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第10章-Ⅱ 【記憶の旅人】
第10章46 【想いの記憶】
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ヒカリちゃんが、ミルさんに連れて行かれてから30分後。
シアラ「あー、シアラはネイさんが羨ましいですぅ~」
と、膨れっ面になったシアラが、なんの前触れもなく私の前に座ってきて、そう言ってきたのである。
ネイ「羨ましいとは?」
シアラ「だってー、ネイさんとヴァルさんの関係が始まるよりもずっと前から、シアラとヴェルド様の物語は始まってたんですよ?なのに、それを追い越して先にゴールインするなんてズルいですし、羨まですよ~」
ドンドンと机を叩くシアラの顔は、若干酒が入ってる?って思うくらいには赤く染めていた。
シアラ「......ネイさん」
ネイ「な、なんでしょう......」
急に鋭くなった目で迫られるもんだから、思わず仰け反ってしまった。
シアラ「どうやってヴァルさんといつの間にかな関係にまで発展したんですか!」
声には凄い迫力が籠っている。冗談は許さないといった感じだ。いや、若干怖いんだけど......
ネイ「ど、どうって、そりゃぁ、私達の物語は契約したその日から始まってましてね......」
馴れ初め話なんて子供が出来るまで絶対にしないと思っていたけど、話さなきゃいけない状況っぽいし、若干頬を赤らめてからそう切り出す。
ネイ「......あれ?シアラさん?」
いつの間にか、シアラの姿が消えていた。
ネイ「い、今の短時間で一体どこに......?」
辺りをキョロキョロと探すと、すぐに目当てのものが見つかった。
シアラは、ヴェルドがカッコつけてコーヒーを嗜んでいたところに行っており、そこで何かを話していた。ちょっと耳を集中させて会話を盗み聞きする。
シアラ「ヴェルド様!私の契約しましょう!」
ネイ「ぶーっ!」
いや、契約云々の話は私とヴァルだから成立した話でしょうが!成功した人の話を何でもかんでも試そうとするとすぐにダメになるって、昔習わなかった?いや、習うわけないでしょうね!
ヴェルド「ああ?契約?何の?」
意外にも、ヴェルドは話を聞く姿勢だけは見せている。私なら直ぐに突っ撥ねる話なんだけど......
シアラ「え、えっと......それは......」
ヴェルド「またいつものアレか。用がないなら去れ。いつまでもまとわりつくんじゃねぇ」
シアラ「ショボーン(´・ω・`)《かっこプライムてんおめがてんバッククォートかっことじ》」
今時そんな古臭い効果音使う人いるんだ!しかも、ご丁寧に絵文字の記号一つ一つの音まで読み上げてる!
シアラ「ダメでしたぁ~......」
しょんほりと落ち込んで席に座り直すシアラだけど、私は同情してあげることが出来ない。今回、流石にシアラは無計画に動きすぎだっただろう。私とヴァルのやり方を真似したところで、そもそもの関係性が違うのだから、当然上手くいくはずがない。
シアラ「何がダメだったのでしょうか......」
ネイ「根本的にやり方が間違ってたと思いますよ......」
シアラ「アレをやってもダメ。コレをやってもダメ。シアラの恋は中々上手く行きません。一体、シアラの何がダメだというのでしょうか」
ネイ「ははは......」
多分、シアラの方に非はあまりない。あるとすれば、一方通行すぎる愛を注いでいるだけ。1番問題があるのはヴェルドの方だ。あれはヤヴァイ。何がヤヴァイかって、ナルシストであるが故に自分以外のものを無意識に認めない癖が出来上がっている。こんなにも健気に愛してくれている人がいるのに、なぜあいつの視界に入らないのか。それは、自分しか視界に入っていないから。あいつは、自分以外に愛せるものがない。愛してはならないと思っている。
......突き詰めれば、どうせあの日のことにまで遡るのだろうけど、ヴェルドには自分ですら気づいていないトラウマがあるように思える。右目で見てしまえば、それが何なのかはすぐに分かるだろうけど、そうやってズカズカと他人の心に潜り込んでしまうのもどうかとは思う。まあ、見るけど。
ネイ「............」
じーっと見続けること約3分。
ネイ「なるほどねぇ......」
シアラ「何か分かったのですか?」
ネイ「......ヴェルドはね、昔愛していた家族を失ったことがずっとトラウマになってるみたい」
シアラ「失った......家族」
ネイ「うん。龍人に殺されたっていう、あいつがずっと抱えているトラウマ。自分が愛した人達は死んでしまう。たった1回起きただけのことだけど、あいつの心には重い楔になってて、いつまで経っても抜けないみたい」
シアラ「楔......ですか」
何ともまあ、根性無しだと思う。1回家族を失って、その後、もう一度同じようなことが起こったのならまだ分かる。でも、ヴェルドの場合、たったの1回家族を失っただけだ。それくらいなら......それくらいなら......
