恋人に捨てられた僕を拾ってくれたのは、憧れの騎士様でした

水瀬かずか

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番外編

罪科の足音3

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「じゃあー……、おら、尻を出せ」

 いつもの明るい声が、一瞬で低く威圧的な物になる。なんだ、とテッドが疑問に思う前に、ガンッとうつ伏せに身体を床に押さえつけられた。

「い゛……ッ」

 痛みに叫ぶ前に、背中を押さえつけられていた手が離れ、髪を乱暴に掴み上げられる。

「い゛だ……っ、なっ、らう……ッ」
「うるさい。しゃべるな」

 低い声の後、頭を床に打ち付けられる。

「なに、すんだ、てめ……っ」

 叫ぼうとすると、また髪をぐっと引き上げられ、引っ張られる痛みに顔を顰めた直後、再び頭を床に打ち付けられる。
 ゴツッ。
 そのままゴリゴリと頭を床に押さえつけられ、頭をそのまま潰されそうな痛みと恐怖でテッドは悲鳴を上げた。

「……うるさいな」

 ラウールの低い声が聞こえ、またも髪を掴んで顔を上げさせられると「黙れ」と低い声で命令された。
 痛みで混乱すると同時に、クラクラして訳がわからなくなる。

 下半身の衣類を剥ぎ取られ、潤滑剤が取り出されるのに気付き、テッドは我に返って逃げようとした。
 バチンという破裂音がして、衝撃と熱さを感じる。尻を叩かれたと気付いた瞬間、屈辱にカッとなる。

「お前……っ、ふざけんなよ……!!」

 振り向きざま怒鳴った瞬間、またもガツンと頭を床に押さえつけられた。

「喋るな。動くな。さっきから言ってるのに、まだわからないのか? ……わかるまで身体に教えようか」

 ぐぐぐ……と床にこめかみから押さえつけられ、再び痛みと恐怖で叫ぶ。泣き叫びながらラウールに謝った。

「やめっ、ごめ、ごめ、なさっ……」
「黙れと言っている」
「……ッ」

 いつ止むかわからない暴力に、テッドは震えながら身を固くし、口を噤んで、終わらない痛みに耐えた。

 ふっと手が外され、鋭い痛みが消える。
 叩き付けられた顔も髪を引っ張られた頭もズキズキと痛む。けれど、頭を割られるような痛みから逃れた安堵で、テッドはぐったりと身体を横たえる。
 尻にぐちゅりと潤滑剤が塗りつけられたが、もはや気にもならなかった。
 これから抱かれるのだろうか。……どんな風に……?
 ぞわりとした恐怖が込み上げた瞬間。
 ばぢゅん!
 慣らされることなく、ラウールが奥まで突き上げた。

「あ゛ーーーーー!!!!」

 絶叫が響いた。

「だまれ」

 ガツガツと腰を叩き付けられる。

「い゛っ、だい゛っ、ぎゃっ、やめっ、ひぃっ、ひぃっ」

 慣らされずに奥まで抉られる痛みはテッドの知らぬ痛みだ。引き連れるような、割けてしまいそうな、そんな恐怖が込み上げるのに、叫ぶしかできないまま、延々と揺さぶられる。

 痛い、痛い、痛い……なんで……こんな……っ

 痛みと苦しさと惨めさでぼろぼろ涙がこぼれるが、逃げる術もない。逃げようとすれば、また床にたたきつけられるのだろう。

「ははは、痛い? でもさぁ、ここ、裂けもせずに、簡単に咥え込んじゃったねぇ?」
「ひぃ……っ、いだぃっ、や、やめ……っ、……お゛っ」

 バチュンと奥を抉られて、がくがくと震える。苦しい。喉から突き上げるような息が漏れて、息が一瞬止まる。

 痛い、痛い……。なんで、俺が、こんな……。

「でも、痛いって言ってるけど、お前のちんぽ、ガチガチ」

 嘲笑う笑い声に、嘘だという思いと羞恥とが込み上げる。けれど、ぎゅうっと自分の勃起したそれを強く握りしめられて「ぎゃぁぁぁ!!!」と、痛みと恐怖で悲鳴を上げる。

「ああ、ごめんごめん、ちょっと強く握りすぎたね」

 軽すぎる謝罪にぞっとした恐怖が込み上げる。

 こいつは、俺がどうなってもいいんだ……。

「こんなに痛くしちゃっても気持ちよくなっちゃうなんて、だいぶ淫乱になっちゃったねぇ……かわいいよ」

 笑い声と共に、耳元で囁かれ、ぞわぞわとした恐怖が背筋を走る。

「あははは! なに? 気持ちよかったの? お前の雌穴、めちゃくちゃ美味そうに俺のチンポしゃぶってるんだけど」
「も、いやだ……やめて、くれ……」

 抵抗する気も起こらず、懇願した。さっきまでの低い声じゃない。今なら、聞いてくれるかもしれない。テッドは顔だけ背後のラウールに向けた。

「だーめ。もうちょっとがんばろうねぇ?」

 にっこりと笑ったラウールは、相変わらず美しかった。けれど、弧を描いた目がひどく恐ろしく見えた。もし、嫌だと言えば、あの笑顔は、どうなるのだろう。

「返事は? がんばれるね?」

 強要してくる優しい声色に、テッドはにじむ涙を堪え、震えながら頷いた。

 延々と犯された。以前までのひたすらテッドの快感を優先するものとは正反対の抱き方だ。もはやプレイなどではない。暴力だった。


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