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Veritas2章 【運命の欠落点】
Veritas2章3 【欠けた魂】
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エンマ「あ……?」
「ここまでやれと言った覚えはないぞ、エンマ」
左手の次は口が勝手に動いた。私の意思と関係なく、勝手に動いている……。ジーク達のうちの誰か?いや、そんな感じはしない。何なの……これ。
体が勝手に変化していく。結っていたはずの紙紐が解け、銀色の髪に変わりながらふわりと広がる。そして、背中とお尻の方に何となくの違和感を覚えたと同時に羽と尻尾が現れる。その瞬間、私の意識は暗闇に落ち、気がついた時には広い書庫の中にいた。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
エンマ「お前……いや、なんでだ」
「残念じゃが、妾は運命の流れを変えるのが大好きでな。お主に邪魔されるのは気に食わんのじゃよ」
エンマの拳を左手1つで押さえ、そのまま突き飛ばすように投げ飛ばした。
ロングコートを脱ぎ捨て、暑苦しさから開放される。背中明けの下着を身につけるとは、まあこの状況ではありがたい話なんじゃが誰を誘惑するつもりでおったんじゃろうな?
ヴァル「ヒカ……!リ……?」
まあ、多分あの人じゃろうな。
エンマ「ちっ、訳わかんねぇなぁ!」
半分自棄になった拳が迫ってくるが、軽く腕を掴み横に流す。
「咲け、月下の花!」
月下美人の花畑が広がる。お日様が出ているからか、あまり本調子ではないが、まあ十分じゃろう。
花弁から夜月の剣を作り出し、それを持ってしてエンマの心臓を貫く。
「どうせ死にはせん。ただ、しばらくこっちの世界に顔を出すな。分かったな?」
エンマ「ちっ……!……仕方ねぇ」
成仏するかのように光に包まれ、奴は消えていった。
剣を鞘に入れようとしたが、鞘がどこにもなくてそのまま地面に落としてしまった。
「あー、しまったのう」
ーーと思ったら、エンマがさっきまでいた場所に剣と服が置かれていた。気が利くんだったら、ヒカリちゃんを襲うな、バカタレ。
ヴァル「ヒカリ……じゃねぇな?お前」
ヴァルが花畑を踏みながらこちらに駆け寄る。折角の再会だというのに、疑念に満ちた顔を浮かべられるとは、少し悲しい気分になりますね。
まあ、書庫での記憶は消してるし、仕方ないんでしょうけど。
「……会いたかった」
でも、私は自分の感情に素直になり、そのまま抱きついた。そうしたら、ヴァルは訳が分からないという顔をしつつも、優しく受け止めてくれた。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
あまりに突然すぎることがすぐに終わってしまい、なんだかなぁという気分で私達はギルドハウスに戻った。と言っても、そんなに距離は離れなかったけどね。
ヒカリ?「私、ホットミルクで!」
ミラ「あらごめんなさい。今ミルク切らしてるの」
ヒカリ?「じゃあ、しゃあなしでコーヒーでいいですよ。ヴァルにツケといてくださーい」
ミラ「はいはーい」
龍人となったヒカリ?を真正面に据え、私とヴァルが並んでテーブルを囲んで座る。
……いや、久しぶりの視点であれだけど、あれ、ヒカリんじゃないよね?どう見てもヒカリんじゃないよね?
いやいやいや、ワールドメモリーズだったかを使ったヒカリんは、人間らしくない姿になってたわけだし、突然龍みたいな見た目をしててもおかしくないのかな?いや、そんなわけないよね。
(ヴァル、なんかあの子凄いヴァルに懐いてたけど、知り合いか何か?)
