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Veritas3章 【運命の分岐点】
Veritas3章9 【掴めなかったVeritas】
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ミラ「えーっと、サテラさんは自称美少女魔法探偵の旅人さんで、ある日亡くなったお母さんの形見であるネックレスを失くしたことの気付いた。恐らくグランアーク南部に視察に向かっていた時のことと思われるけど、どこで失くしたかは分からない、と。そういうことでいいかしら?」
サテラ「あ、はい。概ねその通りです」
グリード「美少女魔法探偵なァ。ハッ」
サテラ「そこ!人の肩書きを鼻で笑わない!」
逆にそれ聞いて笑わない方が無理あるでしょ。何よ美少女魔法探偵って。自分で自分のことを美少女って言える精神どうなってんのよ。……あれ?なんか私の胸にズキズキとした感じが……。
ーーギルドに訪れた天翼の少女・サテラの話は、今ミラさんがまとめたように落とし物を探してほしいという実にシンプルかつ分かりやすい依頼内容。場所さえ気にしなければどうということもない依頼なのだが、その場所がグランアーク南部というそこそこ離れた場所。たかが落し物1つで南部にまで探しに行くってなると、ちょっと敬遠したくなる案件よね。
ヴェルド「探偵って言うくらいなら、自分の落し物くらい自分で見つけられるだろ」
サテラ「む、探偵だって忙しいんです!私だってあなた達には分からないような仕事をたくさん抱えてるんですよ!だからこんなところで足踏みしてる暇はないんです!」
どの道探しに行く手間と時間考えたら足踏みすることになるわよ。
サテラ「あと、最近南部の方はなんか物騒な話をよく聞くじゃないですか!変な煙の化け物が出ただの、人が攫われただの、突然襲いかかってきただのネガティブな話しか聞きませんよ!」
グリード「それで一緒に探せって言うボディガードの話に繋がるわけかァ。美少女魔法探偵さんw」
サテラ「そうです!そしてその肩書きにいつまでもニヤニヤしない!」
フウロ「……受けてやってもいい。むしろ、私達も南部のクロロルの街に向かうつもりだった。そのついでということにはなるが、それでもいいのなら引き受けよう」
ーーと、ここは流石フウロ。美少女魔法探偵の肩書きをいじることなく、ちゃんと依頼人に失礼のない態度でそう言った。……いや、なんか口の端上がってるわね。必死で笑いこらえてる感じするわね。
サテラ「お願いします!」
ただ、当然のことだがサテラはそんなこと気にせず、フウロからの提案を受け入れた。
そうなると、クロロル行きは6人か。アリスが暴れた時の人質にされなきゃいいけど。
ヴェルド「ん?フウロ。お前クロロルに行くのか?」
フウロ「ああ。ヒカリからの頼みでな。消えたネイの存在を探しにクロロルへ向かう。メンバーは私とヴァルとグリード。そしてヒカリとお前達に任せるわけにもいかないアリスだ」
セリカ「アリス?」
フウロ「アポカリプスを略してアリスだ。ヒカリが命名した」
アルテミス「なんか、世界を滅ぼす龍から一気に可愛げのある名前になったね……」
「見た目は厳つい青年のままだけどね」
今は地下牢に繋げたままだけど、あれも一瞬とはいえ外さなきゃなんないのよね。はぁー、ネイが消えさえしなけりゃこんなことせずに済んだってのに。
サテラ「アポカリプス……もしや、先日王都を襲撃したというあのドラゴン!?今ここにいるんですか!?」
ーーただ、サテラはそのアリスに対して興味津々といった具合に身を乗り出して目を輝かせる。ちょっと余計な情報与えたかもしれない。
サテラ「いるなら是非とも観察させてほしいんですけど!」
グリード「世の中変な奴もいるもんだなァ」
サテラ「世の中の全ては謎に包まれてるんですよ!?その謎の1つ、太古より存在する破壊の龍がいるって胸が踊るじゃないですか!」
「「「 …… 」」」
まあ、見るだけなら特に問題は無いと思って、私はサテラにアリスがいる場所を案内した。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
