グランストリアMaledictio

ミナセ ヒカリ

文字の大きさ
284 / 434
第0章 【グラン・ゼロ・ストーリー】

第0章2 【始まりの日】

しおりを挟む
 こんな話を聞いたことはありませんか?

 "太陽に近づきすぎた英雄は、やがて羽を燃やされ地に落とされる"

 残酷な話ですね。世の中を生き抜くには、より強い力と罪深い程の強欲を持たなければならないというのに、持ちすぎると神様に没収されてしまう。でも、逆に持ってるものが少ないと、今度は下界の人間によって酷い目に遭わされてしまう。何か、世の中が上手く回る方法なんてないのでしょうか?まあ、あったら誰も苦労しませんけどね。

 さてさて、くだらない考え事はしてないで、今日も今日とで頑張りましょうか。欲深き私は、いつまでもこんな小さな島に閉じこもっていられません!1分1秒でも早くこの島を脱出して外の世界を見る!そのために、太くて丈夫な木を集めてるんですけど......

「......やっぱり、ダメみたいです......」

 重いものを運んだり、壊したりするのは得意なのですが、どうもこういった細かい作業が私はできないようで、日々無為に島の自然を荒らしているだけ。イカダ作り程度なら私でも出来ると思ったのですが......はぁ。

 あーあ、どこからか海賊でも何でもいいからワクワクさせてくれるような人が現れてくれませんかねー、現れるわけないかー。

 仕方ないので、私は今日も極力自然を荒らさないようにしつつ、食料となる木の実を探します。

 この島は私以外誰もいない孤島。私がどれだけ自然を荒らしてしまおうと、自然の再生力の方が高く、この島から木の葉1枚すら無くなってしまうような事態は絶対に起きない。もし、そんなことが起きてしまったら、私は世界が終わる瞬間を覚悟します。

「とは言っても、世界が終わる瞬間なんて、それこそ神様がお怒りにならない限りは絶対に起きませんからねー。今日も平和です!」

 独り言ではあるが、誰かと話すようにして言葉を口から出す。こうでもしてないと、ひとりぼっちの私はおかしくなってしまう。まあ、独り言が多すぎる時点で十分おかしな奴に見えるんでしょうけど。

 まあ、独り言とは言えど、私の言葉を聞いてくれる生き物ならいる。

 この島に生息する生き物たち。姿形はバラバラで、私の体を超える大きさのものなんていませんが、むしろそれが私には丁度いい。クマカリリスやシオラガラス、クマデムシにチョウオオトビなど、この島以外には生息していないって言われる固有種がたくさんいるのです。外の世界を見たことがないから、本当にこの生き物たちがこの島固有の種なのか分かりませんけど。

 この島に住む人間は私だけ。でも、こうしてたくさんの生き物なかまたちに囲まれているのだから、私は寂しいと思ったことは1度だってありません。でも......

「退屈はしますよ......はー、本当、どこからでもいいから海賊とか現れませんかねー」

 この島に残ってある本から得た適当な知識。外の世界には大海を渡り、略奪を行う組織があるとのこと。ならば、そんな組織がこの島を襲いに来てもおかしくはないはず。と、毎日のように期待してるのですが、彼らは無意味に襲ってるわけではない。ちゃんとした目的があって、その目的とは、大体が略奪行為。奪えるものが何もないこの島に、わざわざ船を浮かべてやってくる人たちなんていませんよ。

 ......期待してるのかしてないのか、自問自答してるとちょっと悲しくなってきます。

 あ、そうそう。なぜ、私がたった1人でこの島にいるのかというと、時は5年くらい前まで遡ります。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 それはそれは、夏の残暑もそろそろ消え去り、秋らしく涼しくなってきた頃。

 私の記憶が確かなら、この島には500人ほどの人口があり、老若男女問わずみんなが元気に毎日を過ごしていました。もちろん、私と私の家族も含めて。

「ゴルァァ!テメェら、まだ返す採算ができてねぇのかァ!あぁ!?」

「す、すみません!」

「明日、明日までには......!」

 あの、棘棍棒を担いだ厳ついオジサンは、この島にあったギルドマスターの......えぇと、なんて名前でしたっけ?よく思い出せません......。まあ、名前なんてどうでもいい話です。幼い時の私には分かりませんでしたが、両親はこのギルドに借金を作っており、毎日のようにこの厳ついオジサンに怒られていました。時には、魔法を使った暴力も振るわれていたほどです。

 両親の借金のせいで、私は満足のいく生活を送ることは出来ていませんでした。でも、ギルドにある本を勝手に読み漁ったり、島にある小さな学校でたまに先生の話を聞いたりして、少しずつ知識を身につけていきました。

