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第0章 【グラン・ゼロ・ストーリー】
第0章16 【決戦】
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ヨミさんが戻って来たのは、宣言通り3分後のことでした。
「お帰りなさいでーす」
空を飛んで戻ってきた彼女に、いち早く気づいた私は大きく手を振って大きな声をかけます。
ヨミさんは、近くにリアを浮かばせており、刀の先っちょ部分には、いかにも国王って感じの狼狽える男を引っかけています。
ミリオ「リア!」
ミリオも、その存在に気づき、ヨミさんが着陸すると同時にリアの元へと駆け寄りました。
ヨミ「さてさて、ひと仕事終えてきたが、子奴はどうするべきかのう?」
私はヨミさんに羽織を返し、ヨミさんもすぐにそれを着て、国王ナトレに向けて刀を突き当てました。
シャウト「ある意味、暴動の原因か……」
ラウス「前に会った時は良い奴に見えたんだけどなぁ。ババアとの繋がりもあったっぽいし」
モルガン「待て。まずは双方の話を聞いてからだろ」
ラウス「んな事してても、この街の争いは止まらねぇだろ」
モルガン「む……」
大人たちって、こういう時に意見がまとまりませんよね。そんなんだから何かあった時の対応が後手後手になるんです。
まあ、それはいいとして、私としてもこの国王をどうするべきか考えてみましょうか?うーん、殺してしまうには、まだ早すぎる気がしますし、かといって生かすにしても、リアやミリオたちの気持ちもありますし……
ヨミ「どうでもいいが、この国は元に戻すべきなのか?それとも燃やしたままにしておくべきなのか?」
リア「燃やしたままにしてて頂戴!」
と、早くも元気になったリアがそう言い、狼狽える国王の前まで出て仁王立ちをします。
ヨミ「ふぁ~ぁ~」
リアが何かする前に、ヨミさんがその場に静かに倒れ込みました。多分、疲れたんですね。私がおんぶに抱っこしてあげます。
リア「あんた、これが現実よ」
ナトレ「……」
リアの言葉には何も返さない国王。普通、自らの国をここまで燃やされてるんですから、それなりに憤慨してもいいはずなんですけど。
リア「当然の報いだと思ってる?思っているのなら、実に無様。思っていないのなら、実に滑稽。どの道、あんたはもう憎たらしい豚にしか見えないのよ。いいえ、それだと豚さんに失礼ね。あんたはノミよ!」
豚さんに失礼なのてあれば、それはノミさんにも失礼なんじゃないですかね。
リア「いい加減白状しなさい。あんたが私たちの体を使って何を実験してたのか。そして、この国はどうしてこんなにも緑が多かったのか。喋るまで拷問してやってもいいのよ!」
ナトレ「………………あれは、8年くらい前の事だった」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
国王がぽつりぽつりと語り出した辛く切ない記憶。それは、同情の余地もあるほどに悲惨な……嘘です。今、めちゃくちゃ嘘つきました。
この国王、聞いてて呆れるほどに自分勝手でした。まず、国王がこの国を建国した経緯ですが、緑溢れる国を作って自然王と名乗ればそれなりに有名になれると思ったからだそうです。そう思っただけで国王になれちゃうってのは凄い話ですけど、どうやら元々はこの土地一帯を統べる領主だったらしく、ステイネスでの度重なる混乱に乗じて独立したみたいです。で、国を作ったはいいけど、緑を溢れさせるためにはどうすればいいのかを国王ナトレは悩みました。自分1人で悩んでも仕方ないので、各国を周り優秀な科学者を集めたらしいです。今、彼らはこの国にいないそうですけど。
緑を溢れさせるために、科学者が考案した方法は実に面白おかしなものでした。なんと、緑を溢れさせるには生命力と生命の成長する力が必要とのことで、まだ幼かった領民を集めて大規模な実験をしたらしいです。あとは、ご想像の通り、その実験の被験者になった人たちの生命力によって、この国は緑溢れる国へと生まれ変わりましたとさ。おしまいおしまい……
