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第11章 クラス対抗魔法球技戦編
生徒会定例会議②
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「私、フリージア・ウィステリアは、ルーシッド・リムピッドに最終的に生徒会メンバーとして活躍してもらいたいと思っています」
そうフリージアが告げると、会議室はしばらく静寂に包まれた。
そして最初に口を開いたのはシヴァ・フィースクルだった。
「うちは前に聞かされてたし、まぁ、なんや。異論ないわ。今はまだそこまで知れてはおらんからえぇけど、あいつの存在は徐々に目立ってきとるからな。ちょうど今、ギルドマスター会議も行われとるとこやろ。話題になってるんちゃうか?このままほっといたら、ギルド間の闘争に繋がりかねんで。一番波風立たん方法は、中立な立場の生徒会で抑えとくことやろ」
「ギルドマスター会議の方は、マーシャとセシーが上手くやってくれてると思うわ」
「……あんた根回ししたんか」
ご存じの通り、マーシャは風紀ギルドのギルドマスター、マーシャ・アッシュクロフト。そして、セシーはギルドマスター会議の議長、総ギルドマスターのセシディア・ストリチカだ。
生徒会長と風紀ギルド長、そして総ギルドマスターの3名は、その仕事の兼ね合いから何かと交流が深い。特にマーシャは、フリージアとセシディアの間の橋渡し役として上手く機能していた。今回の件も、フリージアはセシディアにではなく、マーシャに頼んでおいたのだった。生徒会長が総ギルドマスターに、マスター会議の進行の件で直接指示をするというのは、仮にそのことが知られた場合問題となる。マスター会議は生徒会からの独立性が保たれなければいけないからだ。3人共そのことはよく理解していたので、今回の件も暗黙のうちにフリージアの意に沿う形で物事を運ぶ形となった。これは決して、フリージアのためという訳ではなく、そのようにするのが学院にとって一番良いと2人が判断したからでもある。それぞれが違う立場、違う視点から学院の利益を考えて判断した結果が重なったのだ。
「私も会長の意見に賛成です」
「じゃあ、ミクちゃんも賛成なのだー。あの子は見てて飽きないから面白いのだー」
副会長のヴァン・ブレンダークとミクリナ・フェンサーはそう言った。
「フィオはどう思う?」
「ん~…広報のぉ~?……観点からすれば~……現段階では賛成できません~…」
「……どういう懸念があるかしら?」
フィオーレが賛成しないというのは意外かもしれないが、決して珍しいことではない。フィオーレは非常におっとりしていて話のテンポについていけず、ただぼーっと聞いていることが多いが、何も考えていないわけではない。こういう風に話を振られれば、ちゃんと自分の意見を言うのだった。
フィオーレは相変わらず間延びした独特の話し方で、自分の考えを話し始めた。
要約すると、夏休み明けからは魔法学院交流会や学院祭など、対外向けのイベントがどんどん始まっていく。ディナカレア魔法学院の入学希望者をさらに募り、優秀な人材を確保するためには、そのような対外向けイベントは重要なアピールの場となる。その中でFランクの生徒が生徒会《カウンサル》にいるという噂が広まることは学院的には避けたいと感じるはずなので、ルーシッドを生徒会に入れるのは相当にハードルが高いだろう、ということだった。少なくとも今年は止めるべき。今年のうちに徐々に土台を作り、来年度中に実行に移せれば望ましいのだが。ということだった。
「……あいっかわらず、めっっっちゃくっちゃ長かったけど、内容としては至極まっとうな意見やったなぁ……」
シヴァは机に突っ伏してため息をつきながらそう言った。
「ありがとう、フィオ。広報の視点からすごく参考になったわ。
……ちなみになんだけど、フィオは来年度は生徒会どうする気なの?」
「ん~……考え中です~……普通はぁ~…5年次で辞めますよね~~…?」
「まぁ、5年生からは職業ギルド体験とかあるしね。でもフィオはもう卒業後のことは決まってるのよね?」
「はい~…また仕事を~…本格的に再開します~…」
「まぁ今でもちょこちょこ仕事してるけどね」
「え、そうなんですか?」
事情を知らない1年生のアザレアが尋ねた。
「フィオは金属とか宝石を魔法で加工してアクセサリーを作る仕事をしているのよ。学院に入る前からすでに自分の工房を持ってるのよ」
「個人工房なので~…そんなに~…大きくないですし~…いっぱいも~…作れませんけど~…」
それを聞いて同じく1年生のマリンがうわ言のように何かをつぶやく。
「……フィオーレ・シーウェン…シー、ウェン…シー……え、もしかして……」
そして自分の耳を触ってはっと思いついたように言った。
「WenSee(ウェンシー)……?」
「あ……はい~……そうです~……よくわかりましたね~…?