ヴァル(そもそもヒカリと過去に出会ったこと自体ねぇよ)
だよね。異世界人なんだから会ったことすらないはずだよね。
何がどうなってんだろ。ヒカリんが実は龍人だった?そして、別の人格を持っていた?って、ことになるのかな?よくわかんにゃい。
「ねえヒカリん……って呼んでいいのかな?」
私はヒカリの開け放たれた背中をつつき、そう尋ねる。
「ひっ!!?」
ーーと、なぜか物凄くビクンと飛び上がり、ヒカリ?が物凄い形相で睨みつけてきた。
ヒカリ?「それやめてくださいって言ったじゃないですか!」
「え、ええ、そんなの初耳だよ……」
まあ、そもそもあなたと会うこと自体始めましてなんですけどね。
ヒカリ?「ああ、そういえばまだそんなこと知りませんでしたね」
意外にすぐ落ち着き、ヒカリ?はミラさんに出されたコーヒーに一口つけて、「不味い」とだけつぶやいてから語りだした。
「初めましてになります。私の名前はネイ。職業神様の、グランメモリーズ名付け親です」
「……はい?」
あちゃ~、また難しい子が来ちゃったかぁ……。いや待って。
「グランメモリーズの名付け親?」
その前になんか大変な肩書を背負ってた気がするけど、私はその部分だけが強く印象に残り、ちょっと尋ねてみた。
ネイ「多分、このギルドの書物を漁ってみたら出てくると思いますよ。初代マスターゼラを筆頭に、始まりの5人が写ってる絵が」
そうなんだ。あとで調べてみよ。
ヴァル「んで、なんでそんな大昔の人間がここにいるんだ?」
ネイ「最もな疑問ですね。過去に一回あーだこーだあったはずなんですけど」
「過去に?」
ネイ「ああ、セリカさん達にとっては、未来の話になりますね」
どうしよう。脳がパンクしそう。未来?過去?時間関係の魔法なんておとぎ話だけの話だと思ってたのに、まさかその手の使い手なの?
今更だけど、ネイはなんだか不思議な見た目をしている。龍人自体珍しいものだが、それ以上に透き通る銀色の髪、右目だけ色のない白眼、そして何より、さっきから言葉にあまり生気を感じないのだ。なんだろう?幽霊?と話をしてるような、そんな不思議な感じがする。
ネイ「訳が分からないって顔をしてますね」
ヴァル「そらそうだろ。俺から見たら、突然ヒカリの姿が変わって変に懐いてくるやべぇ奴って認識だからな」
ネイ「まあ、私自身、こうして出会うつもりはなかったんですけどね。もっと頃合いを図ってから現れる気でいたんですけど、ちょっとヒカリちゃんがピンチだったんで思わず出ちゃいました」
そういや、ネイが出てくる前にもちょろっと変な状態になってた気がするけど、あれの延長戦なのかな?……ごめん、ラナ辺りでも解説しに来てくれない?
セリカ「えっと、じゃあ、ヒカリんは普通にいるの?その、意識の中?に」
ネイ「はい、いますよ。今は意識下で眠ってもらってますけど」
ヴァル「まあ、ヒカリがいるなら問題はねえ……のか?」
ヴァルが確認するようにこちらを見てくるけど、私がどうこう答えられる問題じゃないのよ。ってか、しれっと流してたけど、ミラさん何1つ動揺してなかったよね!?
ネイ「まあ、ともかく、私はヒカリちゃんの中でその時を待ってたもう1つの人格であり、予定より少し早くなったけどあなた達の前に現れた。そういうことで手を打ってください」
ヴァル「……まあ、この辺の話はフウロ達に任せるか」
「それが1番っぽいね」
今回ばかりはヴァルに賛成かな?私達じゃとても理解できる話じゃないよ。
後でミラさんに書庫の場所教えてもらおっと。
ヴァル「それはそうと、ネイ」
ネイ「はい、なんでしょう?」
ヴァル「お前、俺とどっかで会ったことがあるか?」
ついさっき自分で否定してたはずのことなのに、何か引っかかるものでもあったのだろうか?