……
……逆にその行動力凄いと思いません?まあ、感心してる場合じゃないんですけど。
ラウス「なんか、もう、うん。100%お前が悪いわ。それしか言えねぇ」
モルガン「苦労したな、汝ら」
私も、この話を聞くまではずっと半信半疑でしたが、今となってはミリオたちの話を全面的に信用することができます。それほどまでに、自然王ナトレが作ったこの国は、"自分勝手"という言葉が似合う国でした。
シャウト「国王。いや、ナトレ。治療薬はないのか?」
ナトレ「……そんなもんあったら、この国はここまで緑に溢れておらん」
ラウス「本当のところは?」
ナトレ「いや、だから無いと」
モルガン「嘘は?」
ナトレ「ついておらん」
「と見せかけて?」
ナトレ「だからついておらん!お前らしつこい!」
王らしくない話し方と立ち振る舞いですけど、もう私たちから見てこの人は王ではないので、どうでもいいでしょう。
さて、治療薬は真面目にないっぽいので、リアさんたちの戦いは無意味だったのでしょうか?いえ、そもそもリアさんたちは、何のためにこんな暴動を起こしたんでしたっけ?復讐?それともやっぱり治療法を求めて?うーん……
ラウス「とりあえず、お前ら2人でこの暴動鎮ろ。俺らでこのバカ自然王を縄で縛りあげといてやるから」
リア「りょうかーい」
まあ、なんだかんだ一悶着ありましたけど、これで無事一件落着ですね。リアさんたちの目的なんて知りません。後は彼女らが解決する問題。そうしておきましょう。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
と、いうわけで、あまりにもあっさりすぎる終わり方をした自然国の暴動から一夜が明け、私たちはいよいよステイネスに向けて、本格的に侵攻の準備をするのでした(といっても、こんな国じゃ特にこれといったことはできませんけど)。
「では、行ってまいります!」
リア「うん、頑張ってね、ゼラ。あと、あの豚野郎とっちめてくれてありがとね」
「いえいえ気にしないでください。というか、あれ、ほとんどヨミさんがやったことなので」
私は、船の出航前にリアと一言交わそうと時間を貰い、別れの挨拶をしていました。
ヨミさんの予定だと、本当なら自然国から陸路でステイネスに行くようでしたが、流石に状況がそれを許してはくれず、少々荒っぽくても海から奇襲を仕掛けることになりました。
「ところで、昨日縛りあげた自然王は、今どうなってるんですか?」
リア「ああ。あいつは今、広場で豚の丸焼きにされてるわよ。なぜか知らないけど、ミリオの手際が妙に良かったからね。今回の暴動を起こした仲間達全員集めて、軽い拷問してるわよ」
「えぇぇ……」
それ、全然軽くはないですよね?
まあ、リアさん達が受けたことを思えば、それでも十分に軽いくらいなんですかね。知りませんけど。
リア「あ、そうそうゼラ。1つだけ、激励の意を込めて贈り物があるわ」
そう言うと、リアさんは私の髪に何かを飾り付けました。
「花?」
リア「サザンカの花よ。花言葉は困難に打ち勝つ。こんな国の花だけど、元々は私たちの生命力から生まれた花なんだし、実質私の意思が籠ってるってことでいいわよね?」
「うーん。まあ、ありがたく頂いておきます」
リア「……じゃあ。本当の本当に頑張ってね」
「はい。必ず、勝って帰ってきます!」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
自然国で起きていた暴動。それは、あまりにもあっさりすぎる終わり方をしました。え?もっと壮大な感じかと思ってたって?うーん、ちょっとだけ誇張しすぎましたかね。まあいいです。
お次に訪れる国は、この冒険譚最後の物語となる場所『ステイネス』。日々緊張した状態が続き、何か事あるごとに内乱が勃発する凄く危険な国です。そんなところに本部を構える『影』という組織。彼らは、どのようにして私に気づかれることなくグランストーンを盗っていったのか。そして、世界各地で略奪に近いようなことをしてまで宝を奪い続ける理由とは?
それはまた、次回のお話で……え?今回は短いからもう少し話せって?