……知っててくださったんですかぁ~~……?」
「しっ、知ってるも何も、わっ、私、だっ、大大大ファンですのっ!ほら、これ!」
マリンが耳を指差すと、そこには自分の誕生石であるアクアマリン(3月の誕生石)を使った綺麗なイヤリングが付けられていた。
WenSee(ウェンシー)は、手頃な値段ながら、他とは一線を画すそのデザイン性から、徐々に若い女性魔法使いの間で話題になってきているアクセサリーを製作・販売している個人ギルドだ。
ここディナカレア王国の首都セントレアの店に商品を卸しているのだが、自身が経営する店などはもっていないため、その素性などは一切知られていなかった。
フィオーレがディナカレア学院に入学が決まったことをきっかけに大幅に生産数が減ったことで、逆にWenSeeの希少性を高めることとなり、ここ数年はさらに人気が増している状況だった。
「むむぅ~?……おぉ~!
確かに私の作ったものです~……ご愛用~…ありがとうございます~~」
「こっ、こちらこそ、お目にかかれて光栄です!なるほど、しばらく入荷数が減るって店の方がおっしゃってたので、何かあったのかしらって心配してましたけど、在学中だったからなのですね?」
マリンは目をきらきらさせてフィオーレを見つめた。
「ちなみに私も愛用者よ。フィオはもう一線級だから、改めて職業ギルドで学ぶこともないというか、むしろフィオから学びたい人の方が多いくらいでしょ?だから、来年も特に忙しくないなら、生徒会の仕事を手伝ってくれるとありがたいんだけど…今年は新しく広報を選ばなかったから、来年の新入生に引き継いでも欲しいし」
「そうですね~~……わかりました~…前向きに検討しておきます~~…」
「ふふ、ありがとう。さて、サリーさんとニータさんは、さっきの感じから了承してくれるとして、1年生のマリンさんとアザリーさんはどうかしら?私の考えに賛成してくれる?」
「私は賛成です。今回、ルーシィさんと対戦させてもらって本当にたくさんのことを学ぶことができました。同じ生徒会メンバーで仕事をすることができればきっと楽しいと思いますし、大いに役立ってくれると思います」
アザレアがそう答えると、フリージアは嬉しそうに微笑んでうなずいた。
「そう、ありがとう。マリンさんはどう?別にみんなに合わせなくていいわよ。正直に自分の気持ちを述べてね」
そう言われてマリンは少し言い出しにくそうにしていたが、口を開いた。
「わっ、私はその…あの…ルーシィが入るのは別に何ともないと言いましょうか、それは別に構わないのですけれど……ただその、ルーシィが入るのでしたら……あの……るっ、ルビアは入るのでしょうか?」
「……んー…そうね。ルーシィさんが生徒会に入れないのなら自分も入らない、というのがルビアさんが生徒会の話を蹴った理由ですからね。ルーシィさんが生徒会に入るのであれば、ルビアさんが生徒会に入らない理由は特にありませんね。
まぁ、私としてもルビアさんにも生徒会に入って欲しいと思います。ちょっと同学年から4人って言うのは前例が無いですけど…でもどの方も必要な人材だと私は思います…それにルーシィさんとルビアさんは今は風紀ギルドに属しているので、マーシャなら納得してくれるかと」
「…そう、ですの」
それを聞いてマリンは困ったように少し赤らめた頬を指でぽりぽりと掻いた。
「…嫌ですか?」
「いえ、あの、嫌というわけではなくて…」
「会長、むしろ逆だと思います。マリンはルビアさんの方にむしろ入って欲しいんです」
「ちょっ!あっ、アァァアアザリィイィ!?おっ、おかしなぁことぉ言わないでくれるぅかしらぁ!?わたくし、そんなことひとっ事も言ってませんけどぉ!?」