 そんな、貧しくも小さな幸せは長くは続きませんでした。

 ある日突然、ええ、本当に突然のことです。島に悲劇が訪れました。いえ、悲劇という言葉では足りないくらいに惨い出来事です。

「なんだァ!何が起こってやがるゥ!」

「マスター!島が......!島がぁぁぁぁ!」

「喚き散らしてねぇで何が起こったか話やがれぇ!」

「マスター、どこからか瘴気が溢れ出ており、その影響か、島に大量の魔獣が......!」

「魔獣だァ!?んなもんがなんで急に現れてんだァ!?いぃや、んなもん関係ねぇ!全員総力で殲滅にかかれぇ!」

 原因は今でも分かりません。ですが、島に突然闇の瘴気が現れ、それがものの数分で島全体を覆い、あっという間に『絶望』というものをこの島に与えました。

 瘴気が人々の体を蝕み、生き物たちの精神をおかしくさせ、最後には瘴気の暴走で島全体を『絶望』という名の炎で焼き尽くしました。

 あれから5年。

 私だけは、なぜか奇跡的に生き残り、瘴気の影響も受けないままにすくすくと育っていきました。といっても、やはり少しは影響があるのか、身長は中々伸びていきませんし、肉付きもあまり女性らしいとは言えない状態です。まあ、生きていく上で不便なところがあるわけでもありませんし、特に気にしてはいません。

 まあ、そんな悲惨な事件があった島ですが、私は元気に過ごしています!......

「......今日はもう寝ちゃいましょうか」

 日はまだ出てるけど、ワクワクさせてくれるようなことが起きないのであれば、無駄な体力の消費を避けるべきです。いくら食糧が豊富とはいえ、それがいつまでも続いてくれるとは限りませんから、なるべく節約です。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 そして翌朝。

「ふぁ~ぁ~......今朝はやけに自然がうるさいですね~」

 翌朝、鳥や狼などの野生動物たちのうるさい声で目が覚めた。

 なんだろうと思い、1番近くの海岸に足を運びました。すると、遠くの方で何やら大きな影が見えました。

「あれは......まさか!」

 遠いからちょっと黒っぽく、四角いってだけしか分かりませんが、海の上に浮かぶあんな大きなものなど、私が知っている限りでは1つしかありません。

「船!船です!あれは絶対に船ですよー!」

 何年も待ち焦がれたこの島への来訪者。ただ通り過ぎるだけって可能性もあるけど、あの船は確実にこちらに向かってきている。

 間違いない。間違いであってほしくない。

「こうしちゃいられません!早速来訪者たちとの接触をー!」



 1000年前の再霊島。そこに欲深き少女が住んでいました。名をゼラと呼びます。彼女は、とても幸福な少女で、小説にあるような"冒険"に強い憧れを持っていました。そんな彼女は、これから出会う"仲間"と共に自らの冒険譚を刻んでいくことになります。その冒険譚は、希望に満ち溢れているのか、はたまた絶望に満ちているのか。それは、彼女の選択が決めることです。間違った選択を選べば、未来は続かなくなる。でも、正しい選択を取れば、未来は希望に包まれる。ええ、でも......

 ......

 ......

 ......いいえ。ここから先の話は、ちゃんとこの冒険小説を読んでからにしましょう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

勝手にサインしろと仰いましたので、廃嫡書類に国璽を押して差し上げました

鷹 綾
恋愛
「確認? 面倒だ。適当にサインして国璽を押しておけ」 そう言ったのは、王太子アレス。 そう言われたのは、公爵令嬢レイナ・アルヴェルト。 外交も財政も軍備も―― すべてを裏で処理してきたのは彼女だった。 けれど功績はすべて王太子のもの。 感謝も敬意も、ただの一度もない。 そして迎えた舞踏会の夜。 「便利だったが、飾りには向かん」 公開婚約破棄。 それならば、とレイナは微笑む。 「では業務も終了でよろしいですね?」 王太子が望んだ通り、 彼女は“確認”をやめた。 保証を外し、責任を返し、 そして最後に―― 「ご確認を」と差し出した書類に、 彼は何も読まずに署名した。 国は契約で成り立っている。 確認しない者に、王の資格はない。 働きたくない公爵令嬢と、 責任を理解しなかった王太子。 静かな契約ざまぁ劇、開幕。 ---

私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました

放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。 だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。 「彼女は可哀想なんだ」 「この子を跡取りにする」 そして人前で、平然と言い放つ。 ――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」 その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。 「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」

お爺様の贈り物

豆狸
ファンタジー
お爺様、素晴らしい贈り物を本当にありがとうございました。

[完結]7回も人生やってたら無双になるって

紅月
恋愛
「またですか」 アリッサは望まないのに7回目の人生の巻き戻りにため息を吐いた。 驚く事に今までの人生で身に付けた技術、知識はそのままだから有能だけど、いつ巻き戻るか分からないから結婚とかはすっかり諦めていた。 だけど今回は違う。 強力な仲間が居る。 アリッサは今度こそ自分の人生をまっとうしようと前を向く事にした。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

2度死んだ王子は今度こそ生き残りたい

緑緑緑
ファンタジー
王太子ロイは、かつて二度の革命によって祖国を崩壊させてしまった過去を持つ。命を落とすたび、彼はある時点へと巻き戻される。そして今、三度目の人生が静かに幕を開けようとしていた。 ――自分は民を理解しているつもりだった。 だが実際には、その表面しか見えていなかったのだ。 その痛烈な自覚から、物語は動き始める。 革命を回避するために必要なのは、制度でも権力でもない。「人を知る」ことこそが鍵だと、ロイは気付く。 彼はエコール学園での生活を通じ、身分も立場も異なる様々な人間と深く関わっていく。 そこで出会う一人ひとりの想いと現実が、やがて国の未来を大きく左右していくことになるとは、この時のロイはまだ知らない。

処理中です...