ネイ「どうしよう、ヴェルドに同情しちゃってる......」
人のことを言える立場じゃないことに気がつき、私は頭を抱えて俯く。
思えば、私だってたった一つの後悔をネチネチと考え続けていた。それならば、ヴェルドだって、家族を失ったことをいつまでも引きずっていたって何も悪いことはない。
......きっと、私と同じでいつまでも答えが出ないんだろうな。はぁ、あいつと同類とか終わってるじゃん。
シアラ「あのー......ネイさん?」
ネイ「はっ、ご、ごめん。あいつの心覗いたら、ちょっと私じゃ無理かなぁって思って......」
シアラ「......そうですか」
ネイ「し、シアラの期待に答えられるようなことは何もないけどーー」
シアラ「よし、ならばシアラがヴェルド様を元気づけてみせます!」
ネイ「......はい?」
シアラ「そうと決まれば、まずはデートに誘うところからです!応援よろしく!」
ネイ「あ......、行ってしまった」
相変わらず、何がスイッチになるか分からない人だ。まあ、あんな子だからこそ、応援したいと思えるのだけれど。
......シアラ。あなたの未来は、多分輝いてるよ。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
シアラ、ヴェルド様を元気付けることに決めました。しかし、デートに誘おうと思っても、同じやり方でやってはダメなことくらい学習しています。と、いうわけで。
ミラ「え?男の人をデートに誘う方法?」
まずは、何かと対人関係の知識が豊富そうなミラさんからアドバイスを貰ってみることにします。
ミラ「うーん?そうねぇ......男の人が女の人を誘うっていうシチュエーションならよく相談されるのだけれど、逆パターンはねぇ......しかも、相手はヴェルドか~......。そうね、自然な流れを演出した方がいいから、まずはどうにかして仕事に2人で出かけることかしら?それで、帰り道で何とかうまいことやってヴェルドをお茶にでも誘ってみる。それがいいんじゃない?」
なるほどなるほど。
私はメモ帳に箇条書きでメモをする。
・自然な流れを演出。
・帰り道がベストタイミング。
さて、ただ1つのアドバイスから行動を起こすと、容易に失敗してしまうことを知っている(学習した)シアラは、次なる相手に相談を持ちかけます。
ヴァル「え?ヴェルドをデートに?またいつものか......あー、でも、あいつもそろそろ女っ気見せてくれて良いはずだよなぁ......そうだな。思い切って告白したところで拒否されてんのは目に見えてんだし、ネイがたまに見せる大人しい女性を演じてみたらどうだ?」
なるほど。
・キャラを変えてみる。←出来れば大人しめな感じ。
では次!