ネイ「ふふ」
ネイは悪戯っぽく微笑み、ヴァルの耳元に唇を合わせるようにしてこう言った。
ネイ「私の魂は常に欠けています。銀の髪は元々黄金色に輝いていたはずが、その色を失い、右の瞳は映すはずのものを映せなくなっている。体はヒカリちゃんと共有していても、その魂の本質はまるで違う。その欠けた部分を埋めてくれるのがあなたという英雄であることを期待しています。ヴァル……」
そう言い終えたネイは、唇をそのままヴァルの口元に移し、悪戯っぽい笑みを浮かべたまま、見てるだけで恥ずかしくなるほどの熱いキスをした。
「って、おいおいおいおい!何感心して見とんじゃ私!」
顔を思いっきりぶるぶると振って意識を現実に引き戻し、ネイとヴァルを引きはがそうとしたが、なんか心が変な感情に支配されて、2人の邪魔をすることを許さなかった。何?この悔しさと納得が入り混じったような変な感じ。
当のヴァルは何をされてるのか分かんないって表情してるし、ネイりんは中々ヴァルを引き剝がそうとしない。どうしようかと悩んでいた時、意外な形でこの甘い雰囲気は終わりを告げた。
「って、何人の体で好きにやってんのよ!」
いきなりネイりんの髪色と瞳の色、そして服装が変わり、ヴァルが突き飛ばされた。
ヴァル「痛って……!」
完全に夢見心地みたいな気分だったんだろうな。完全に不意を突かれたヴァルが頭を擦りながら痛がっている。
この姿、考えるまでもなくヒカリんだね。人格変わると服装まで変わるなんて分かりやすいなあ。ってか、2人共髪と瞳が違うだけで顔立ち一緒なんだね。
ヒカリ「あんたいきなり現れたかと思ったら、その次はキスぅ!?人が寝てると思って好き勝手しないでよ!」
ネイ「いやぁ、ヴァルと出会ったらついそうしたくなっちゃうんですよー。ずーっと寂しかったんですし」
ヒカリ「だからって人の許可なしにキスすんな!一応初めてなのよ!?」
ネイ「いいじゃないですか~、どうせヒカリちゃんもヴァルのこと好きなんですから~」
ヒカリ「ばっっっ、バッカじゃないの!?誰がこんな男好きになるのよ!こんな単細胞で回りのこと見えてなくていっつもいっつも喧嘩してばかりでーー」
うわっ、すげ、何見てんだろ私。すっごいイメージ通りの二重人格者の会話見せられてる。
ヒカリ「お節介で、優しくて、助けてって言ったら絶対に助けてくれて……」
あれ?急にデレ出したなって思ったら、なぜかヒカリんが泣き出した。
ヒカリ「本っ当、バカみたい。なんで、なんであんたがいるのよ……」
ネイ「いない方が都合がよかったですか?ヴァルの相手が自分だけになって、好きにできると思っていました?……それが答えです。ヒカリちゃん、あなたがどれだけ歴史通りの物語を否定しようとも、それを許さない者がいます。私もその1人かもしれません。でも、私は自分に嘘をつきません。あなたが思っている以上に、私は強いってことを知っていたください」
……
……
……
ヴァル「あー、その、なんか落ち着いたか?」
1人相撲みたいなもの結構な時間見せられた後、ようやく2人の入れ替わりが収まった。
ネイ「ヒカリちゃん、ふて寝しちゃいました。少し、強く言い過ぎたかもしれませんね」
ヴァル「まあ、それはいいんだけどよ、お前って結局何なんだ?俺はお前の何なんだ?」
ヴァルがそう問いかけると、ネイりんは真っ黒なアームストッキングで覆われた人差し指をヴァルの唇に当てーー
ネイ「私は神様であり、魔女であり、龍王であり、龍人であり、そして未来人です。この先に起こることを大体知っています。私の欠けた魂はその道中で落としたもの。埋めなおすことができないからあなたに、この隙間を埋めてほしい。難しいことばかり言うようですが、簡単に言うと、私はあなたが好きです。大好きです。ーーそういうことです」
と、優しそうな笑みを浮かべてそう言った。
「ここまでやれと言った覚えはないぞ、エンマ」
左手の次は口が勝手に動いた。私の意思と関係なく、勝手に動いている……。ジーク達のうちの誰か?いや、そんな感じはしない。何なの……これ。
体が勝手に変化していく。結っていたはずの紙紐が解け、銀色の髪に変わりながらふわりと広がる。そして、背中とお尻の方に何となくの違和感を覚えたと同時に羽と尻尾が現れる。その瞬間、私の意識は暗闇に落ち、気がついた時には広い書庫の中にいた。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
エンマ「お前……いや、なんでだ」
「残念じゃが、妾は運命の流れを変えるのが大好きでな。お主に邪魔されるのは気に食わんのじゃよ」
エンマの拳を左手1つで押さえ、そのまま突き飛ばすように投げ飛ばした。
ロングコートを脱ぎ捨て、暑苦しさから開放される。背中明けの下着を身につけるとは、まあこの状況ではありがたい話なんじゃが誰を誘惑するつもりでおったんじゃろうな?