しょうがない人たちですね。では、少しだけ、ほんの少しだけ冒頭の部分をお話しましょうか。
それは、いつも通り船の上から始まる物語ですーー
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ヨミ「おぇぇぇ……」
「今、ヨミさんが陸路から攻めるって言ってた意味が理解出来ました」
自然国ラルレアを出航してからほんの数分。ヨミさんは、いつものように船酔いを起こしてダウンしていました。
そりゃそうですよね。戦いの前くらい、万全な状態で行きたいですよね。でも、ラルレアがあんな状態になってしまったのだから仕方のない話です。そう、仕方ないんです。頑張ってほんの数分を耐えましょうか。
ラウス「ったく、このガキはいつも通りだな。ゼラ、お前の方が余っ程根性感じるぜ」
「藪からスティックになんですか一体」
ヨミさんを介抱してやってると、ラウスが妙に大きな声を出しながら近づいてきました。
ラウス「いやー、いよいよ俺らの反撃が始まるなって思ったらよー。なんかこう、緊張してきたっていうか」
「なるほどなるほど。だからそうやって、大きな声を出して足の震えを誤魔化してるんですか」
ラウス「ご、誤魔化してねぇよ!」
とは言うものの、実際ラウスの足は震えていますし、目もどこに焦点を当てようとしているのか、若干泳いでいます。まあ無理はないですね。ラウスたちにとっては、仇討ちをしに行くようなものですから。
ラウス「……なあゼラ」
「はい、なんですか?」
足の震えは残したものの、急に目の焦点を私に当ててきたので、私はヨミさんを楽な姿勢で座らせ、ラウスの顔を見上げます。
ラウス「……お前、この戦いが終わったらどうするつもりなんだ?」
「どうする?……フラグでも建てようとしてます?」
ラウス「いやそうじゃねぇよ。ただ、なんとなく気になっただけだ。俺達は、ほら、世界の宝を求め続けるトレジャーハンターってのがある。でも、お前には特にこれといったものがない。お前以外誰もいない島から俺達が連れ出して、で、グランストーンを求めて世界を旅した。でも、それはグランストーンを手に入れた瞬間に終わっちまう旅なんだ。だから、その、お前はこれからどうしたいのかなって」
ラウスのくせに真面目な話をしますね。
……これが終わったら、ですか。そんなこと、考えたことすらありませんでした。いえ、こんな日々が永遠に続くと、心のどこかで勝手に思っていたのかもしれません。でも、確かに言われてみれば、この先のことを考えなきゃならないのは必然。勝つにしろ負けるにしろ、私はこんなところで死ぬ予定はありませんから。
「……とりあえず、戦いが終わってから考えてみることにします」
ラウス「そっか……」
「他人の心配をするよりも、まずは己の心配ですよ。ほら、今日は一段と戦火が燃え盛ってますよ」
いよいよ甲板から、ステイネスの街の様子が見えてきました。前回同様、いや、前回以上に酷く煙が上がっています。ラウスたちはこの状況のステイネスは危険だと言いますが、私にはむしろチャンスに見えます。
あれだけ混乱している状況なら、しれっと内部にまで攻め込むのは簡単です。それに、影が大きな組織だというのなら、敵対している勢力は多いはずです。そんな彼らを、丸っと納めることが出来れば、もしかしたら戦力の大幅アップを期待できるかもしれません。敵の敵は味方って言いますからね。
「お帰りなさいでーす」
空を飛んで戻ってきた彼女に、いち早く気づいた私は大きく手を振って大きな声をかけます。
ヨミさんは、近くにリアを浮かばせており、刀の先っちょ部分には、いかにも国王って感じの狼狽える男を引っかけています。
ミリオ「リア!」
ミリオも、その存在に気づき、ヨミさんが着陸すると同時にリアの元へと駆け寄りました。
ヨミ「さてさて、ひと仕事終えてきたが、子奴はどうするべきかのう?」
私はヨミさんに羽織を返し、ヨミさんもすぐにそれを着て、国王ナトレに向けて刀を突き当てました。
シャウト「ある意味、暴動の原因か……」
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モルガン「待て。まずは双方の話を聞いてからだろ」
ラウス「んな事してても、この街の争いは止まらねぇだろ」
モルガン「む……」
大人たちって、こういう時に意見がまとまりませんよね。そんなんだから何かあった時の対応が後手後手になるんです。
まあ、それはいいとして、私としてもこの国王をどうするべきか考えてみましょうか?うーん、殺してしまうには、まだ早すぎる気がしますし、かといって生かすにしても、リアやミリオたちの気持ちもありますし……
ヨミ「どうでもいいが、この国は元に戻すべきなのか?それとも燃やしたままにしておくべきなのか?」
リア「燃やしたままにしてて頂戴!」
と、早くも元気になったリアがそう言い、狼狽える国王の前まで出て仁王立ちをします。
ヨミ「ふぁ~ぁ~」