フウロ「なるほど。あいつをデートにか......。あいつの事だからな。もう雪は溶けてしまっているだろうが、むしろそれが丁度いい。山にでも仕事に行って、そこでピクニックをするのはどうだ?普通のお茶よりも楽しめると思うぞ」
なるへそ。
・お茶ではなくピクニック。
フウロ「特に、私がオススメする依頼はこれだ!雪が溶けて活発化した魔獣の掃討作戦!報酬はなんと2800ゼルーー」
・お茶ではなくピクニック。
ここまで3つの案を得られましたーーフウロさんのは無視してーー。さて、あともう1つくらい手段を増やしておきましょう。
セリカ「ヴェルドをデートに?うーん......ネイりんに続いてシアラもかー。はぁ」
なぜか不満気に溜息をつかれました。
シアラ「どうかしましたか?」
セリカ「いや......ただ、ずっと狙ってたヴァルがネイりんと結婚して、それでシアラもヴェルドとそういう関係に進もうとしてると思うとねー......。別に、まだ2人って思えるんだけど、このまま何もしなかったら、いつの間にか私だけが独身になりそうな気がしてね」
シアラ「なるほど」
・セリカさんは一生独身。
セリカ「って、何メモしとるんじゃー!」
・セリカさんは一生独身。←本人は否定の模様。
セリカ「......そうね。ヴェルドのこと、正直全然分からないけど、自分の素直な気持ちを伝えてみたらどう?いつもみたいに、ふざけた感じで言うんじゃなくて、ちゃんと真面目に、真正面からヴェルドと向き合って」
・真面目に想いを伝える。
・真正面からヴェルド様と向き合う。
シアラ「ありがとうございます。セリカさん。いい人見つかるといいですねー」
セリカ「余計なお世話よ!」
ここまでの話をまとめると、
仕事帰りの自然な流れを演出し、帰り道でお茶をする。そして、普段とは打って変わって清楚系になったシアラが、ヴェルド様と真正面から向き合い、思いを告げる。
シアラ「......これで完璧......?」
何か、足りないものがある気がする。喉の奥に突っかかった魚の骨みたいに、何かの違和感を感じている。
果たして、シアラは皆さんから言われた通りの役者を演じ、それでいてヴェルド様に想いを伝えることはできるのでしょうか?セリカさんが言っていたように、シアラはふざけた感じでしか、恥ずかしくてまともに思いを伝えられません。そんな私が、真正面からヴェルド様と?
少しだけイメージしてみる。仕事帰りの喫茶店。シアラはヴェルド様の真正面に座っている。
ヴェルド「どうした?シアラ。そんなに俺がかっこよく見えるか?(妄想の中の発言)」
シアラ「う゛っ......!」
心臓を撃ち抜かれたみたいに、私の心が苦しくなる。妄想の中でこれなのだ。いざ、全てが上手くいったと仮定して、シアラはこんな状況に耐えられるでしょうか?
......
......
......
シアラ「やっぱり、無理です。シアラには......」
ネイ「元気に飛び出したかと思えば、またすぐに意気消沈して戻って来ましたね......」
シアラ「シアラには難しすぎます。いざ、ヴェルド様との関係を考えると、なんだかシアラは急ぎすぎていた気がします」
ネイ「だろうね」
......でも、シアラはゆっくりゆっくりなんてのは嫌いです。早すぎるのはシアラの身が持ちませんけど、ゆっくり過ぎるのは焦れったくて、それはそれでシアラの身が持ちません。
シアラは、一体どうすればいいのでしょうか?
