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第11章 クラス対抗魔法球技戦編
エリアボール①
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「今度はどんな魔法が飛び出すのかしら」
「飛び出すって、びっくり箱じゃないんだから…」
試合観戦に来ていたサラ達が、試合会場に入ってくるルーシッド達のクラスの選手を見てそう話す。
サラ達の次の試合は午後から行われるので、午前中は自由時間であった。サラは生徒会の見回りも兼ねてという名目ではあるが、他の生徒会メンバーは今日はそれぞれ別の試合会場へと足を運んでいた。
「また今回は随分と大きな魔法具を持ち出してきたわね…」
「ルーシィに限っては面積上の問題のはずはないから、あえてあの大きさなんでしょうね」
試合会場に入ってきたシアンは背中に大きな筒状の魔法具らしきものを抱えてきた。その他の選手はオリヴィアを除いて、全員がいわゆる一般的な杖タイプの魔法具を持っていた。
杖タイプの魔法具は、昔の魔法使いが魔法詠唱の際に使用した『魔法の杖』とは異なり、魔法回路と演奏装置が組み込まれた魔法具としての杖である。杖の先端部分に大きな円形の装置が存在し、そこに魔法回路と演奏装置が組み込まれている。多くは、身長と同じか、それより高いくらいの杖であり、振り回して使うような短いものではない。近接戦闘向きのものではなく、遠距離攻撃の補助などに使われるものである。
しかし、今回3人が持っていた魔法の杖は普通のものと比べると、棒状の部分がかなり短かく、片手で振り回せるくらいの長さだった。
「あんなにいっぱい魔法の杖を持ち出して、一体何に使う気なのかしら…」
「じゃあ、みんな地上は任せたわよ」
シアンがそう言うと、他のメンバーはうなずいた。
試合開始の合図と共に、シアンは背中に抱えていた魔法具を降ろし、そこに自分たちのチームのボールを装填した。
「なるほど、あれが攻撃用の魔法具なのね」
「でも、どうやって攻撃するのかしら、操作魔法?物理攻撃魔法?それとも、付与魔法?」
エリアボールでの攻撃方法は主に3つだ。
1つは、ボールそのものを土の魔法で操作し攻撃する方法。攻撃の威力は低くなるが、狙いは定めやすい。
もう1つは、風の魔法などの物理攻撃魔法によって、ボールに外的衝撃を与え、ボールを弾き飛ばすという方法だ。威力は期待できるが、狙いを定めることは難しい。
そして、もう1つが付与魔法である。付与魔法は魔法具などにも幅広く使用されている一般的な魔法であり、その物体に別の魔法特性を付与する魔法である。例えば、エリアボールであれば、ボールに風の発生点を作り出して、風を放出し攻撃したりできる。付与魔法は魔装の基になっている魔法であり、これを自身の体にかける魔法が魔装である。
シアンは魔法具の脇についている引き金を引く。すると、魔法回路に魔力が流れる。それと同時に、演奏装置が起動し音楽が流れ、魔法具が作動する。
魔法具が作動したことを確認すると、今度はシアン自身も魔法を詠唱した。
"oPen the fiAry GATE.
(開け、妖精界の門)
1 OF the ZODIAC, AQUARIUS.
(黄道十二宮が一つ、みずがめ座のアクエリアスよ)
pLEAse GivE Me UR EterNAL WaTer OuT of your PoT.
(我に汝のその瓶から無限に流る水を分け与えたまえ)
SpirIT OF whiRL-PooL, CHARYBDIS
(渦潮の精霊、カリュブディスよ)
guLP!, VOmit!, circlATE waTER BY UR powER."