ヴァル「ヒカ……!リ……?」
まあ、多分あの人じゃろうな。
エンマ「ちっ、訳わかんねぇなぁ!」
半分自棄になった拳が迫ってくるが、軽く腕を掴み横に流す。
「咲け、月下の花!」
月下美人の花畑が広がる。お日様が出ているからか、あまり本調子ではないが、まあ十分じゃろう。
花弁から夜月の剣を作り出し、それを持ってしてエンマの心臓を貫く。
「どうせ死にはせん。ただ、しばらくこっちの世界に顔を出すな。分かったな?」
エンマ「ちっ……!……仕方ねぇ」
成仏するかのように光に包まれ、奴は消えていった。
剣を鞘に入れようとしたが、鞘がどこにもなくてそのまま地面に落としてしまった。
「あー、しまったのう」
ーーと思ったら、エンマがさっきまでいた場所に剣と服が置かれていた。気が利くんだったら、ヒカリちゃんを襲うな、バカタレ。
ヴァル「ヒカリ……じゃねぇな?お前」
ヴァルが花畑を踏みながらこちらに駆け寄る。折角の再会だというのに、疑念に満ちた顔を浮かべられるとは、少し悲しい気分になりますね。
まあ、書庫での記憶は消してるし、仕方ないんでしょうけど。
「……会いたかった」
でも、私は自分の感情に素直になり、そのまま抱きついた。そうしたら、ヴァルは訳が分からないという顔をしつつも、優しく受け止めてくれた。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
あまりに突然すぎることがすぐに終わってしまい、なんだかなぁという気分で私達はギルドハウスに戻った。と言っても、そんなに距離は離れなかったけどね。
ヒカリ?「私、ホットミルクで!」
ミラ「あらごめんなさい。今ミルク切らしてるの」
ヒカリ?「じゃあ、しゃあなしでコーヒーでいいですよ。ヴァルにツケといてくださーい」
ミラ「はいはーい」
龍人となったヒカリ?を真正面に据え、私とヴァルが並んでテーブルを囲んで座る。
……いや、久しぶりの視点であれだけど、あれ、ヒカリんじゃないよね?どう見てもヒカリんじゃないよね?
いやいやいや、ワールドメモリーズだったかを使ったヒカリんは、人間らしくない姿になってたわけだし、突然龍みたいな見た目をしててもおかしくないのかな?いや、そんなわけないよね。
(ヴァル、なんかあの子凄いヴァルに懐いてたけど、知り合いか何か?)
