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第4章 ギルド体験週間編―3日目
ギルド体験週間3日目① 火蓋
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「クレア!聞いてくれ!エレメンタル・フォーに選ばれたんだ!」
「すごいじゃない、レイ!ううん、レイなら当然ね!」
「ありがとう!これであの堅物たちに一石を投じることができる。時代は変わった。純色至上主義なんてもう古いんだ。これからは純色も混色も、もっと垣根なく連携していかないと」
「そうよね。その通りだわ。私もそう思うわ」
「クレアだってそう遠くなくエレメンタル・フォーに選ばれるさ。あぁ、ゲイリーやオリガも賛同してくれないかなぁ。そうすれば、私たち若い世代でエレメンタル・フォーを独占なんてこともできるのに!」
「そうね、小さい頃は4人でエレメンタル・フォーになるんだって言ってたわね」
「私が頑張ればわかってくれるかも知れない。よぉし、頑張るぞ!」
あぁ…またこの夢か……
そう…こんなはずじゃなかった……
どこで歯車が狂ってしまったんだろう……
何もかもが上手くいかない……
やはり私なんかには無理だったんだ……
私は役立たずだ……
『完全焼却』?
はは…滑稽だな…
これではまさに『燃えかす(バーンアウト)』ではないか
クレア……がっかりさせてすまない……
「レイ……レイ…?大丈夫?」
レイは目を開けた。そこには心配そうに顔を覗き込んでいるクレアの姿があった。
「顔色が悪いわ。それに泣いてる…何か悪い夢でも見たの?」
「……悪い夢…そうだね……でも、この世界に比べればマシさ…この世界も全てが悪い夢であったら良かったのにね」
「レイ……あまり自分を追い込んではダメよ…」
クレアはレイチェルを優しく抱きしめた。
「すまない…クレア…」
「今日、純血の緊急集会があるって言われたの。レイチェルはどうする?」
「私はいいよ…やつらの好きにしたらいいよ…どうせ、私はやつらのプロパガンダに利用されているだけの置物さ…」
「そう、わかったわ。私は顔を出してくるわね。レイ、流れからいってあなたも決闘に駆り出されることになるのは間違いないと思うわ。恐らく最終日の明日。大丈夫?」
クレアは自分の計画については伏せながら、暗にそう聞いた。
「あぁ、決闘でも何でもやってやるさ。腐ってもエレメンタル・フォーの一角。そう簡単に負けくれないよ。混色の強さを認め協力し合うことと、純色が弱いことは別問題だからね。純色も混色と同様に強くなくては対等な関係とは言えないからね」
「そう、なら良かったわ。私のレイならそう言ってくれると思ってた。どんな時も全力で戦ってね?」
「あぁ、もちろんさ?手抜きなんてしないさ」
含みのある言い方に少し首をかしげながらもそう答えるレイチェル。
クレアはその返事を聞いて満足そうに笑った。
その日の朝、純血の集会が開かれ、ゲイリーとオリガが純血を脱退し、風紀ギルドに下ったことが報告された。メンバーの間には大きな動揺が走った。
それは予想外だったわ…でも、これでレイチェルの決闘の流れは整った!
機は熟したと考え、クレアは口を開いた。
「私がレイチェルと学園最強の呼び声高いサラ・ウィンドギャザーの決闘をマッチングしましょう」
メンバーからおぉ、という声が上がる。
「確かに、それでレイチェルさんが勝てば形勢逆転できる」
「だが、相手は『全色』のサラだぞ?レイチェルさんでも勝てるのか?」
「いや。サラは『契約召喚』できない。レイチェルさんの方が確実に有利だ!」
「このまま純色の魔法使いが見下げられるのを黙ってみているわけにもいきませんから」
「さすがクレアさんだ」
「いざという時にはやってくれるんだ」
この決闘が自分たちの最後になるとも知らずに呑気なもんだと、クレアは心の中で笑った。
「やっぱり、最終日か」
クレアから届いたメールを見てルーシッドはつぶやく。
「ド派手にいかないとね。エアリー何かいい案ない?」
『そうですね…純色の魔法使いは自分たちの魔法力に絶対の自信を持っています。相手が自分の弱点属性だろうが、同じ属性だろうが、構わず力でねじ伏せる。それが、奴らのスタイルです。ですから、火属性のレイチェルにとっては、火属性で倒されることが何よりの敗北なのではないでしょうか』
「なるほど。さすがの慧眼だね。火属性か…ちょっと『新しい魔術』でも考えてみようか」
『協力します』
ルーシッドはルーシッドでレイチェルとの決闘に向けて準備を始めていた。
「すごいじゃない、レイ!ううん、レイなら当然ね!」
「ありがとう!これであの堅物たちに一石を投じることができる。時代は変わった。純色至上主義なんてもう古いんだ。これからは純色も混色も、もっと垣根なく連携していかないと」
「そうよね。その通りだわ。私もそう思うわ」
「クレアだってそう遠くなくエレメンタル・フォーに選ばれるさ。あぁ、ゲイリーやオリガも賛同してくれないかなぁ。そうすれば、私たち若い世代でエレメンタル・フォーを独占なんてこともできるのに!」
「そうね、小さい頃は4人でエレメンタル・フォーになるんだって言ってたわね」
「私が頑張ればわかってくれるかも知れない。よぉし、頑張るぞ!」
あぁ…またこの夢か……
そう…こんなはずじゃなかった……
どこで歯車が狂ってしまったんだろう……
何もかもが上手くいかない……
やはり私なんかには無理だったんだ……
私は役立たずだ……
『完全焼却』?
