルシア達が後退していった方だ!
シンゲン「っ......!今すぐにでも追わねばならぬというのに......っ」
流星群は、まるで俺達を殺すまでは休まぬとばかりに降り注ぎ続ける。これも、奴の魔法の力か......。こんなのでは、耐えきる事なんて無理だ。
カイリ「シンゲン様!ここは僕達にお任せを!」
シンゲン「......!カイリ!に、クウガ!」
バカ!なぜ、攻撃の中心地にまでわざわざやって来た......!
レイ「シンゲン様、ここは彼らが引き受けます!ですから、奴を追いかけましょう!このままでは、まともな戦力の揃っていない後方部隊がやられてしまいます!」
シンゲン「レイまで......」
クウガ「任せてください!私とカイリは魔導士です。これくらいの流れ星、どうにかして抑えてみせますよ。奴が意識を外せば止まるはずですし」
シンゲン「......分かった!油断するなよ!」
クウガとカイリが同時に防御魔法の陣を展開させ、それと入れ替わるように俺は刀を鞘に収める。
シンゲン「レイ、頼むぞ」
レイ「分かっております!」
この流星群の中を突っ切るには、レイの天馬を使う他無い。天馬は男を嫌うとか何とかだったが、そこはレイの手腕に賭ける。
行かせてはならない。奴を、まともな戦力の揃わない後方に向かわせてはならない。
レイ「ピューっ!」
レイの口笛に合わせ、真っ白な天馬がどこからともなくやって来る。多分、この流星群の中のどこかに待機させていたんだろうな。
レイが先に乗り、俺は後ろからそっと優しく乗り込む。無駄に刺激させてはならない。今こいつに暴れられると終わりだからな。
レイ「それでは参ります!」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ガンマ「雲行きが怪しくなってきましたな......」
ヴァル「ああ......二重の意味でな」
空には黒く、分厚い雲がかかり出している。先程まで見えていた太陽は、西の方へと傾き、もうそのなりを潜めている。一雨降りそうだな。
アルフレアに続き、デルシアまでもが敗走した。幸いなことに、2人とも死んではいないが、これ以上の戦闘は不可能と見られる。特に、アルフレアなんかは生きてるのが不思議なくらいの傷だった。生への執着が、アルフレアの心音を動かし続けているのだろう。
今のところ、ここまで攻めてこれた奴はいないが、2国の大将がやられたとなれば、戦線を維持し続けられる時間もそう長くはない。ベルディアやオメガ、ロウラといった精鋭達が何とか戦ってはいる。だけど、1人、また1人と重傷を負ってここに運び込まれてくる。
本当なら、俺が前に出て、あの野郎の顔面殴り飛ばして戦わなきゃならねぇのに、俺はここで防衛に回っている。情けないとは思うが、俺はネイを守るためだけにここにいる。そう自分に言い聞かせている。
ヴァル「......?なんだあれ?」
見つめていた先に、突如として大きな竜巻?が発生した。
ガンマ「むぅ......」
この爺さんも、突如として見えた竜巻に対し、警戒心を顔に出している。
「おやおや、国のお偉い方が勢揃いですか。しかも、私のメインディッシュまで用意してくださるとは、なんとも粋なおもてなしの精神を感じますねぇ」
ヴァル「っ......!」
竜巻の中心から奴が現れ、俺達の数メートル先でそう発した。解き放たれた竜巻からは、たくさんの人間が飛び出た。全部、奴の攻撃に巻き込まれた味方だ。
ヒカリ「さて、最後の番人は、あなた達ですか?」
パソコン型の操作権限を利用して、私はついに成し遂げた。
ユミ「なあ?何やってんだ?」
ヒカリ「これで世界の書庫は再び私達の物よ!」
真っ暗だった空間に光が戻り、それと同時にたくさんの本棚が鎮座する。久しく見てなかったせいでもあるが、こんなに多かったっけ?って思うくらいにビッシリと本と本とが並んでいる。これ、全部あの子の記憶から生み出されたものなのよね......