サテラ「ほうほう、これがあの世界を破壊するとまで言わしめたアポカリプスの成れの果てですか……。威厳ある龍も、こう柱に括り付けられてアリスなんて可愛らしい名前付けられたら、威厳もクソもないですね!」
アリス「おいなんだこの女は。俺をおちょくってるのか?あぁ?」
流石のアリスでも、流石にサテラの態度にはイライラを顕にしてしまうようだ。ただそれは、言い返せば頭に血が上っている状態であり、例えこんな姿でもその血が吹き出してしまったら誰にも止められなくなる。あまり、おちょくってあげないでほしいのだけれど。
サテラ「あーあー、別に私、あなたをおちょくってるわけではありません!ただ、伝説の龍がこうも哀れな姿をしてるとなぁって思うと……」
アリス「哀れんでんじゃねぇよ。お前ら人間に同情されるほど俺は落ちちゃいない。……おいヒカリと言ったな。あの邪龍がいない今だ。しっかり見張ってねぇと暴れ出すからな」
サテラ「はいはい。何も出来ないんですからそんな脅しも意味ありませんって」
アリス「お前に行ってねぇよ!」
……アリスのことはサテラにでも任せようかしら?適度にあしらってくれるし、今のところ本当に脅しだけだから特に怖くもないし。
ーーしっかり見張ってないと……か。
(しばらく逃げるつもりは無いと見ていいのかしらね)
ネイがいないことはこいつも分かってるはず。抑えられる戦力がろくに無いことも分かってるのに、なぜアリスは大人しくお縄に着いているのか。やはり、弱体化が相当痛いのだろうか。それともただ単に機会を伺ってるだけなのか。
「まあ、どの道今のあんたじゃ逃げ出したところで行く宛て無いもんね」
サテラ「ひとりぼっちの可哀想なドラゴンさんですね~。よしよし、私が友達になってあげます!」
アリス「お前ら……」
「サテラ。悪いけどアリスの面倒はあんたに任せるわ」
サテラ「ええ!?私!?依頼人の私にこんな危険人物を!?バカじゃないんですか!?」
その言い分はご最もなこと。だけどねーー
「現状のアリスはそんなに強くない。むしろ普通の人間レベルまで落ちてると見える。なら、適当にあしらってあげられるあんたが適任よ」
ーーと言うのは単なる適当な言い分で、実際はただネイ探しに注力するためにこのめんどくさいコンビをくっ付けておきたいだけだ。この2人だったらどこに行こうが目立つでしょうし、何となくだけどサテラと一緒にしておけばアリスが暴れる危険性は無いと見る。……何でかしらね?
サテラ「うーん、この厳ついオジサンとですかー。隙見て襲わないでくださいよー」
アリス「誰がお前みたいな奴殺すかよ。……俺が殺すのは龍だけだ。それ以外の奴に興味は無い」
「……」
龍だけ……ねぇ……。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ーー翌日。
サテラ「よーし!それじゃあしゅっぱーーつ!!」
サテラの場違いな程に元気な声を合図に、名も無きおっちゃんが鞭を打ち馬車がゆっくりと走り出す。
ーー昨晩、そういえばと書庫に入ろうとしてみたけど、ネイが行方不明になったことがキッカケになっていたのか、書庫に入ることは出来なかった。じゃあラナはどこに行ったのかが気になるところだけど、あれはあれで別の書庫を持ってるっぽいし、多分どっかにいるんでしょうね。
「ヴァル、大丈夫?」
ふと、昨日までと同様に頭……と口を押さえるヴァルが目に入り、声をかけてみる。
ヴァル「あ、あぁ……だいじおぇ……」
ーーそういや、まだこの段階だと乗り物酔い克服できてないんだっけ?つい未来思考で考えちゃうのは悪い癖ね。
アリス「ハッ。乗り物酔いでダウンか。情けねぇ魔導士もいたもんだな」
グリード「アリスなんて名前付けられる情けねぇ龍もいるけどなァ」
アリス「あ?」
サテラ「まあまあ皆さん喧嘩はやめましょうよー!折角苦楽を共にするなかおぇぇぇぇぇ!!」
「「「 ぎゃぁぁぁぁぁぁ!! 」」」
吐いた!こいつ何の予備動作もなく吐きやがった!しかも外じゃなくてこのクソ狭い荷台の中に堂々と吐きやがった!
