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第3章 ギルド体験週間編―2日目
ギルド体験週間2日目⑫ 一つの区切り
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無事にゲイリーを連れ戻したルーシッド達は、来た時と同じでフランチェスカが抜け道を作って学院内に戻った。ちょうどその頃、ルーシッドが例の倉庫に仕掛けた花火が打ち上がったこともあり、ルーシッド達が外にいることを気にするものなど誰もいなかった。
「さて、今後のことを少し話そう」
ギルドホームに戻ったマーシャは、全員をねぎらってから、そう話を切り出した。
「ゲイリー君とオリガ君は、今後どうするつもりだ?純血に戻るつもりか?」
「…いえ…もうあのギルドの中に私の居場所はないでしょう…それにもう戻りたいとも思いません…」
「私もゲイリーをこんな目に合わせたギルドには戻りたくないです!」
「そうか、まずは良かった。もし戻ると言えば、こちらとしても、はいそうですか、と返すわけにはいかなかったからね。
では2人に改めて聞こう。君たちの純色以外の魔法使い達に対しての感情は以前と同じか?」
「その…今回の件では本当にご迷惑をおかけしました。そして、本当にありがとうございました。皆さんは命の恩人です。こうしてここにいられるのはみなさんのおかげです。皆さんは…あんな無礼な態度を取っていた私のために戦ってくれた…何とお礼を言ったらいいか…失礼な言動を心から謝ります。私は自分が純色であることを誇りに思っていました…いえ、それは今も変わりありませんが、でも純色以外の魔法使いの人たちを下に見るような考えは間違っていました。魔法使いには純色も混色も関係ありません。すぐに許してくれとは言いませんが、どうかチャンスをください…」
ゲイリーは深々と頭を下げた。
「私もゲイリーと同じ気持ちです。今回の件で自分の無力さを改めて実感しました。そして混色と無色の魔力のすごさ、そして色々な力を持った魔法使いが協力して戦うことの素晴らしさを知りました。色々な能力を持った人がいることでどんな問題にも対処できます。私一人、純色一人ではゲイリーは絶対に助けられませんでした。本当に感謝しています。このご恩は必ず返します。私たちにチャンスを下さい」
オリガも同じように頭を下げる。
「君たちの気持ちは私には十分伝わったよ。みんなはどうだい?」
みんなは優しく微笑んで頷く。
「よろしい。ではゲイリー君、オリガ君。君たちは風紀ギルドに入りたまえ」
「……え…いいんですか?」
「もちろんだとも!もちろん、しっかり筋肉をつけて働いてもらうよ?」
「いや、筋肉は関係ないでしょ…」
フランチェスカが突っ込む。
「まぁ、それはともかく、人は誰でも間違うし失敗もする。あなたたちは十分に反省しているようだから、そのことを責めたりはしないわ。大事なのは失敗から学んで、それをどう行動で示すかよ。自分たちが信頼に足る者だと言うことを私たちに見せて頂戴。期待してるわ」
「ありがとう、フランチェスカ」
「フラニーでいいわ」
フランチェスカは優しく微笑んだ。
「フラニー、今までごめんね。必ず答えるわ」
「さて、後は、今回の件に純血が絡んでいたことを明るみに出せば、純血は解体。純色の魔法使いたちもただでは済まんだろう。これで一件落着だな!」
「あー、そのことなんですが…公表は少し待ってもらえますか?」
ルーシッドはそう言って、クレアから持ち掛けられている、純血のギルド長レイチェルに関する話をした。
「なるほど…そんな話が…」
「どうりでギルド長と副ギルド長に選ばれてから、レイチェルとクレアがあんまり顔を出さないと思ったら、そういうことだったんですね」
オリガが納得したように言った。
「多分、選ばれた時にはすでに、実質的に名前だけの状態で、実験を握ってるのは別の人だったんじゃないですかね?」
「レイチェル…私たちはレイチェルのこと、この学校に入る前から知ってますけど…
確かにこの学校に入る前は、純色の魔法使いたちの意識を変えてやるって意気込んでいました。その頃は、その…私はそういう風には思っていなかったのでよくぶつかり合っていましたけど…
1年の時に純血に入った時もそんな感じでしたけど、確かにレイチェル達が表立って出てこなくなった辺りから、純血の思想も、昔ながらの純色至上主義が色濃く出てきた感じがしますね…もしそうなら…昔のレイチェルに戻って欲しい…私がこんなこと言うのもおこがましいですが…
今となってはレイチェルの言っていたことがよくわかります。私もレイチェル達に協力したいです」
ゲイリーは過去のレイチェルに対する反応に後悔をにじませながらも、しっかりと気持ちは前を向いているようだった。
「でも…ルーシィ、相手はあのレイチェルよ?勝算はあるの?」