はは…滑稽だな…
これではまさに『燃えかす(バーンアウト)』ではないか
クレア……がっかりさせてすまない……
「レイ……レイ…?大丈夫?」
レイは目を開けた。そこには心配そうに顔を覗き込んでいるクレアの姿があった。
「顔色が悪いわ。それに泣いてる…何か悪い夢でも見たの?」
「……悪い夢…そうだね……でも、この世界に比べればマシさ…この世界も全てが悪い夢であったら良かったのにね」
「レイ……あまり自分を追い込んではダメよ…」
クレアはレイチェルを優しく抱きしめた。
「すまない…クレア…」
「今日、純血の緊急集会があるって言われたの。レイチェルはどうする?」
「私はいいよ…やつらの好きにしたらいいよ…どうせ、私はやつらのプロパガンダに利用されているだけの置物さ…」
「そう、わかったわ。私は顔を出してくるわね。レイ、流れからいってあなたも決闘に駆り出されることになるのは間違いないと思うわ。恐らく最終日の明日。大丈夫?」
クレアは自分の計画については伏せながら、暗にそう聞いた。
「あぁ、決闘でも何でもやってやるさ。腐ってもエレメンタル・フォーの一角。そう簡単に負けくれないよ。混色の強さを認め協力し合うことと、純色が弱いことは別問題だからね。純色も混色と同様に強くなくては対等な関係とは言えないからね」
「そう、なら良かったわ。私のレイならそう言ってくれると思ってた。どんな時も全力で戦ってね?」
「あぁ、もちろんさ?手抜きなんてしないさ」
含みのある言い方に少し首をかしげながらもそう答えるレイチェル。
クレアはその返事を聞いて満足そうに笑った。
その日の朝、純血の集会が開かれ、ゲイリーとオリガが純血を脱退し、風紀ギルドに下ったことが報告された。メンバーの間には大きな動揺が走った。
それは予想外だったわ…でも、これでレイチェルの決闘の流れは整った!
機は熟したと考え、クレアは口を開いた。
「私がレイチェルと学園最強の呼び声高いサラ・ウィンドギャザーの決闘をマッチングしましょう」
メンバーからおぉ、という声が上がる。
「確かに、それでレイチェルさんが勝てば形勢逆転できる」
「だが、相手は『全色』のサラだぞ?レイチェルさんでも勝てるのか?」
「いや。サラは『契約召喚』できない。レイチェルさんの方が確実に有利だ!」
「このまま純色の魔法使いが見下げられるのを黙ってみているわけにもいきませんから」
「さすがクレアさんだ」
「いざという時にはやってくれるんだ」
この決闘が自分たちの最後になるとも知らずに呑気なもんだと、クレアは心の中で笑った。
「やっぱり、最終日か」
クレアから届いたメールを見てルーシッドはつぶやく。
「ド派手にいかないとね。エアリー何かいい案ない?」
『そうですね…純色の魔法使いは自分たちの魔法力に絶対の自信を持っています。相手が自分の弱点属性だろうが、同じ属性だろうが、構わず力でねじ伏せる。それが、奴らのスタイルです。ですから、火属性のレイチェルにとっては、火属性で倒されることが何よりの敗北なのではないでしょうか』
「なるほど。さすがの慧眼だね。火属性か…ちょっと『新しい魔術』でも考えてみようか」
『協力します』
ルーシッドはルーシッドでレイチェルとの決闘に向けて準備を始めていた。
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