ヴェルド「シアラ、ここにいたのか」
シアラ「ヴェ、ヴェルド様?」
悩み苦しんでいると、ヴェルド様の方から話しかけて来ました。今、シアラの胸は激しく高鳴っています。バクバクバクバク......。
ヴェルド「シアラ、お前に手伝って欲しい仕事がある」
シアラ「は、はい!シアラに出来ることならなんでも!」
ヴェルド「......?まあいいや。日帰りで終わりそうだからさっさと行くぞー」
シアラ「はい!合点承知之助!」
......シアラは、こうしてヴェルド様の隣にいられたら、それだけで幸せです。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ネイ「相変わらず、幸せな人ですね」
シアラ「あー、シアラはネイさんが羨ましいですぅ~」
と、膨れっ面になったシアラが、なんの前触れもなく私の前に座ってきて、そう言ってきたのである。
ネイ「羨ましいとは?」
シアラ「だってー、ネイさんとヴァルさんの関係が始まるよりもずっと前から、シアラとヴェルド様の物語は始まってたんですよ?なのに、それを追い越して先にゴールインするなんてズルいですし、羨まですよ~」
ドンドンと机を叩くシアラの顔は、若干酒が入ってる?って思うくらいには赤く染めていた。
シアラ「......ネイさん」
ネイ「な、なんでしょう......」
急に鋭くなった目で迫られるもんだから、思わず仰け反ってしまった。
シアラ「どうやってヴァルさんといつの間にかな関係にまで発展したんですか!」
声には凄い迫力が籠っている。冗談は許さないといった感じだ。いや、若干怖いんだけど......
ネイ「ど、どうって、そりゃぁ、私達の物語は契約したその日から始まってましてね......」
馴れ初め話なんて子供が出来るまで絶対にしないと思っていたけど、話さなきゃいけない状況っぽいし、若干頬を赤らめてからそう切り出す。
ネイ「......あれ?シアラさん?」
いつの間にか、シアラの姿が消えていた。
ネイ「い、今の短時間で一体どこに......?」
辺りをキョロキョロと探すと、すぐに目当てのものが見つかった。
シアラは、ヴェルドがカッコつけてコーヒーを嗜んでいたところに行っており、そこで何かを話していた。ちょっと耳を集中させて会話を盗み聞きする。
シアラ「ヴェルド様!私の契約しましょう!」
ネイ「ぶーっ!」
いや、契約云々の話は私とヴァルだから成立した話でしょうが!成功した人の話を何でもかんでも試そうとするとすぐにダメになるって、昔習わなかった?いや、習うわけないでしょうね!
ヴェルド「ああ?契約?何の?」
意外にも、ヴェルドは話を聞く姿勢だけは見せている。私なら直ぐに突っ撥ねる話なんだけど......
シアラ「え、えっと......それは......」
ヴェルド「またいつものアレか。用がないなら去れ。いつまでもまとわりつくんじゃねぇ」
シアラ「ショボーン(´・ω・`)《かっこプライムてんおめがてんバッククォートかっことじ》」
今時そんな古臭い効果音使う人いるんだ!しかも、ご丁寧に絵文字の記号一つ一つの音まで読み上げてる!
シアラ「ダメでしたぁ~......」
しょんほりと落ち込んで席に座り直すシアラだけど、私は同情してあげることが出来ない。今回、流石にシアラは無計画に動きすぎだっただろう。私とヴァルのやり方を真似したところで、そもそもの関係性が違うのだから、当然上手くいくはずがない。
シアラ「何がダメだったのでしょうか......」
ネイ「根本的にやり方が間違ってたと思いますよ......」
シアラ「アレをやってもダメ。コレをやってもダメ。シアラの恋は中々上手く行きません。一体、シアラの何がダメだというのでしょうか」
ネイ「ははは......」
多分、シアラの方に非はあまりない。あるとすれば、一方通行すぎる愛を注いでいるだけ。1番問題があるのはヴェルドの方だ。あれはヤヴァイ。何がヤヴァイかって、ナルシストであるが故に自分以外のものを無意識に認めない癖が出来上がっている。こんなにも健気に愛してくれている人がいるのに、なぜあいつの視界に入らないのか。それは、自分しか視界に入っていないから。あいつは、自分以外に愛せるものがない。愛してはならないと思っている。
......突き詰めれば、どうせあの日のことにまで遡るのだろうけど、ヴェルドには自分ですら気づいていないトラウマがあるように思える。右目で見てしまえば、それが何なのかはすぐに分かるだろうけど、そうやってズカズカと他人の心に潜り込んでしまうのもどうかとは思う。まあ、見るけど。
ネイ「............」
じーっと見続けること約3分。
ネイ「なるほどねぇ......」
シアラ「何か分かったのですか?」
ネイ「......ヴェルドはね、昔愛していた家族を失ったことがずっとトラウマになってるみたい」
シアラ「失った......家族」
ネイ「うん。龍人に殺されたっていう、あいつがずっと抱えているトラウマ。自分が愛した人達は死んでしまう。たった1回起きただけのことだけど、あいつの心には重い楔になってて、いつまで経っても抜けないみたい」
シアラ「楔......ですか」
何ともまあ、根性無しだと思う。1回家族を失って、その後、もう一度同じようなことが起こったのならまだ分かる。でも、ヴェルドの場合、たったの1回家族を失っただけだ。それくらいなら......それくらいなら......