隣に座っていたアザレアがそう言うと、マリンは顔を真っ赤にして立ち上がり、目を白黒させながら早口でまくし立てた。
「いやいや、言わなくてもわかるわよ。口を開けばいっつもルビアさんの話するし、それに知ってますか?マリンの部屋の机には自分で描いたルビアさんの似顔絵が貼ってあるんですよ」
それを聞いたみんなが、「えぇ…」と言った感じで少し引いているのを感じ、マリンはさらに動揺して弁明する。
「そっ、そそ、それは、あぁあれよっ!倒すべき憎きライバルを目に焼き付けて、あの時負けた悔しさを忘れず闘志に火をつけるためですわ!」
「いや、倒すべきライバルの顔はあんなに可愛く描かないでしょ……」
「マリン…お前それは……ストーカーちゃうか?」
「えっ、そんなっ!なんでですの!好きな人の似顔絵描くのが犯罪なのですか、誰にも迷惑かけてませんわ!」
「いや、言うに事欠いて、もう好き言うてしもうてんで」
「あっ、いやっ、ちがっ、いぃ、今のは言葉のあやでっ、私がるっ、ルビアのことが、すっ、すぅ~、すきっ、好きとか、そういうことではなくてですね、あくまで一般論、そう、一般論の話で!」
「あらぁ、マリンさん、そうだったのねぇ。まぁ、ルビアさんはかっこいいものね。女子でも好きになる気持ちはわかる気がするわ」
「あれやろ、こてんぱんにやられたことで逆に分からせられてしもたんやろ?またあの全然相手にされてない感じがたまらんのとちゃうか?」
「ちっ、ちがっ、違うんですぅ、ほんとに違うんですのぉ~…」
顔を真っ赤にしながら否定するマリン。それをサラは何も言わずに静観していた。
ルーシッドに全く同じように完膚なきまでに負けて分からせられたことで、逆に好きになってしまった自分に火の粉が飛んでこないように、気配を殺して静かにしていたかどうかは定かではない。ニータはそのサラの白々しい顔を横目で見つめていた。
こうして今日の生徒会の会議も夜遅くまで長引くのだった。
そうフリージアが告げると、会議室はしばらく静寂に包まれた。
そして最初に口を開いたのはシヴァ・フィースクルだった。
「うちは前に聞かされてたし、まぁ、なんや。異論ないわ。今はまだそこまで知れてはおらんからえぇけど、あいつの存在は徐々に目立ってきとるからな。ちょうど今、ギルドマスター会議も行われとるとこやろ。話題になってるんちゃうか?このままほっといたら、ギルド間の闘争に繋がりかねんで。一番波風立たん方法は、中立な立場の生徒会で抑えとくことやろ」
「ギルドマスター会議の方は、マーシャとセシーが上手くやってくれてると思うわ」
「……あんた根回ししたんか」
ご存じの通り、マーシャは風紀ギルドのギルドマスター、マーシャ・アッシュクロフト。そして、セシーはギルドマスター会議の議長、総ギルドマスターのセシディア・ストリチカだ。
生徒会長と風紀ギルド長、そして総ギルドマスターの3名は、その仕事の兼ね合いから何かと交流が深い。特にマーシャは、フリージアとセシディアの間の橋渡し役として上手く機能していた。今回の件も、フリージアはセシディアにではなく、マーシャに頼んでおいたのだった。生徒会長が総ギルドマスターに、マスター会議の進行の件で直接指示をするというのは、仮にそのことが知られた場合問題となる。マスター会議は生徒会からの独立性が保たれなければいけないからだ。3人共そのことはよく理解していたので、今回の件も暗黙のうちにフリージアの意に沿う形で物事を運ぶ形となった。これは決して、フリージアのためという訳ではなく、そのようにするのが学院にとって一番良いと2人が判断したからでもある。それぞれが違う立場、違う視点から学院の利益を考えて判断した結果が重なったのだ。