(飲み込め、吐き出せ、汝の力を持って水を循環させよ)
そう唱えると、シアンの背中に大きな水の塊が生成され、徐々に形を変えていく。それは翼のような形を取り、そして、そこから一気に水が噴射されて、シアンは空へ飛び立った。
「…おい、あれって水の飛行魔法じゃないか?」
「あれって、入学試験の最終問題に出題されていた、超難題のやつよね…」
「マジか…あれって実現できたのか」
「てことは、あの子は入試の問題を正解できたってこと?」
その様子を見た観客たちは口々にそう言った。
そう、シアンが唱えたのは、ルーシッドが入学試験のペーパーテストの際に考え出した『水の飛行魔法』だった。
「なるほど、あのシアンって子は、ランクAで水の魔法が得意だから、水の飛行魔法で空中から攻撃しようっていう作戦ね」
「でも、私たちが試した時とはちょっと形状や動作が違うわね」
「あれは多分、『浮揚』用の造形だわ。下に水を噴射することで、上向きの推進力と揚力を得てるんだわ」
シアンはコート全体が見渡せる位置で停止すると、両手で持っていた魔法具を構えた。その魔法具には照準のようなものが付いており、シアンはそれを片目で覗き込む。そして、狙いを定めて引き金を引いた。
すると、魔法具の後方から猛烈な勢いで水が噴き出し、前方からボールが射出されて、ものすごい速度で相手のエリアの1つに着弾した。
「はっ、速い!なんて速度なのかしら」
「先制はやっぱりルーシィ達のクラスね。
あれは…物理攻撃魔法?後ろからは水が噴き出してたけど一体どんな原理なのかしら」
ルーシッドが作った攻撃用の魔法具は、筒状の魔法具の中に水と空気を作り出して、魔法具の後方の弁を開くことで、圧縮された空気と水を一気に噴射させ、その反作用の力で前方からボールを高速で射出するという、いわゆるウォーターロケット(ペットボトルロケット)の原理を利用したものだ。
シアンの魔力は青緑で、緑と青両方の魔力を使えるため、この魔法具は魔法石ではなく、結晶石によって作動していた。しかも魔法自体は実際のところは、少量の水と風を作り出しているだけのため、効果は絶大でも使用する魔力自体は極めて少ない。
そして、着弾と同時に、待機していたオリヴィアが土の魔法でボールを操作して、シアンにボールを返す。
この辺りでようやく相手チーム達の魔法詠唱が終わり、最初の攻撃に入った。
「攻撃来るよ!」
「おう、みんな持ち場に来たやつだけ確実に対応していこう」
ライム・グリエッタ、ジョン・ブラウン、ビリー・ジェンクスの3人は、エリアの右・中央・左に立っており、攻撃に備えて魔法具を発動した。
相手チームのボールはルーシッド達のクラスのエリアの頭上まで移動すると、そこから一気に加速して落下を始める。
「恐らく、操作魔法と風の付与魔法の連続発動ね」
サラはそれを見て言った。
比較的難度は高いが、確実性と攻撃力を併せ持った攻撃方法である。
「わぁ、いきなり私っ、かいっ!」
ライムはそう言いながら、自分のところに来たボールを、杖で弾き返した。
「ぼっ、ボールをそのまま弾き返したわ!そんなのあり!?」
フランチェスカは驚いて声を荒げた。
「エリアボールのルールでは、ボールを直接つかんで投げたりすることは禁止されているわ。でも魔法具を使ってボールを弾くことは禁止されていないわ。あれは魔法具で、見たところ後ろから『風の魔法』を放って、攻撃力を上昇させる仕組みのようね」
「なんか狐につままれたような気分だわ」
「でも、今まで誰もこの方法で防御しようと思わなかっただけで、考えてみたらこうやって防御するのが一番合理的よね…自分でもなぜ今までこの方法を思いつかなかったのかと思うけど…まぁそういうところがルーシィらしい作戦よね…」
エリアボールは防御するのが極めて難しいと考えられていた。相手のボールがどこに来るかを予測して魔法を発動するか、ある程度の当たりを付けて魔法を発動させるかする必要があるため、防御の精度が格段に落ちるのである。もちろん、エリア全体を防御するような魔法を展開すれば良いと思うかもしれないが、それができるのはかなりランクの高い魔法使いに限られる。ランクの高い魔法使いは防御ではなく攻撃に回されてしまうため、エリアボールはどうしても防御がおろそかになってしまうのだ。そのため、エリアボールは基本的に乱打戦、防御を基本的に無視した点の取り合いになる傾向が強かった。