ゲイリーのその問いに対して、ルーシッドは答えた。
「勝つこと自体は簡単です」
「……すごい自信だね。歴代最強との呼び声高いレイチェル相手に、勝つのは簡単とは…私には言えないかな」
マーシャは苦笑いする。
「まぁ、火属性相手に勝つのは簡単なんですよ、正直。ただし…観戦している全員がはっきりとわかるような圧倒的な感じで相手を倒すにはどうすれば良いか…そこを悩んでいます」
「相変わらず別次元ね…」
フランチェスカはもはやあきれたように言う。
「まぁ…レイチェルのことはルーシッド君に任せるとしよう。では風紀ギルドとしては、ルーシッド君がレイチェルを倒したタイミングを見計らって、純血を一斉摘発する準備を整えることにしよう!くぅ~…盛り上がってきたなぁ!?」
「ギルド長…不謹慎ですよ…まぁ、ちょっと面白そうではありますが…」
にこにこしながら言うマーシャをたしなめつつも、ちょっとわくわくするフランチェスカだった。
「まぁ、多分、最終日になると思いますけど、明日中にはクレア先輩から連絡が入ると思うので、入り次第伝えますね。それまではくれぐれもこのことは内密にお願いします」
みんなが静かに頷く。
「さて…では今日はもう自室に戻ることにしようか」
マーシャがそう告げる。
「ですね。サリー達には一応伝えてはきましたが、心配してるでしょうし」
「私たちも部屋へ帰ろ?ゲイリー」
「そうね…もうへとへとだわ…」
「そういえばあなたたちって、ほかのパーティーメンバーは誰なの?」
「私たちは2人パーティーですよ?」
フランチェスカの質問にオリガが何の気なく答える。
「いや…パーティーは3人以上っていう決まりでしょ…?」
「あぁ、オルガを入れて3人です」
「いや、オルガは人形じゃない…生徒じゃないでしょ?」
「でも、それで申請したら通ったので…」
「通っちゃうんだ…」
「そういえば、キリィってもう部屋に行ってるんだよね。何かここにいて普通に会話してるから忘れてた」
『そうだよ~。部屋で待ってるよ~今日はもう遅いから、荷物は明日にしようかなー』
キリエは眠そうに答えた。
「あ、そういえばベッド…どうしようかしら…」
ルビアが思い出したように言う。
「あー、そういえば、別室に1個あるんだっけ。誰がそこに寝るかだね」
「えー、そんなのさみしすぎるじゃん。あのベッドもくっつければ4人で寝れるくない?」
「いや…さすがに別の部屋からベッドを移動させるのは無理でしょ…」
フェリカの提案に、ルビアは首を横に振った。
「……さっきフェリカが使ってた『ライド』のルーンって『車輪』だったよね…?」
「「……それだ、さすがルーシィ!!」」
こうして長かったギルド体験週間2日目の夜も更けていく。
ギルド体験週間も折り返し地点、残すところあと2日である。
「さて、今後のことを少し話そう」
ギルドホームに戻ったマーシャは、全員をねぎらってから、そう話を切り出した。
「ゲイリー君とオリガ君は、今後どうするつもりだ?純血に戻るつもりか?」
「…いえ…もうあのギルドの中に私の居場所はないでしょう…それにもう戻りたいとも思いません…」
「私もゲイリーをこんな目に合わせたギルドには戻りたくないです!」
「そうか、まずは良かった。もし戻ると言えば、こちらとしても、はいそうですか、と返すわけにはいかなかったからね。
では2人に改めて聞こう。君たちの純色以外の魔法使い達に対しての感情は以前と同じか?」
「その…今回の件では本当にご迷惑をおかけしました。そして、本当にありがとうございました。皆さんは命の恩人です。こうしてここにいられるのはみなさんのおかげです。皆さんは…あんな無礼な態度を取っていた私のために戦ってくれた…何とお礼を言ったらいいか…失礼な言動を心から謝ります。私は自分が純色であることを誇りに思っていました…いえ、それは今も変わりありませんが、でも純色以外の魔法使いの人たちを下に見るような考えは間違っていました。魔法使いには純色も混色も関係ありません。すぐに許してくれとは言いませんが、どうかチャンスをください…」
ゲイリーは深々と頭を下げた。
「私もゲイリーと同じ気持ちです。今回の件で自分の無力さを改めて実感しました。そして混色と無色の魔力のすごさ、そして色々な力を持った魔法使いが協力して戦うことの素晴らしさを知りました。色々な能力を持った人がいることでどんな問題にも対処できます。私一人、純色一人ではゲイリーは絶対に助けられませんでした。本当に感謝しています。このご恩は必ず返します。私たちにチャンスを下さい」
オリガも同じように頭を下げる。
「君たちの気持ちは私には十分伝わったよ。みんなはどうだい?」
みんなは優しく微笑んで頷く。
「よろしい。ではゲイリー君、オリガ君。君たちは風紀ギルドに入りたまえ」
「……え…いいんですか?」
「もちろんだとも!もちろん、しっかり筋肉をつけて働いてもらうよ?」