リアが何かする前に、ヨミさんがその場に静かに倒れ込みました。多分、疲れたんですね。私がおんぶに抱っこしてあげます。
リア「あんた、これが現実よ」
ナトレ「……」
リアの言葉には何も返さない国王。普通、自らの国をここまで燃やされてるんですから、それなりに憤慨してもいいはずなんですけど。
リア「当然の報いだと思ってる?思っているのなら、実に無様。思っていないのなら、実に滑稽。どの道、あんたはもう憎たらしい豚にしか見えないのよ。いいえ、それだと豚さんに失礼ね。あんたはノミよ!」
豚さんに失礼なのてあれば、それはノミさんにも失礼なんじゃないですかね。
リア「いい加減白状しなさい。あんたが私たちの体を使って何を実験してたのか。そして、この国はどうしてこんなにも緑が多かったのか。喋るまで拷問してやってもいいのよ!」
ナトレ「………………あれは、8年くらい前の事だった」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
国王がぽつりぽつりと語り出した辛く切ない記憶。それは、同情の余地もあるほどに悲惨な……嘘です。今、めちゃくちゃ嘘つきました。
この国王、聞いてて呆れるほどに自分勝手でした。まず、国王がこの国を建国した経緯ですが、緑溢れる国を作って自然王と名乗ればそれなりに有名になれると思ったからだそうです。そう思っただけで国王になれちゃうってのは凄い話ですけど、どうやら元々はこの土地一帯を統べる領主だったらしく、ステイネスでの度重なる混乱に乗じて独立したみたいです。で、国を作ったはいいけど、緑を溢れさせるためにはどうすればいいのかを国王ナトレは悩みました。自分1人で悩んでも仕方ないので、各国を周り優秀な科学者を集めたらしいです。今、彼らはこの国にいないそうですけど。
緑を溢れさせるために、科学者が考案した方法は実に面白おかしなものでした。なんと、緑を溢れさせるには生命力と生命の成長する力が必要とのことで、まだ幼かった領民を集めて大規模な実験をしたらしいです。あとは、ご想像の通り、その実験の被験者になった人たちの生命力によって、この国は緑溢れる国へと生まれ変わりましたとさ。おしまいおしまい……
……
……逆にその行動力凄いと思いません?まあ、感心してる場合じゃないんですけど。
ラウス「なんか、もう、うん。100%お前が悪いわ。それしか言えねぇ」
モルガン「苦労したな、汝ら」
私も、この話を聞くまではずっと半信半疑でしたが、今となってはミリオたちの話を全面的に信用することができます。それほどまでに、自然王ナトレが作ったこの国は、"自分勝手"という言葉が似合う国でした。
シャウト「国王。いや、ナトレ。治療薬はないのか?」
ナトレ「……そんなもんあったら、この国はここまで緑に溢れておらん」
ラウス「本当のところは?」
ナトレ「いや、だから無いと」
モルガン「嘘は?」
ナトレ「ついておらん」
「と見せかけて?」
ナトレ「だからついておらん!お前らしつこい!」
王らしくない話し方と立ち振る舞いですけど、もう私たちから見てこの人は王ではないので、どうでもいいでしょう。
さて、治療薬は真面目にないっぽいので、リアさんたちの戦いは無意味だったのでしょうか?いえ、そもそもリアさんたちは、何のためにこんな暴動を起こしたんでしたっけ?復讐?それともやっぱり治療法を求めて?うーん……
ラウス「とりあえず、お前ら2人でこの暴動鎮ろ。俺らでこのバカ自然王を縄で縛りあげといてやるから」
リア「りょうかーい」
まあ、なんだかんだ一悶着ありましたけど、これで無事一件落着ですね。リアさんたちの目的なんて知りません。後は彼女らが解決する問題。そうしておきましょう。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
と、いうわけで、あまりにもあっさりすぎる終わり方をした自然国の暴動から一夜が明け、私たちはいよいよステイネスに向けて、本格的に侵攻の準備をするのでした(といっても、こんな国じゃ特にこれといったことはできませんけど)。
「では、行ってまいります!」
リア「うん、頑張ってね、ゼラ。あと、あの豚野郎とっちめてくれてありがとね」
「いえいえ気にしないでください。というか、あれ、ほとんどヨミさんがやったことなので」
私は、船の出航前にリアと一言交わそうと時間を貰い、別れの挨拶をしていました。
ヨミさんの予定だと、本当なら自然国から陸路でステイネスに行くようでしたが、流石に状況がそれを許してはくれず、少々荒っぽくても海から奇襲を仕掛けることになりました。
「ところで、昨日縛りあげた自然王は、今どうなってるんですか?」
リア「ああ。あいつは今、広場で豚の丸焼きにされてるわよ。なぜか知らないけど、ミリオの手際が妙に良かったからね。今回の暴動を起こした仲間達全員集めて、軽い拷問してるわよ」
「えぇぇ……」
それ、全然軽くはないですよね?