相手チームもやはり防御のことは、ほとんど考えていなかったようで、シアンの頭上からの直接攻撃には全く対応できず、シアンはどんどんとエリアを広げ、ポイントを稼いでいく。そもそも、飛行魔法を使用して、上から攻撃してくるなどということは誰も想定していないので防御できるはずもなかった。
一方で攻撃はと言うと、こちらも全ての攻撃を防御されていた。3人は確実に魔法具でボールを弾き返すことで、1点も相手に与えることはなかった。
「あの4人の活躍の影に隠れてはいるけど、あの土の魔法を使用して、ボールを操作している子の魔法力は大したものだわ。シアンのボールの管理だけじゃなく、相手の妨害もしてるわね。弾き返して相手に操作権がなくなったタイミングでボールに操作魔法をかけて、相手の攻撃を遅らせているわ。あの試合全体を操っているのはあの子と言ってもいいわね」
サラはそうオリヴィアを賞した。
試合はルーシッド達の完勝だった。相手チームに一点も与えることなく完封勝利を飾ったのだ。エリアボールで相手に一点も取られないというのは、魔法学院の球技戦初の快挙だった。
「飛び出すって、びっくり箱じゃないんだから…」
試合観戦に来ていたサラ達が、試合会場に入ってくるルーシッド達のクラスの選手を見てそう話す。
サラ達の次の試合は午後から行われるので、午前中は自由時間であった。サラは生徒会の見回りも兼ねてという名目ではあるが、他の生徒会メンバーは今日はそれぞれ別の試合会場へと足を運んでいた。
「また今回は随分と大きな魔法具を持ち出してきたわね…」
「ルーシィに限っては面積上の問題のはずはないから、あえてあの大きさなんでしょうね」
試合会場に入ってきたシアンは背中に大きな筒状の魔法具らしきものを抱えてきた。その他の選手はオリヴィアを除いて、全員がいわゆる一般的な杖タイプの魔法具を持っていた。
杖タイプの魔法具は、昔の魔法使いが魔法詠唱の際に使用した『魔法の杖』とは異なり、魔法回路と演奏装置が組み込まれた魔法具としての杖である。杖の先端部分に大きな円形の装置が存在し、そこに魔法回路と演奏装置が組み込まれている。多くは、身長と同じか、それより高いくらいの杖であり、振り回して使うような短いものではない。近接戦闘向きのものではなく、遠距離攻撃の補助などに使われるものである。
しかし、今回3人が持っていた魔法の杖は普通のものと比べると、棒状の部分がかなり短かく、片手で振り回せるくらいの長さだった。
「あんなにいっぱい魔法の杖を持ち出して、一体何に使う気なのかしら…」
「じゃあ、みんな地上は任せたわよ」
シアンがそう言うと、他のメンバーはうなずいた。
試合開始の合図と共に、シアンは背中に抱えていた魔法具を降ろし、そこに自分たちのチームのボールを装填した。
「なるほど、あれが攻撃用の魔法具なのね」
「でも、どうやって攻撃するのかしら、操作魔法?物理攻撃魔法?それとも、付与魔法?」
エリアボールでの攻撃方法は主に3つだ。
1つは、ボールそのものを土の魔法で操作し攻撃する方法。攻撃の威力は低くなるが、狙いは定めやすい。
もう1つは、風の魔法などの物理攻撃魔法によって、ボールに外的衝撃を与え、ボールを弾き飛ばすという方法だ。威力は期待できるが、狙いを定めることは難しい。
そして、もう1つが付与魔法である。付与魔法は魔法具などにも幅広く使用されている一般的な魔法であり、その物体に別の魔法特性を付与する魔法である。例えば、エリアボールであれば、ボールに風の発生点を作り出して、風を放出し攻撃したりできる。付与魔法は魔装の基になっている魔法であり、これを自身の体にかける魔法が魔装である。
シアンは魔法具の脇についている引き金を引く。すると、魔法回路に魔力が流れる。それと同時に、演奏装置が起動し音楽が流れ、魔法具が作動する。
魔法具が作動したことを確認すると、今度はシアン自身も魔法を詠唱した。
"oPen the fiAry GATE.
(開け、妖精界の門)
1 OF the ZODIAC, AQUARIUS.
(黄道十二宮が一つ、みずがめ座のアクエリアスよ)
pLEAse GivE Me UR EterNAL WaTer OuT of your PoT.
(我に汝のその瓶から無限に流る水を分け与えたまえ)
SpirIT OF whiRL-PooL, CHARYBDIS
(渦潮の精霊、カリュブディスよ)
guLP!, VOmit!, circlATE waTER BY UR powER."