「いや、筋肉は関係ないでしょ…」
フランチェスカが突っ込む。
「まぁ、それはともかく、人は誰でも間違うし失敗もする。あなたたちは十分に反省しているようだから、そのことを責めたりはしないわ。大事なのは失敗から学んで、それをどう行動で示すかよ。自分たちが信頼に足る者だと言うことを私たちに見せて頂戴。期待してるわ」
「ありがとう、フランチェスカ」
「フラニーでいいわ」
フランチェスカは優しく微笑んだ。
「フラニー、今までごめんね。必ず答えるわ」
「さて、後は、今回の件に純血が絡んでいたことを明るみに出せば、純血は解体。純色の魔法使いたちもただでは済まんだろう。これで一件落着だな!」
「あー、そのことなんですが…公表は少し待ってもらえますか?」
ルーシッドはそう言って、クレアから持ち掛けられている、純血のギルド長レイチェルに関する話をした。
「なるほど…そんな話が…」
「どうりでギルド長と副ギルド長に選ばれてから、レイチェルとクレアがあんまり顔を出さないと思ったら、そういうことだったんですね」
オリガが納得したように言った。
「多分、選ばれた時にはすでに、実質的に名前だけの状態で、実験を握ってるのは別の人だったんじゃないですかね?」
「レイチェル…私たちはレイチェルのこと、この学校に入る前から知ってますけど…
確かにこの学校に入る前は、純色の魔法使いたちの意識を変えてやるって意気込んでいました。その頃は、その…私はそういう風には思っていなかったのでよくぶつかり合っていましたけど…
1年の時に純血に入った時もそんな感じでしたけど、確かにレイチェル達が表立って出てこなくなった辺りから、純血の思想も、昔ながらの純色至上主義が色濃く出てきた感じがしますね…もしそうなら…昔のレイチェルに戻って欲しい…私がこんなこと言うのもおこがましいですが…
今となってはレイチェルの言っていたことがよくわかります。私もレイチェル達に協力したいです」
ゲイリーは過去のレイチェルに対する反応に後悔をにじませながらも、しっかりと気持ちは前を向いているようだった。
「でも…ルーシィ、相手はあのレイチェルよ?勝算はあるの?」
ゲイリーのその問いに対して、ルーシッドは答えた。
「勝つこと自体は簡単です」
「……すごい自信だね。歴代最強との呼び声高いレイチェル相手に、勝つのは簡単とは…私には言えないかな」
マーシャは苦笑いする。
「まぁ、火属性相手に勝つのは簡単なんですよ、正直。ただし…観戦している全員がはっきりとわかるような圧倒的な感じで相手を倒すにはどうすれば良いか…そこを悩んでいます」
「相変わらず別次元ね…」
フランチェスカはもはやあきれたように言う。
「まぁ…レイチェルのことはルーシッド君に任せるとしよう。では風紀ギルドとしては、ルーシッド君がレイチェルを倒したタイミングを見計らって、純血を一斉摘発する準備を整えることにしよう!くぅ~…盛り上がってきたなぁ!?」
「ギルド長…不謹慎ですよ…まぁ、ちょっと面白そうではありますが…」
にこにこしながら言うマーシャをたしなめつつも、ちょっとわくわくするフランチェスカだった。
「まぁ、多分、最終日になると思いますけど、明日中にはクレア先輩から連絡が入ると思うので、入り次第伝えますね。それまではくれぐれもこのことは内密にお願いします」
みんなが静かに頷く。
「さて…では今日はもう自室に戻ることにしようか」
マーシャがそう告げる。
「ですね。サリー達には一応伝えてはきましたが、心配してるでしょうし」
「私たちも部屋へ帰ろ?ゲイリー」
「そうね…もうへとへとだわ…」
「そういえばあなたたちって、ほかのパーティーメンバーは誰なの?」
「私たちは2人パーティーですよ?」
フランチェスカの質問にオリガが何の気なく答える。
「いや…パーティーは3人以上っていう決まりでしょ…?」
「あぁ、オルガを入れて3人です」
「いや、オルガは人形じゃない…生徒じゃないでしょ?」
「でも、それで申請したら通ったので…」
「通っちゃうんだ…」
「そういえば、キリィってもう部屋に行ってるんだよね。何かここにいて普通に会話してるから忘れてた」
『そうだよ~。部屋で待ってるよ~今日はもう遅いから、荷物は明日にしようかなー』
キリエは眠そうに答えた。
「あ、そういえばベッド…どうしようかしら…」
ルビアが思い出したように言う。
「あー、そういえば、別室に1個あるんだっけ。誰がそこに寝るかだね」
「えー、そんなのさみしすぎるじゃん。あのベッドもくっつければ4人で寝れるくない?」
「いや…さすがに別の部屋からベッドを移動させるのは無理でしょ…」
フェリカの提案に、ルビアは首を横に振った。
「……さっきフェリカが使ってた『ライド』のルーンって『車輪』だったよね…?」
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