ネイ「どうしよう、ヴェルドに同情しちゃってる......」
人のことを言える立場じゃないことに気がつき、私は頭を抱えて俯く。
思えば、私だってたった一つの後悔をネチネチと考え続けていた。それならば、ヴェルドだって、家族を失ったことをいつまでも引きずっていたって何も悪いことはない。
......きっと、私と同じでいつまでも答えが出ないんだろうな。はぁ、あいつと同類とか終わってるじゃん。
シアラ「あのー......ネイさん?」
ネイ「はっ、ご、ごめん。あいつの心覗いたら、ちょっと私じゃ無理かなぁって思って......」
シアラ「......そうですか」
ネイ「し、シアラの期待に答えられるようなことは何もないけどーー」
シアラ「よし、ならばシアラがヴェルド様を元気づけてみせます!」
ネイ「......はい?」
シアラ「そうと決まれば、まずはデートに誘うところからです!応援よろしく!」
ネイ「あ......、行ってしまった」
相変わらず、何がスイッチになるか分からない人だ。まあ、あんな子だからこそ、応援したいと思えるのだけれど。
......シアラ。あなたの未来は、多分輝いてるよ。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
シアラ、ヴェルド様を元気付けることに決めました。しかし、デートに誘おうと思っても、同じやり方でやってはダメなことくらい学習しています。と、いうわけで。
ミラ「え?男の人をデートに誘う方法?」
まずは、何かと対人関係の知識が豊富そうなミラさんからアドバイスを貰ってみることにします。
ミラ「うーん?そうねぇ......男の人が女の人を誘うっていうシチュエーションならよく相談されるのだけれど、逆パターンはねぇ......しかも、相手はヴェルドか~......。そうね、自然な流れを演出した方がいいから、まずはどうにかして仕事に2人で出かけることかしら?それで、帰り道で何とかうまいことやってヴェルドをお茶にでも誘ってみる。それがいいんじゃない?」
なるほどなるほど。
私はメモ帳に箇条書きでメモをする。
・自然な流れを演出。
・帰り道がベストタイミング。
さて、ただ1つのアドバイスから行動を起こすと、容易に失敗してしまうことを知っている(学習した)シアラは、次なる相手に相談を持ちかけます。
ヴァル「え?ヴェルドをデートに?またいつものか......あー、でも、あいつもそろそろ女っ気見せてくれて良いはずだよなぁ......そうだな。思い切って告白したところで拒否されてんのは目に見えてんだし、ネイがたまに見せる大人しい女性を演じてみたらどうだ?」
なるほど。
・キャラを変えてみる。←出来れば大人しめな感じ。
では次!