サテラ「す、ずびばぜん……我慢してた……んですけど……」
「ちょ、あんたまた吐くつもりでしょ!外!外向きなさい!」
慌ててサテラを後ろの方に向かわせたものの、そのほんのちょっとした動作が引き金になってしまったのか、またこの車内に以下省略。
ーーとんでもない旅が始まりそうね、とこの時の私は半ば呆れ気味に考えていた。
まさか、この旅がこの出会いが、私達の未来を思わぬ方向に進めるだなんて、この時の私は知る由もなかった。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
……
…………
………………
…… …… ……
ログ000《時の縁を辿る螺旋》
ログ001《必死に抗う少年少女達》
ログ010《例えそれが誰かの手のひらの上だとしても》
ログ011《例えその物語に救いが無いのだとしても》
ログ100《それでも救いを求めることに意味はあるのでしょうか》
ログ101《終わりの訪れない物語に意義は無い》
ログ110《物語の"真実"を求めて終わりに向かうのか》
ログ111《"呪われた"物語に抗うために終わりへ向かうのか》
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ーー西暦2024年。東京都渋谷区とある医院の個室。
「はぁ、全く……。教授達も面倒なものだよ。そんなに世の中は成果主義で進まなくちゃならないのかねぇ。僕はもっとゆっくり、確実に新たな進化を待つってことが出来ないのかな」
男は、病院と言うにはあまりにも機材が散乱としている一室にて、愚痴を吐きつつ冷めたコーヒーを口に含む。
「僕だってやるべき事はちゃんとやってるっていうのに、どうしてそうも焦るものか……。……時間が無いんだろうねぇ。そりゃもう6、70代だ。命には必ず終わりが来る。その終わりが刻一刻と迫っているってなれば、そりゃ焦るだろう。……どうして、人ってのは最終的に不老不死を目指すんだろうねぇ。大人しく隠居してればいいんだよ、あんな老害共」
男は口悪く不満を述べた後、部屋の隅に置かれたベッドに近寄り、そこに眠る少女の頬を撫でる。
「君は、僕みたいな大人にならないでほしいけれど、こんな声届きはしないか。……それにしても、家族と切り離され、老害の欲望のためだけに実験体にされる君を、僕はどうして哀れんでしまうのだろう。僕もその実験に加担している人間。君を苦しめている側の人間だと言うのに、なぜ僕は君を哀れむ?」
男は眠る少女に問いかける。しかし、答えが返ってくるはずはない。その少女は眠っている。男の声は届かない。届くはずがない。
「……なんて、君に聞いても答えてくれるわけがないか。……それでも僕のエゴのために聞いてほしいが、本当、すまないと思うよ。君をこんな体にし、実験のために精神体を苦しめている。他の奴らには任せられないからこうして僕1人が管理する形にしてるけど、こんな男に意識が無い体を毎日検査されるなんて耐えられないだろう。まあ、それは事実を知っていればの話だけども」
男は悩む。
果たして、自分は何のためにこんな事をしているのか。果たして、自分は何を思ってこんな事を始めたのか。果たして、この実験に意義はあるのか、と。
「……それでも、僕は実験を続けている。1つは純粋な興味心から。そしてもう1つは…………"救い"のためだ」
「僕はこの世界に救いをもたらす」
「全ての人に、君に、救いを、この世界に救いをもたらす。僕は神になりたいのかもしれない。神になって、みんなを救いたいのかもしれない。いや、救いたいんだ」
……
「だから……、君は安心して救われるといい」
ーーこれは、ある男が画策した救いの物語。
その救いは、この世界にとっての"真実"か、それとも"呪い"か。
ーー眠る少女の腕。そこに巻き付けられているネームタグには『月ノ瀬ヒカリ』と刻まれていた。