まあ、リアさん達が受けたことを思えば、それでも十分に軽いくらいなんですかね。知りませんけど。
リア「あ、そうそうゼラ。1つだけ、激励の意を込めて贈り物があるわ」
そう言うと、リアさんは私の髪に何かを飾り付けました。
「花?」
リア「サザンカの花よ。花言葉は困難に打ち勝つ。こんな国の花だけど、元々は私たちの生命力から生まれた花なんだし、実質私の意思が籠ってるってことでいいわよね?」
「うーん。まあ、ありがたく頂いておきます」
リア「……じゃあ。本当の本当に頑張ってね」
「はい。必ず、勝って帰ってきます!」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
自然国で起きていた暴動。それは、あまりにもあっさりすぎる終わり方をしました。え?もっと壮大な感じかと思ってたって?うーん、ちょっとだけ誇張しすぎましたかね。まあいいです。
お次に訪れる国は、この冒険譚最後の物語となる場所『ステイネス』。日々緊張した状態が続き、何か事あるごとに内乱が勃発する凄く危険な国です。そんなところに本部を構える『影』という組織。彼らは、どのようにして私に気づかれることなくグランストーンを盗っていったのか。そして、世界各地で略奪に近いようなことをしてまで宝を奪い続ける理由とは?
それはまた、次回のお話で……え?今回は短いからもう少し話せって?
しょうがない人たちですね。では、少しだけ、ほんの少しだけ冒頭の部分をお話しましょうか。
それは、いつも通り船の上から始まる物語ですーー
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ヨミ「おぇぇぇ……」
「今、ヨミさんが陸路から攻めるって言ってた意味が理解出来ました」
自然国ラルレアを出航してからほんの数分。ヨミさんは、いつものように船酔いを起こしてダウンしていました。
そりゃそうですよね。戦いの前くらい、万全な状態で行きたいですよね。でも、ラルレアがあんな状態になってしまったのだから仕方のない話です。そう、仕方ないんです。頑張ってほんの数分を耐えましょうか。
ラウス「ったく、このガキはいつも通りだな。ゼラ、お前の方が余っ程根性感じるぜ」
「藪からスティックになんですか一体」
ヨミさんを介抱してやってると、ラウスが妙に大きな声を出しながら近づいてきました。
ラウス「いやー、いよいよ俺らの反撃が始まるなって思ったらよー。なんかこう、緊張してきたっていうか」
「なるほどなるほど。だからそうやって、大きな声を出して足の震えを誤魔化してるんですか」
ラウス「ご、誤魔化してねぇよ!」
とは言うものの、実際ラウスの足は震えていますし、目もどこに焦点を当てようとしているのか、若干泳いでいます。まあ無理はないですね。ラウスたちにとっては、仇討ちをしに行くようなものですから。
ラウス「……なあゼラ」
「はい、なんですか?」
足の震えは残したものの、急に目の焦点を私に当ててきたので、私はヨミさんを楽な姿勢で座らせ、ラウスの顔を見上げます。
ラウス「……お前、この戦いが終わったらどうするつもりなんだ?」
「どうする?……フラグでも建てようとしてます?」
ラウス「いやそうじゃねぇよ。ただ、なんとなく気になっただけだ。俺達は、ほら、世界の宝を求め続けるトレジャーハンターってのがある。でも、お前には特にこれといったものがない。お前以外誰もいない島から俺達が連れ出して、で、グランストーンを求めて世界を旅した。でも、それはグランストーンを手に入れた瞬間に終わっちまう旅なんだ。だから、その、お前はこれからどうしたいのかなって」
ラウスのくせに真面目な話をしますね。
……これが終わったら、ですか。そんなこと、考えたことすらありませんでした。いえ、こんな日々が永遠に続くと、心のどこかで勝手に思っていたのかもしれません。でも、確かに言われてみれば、この先のことを考えなきゃならないのは必然。勝つにしろ負けるにしろ、私はこんなところで死ぬ予定はありませんから。
「……とりあえず、戦いが終わってから考えてみることにします」
ラウス「そっか……」
「他人の心配をするよりも、まずは己の心配ですよ。ほら、今日は一段と戦火が燃え盛ってますよ」
いよいよ甲板から、ステイネスの街の様子が見えてきました。前回同様、いや、前回以上に酷く煙が上がっています。ラウスたちはこの状況のステイネスは危険だと言いますが、私にはむしろチャンスに見えます。
あれだけ混乱している状況なら、しれっと内部にまで攻め込むのは簡単です。それに、影が大きな組織だというのなら、敵対している勢力は多いはずです。そんな彼らを、丸っと納めることが出来れば、もしかしたら戦力の大幅アップを期待できるかもしれません。敵の敵は味方って言いますからね。
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