グランストリアMaledictio

ミナセ ヒカリ

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Veritas3章 【運命の分岐点】

Veritas3章2 【心が渇く】

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 ーーそれから何だかんだで大体1週間後。

「はぁ。いくらなんでも番狂わせすぎるでしょ……」

ネイ「それは未来を知ってる私達からすればの展開ですけどね~」

「……はぁ」

 大会の予選は、まあ、知ってたというかなんというか凄く余裕を残して突破した。私がいようがいまいがどうせ突破することに変わりはないんだけど、やっぱり現場指揮官ってのがいると効率が違うのよねっていうのを身をもって実感した。そして、Bチームの方はというと、まさかの予選敗退。我らがグランメモリーズは他ギルドと同じように1チームだけでの出場となりました。

「……いや、流石にここは変えちゃいけないでしょ」

ネイ「でもヴェリアは来てないですね~。これくらいの変更なら許されるってことでしょうか?」

「知らないわよ、そんなの。ってか、あんたこうなること分かってたわけ?」

ネイ「さぁ?」

 意味深な笑みだけ浮かべ、ネイはギルド観覧席から立ち去ってしまった。史実通りに王国騎士団にでも捕まりに行くつもりなのかしら?そうなったら助けるのも面倒だから放置するけど。

 グランアランドラルフ本戦。参戦ギルドはグランメモリーズ、コールドミラー、ダークソウル、マジックアルケミスト、ハイドロオーシャンズ、トゥインクルアスタロト、シェミスターライトと、ここまでは史実通り。そして、今回グランメモリーズBが出なくなった代わりに現れたギルドが『レイレヴ』。

 メンバーはアラジ、アニラ、アンユ、モモカの4人と、予選の時から今行われている本戦まで一切姿を見せない最後の1人がいるだけ。観覧席には誰もいないし、ギルドマスターの姿すらもない。正に正体不明のギルド。ネイは大して気にしてないっぽいけど、明らかにおかしな改編要素。

「って言っても、戦ってるのを見てる限りは極々普通のギルドってわけだしねぇ……」

 今はトゥインクルアスタロト、ソアラvsアンユの試合。ダークソウルみたいに黒魔法を使うわけでもなく、かといってバカみたいに強いわけでもない。何というか、良く言えば安定した戦い方、悪く言えば特徴の無い戦い方。っていうのが、アンユ含めレイレヴ全員に言えること。

ソアラ「あーもー、お前めんどくせー!さっさとやられろゴルァ!」

アンユ「……」

 様々な武器を用いた多彩な戦い方をするソアラ。直感で動いているように見えるが、多分あれでいて結構考えながら戦っている方。効かないと分かればすぐに別の武器へと持ち替え、常に自分のペースを保ちながら戦う。しかし、アンユの方はほぼ変わらない星属性の魔法を使いながらソアラの攻撃を弾くだけ。それも、ソアラが攻撃してくる時にしか魔法を使わず、それ以外の時は何もしないという、まるで単純な命令しか打ち込まれていない機械そのもの。見てて退屈ね。

ソアラ「ぜ、ぜぇ……!お、お前少しは真面目に戦えコノヤロー!」

アンユ「……」

ソアラ「こ、こんのぉ!!」

 ……ダメね。これ、ソアラが先に体力尽きてやられちゃうわ。意味合いはちょっと違うけど、戦わずして勝つみたいなことをしたわね。

ソアラ「こ、このぉ……!……ぉ……」

 バタ……

 あ、倒れた。試合時間約30分。常に魔法を使ってたと考えると、まあ頑張った方ね。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 何度も繰り返す度に歴史は変わり、思い描いていた姿とは別の姿を描いていく。その度に調整、調整と、なるべく変わらないように、それでいて変えた方がいいところは変えてを繰り返して早何回目でしょうか?