ユミ「俺にはこれが何なのかイマイチ理解に及んでねぇけど、これを取り戻すことによるメリットってなんだ?」
ヒカリ「......あの子の記憶を呼び戻すのよ。あの子、今は全てを失って廃人同然になってるからね。それを、ここにあるあの子の記憶全てを注いで蘇らせるの。悔しいけど、私達じゃ、あいつらに勝つことは出来ないから」
ユミ「ヒカリ・ラグナロクか......。んなもん、俺の刀で一太刀って言ってやりてぇんだけどな......」
流石のユミでも、先生に勝つことは無理だ。最も、私はユミの戦いをこの目で見たことがあるわけじゃないから、何か切り札的なのを持ってて、それならば勝てるっていう展開があるのなら、それはそれでいいのだけれど、可能性は低い。だから、あの子を呼び覚ます必要がある。
ヒカリ「さあ、そろそろ目を覚ます時間よ、ネイ。あんたの為に、どれだけ多くの人が戦ってるのか、それを痛いくらいに思い知りなさい」
私は、この端末を使って、ネイの中にある小規模な世界の書庫に接続を試みる。接続さえすれば、ここにある記憶からあの子の人格を再形成して、1箇所に集めた仲間達の記憶から、あの子の長い眠りを覚まさせる。プランはこれで完璧。後は、ここで引っかからないかどうか。
ヒカリ「........................よし、繋がったわ」
ユミ「で、次は何するんだ?」
ヒカリ「とりあえず、あの子の人格を作るきっかけになりそうな本を持って来て。全てメモリにしてぶち込んでやるから」
ユミ「おいおい、ここにどんだけの数があると思ってんだよ......」
ヒカリ「片っ端からでいいのよ。適当にたくさん持ってきて。必要かどうかは私が判断するから」
ユミ「へいへい。適当でいいんだな」
そう言って、ユミはとりあえずとばかりに近くにある本棚からそそくさと本を回収していく。で、氷で道を作って私のところにまで滑らせる。本の神様ごめんなさいって言いたいところだけど、時間効率を気にするならこれが一番だ。
ヒカリ「さあ、ネイ。もう目を覚ます時間よ」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
シンゲン「雷雨・閃光の刃!」
敵に逃げ場を与えないほどに広範囲の雷を1つ降り注がせる。だが、敵は見えてるぞ、と言わんばかりにギリギリ範囲外に逃げて攻撃を回避する。
さっきからこんなのばっかだ。一体どうなってるのだろうな?どんな攻撃を仕掛けれど、予知でもされてるかの如く回避される。クウガや、カイリの魔法による粉塵の中でも、奴は全てを避けきっていく。
シンゲン(どうなってんだ......?)
迷いを表情には出さないが、心の中ではめちゃくちゃに迷っている。あれもダメ。これもダメ。打てる手段は打ち尽くした。それでもダメなのであれば、もう勝ち目はない。
いや、ここで諦めてどうする?地獄から這い上がって、折角デルシアにカッコイイところを見せられたんだ。こんなところで跪いて、今更「無理でした」なんて言うつもりか?そんなわけにはいかん。状況報告によれば、アルフレアもこいつにやられたらしいからな。2人の仇、何としてでも取らねばならない。
シンゲン「セヤァッ!」
ヒカリ「いい加減に諦めたらどうですか?白陽の王」
シンゲン「諦めたところで何になる!?貴様らに対し、跪き、命乞いをするのか!?そんな惨めなこと、白の王族としては到底出来んな!」
急に話しかけてきたもんだから、多少驚きはしたが、俺はすぐにそう切り返す。
ヒカリ「どれだけ攻めたところで、あなたの攻撃は私には当たらない。当てることが出来ない。あなた達がどれだけ束になって攻めてこようとも、私はその前に察知し、全てが思惑通りに行かないようにする。それが私の戦い方です」
シンゲン「かもな!だが、そんなの長続きはしない!いつかはボロが出るはずだ!」
奴に攻撃をさせなければ......俺達が一方的に攻撃をし続けていれば、いずれ奴は何かを見誤る。その隙をついて一気に畳み込む。大丈夫だ。ここに来た仲間達は、まだ誰一人としてやられていないし、息切れも起こしてはいない。
奴とは適度に距離を取り、反撃を喰らわないタイミングで攻撃を仕掛ける。当たりはしないが、奴は俺達の攻撃を読んで反撃はしてこない。いや、もしかしたら、しようと思えば出来るのかもしれない。しかし、反撃してきた時が奴の最後だ。奴の腕をがっちりと掴んで、絶対に離しはしない。そうすれば大きな隙が生まれる。攻撃を受けた側はどえらい事になるだろうが、それも勝つための我慢だ。なるべく俺がその役割を請け負いたいがな。
シンゲン「......」
刀を右肩の上に構え、じっと奴の動きを見る。激戦とは言えないが、奴とはそれなりの戦いをした。だが、未だに奴の考えていること、奴の動き、そして奴の力を見定められていない。余裕の態度で挑む奴に対し、俺達は常に必死。数が多いからという理由で、奴が隙を見せる方が先だと踏んでいるが、確信を持って言えるわけではない。せめて、奴の弱点くらいは見つけなければならない。この命に変えても......
シンゲン「雷光・閃光槍!」
考えても埒が明かないと判断し、俺は空から降り注ぐ雷の如く素早い動きで奴に詰め寄る。だが......
ヒカリ「考えは全てお見通しです、白の王」
シンゲン「グハッ!」
何が起きたのかは知らんが、奴が寸前のところで俺の攻撃を回避し、背中に刀で一突きを加えてくる。
幸い、鎧のお陰で深くは刺さらんかったが、それでも、たった一瞬で鉄の塊を貫通させてきた。なんという力技、いや、魔法なのか?