ヴァル(そもそもヒカリと過去に出会ったこと自体ねぇよ)
だよね。異世界人なんだから会ったことすらないはずだよね。
何がどうなってんだろ。ヒカリんが実は龍人だった?そして、別の人格を持っていた?って、ことになるのかな?よくわかんにゃい。
「ねえヒカリん……って呼んでいいのかな?」
私はヒカリの開け放たれた背中をつつき、そう尋ねる。
「ひっ!!?」
ーーと、なぜか物凄くビクンと飛び上がり、ヒカリ?が物凄い形相で睨みつけてきた。
ヒカリ?「それやめてくださいって言ったじゃないですか!」
「え、ええ、そんなの初耳だよ……」
まあ、そもそもあなたと会うこと自体始めましてなんですけどね。
ヒカリ?「ああ、そういえばまだそんなこと知りませんでしたね」
意外にすぐ落ち着き、ヒカリ?はミラさんに出されたコーヒーに一口つけて、「不味い」とだけつぶやいてから語りだした。
「初めましてになります。私の名前はネイ。職業神様の、グランメモリーズ名付け親です」
「……はい?」
あちゃ~、また難しい子が来ちゃったかぁ……。いや待って。
「グランメモリーズの名付け親?」
その前になんか大変な肩書を背負ってた気がするけど、私はその部分だけが強く印象に残り、ちょっと尋ねてみた。
ネイ「多分、このギルドの書物を漁ってみたら出てくると思いますよ。初代マスターゼラを筆頭に、始まりの5人が写ってる絵が」
そうなんだ。あとで調べてみよ。
ヴァル「んで、なんでそんな大昔の人間がここにいるんだ?」
ネイ「最もな疑問ですね。過去に一回あーだこーだあったはずなんですけど」
「過去に?」
ネイ「ああ、セリカさん達にとっては、未来の話になりますね」
どうしよう。脳がパンクしそう。未来?過去?時間関係の魔法なんておとぎ話だけの話だと思ってたのに、まさかその手の使い手なの?
今更だけど、ネイはなんだか不思議な見た目をしている。龍人自体珍しいものだが、それ以上に透き通る銀色の髪、右目だけ色のない白眼、そして何より、さっきから言葉にあまり生気を感じないのだ。なんだろう?幽霊?と話をしてるような、そんな不思議な感じがする。
ネイ「訳が分からないって顔をしてますね」
ヴァル「そらそうだろ。俺から見たら、突然ヒカリの姿が変わって変に懐いてくるやべぇ奴って認識だからな」
ネイ「まあ、私自身、こうして出会うつもりはなかったんですけどね。もっと頃合いを図ってから現れる気でいたんですけど、ちょっとヒカリちゃんがピンチだったんで思わず出ちゃいました」
そういや、ネイが出てくる前にもちょろっと変な状態になってた気がするけど、あれの延長戦なのかな?……ごめん、ラナ辺りでも解説しに来てくれない?
セリカ「えっと、じゃあ、ヒカリんは普通にいるの?その、意識の中?に」
ネイ「はい、いますよ。今は意識下で眠ってもらってますけど」
ヴァル「まあ、ヒカリがいるなら問題はねえ……のか?」
ヴァルが確認するようにこちらを見てくるけど、私がどうこう答えられる問題じゃないのよ。ってか、しれっと流してたけど、ミラさん何1つ動揺してなかったよね!?
ネイ「まあ、ともかく、私はヒカリちゃんの中でその時を待ってたもう1つの人格であり、予定より少し早くなったけどあなた達の前に現れた。そういうことで手を打ってください」
ヴァル「……まあ、この辺の話はフウロ達に任せるか」
「それが1番っぽいね」
今回ばかりはヴァルに賛成かな?私達じゃとても理解できる話じゃないよ。
後でミラさんに書庫の場所教えてもらおっと。
ヴァル「それはそうと、ネイ」
ネイ「はい、なんでしょう?」
ヴァル「お前、俺とどっかで会ったことがあるか?」
ついさっき自分で否定してたはずのことなのに、何か引っかかるものでもあったのだろうか?