「私も会長の意見に賛成です」
「じゃあ、ミクちゃんも賛成なのだー。あの子は見てて飽きないから面白いのだー」
副会長のヴァン・ブレンダークとミクリナ・フェンサーはそう言った。
「フィオはどう思う?」
「ん~…広報のぉ~?……観点からすれば~……現段階では賛成できません~…」
「……どういう懸念があるかしら?」
フィオーレが賛成しないというのは意外かもしれないが、決して珍しいことではない。フィオーレは非常におっとりしていて話のテンポについていけず、ただぼーっと聞いていることが多いが、何も考えていないわけではない。こういう風に話を振られれば、ちゃんと自分の意見を言うのだった。
フィオーレは相変わらず間延びした独特の話し方で、自分の考えを話し始めた。
要約すると、夏休み明けからは魔法学院交流会や学院祭など、対外向けのイベントがどんどん始まっていく。ディナカレア魔法学院の入学希望者をさらに募り、優秀な人材を確保するためには、そのような対外向けイベントは重要なアピールの場となる。その中でFランクの生徒が生徒会《カウンサル》にいるという噂が広まることは学院的には避けたいと感じるはずなので、ルーシッドを生徒会に入れるのは相当にハードルが高いだろう、ということだった。少なくとも今年は止めるべき。今年のうちに徐々に土台を作り、来年度中に実行に移せれば望ましいのだが。ということだった。
「……あいっかわらず、めっっっちゃくっちゃ長かったけど、内容としては至極まっとうな意見やったなぁ……」
シヴァは机に突っ伏してため息をつきながらそう言った。
「ありがとう、フィオ。広報の視点からすごく参考になったわ。
……ちなみになんだけど、フィオは来年度は生徒会どうする気なの?」
「ん~……考え中です~……普通はぁ~…5年次で辞めますよね~~…?」
「まぁ、5年生からは職業ギルド体験とかあるしね。でもフィオはもう卒業後のことは決まってるのよね?」
「はい~…また仕事を~…本格的に再開します~…」
「まぁ今でもちょこちょこ仕事してるけどね」
「え、そうなんですか?」
事情を知らない1年生のアザレアが尋ねた。
「フィオは金属とか宝石を魔法で加工してアクセサリーを作る仕事をしているのよ。学院に入る前からすでに自分の工房を持ってるのよ」
「個人工房なので~…そんなに~…大きくないですし~…いっぱいも~…作れませんけど~…」
それを聞いて同じく1年生のマリンがうわ言のように何かをつぶやく。
「……フィオーレ・シーウェン…シー、ウェン…シー……え、もしかして……」
そして自分の耳を触ってはっと思いついたように言った。
「WenSee(ウェンシー)……?」
「あ……はい~……そうです~……よくわかりましたね~…?
……知っててくださったんですかぁ~~……?」
「しっ、知ってるも何も、わっ、私、だっ、大大大ファンですのっ!ほら、これ!」
マリンが耳を指差すと、そこには自分の誕生石であるアクアマリン(3月の誕生石)を使った綺麗なイヤリングが付けられていた。
WenSee(ウェンシー)は、手頃な値段ながら、他とは一線を画すそのデザイン性から、徐々に若い女性魔法使いの間で話題になってきているアクセサリーを製作・販売している個人ギルドだ。
ここディナカレア王国の首都セントレアの店に商品を卸しているのだが、自身が経営する店などはもっていないため、その素性などは一切知られていなかった。
フィオーレがディナカレア学院に入学が決まったことをきっかけに大幅に生産数が減ったことで、逆にWenSeeの希少性を高めることとなり、ここ数年はさらに人気が増している状況だった。
「むむぅ~?……おぉ~!