ヒカリ「惜しかったですねぇ。その塊さえなければ、今頃あなたは天に旅立っていたでしょうに」
どうやら、奴も奴とで俺達が痺れを切らすのを待っていたようだな。
ヒカリ「戯れはここいらでお終いとしましょう」
奴が刀を鞘にしまい込んだ。
シンゲン「......何をするつもりだ!」
ヒカリ「いえね。流石にあなた達の相手は飽きましたよ、と」
奴が空に向けて閃光のような何かを発射した。閃光は、空を覆っていた厚い雲をぶち抜き、高く高くへと飛びだって行く。そして、数秒としないうちに数え切れないほどに数を増し、俺達の頭上に降り注いでくる。
まるで、流れ星のようだと思った。綺麗かどうかなんてことを考える暇はなかったが、1つだけ察したことがある。
......死ぬ。
死の予感を感じた。
どうやら、人は死ぬと本気で感じると、何も出来ないらしい。命を守るために防御をすることも、最後に何かを呟くことも......
シンゲン「............っ!雷盾・防雷の陣!」
何を考えているんだ......俺は!
こんなところで死んでたまるか!諦めてたまるか!
例え、奴に適わないのだとしても、最後の1分1秒まで抗ってみせろ!それが、白の王だ!
シンゲン「っ......うぉぉぉぉぉぉぉ!」
俺が敷いた雷の防御陣も、流星群のような攻撃によって、ぷつりぷつりと雷の糸を切らせている。だが、この攻撃は何としてでも耐えきってみせる。ここで俺が負ければ、仲間達も死ぬ!その意味を考えろ......!
ヒカリ「しぶとい相手ですねぇ。ですが、流石にこの攻撃を喰らえば、あなたが立ち上がることはないでしょう」
奴は、流星群に耐える俺達を嘲笑い、身を翻してどこかへと向かった。
向かった方角は......確か、あっちはデルシア達が後退していった方だ!
シンゲン「っ......!今すぐにでも追わねばならぬというのに......っ」
流星群は、まるで俺達を殺すまでは休まぬとばかりに降り注ぎ続ける。これも、奴の魔法の力か......。こんなのでは、耐えきる事なんて無理だ。
カイリ「シンゲン様!ここは僕達にお任せを!」
シンゲン「......!カイリ!に、クウガ!」
バカ!なぜ、攻撃の中心地にまでわざわざやって来た......!
レイ「シンゲン様、ここは彼らが引き受けます!ですから、奴を追いかけましょう!このままでは、まともな戦力の揃っていない後方部隊がやられてしまいます!」
シンゲン「レイまで......」
クウガ「任せてください!私とカイリは魔導士です。これくらいの流れ星、どうにかして抑えてみせますよ。奴が意識を外せば止まるはずですし」
シンゲン「......分かった!油断するなよ!」
クウガとカイリが同時に防御魔法の陣を展開させ、それと入れ替わるように俺は刀を鞘に収める。
シンゲン「レイ、頼むぞ」
レイ「分かっております!」
この流星群の中を突っ切るには、レイの天馬を使う他無い。天馬は男を嫌うとか何とかだったが、そこはレイの手腕に賭ける。
行かせてはならない。奴を、まともな戦力の揃わない後方に向かわせてはならない。
レイ「ピューっ!」
レイの口笛に合わせ、真っ白な天馬がどこからともなくやって来る。多分、この流星群の中のどこかに待機させていたんだろうな。
レイが先に乗り、俺は後ろからそっと優しく乗り込む。無駄に刺激させてはならない。今こいつに暴れられると終わりだからな。
レイ「それでは参ります!」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ガンマ「雲行きが怪しくなってきましたな......」
ヴァル「ああ......二重の意味でな」
空には黒く、分厚い雲がかかり出している。先程まで見えていた太陽は、西の方へと傾き、もうそのなりを潜めている。一雨降りそうだな。
アルフレアに続き、デルシアまでもが敗走した。幸いなことに、2人とも死んではいないが、これ以上の戦闘は不可能と見られる。特に、アルフレアなんかは生きてるのが不思議なくらいの傷だった。生への執着が、アルフレアの心音を動かし続けているのだろう。
今のところ、ここまで攻めてこれた奴はいないが、2国の大将がやられたとなれば、戦線を維持し続けられる時間もそう長くはない。ベルディアやオメガ、ロウラといった精鋭達が何とか戦ってはいる。だけど、1人、また1人と重傷を負ってここに運び込まれてくる。
本当なら、俺が前に出て、あの野郎の顔面殴り飛ばして戦わなきゃならねぇのに、俺はここで防衛に回っている。情けないとは思うが、俺はネイを守るためだけにここにいる。そう自分に言い聞かせている。
ヴァル「......?なんだあれ?」
見つめていた先に、突如として大きな竜巻?が発生した。
ガンマ「むぅ......」
この爺さんも、突如として見えた竜巻に対し、警戒心を顔に出している。
「おやおや、国のお偉い方が勢揃いですか。しかも、私のメインディッシュまで用意してくださるとは、なんとも粋なおもてなしの精神を感じますねぇ」
ヴァル「っ......!」
竜巻の中心から奴が現れ、俺達の数メートル先でそう発した。解き放たれた竜巻からは、たくさんの人間が飛び出た。全部、奴の攻撃に巻き込まれた味方だ。
ヒカリ「さて、最後の番人は、あなた達ですか?」
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