フウロ「なるほど。あいつをデートにか......。あいつの事だからな。もう雪は溶けてしまっているだろうが、むしろそれが丁度いい。山にでも仕事に行って、そこでピクニックをするのはどうだ?普通のお茶よりも楽しめると思うぞ」
なるへそ。
・お茶ではなくピクニック。
フウロ「特に、私がオススメする依頼はこれだ!雪が溶けて活発化した魔獣の掃討作戦!報酬はなんと2800ゼルーー」
・お茶ではなくピクニック。
ここまで3つの案を得られましたーーフウロさんのは無視してーー。さて、あともう1つくらい手段を増やしておきましょう。
セリカ「ヴェルドをデートに?うーん......ネイりんに続いてシアラもかー。はぁ」
なぜか不満気に溜息をつかれました。
シアラ「どうかしましたか?」
セリカ「いや......ただ、ずっと狙ってたヴァルがネイりんと結婚して、それでシアラもヴェルドとそういう関係に進もうとしてると思うとねー......。別に、まだ2人って思えるんだけど、このまま何もしなかったら、いつの間にか私だけが独身になりそうな気がしてね」
シアラ「なるほど」
・セリカさんは一生独身。
セリカ「って、何メモしとるんじゃー!」
・セリカさんは一生独身。←本人は否定の模様。
セリカ「......そうね。ヴェルドのこと、正直全然分からないけど、自分の素直な気持ちを伝えてみたらどう?いつもみたいに、ふざけた感じで言うんじゃなくて、ちゃんと真面目に、真正面からヴェルドと向き合って」
・真面目に想いを伝える。
・真正面からヴェルド様と向き合う。
シアラ「ありがとうございます。セリカさん。いい人見つかるといいですねー」
セリカ「余計なお世話よ!」
ここまでの話をまとめると、
仕事帰りの自然な流れを演出し、帰り道でお茶をする。そして、普段とは打って変わって清楚系になったシアラが、ヴェルド様と真正面から向き合い、思いを告げる。
シアラ「......これで完璧......?」
何か、足りないものがある気がする。喉の奥に突っかかった魚の骨みたいに、何かの違和感を感じている。
果たして、シアラは皆さんから言われた通りの役者を演じ、それでいてヴェルド様に想いを伝えることはできるのでしょうか?セリカさんが言っていたように、シアラはふざけた感じでしか、恥ずかしくてまともに思いを伝えられません。そんな私が、真正面からヴェルド様と?
少しだけイメージしてみる。仕事帰りの喫茶店。シアラはヴェルド様の真正面に座っている。
ヴェルド「どうした?シアラ。そんなに俺がかっこよく見えるか?(妄想の中の発言)」
シアラ「う゛っ......!」
心臓を撃ち抜かれたみたいに、私の心が苦しくなる。妄想の中でこれなのだ。いざ、全てが上手くいったと仮定して、シアラはこんな状況に耐えられるでしょうか?
......
......
......
シアラ「やっぱり、無理です。シアラには......」
ネイ「元気に飛び出したかと思えば、またすぐに意気消沈して戻って来ましたね......」
シアラ「シアラには難しすぎます。いざ、ヴェルド様との関係を考えると、なんだかシアラは急ぎすぎていた気がします」
ネイ「だろうね」
......でも、シアラはゆっくりゆっくりなんてのは嫌いです。早すぎるのはシアラの身が持ちませんけど、ゆっくり過ぎるのは焦れったくて、それはそれでシアラの身が持ちません。
シアラは、一体どうすればいいのでしょうか?
ヴェルド「シアラ、ここにいたのか」
シアラ「ヴェ、ヴェルド様?」
悩み苦しんでいると、ヴェルド様の方から話しかけて来ました。今、シアラの胸は激しく高鳴っています。バクバクバクバク......。
ヴェルド「シアラ、お前に手伝って欲しい仕事がある」
シアラ「は、はい!シアラに出来ることならなんでも!」
ヴェルド「......?まあいいや。日帰りで終わりそうだからさっさと行くぞー」
シアラ「はい!合点承知之助!」
......シアラは、こうしてヴェルド様の隣にいられたら、それだけで幸せです。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ネイ「相変わらず、幸せな人ですね」
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