エンマ「なぁ、お嬢様。お前、一体何考えてんだ?」

 人通りの少ない会場外周。薄暗くて特に人目の無い場所。わざわざこんなところに来てまで出会ってしまうとは。いやはや、精霊界の考えることは分かりませんね~。

「私はこの繰り返しを続ける世界を終わらせる。それも、みんなが笑顔で終われる世界として」

エンマ「大層ご立派な理想なのはご自由にだが、俺が聞きてぇのはそういうことじゃねぇ」

「……?」

エンマ「ちっ、勘は鈍いみてぇだな」

「言われなきゃ分からないこともありますので」

エンマ「……お前、今何回目だ」

「……」

エンマ「黙ってても分からねぇ。それこそ言われなきゃ分からねぇだ。答えろ。お前今何回目だ」

「……さぁ?」

エンマ「誤魔化そうったってそうはいかねぇぞ!」

 途端に血相を変え、胸倉を掴んでくる。しかし、その手はなぜか震えている。否、なぜなのかぐらいは分かっている。今分からないのは、なぜこのタイミングでそのことを聞き出そうとしてくるのかくらいだろうか。否、それすらも分かっている。人も精霊も行動原理なんてそれぞれだが、何度も繰り返せばある程度のパターンが見えてくる。今回もそのパターンの1つに過ぎない。

エンマ「その見透かしたような瞳、その何でも知ってるって態度、その物事を淡々と語るだけの口。何もかもが気に食わねぇなぁ?」

「あなたはあなたで随分と感情的ですね。物事は楽しければいいっていうのがあなたでしたのに」

エンマ「分かったような口聞いてんじゃねぇぞ?俺だって色々と考えてんだ。……お前とやり合う気はねぇ。やってもどうせ俺が負けるだけだ」

「よく分かってるじゃないですか。なら、これ以上の質問は無しにしてさっさと精霊界にお帰りください。あ、ついでに精霊王の方にも挨拶しといてください」

エンマ「誰が言ってやるかよ。ったく……」

 しばらくエンマはこちらを睨み続けていたが、やがて諦めたようにくるりと背を向けて立ち去ろうとした。ただその前にーー

エンマ「そういやお前、あと何日だ?」

「日ってほどじゃありません。あともう少しくらいありす」

エンマ「……俺は忠告してんだからな」

「はいはい。ぶっきらぼうな気遣いご苦労様です」

エンマ「……」

 さてと、エンマは渋々納得してくれたみたいですし、次はーー

「そろそろ出てきてもいいかな?」

「どうぞどうぞ。あなたも大切な協力者。むしろもっと早くに出てきてくれれば良かったのに」

 私の影から形を生成し、後ろに現れたのはヒカリ。あ、ヒカリちゃんの方じゃなくて、彼女の先生であるヒカリ。

ヒカリ「君も苦労するね。私だったらあんな野蛮な生徒にはグーで教えてあげるよ」

「それヒカリちゃんにもやってたんですか……」

ヒカリ「さあて。さて、いくら人通りは無いと言えど、話は手短に済ませた方が嬉しいでしょうね」

「……」

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 ーーそんなこんなで5日後。

 本日はグランアランドラルフ6日目。史実通りにタッグマッチを行う流れとなり、対戦カードもこれまた史実通りにグランメモリーズvsコールドミラーとなりました。そして、ダークソウルは史実通りに捕まり、セリカがボコボコにされたのを機に危うくギルド同士の闘争へ。まあここも史実通りなわけで、ここから先がなぜか謎多きギルドだったレイレヴが急遽全員失踪してしまうという事件が起きましたとさ。そのおかげで変わりかけた歴史はすっかりと元通り。最終的に6チームで迎える6日目。うーん、やっぱり歴史の矯正力ってのは凄まじいもんですね~。

ヒカリ「って何ダイジェストで全部済ませてんのよ!」

「あだっ!」

 人が気持ちよくこれまでのあらすじをやってたらいきなり引っぱたかれました。ぴえん。

ヒカリ「何がぴえんよ。3章始まって2話目なのに何もうクライマックスに突入しようとしてんのよ。おかしいでしょ。戦闘シーンろくにないじゃない!」

「ソアラとアンユが戦ってたあれで勘弁してください」

ヒカリ「あんなの戦闘シーンなんて言わないわよ!ただのダイジェストでしょうが!」

 ーーとまあ、うるさい外野は置いといて、現在の成績表。

 1位:コールドミラー。
 2位:ハイドロオーシャンズ。
 3位:マジックアルケミスト。
 4位:グランメモリーズ。
 5位:トゥインクルアスタロト。
 6位:シェミスターライト。