サテラ「あ、はい。概ねその通りです」
グリード「美少女魔法探偵なァ。ハッ」
サテラ「そこ!人の肩書きを鼻で笑わない!」
逆にそれ聞いて笑わない方が無理あるでしょ。何よ美少女魔法探偵って。自分で自分のことを美少女って言える精神どうなってんのよ。……あれ?なんか私の胸にズキズキとした感じが……。
ーーギルドに訪れた天翼の少女・サテラの話は、今ミラさんがまとめたように落とし物を探してほしいという実にシンプルかつ分かりやすい依頼内容。場所さえ気にしなければどうということもない依頼なのだが、その場所がグランアーク南部というそこそこ離れた場所。たかが落し物1つで南部にまで探しに行くってなると、ちょっと敬遠したくなる案件よね。
ヴェルド「探偵って言うくらいなら、自分の落し物くらい自分で見つけられるだろ」
サテラ「む、探偵だって忙しいんです!私だってあなた達には分からないような仕事をたくさん抱えてるんですよ!だからこんなところで足踏みしてる暇はないんです!」
どの道探しに行く手間と時間考えたら足踏みすることになるわよ。
サテラ「あと、最近南部の方はなんか物騒な話をよく聞くじゃないですか!変な煙の化け物が出ただの、人が攫われただの、突然襲いかかってきただのネガティブな話しか聞きませんよ!」
グリード「それで一緒に探せって言うボディガードの話に繋がるわけかァ。美少女魔法探偵さんw」
サテラ「そうです!そしてその肩書きにいつまでもニヤニヤしない!」
フウロ「……受けてやってもいい。むしろ、私達も南部のクロロルの街に向かうつもりだった。そのついでということにはなるが、それでもいいのなら引き受けよう」
ーーと、ここは流石フウロ。美少女魔法探偵の肩書きをいじることなく、ちゃんと依頼人に失礼のない態度でそう言った。……いや、なんか口の端上がってるわね。必死で笑いこらえてる感じするわね。
サテラ「お願いします!」
ただ、当然のことだがサテラはそんなこと気にせず、フウロからの提案を受け入れた。
そうなると、クロロル行きは6人か。アリスが暴れた時の人質にされなきゃいいけど。
ヴェルド「ん?フウロ。お前クロロルに行くのか?」
フウロ「ああ。ヒカリからの頼みでな。消えたネイの存在を探しにクロロルへ向かう。メンバーは私とヴァルとグリード。そしてヒカリとお前達に任せるわけにもいかないアリスだ」
セリカ「アリス?」
フウロ「アポカリプスを略してアリスだ。ヒカリが命名した」
アルテミス「なんか、世界を滅ぼす龍から一気に可愛げのある名前になったね……」
「見た目は厳つい青年のままだけどね」
今は地下牢に繋げたままだけど、あれも一瞬とはいえ外さなきゃなんないのよね。はぁー、ネイが消えさえしなけりゃこんなことせずに済んだってのに。
サテラ「アポカリプス……もしや、先日王都を襲撃したというあのドラゴン!?今ここにいるんですか!?」
ーーただ、サテラはそのアリスに対して興味津々といった具合に身を乗り出して目を輝かせる。ちょっと余計な情報与えたかもしれない。
サテラ「いるなら是非とも観察させてほしいんですけど!」
グリード「世の中変な奴もいるもんだなァ」
サテラ「世の中の全ては謎に包まれてるんですよ!?その謎の1つ、太古より存在する破壊の龍がいるって胸が踊るじゃないですか!」
「「「 …… 」」」
まあ、見るだけなら特に問題は無いと思って、私はサテラにアリスがいる場所を案内した。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
サテラ「ほうほう、これがあの世界を破壊するとまで言わしめたアポカリプスの成れの果てですか……。威厳ある龍も、こう柱に括り付けられてアリスなんて可愛らしい名前付けられたら、威厳もクソもないですね!」