(飲み込め、吐き出せ、汝の力を持って水を循環させよ)
そう唱えると、シアンの背中に大きな水の塊が生成され、徐々に形を変えていく。それは翼のような形を取り、そして、そこから一気に水が噴射されて、シアンは空へ飛び立った。
「…おい、あれって水の飛行魔法じゃないか?」
「あれって、入学試験の最終問題に出題されていた、超難題のやつよね…」
「マジか…あれって実現できたのか」
「てことは、あの子は入試の問題を正解できたってこと?」
その様子を見た観客たちは口々にそう言った。
そう、シアンが唱えたのは、ルーシッドが入学試験のペーパーテストの際に考え出した『水の飛行魔法』だった。
「なるほど、あのシアンって子は、ランクAで水の魔法が得意だから、水の飛行魔法で空中から攻撃しようっていう作戦ね」
「でも、私たちが試した時とはちょっと形状や動作が違うわね」
「あれは多分、『浮揚』用の造形だわ。下に水を噴射することで、上向きの推進力と揚力を得てるんだわ」
シアンはコート全体が見渡せる位置で停止すると、両手で持っていた魔法具を構えた。その魔法具には照準のようなものが付いており、シアンはそれを片目で覗き込む。そして、狙いを定めて引き金を引いた。
すると、魔法具の後方から猛烈な勢いで水が噴き出し、前方からボールが射出されて、ものすごい速度で相手のエリアの1つに着弾した。
「はっ、速い!なんて速度なのかしら」
「先制はやっぱりルーシィ達のクラスね。
あれは…物理攻撃魔法?後ろからは水が噴き出してたけど一体どんな原理なのかしら」
ルーシッドが作った攻撃用の魔法具は、筒状の魔法具の中に水と空気を作り出して、魔法具の後方の弁を開くことで、圧縮された空気と水を一気に噴射させ、その反作用の力で前方からボールを高速で射出するという、いわゆるウォーターロケット(ペットボトルロケット)の原理を利用したものだ。
シアンの魔力は青緑で、緑と青両方の魔力を使えるため、この魔法具は魔法石ではなく、結晶石によって作動していた。しかも魔法自体は実際のところは、少量の水と風を作り出しているだけのため、効果は絶大でも使用する魔力自体は極めて少ない。
そして、着弾と同時に、待機していたオリヴィアが土の魔法でボールを操作して、シアンにボールを返す。
この辺りでようやく相手チーム達の魔法詠唱が終わり、最初の攻撃に入った。
「攻撃来るよ!」
「おう、みんな持ち場に来たやつだけ確実に対応していこう」
ライム・グリエッタ、ジョン・ブラウン、ビリー・ジェンクスの3人は、エリアの右・中央・左に立っており、攻撃に備えて魔法具を発動した。
相手チームのボールはルーシッド達のクラスのエリアの頭上まで移動すると、そこから一気に加速して落下を始める。
「恐らく、操作魔法と風の付与魔法の連続発動ね」
サラはそれを見て言った。
比較的難度は高いが、確実性と攻撃力を併せ持った攻撃方法である。
「わぁ、いきなり私っ、かいっ!」
ライムはそう言いながら、自分のところに来たボールを、杖で弾き返した。
「ぼっ、ボールをそのまま弾き返したわ!そんなのあり!?」
フランチェスカは驚いて声を荒げた。
「エリアボールのルールでは、ボールを直接つかんで投げたりすることは禁止されているわ。でも魔法具を使ってボールを弾くことは禁止されていないわ。あれは魔法具で、見たところ後ろから『風の魔法』を放って、攻撃力を上昇させる仕組みのようね」
「なんか狐につままれたような気分だわ」
「でも、今まで誰もこの方法で防御しようと思わなかっただけで、考えてみたらこうやって防御するのが一番合理的よね…自分でもなぜ今までこの方法を思いつかなかったのかと思うけど…まぁそういうところがルーシィらしい作戦よね…」
エリアボールは防御するのが極めて難しいと考えられていた。相手のボールがどこに来るかを予測して魔法を発動するか、ある程度の当たりを付けて魔法を発動させるかする必要があるため、防御の精度が格段に落ちるのである。もちろん、エリア全体を防御するような魔法を展開すれば良いと思うかもしれないが、それができるのはかなりランクの高い魔法使いに限られる。ランクの高い魔法使いは防御ではなく攻撃に回されてしまうため、エリアボールはどうしても防御がおろそかになってしまうのだ。そのため、エリアボールは基本的に乱打戦、防御を基本的に無視した点の取り合いになる傾向が強かった。
相手チームもやはり防御のことは、ほとんど考えていなかったようで、シアンの頭上からの直接攻撃には全く対応できず、シアンはどんどんとエリアを広げ、ポイントを稼いでいく。そもそも、飛行魔法を使用して、上から攻撃してくるなどということは誰も想定していないので防御できるはずもなかった。
一方で攻撃はと言うと、こちらも全ての攻撃を防御されていた。3人は確実に魔法具でボールを弾き返すことで、1点も相手に与えることはなかった。
「あの4人の活躍の影に隠れてはいるけど、あの土の魔法を使用して、ボールを操作している子の魔法力は大したものだわ。シアンのボールの管理だけじゃなく、相手の妨害もしてるわね。弾き返して相手に操作権がなくなったタイミングでボールに操作魔法をかけて、相手の攻撃を遅らせているわ。あの試合全体を操っているのはあの子と言ってもいいわね」
サラはそうオリヴィアを賞した。
試合はルーシッド達の完勝だった。相手チームに一点も与えることなく完封勝利を飾ったのだ。エリアボールで相手に一点も取られないというのは、魔法学院の球技戦初の快挙だった。
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