確かに私の作ったものです~……ご愛用~…ありがとうございます~~」
「こっ、こちらこそ、お目にかかれて光栄です!なるほど、しばらく入荷数が減るって店の方がおっしゃってたので、何かあったのかしらって心配してましたけど、在学中だったからなのですね?」
マリンは目をきらきらさせてフィオーレを見つめた。
「ちなみに私も愛用者よ。フィオはもう一線級だから、改めて職業ギルドで学ぶこともないというか、むしろフィオから学びたい人の方が多いくらいでしょ?だから、来年も特に忙しくないなら、生徒会の仕事を手伝ってくれるとありがたいんだけど…今年は新しく広報を選ばなかったから、来年の新入生に引き継いでも欲しいし」
「そうですね~~……わかりました~…前向きに検討しておきます~~…」
「ふふ、ありがとう。さて、サリーさんとニータさんは、さっきの感じから了承してくれるとして、1年生のマリンさんとアザリーさんはどうかしら?私の考えに賛成してくれる?」
「私は賛成です。今回、ルーシィさんと対戦させてもらって本当にたくさんのことを学ぶことができました。同じ生徒会メンバーで仕事をすることができればきっと楽しいと思いますし、大いに役立ってくれると思います」
アザレアがそう答えると、フリージアは嬉しそうに微笑んでうなずいた。
「そう、ありがとう。マリンさんはどう?別にみんなに合わせなくていいわよ。正直に自分の気持ちを述べてね」
そう言われてマリンは少し言い出しにくそうにしていたが、口を開いた。
「わっ、私はその…あの…ルーシィが入るのは別に何ともないと言いましょうか、それは別に構わないのですけれど……ただその、ルーシィが入るのでしたら……あの……るっ、ルビアは入るのでしょうか?」
「……んー…そうね。ルーシィさんが生徒会に入れないのなら自分も入らない、というのがルビアさんが生徒会の話を蹴った理由ですからね。ルーシィさんが生徒会に入るのであれば、ルビアさんが生徒会に入らない理由は特にありませんね。
まぁ、私としてもルビアさんにも生徒会に入って欲しいと思います。ちょっと同学年から4人って言うのは前例が無いですけど…でもどの方も必要な人材だと私は思います…それにルーシィさんとルビアさんは今は風紀ギルドに属しているので、マーシャなら納得してくれるかと」
「…そう、ですの」
それを聞いてマリンは困ったように少し赤らめた頬を指でぽりぽりと掻いた。
「…嫌ですか?」
「いえ、あの、嫌というわけではなくて…」
「会長、むしろ逆だと思います。マリンはルビアさんの方にむしろ入って欲しいんです」
「ちょっ!あっ、アァァアアザリィイィ!?おっ、おかしなぁことぉ言わないでくれるぅかしらぁ!?わたくし、そんなことひとっ事も言ってませんけどぉ!?」
隣に座っていたアザレアがそう言うと、マリンは顔を真っ赤にして立ち上がり、目を白黒させながら早口でまくし立てた。
「いやいや、言わなくてもわかるわよ。口を開けばいっつもルビアさんの話するし、それに知ってますか?マリンの部屋の机には自分で描いたルビアさんの似顔絵が貼ってあるんですよ」
それを聞いたみんなが、「えぇ…」と言った感じで少し引いているのを感じ、マリンはさらに動揺して弁明する。
「そっ、そそ、それは、あぁあれよっ!倒すべき憎きライバルを目に焼き付けて、あの時負けた悔しさを忘れず闘志に火をつけるためですわ!」
「いや、倒すべきライバルの顔はあんなに可愛く描かないでしょ……」
「マリン…お前それは……ストーカーちゃうか?」
「えっ、そんなっ!なんでですの!好きな人の似顔絵描くのが犯罪なのですか、誰にも迷惑かけてませんわ!」
「いや、言うに事欠いて、もう好き言うてしもうてんで」
「あっ、いやっ、ちがっ、いぃ、今のは言葉のあやでっ、私がるっ、ルビアのことが、すっ、すぅ~、すきっ、好きとか、そういうことではなくてですね、あくまで一般論、そう、一般論の話で!」
「あらぁ、マリンさん、そうだったのねぇ。まぁ、ルビアさんはかっこいいものね。女子でも好きになる気持ちはわかる気がするわ」
「あれやろ、こてんぱんにやられたことで逆に分からせられてしもたんやろ?またあの全然相手にされてない感じがたまらんのとちゃうか?」
「ちっ、ちがっ、違うんですぅ、ほんとに違うんですのぉ~…」
顔を真っ赤にしながら否定するマリン。それをサラは何も言わずに静観していた。
ルーシッドに全く同じように完膚なきまでに負けて分からせられたことで、逆に好きになってしまった自分に火の粉が飛んでこないように、気配を殺して静かにしていたかどうかは定かではない。ニータはそのサラの白々しい顔を横目で見つめていた。
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