ネイ「ふふ」
ネイは悪戯っぽく微笑み、ヴァルの耳元に唇を合わせるようにしてこう言った。
ネイ「私の魂は常に欠けています。銀の髪は元々黄金色に輝いていたはずが、その色を失い、右の瞳は映すはずのものを映せなくなっている。体はヒカリちゃんと共有していても、その魂の本質はまるで違う。その欠けた部分を埋めてくれるのがあなたという英雄であることを期待しています。ヴァル……」
そう言い終えたネイは、唇をそのままヴァルの口元に移し、悪戯っぽい笑みを浮かべたまま、見てるだけで恥ずかしくなるほどの熱いキスをした。
「って、おいおいおいおい!何感心して見とんじゃ私!」
顔を思いっきりぶるぶると振って意識を現実に引き戻し、ネイとヴァルを引きはがそうとしたが、なんか心が変な感情に支配されて、2人の邪魔をすることを許さなかった。何?この悔しさと納得が入り混じったような変な感じ。
当のヴァルは何をされてるのか分かんないって表情してるし、ネイりんは中々ヴァルを引き剝がそうとしない。どうしようかと悩んでいた時、意外な形でこの甘い雰囲気は終わりを告げた。
「って、何人の体で好きにやってんのよ!」
いきなりネイりんの髪色と瞳の色、そして服装が変わり、ヴァルが突き飛ばされた。
ヴァル「痛って……!」
完全に夢見心地みたいな気分だったんだろうな。完全に不意を突かれたヴァルが頭を擦りながら痛がっている。
この姿、考えるまでもなくヒカリんだね。人格変わると服装まで変わるなんて分かりやすいなあ。ってか、2人共髪と瞳が違うだけで顔立ち一緒なんだね。
ヒカリ「あんたいきなり現れたかと思ったら、その次はキスぅ!?人が寝てると思って好き勝手しないでよ!」
ネイ「いやぁ、ヴァルと出会ったらついそうしたくなっちゃうんですよー。ずーっと寂しかったんですし」
ヒカリ「だからって人の許可なしにキスすんな!一応初めてなのよ!?」
ネイ「いいじゃないですか~、どうせヒカリちゃんもヴァルのこと好きなんですから~」
ヒカリ「ばっっっ、バッカじゃないの!?誰がこんな男好きになるのよ!こんな単細胞で回りのこと見えてなくていっつもいっつも喧嘩してばかりでーー」
うわっ、すげ、何見てんだろ私。すっごいイメージ通りの二重人格者の会話見せられてる。
ヒカリ「お節介で、優しくて、助けてって言ったら絶対に助けてくれて……」
あれ?急にデレ出したなって思ったら、なぜかヒカリんが泣き出した。
ヒカリ「本っ当、バカみたい。なんで、なんであんたがいるのよ……」
ネイ「いない方が都合がよかったですか?ヴァルの相手が自分だけになって、好きにできると思っていました?……それが答えです。ヒカリちゃん、あなたがどれだけ歴史通りの物語を否定しようとも、それを許さない者がいます。私もその1人かもしれません。でも、私は自分に嘘をつきません。あなたが思っている以上に、私は強いってことを知っていたください」
……
……
……
ヴァル「あー、その、なんか落ち着いたか?」
1人相撲みたいなもの結構な時間見せられた後、ようやく2人の入れ替わりが収まった。
ネイ「ヒカリちゃん、ふて寝しちゃいました。少し、強く言い過ぎたかもしれませんね」
ヴァル「まあ、それはいいんだけどよ、お前って結局何なんだ?俺はお前の何なんだ?」
ヴァルがそう問いかけると、ネイりんは真っ黒なアームストッキングで覆われた人差し指をヴァルの唇に当てーー
ネイ「私は神様であり、魔女であり、龍王であり、龍人であり、そして未来人です。この先に起こることを大体知っています。私の欠けた魂はその道中で落としたもの。埋めなおすことができないからあなたに、この隙間を埋めてほしい。難しいことばかり言うようですが、簡単に言うと、私はあなたが好きです。大好きです。ーーそういうことです」
と、優しそうな笑みを浮かべてそう言った。
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