アリス「おいなんだこの女は。俺をおちょくってるのか?あぁ?」
流石のアリスでも、流石にサテラの態度にはイライラを顕にしてしまうようだ。ただそれは、言い返せば頭に血が上っている状態であり、例えこんな姿でもその血が吹き出してしまったら誰にも止められなくなる。あまり、おちょくってあげないでほしいのだけれど。
サテラ「あーあー、別に私、あなたをおちょくってるわけではありません!ただ、伝説の龍がこうも哀れな姿をしてるとなぁって思うと……」
アリス「哀れんでんじゃねぇよ。お前ら人間に同情されるほど俺は落ちちゃいない。……おいヒカリと言ったな。あの邪龍がいない今だ。しっかり見張ってねぇと暴れ出すからな」
サテラ「はいはい。何も出来ないんですからそんな脅しも意味ありませんって」
アリス「お前に行ってねぇよ!」
……アリスのことはサテラにでも任せようかしら?適度にあしらってくれるし、今のところ本当に脅しだけだから特に怖くもないし。
ーーしっかり見張ってないと……か。
(しばらく逃げるつもりは無いと見ていいのかしらね)
ネイがいないことはこいつも分かってるはず。抑えられる戦力がろくに無いことも分かってるのに、なぜアリスは大人しくお縄に着いているのか。やはり、弱体化が相当痛いのだろうか。それともただ単に機会を伺ってるだけなのか。
「まあ、どの道今のあんたじゃ逃げ出したところで行く宛て無いもんね」
サテラ「ひとりぼっちの可哀想なドラゴンさんですね~。よしよし、私が友達になってあげます!」
アリス「お前ら……」
「サテラ。悪いけどアリスの面倒はあんたに任せるわ」
サテラ「ええ!?私!?依頼人の私にこんな危険人物を!?バカじゃないんですか!?」
その言い分はご最もなこと。だけどねーー
「現状のアリスはそんなに強くない。むしろ普通の人間レベルまで落ちてると見える。なら、適当にあしらってあげられるあんたが適任よ」
ーーと言うのは単なる適当な言い分で、実際はただネイ探しに注力するためにこのめんどくさいコンビをくっ付けておきたいだけだ。この2人だったらどこに行こうが目立つでしょうし、何となくだけどサテラと一緒にしておけばアリスが暴れる危険性は無いと見る。……何でかしらね?
サテラ「うーん、この厳ついオジサンとですかー。隙見て襲わないでくださいよー」
アリス「誰がお前みたいな奴殺すかよ。……俺が殺すのは龍だけだ。それ以外の奴に興味は無い」
「……」
龍だけ……ねぇ……。
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ーー翌日。
サテラ「よーし!それじゃあしゅっぱーーつ!!」
サテラの場違いな程に元気な声を合図に、名も無きおっちゃんが鞭を打ち馬車がゆっくりと走り出す。
ーー昨晩、そういえばと書庫に入ろうとしてみたけど、ネイが行方不明になったことがキッカケになっていたのか、書庫に入ることは出来なかった。じゃあラナはどこに行ったのかが気になるところだけど、あれはあれで別の書庫を持ってるっぽいし、多分どっかにいるんでしょうね。
「ヴァル、大丈夫?」
ふと、昨日までと同様に頭……と口を押さえるヴァルが目に入り、声をかけてみる。
ヴァル「あ、あぁ……だいじおぇ……」
ーーそういや、まだこの段階だと乗り物酔い克服できてないんだっけ?つい未来思考で考えちゃうのは悪い癖ね。
アリス「ハッ。乗り物酔いでダウンか。情けねぇ魔導士もいたもんだな」
グリード「アリスなんて名前付けられる情けねぇ龍もいるけどなァ」
アリス「あ?」
サテラ「まあまあ皆さん喧嘩はやめましょうよー!折角苦楽を共にするなかおぇぇぇぇぇ!!」
「「「 ぎゃぁぁぁぁぁぁ!! 」」」
吐いた!こいつ何の予備動作もなく吐きやがった!しかも外じゃなくてこのクソ狭い荷台の中に堂々と吐きやがった!