 と、まあまあ無難な結果に落ち着いています。うーん、コールドミラーやっぱり強いですね~。まあ、その強さ絶対主義のギルドをこれからぶちのめしに行くわけですけども。

ヒカリ「で、本当に私達でいいの?」

「何がです?」

ヒカリ「いやだから、本来ならヴァルとあんたが出る試合でしょうが。いいの?ただでさえヴェリアを呼びやすい私なのに」

「いいんですいいんです。どうせ行動パターンなんて限られてますし」

ヒカリ「……まああんたが言うなら信じるわよ。足引っ張るんじゃないわよ」

「分かってます」

 静かな通路を歩く。その先を抜ければ大きな光と、大きなブーイングに包まれる会場がある。ブーイングの原因は主に私。まぁ今回見た目を隠すことなくありのままの姿で来ちゃいましたからね。

ヒカリ「あーもう!うるさいわね。やっぱ隠してた方がいいでしょそれ」

「えー、めんどくさいです」

ヒカリ「この完全アウェーな空気になる方がめんどくさいわよ!」

「まあまあ、全部私1人でやりますからヒカリちゃんは寝ててもいいですよ~」

ヒカリ「……暴走しないようにね」

「……ええ」

 ヒカリちゃんが立った場所より少しだけ前に出て、じっくりと観察するように相手を見る。相手はリアムとレイヴン。例え何回繰り返そうと変わらない組み合わせ。

 1回ボコボコにしてやればあっさりと改心し始めるほどの奴らですが、ボコボコにしすぎるとかえって逆恨みされてしまって成長に繋がらないこともありましたし、程々にしなくては。

リアム「さてさて、どこの田舎者ギルドかは知らねぇが、調子に乗ったことを後悔させてやんぜ!」

レイヴン「恥晒しを防ぐために休場するかと思ったがな」

 相も変わらずペラペラとよく舌が回りますね~。

ヒカリ「……ねぇ、あいつら私がやっていい?」

「ダメですよ~。ヒカリちゃんやりすぎちゃうんですから~」

ヒカリ「あんたほどじゃないでしょうが。……私のイライラが溜まんないうちに早くね」

リアム「グチグチうるせぇよ!来いよ猿にクソ龍人共!俺らがぼーー」

「グチグチうるさいです!クソ猿共!」

 ちょっとうるさかったのとデジャヴ感じたので早速なぎ払い攻撃。からの強欲の杯で武器を大量召喚し一気に射出。それからついでにゼラ式強欲の杯も発動して魔法陣を展開。

ヒカリ「やりすぎでしょ……」

「そうですかね。これくらいでやられる相手じゃないんですけど」

リアム「……っ、クソが……!」

ヒカリ「意外とタフね」

「仮にも現王国最強ギルドですからね。これくらいやってもらわないと困りますよ。……最後の戦いのためにも」

レイヴン「……怨龍の咆哮!」

 おっと、何も言わずに反撃ですか。まあ、レイヴンの方は口数少ないですしそうでしょうね。でも残念。攻撃が遅い。遅すぎる。そんなんじゃ私には届かない。

「咆哮ってのはこう使うんです。邪龍の咆哮」

 人差し指を唇に触れさせ、そっと一息つく。すると、後ろから邪龍の幻影が現れ、レイヴンの細い咆哮など比にならないほどの範囲と威力をもってしてレイヴン達に襲いかかる。

「強さだけじゃ勝てない相手もいる……って伝えようと思ったんですけど、こればっかりは強さの差がありすぎましたかね」

ヒカリ「バカじゃないの?どの道やりすぎになっちゃったじゃない」

「私が強すぎましたね!」

ヒカリ「調子に乗ってんじゃないわよ!……はぁ」

 リアムとレイヴンは2人揃って倒れたまま。そして会場はあまりの事態に静寂を守っている。本当にやりすぎちゃいましたけど、これくらいでへこたれるような人達じゃありませんし、後は彼らの自主的な成長を願うだけです。

 さてと、後は……

「………………」

 あ……

ヒカリ「……ネイ?」

 心……が、疼く……。心が……渇く……。

「……………………」

 ……

 …………

 ………………
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