サテラ「す、ずびばぜん……我慢してた……んですけど……」
「ちょ、あんたまた吐くつもりでしょ!外!外向きなさい!」
慌ててサテラを後ろの方に向かわせたものの、そのほんのちょっとした動作が引き金になってしまったのか、またこの車内に以下省略。
ーーとんでもない旅が始まりそうね、とこの時の私は半ば呆れ気味に考えていた。
まさか、この旅がこの出会いが、私達の未来を思わぬ方向に進めるだなんて、この時の私は知る由もなかった。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
……
…………
………………
…… …… ……
ログ000《時の縁を辿る螺旋》
ログ001《必死に抗う少年少女達》
ログ010《例えそれが誰かの手のひらの上だとしても》
ログ011《例えその物語に救いが無いのだとしても》
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ログ110《物語の"真実"を求めて終わりに向かうのか》
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※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ーー西暦2024年。東京都渋谷区とある医院の個室。
「はぁ、全く……。教授達も面倒なものだよ。そんなに世の中は成果主義で進まなくちゃならないのかねぇ。僕はもっとゆっくり、確実に新たな進化を待つってことが出来ないのかな」
男は、病院と言うにはあまりにも機材が散乱としている一室にて、愚痴を吐きつつ冷めたコーヒーを口に含む。
「僕だってやるべき事はちゃんとやってるっていうのに、どうしてそうも焦るものか……。……時間が無いんだろうねぇ。そりゃもう6、70代だ。命には必ず終わりが来る。その終わりが刻一刻と迫っているってなれば、そりゃ焦るだろう。……どうして、人ってのは最終的に不老不死を目指すんだろうねぇ。大人しく隠居してればいいんだよ、あんな老害共」
男は口悪く不満を述べた後、部屋の隅に置かれたベッドに近寄り、そこに眠る少女の頬を撫でる。
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男は眠る少女に問いかける。しかし、答えが返ってくるはずはない。その少女は眠っている。男の声は届かない。届くはずがない。
「……なんて、君に聞いても答えてくれるわけがないか。……それでも僕のエゴのために聞いてほしいが、本当、すまないと思うよ。君をこんな体にし、実験のために精神体を苦しめている。他の奴らには任せられないからこうして僕1人が管理する形にしてるけど、こんな男に意識が無い体を毎日検査されるなんて耐えられないだろう。まあ、それは事実を知っていればの話だけども」
男は悩む。
果たして、自分は何のためにこんな事をしているのか。果たして、自分は何を思ってこんな事を始めたのか。果たして、この実験に意義はあるのか、と。
「……それでも、僕は実験を続けている。1つは純粋な興味心から。そしてもう1つは…………"救い"のためだ」
「僕はこの世界に救いをもたらす」
「全ての人に、君に、救いを、この世界に救いをもたらす。僕は神になりたいのかもしれない。神になって、みんなを救いたいのかもしれない。いや、救いたいんだ」
……
「だから……、君は安心して救われるといい」
ーーこれは、ある男が画策した救いの物語。
その救いは、この世界にとっての"真実"か、それとも"呪い"か。
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