辺境子爵家長男はモブ。流され転生バッチ来い!

内村うっちー

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第一章「記憶あるのに個人情報なし」モブなオレ。

第二話「前門の冒険者。後門に美少女」ヤバくねぇ?

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「ネタじゃない。ホントなんでこうなるの」記憶融合すると怒涛の展開だった。

 前門での冒険者テンプレが起こる前だ。後門になる背後で響いた少女の絶叫。
ギルド登録に訪れた酒場で絡まれる少女。助ける展開ならテンプレなんだよね。

 冒険者ギルドは重厚な木造の二階建て。かなり先に木製の扉が見える位置だ。
「その汚い手。放しなさいよっ!」少女の絶叫は誰が聴いても襲われる五秒前。


 絶妙なテンプレ返し。いや「セーブ・ザ・キャットの法則」これも本線かな。
物語を盛り上げる状況展開。襲われる少女を助ける主人公はテンプレの始まり。

 地味で主人公じゃない。それでも必要とされるならテンプレ展開も悪くない。


 おそるおそる首を振ってチェックする。正しいテンプレの三人娘なんだけど。
そう誰が見てもお忍び徘徊する貴族さま。まずいマズイ不味すぎる少女なんだ。

 偽装する必要もない地味な外見のオレ。一般人と変わらない服装でも貴族だ。
それでも間違いなく遠いどこかの未来軸。この町を含めた子爵領の後継になる。


 目前は問題を起こそうとする無頼漢だ。もちろんテンプレを外さない五人衆。
うだつのあがらない若くもない冒険者だ。誰が見ても当て馬だからひどすぎた。

 誰一人としてイケメンがいない小汚さ。正しい意味でチンピラだから困るよ。
ただのゴロツキなら問題なくても冒険者。魔法使いまで混ざってるとかヤバい。

 この異世界にいるはずもないゴリラ顔。そいつが太い腕に抱え込む美少女だ。
なぜか記憶にいる顔と一致したから問題。慈悲もない元同級生は隣のクラスだ。


 記憶によれば距離を置いた隣領伯爵家。そのご領主当人と本妻さまの次女だ。
やばいよやばいよマジでやばい状況だよ。記憶にある三人組だから間違いない。

 記憶の中世ヨーロッパじゃありえない。貴族さまと平民が関わるはずもない。
このサンパールと呼ばれる大陸は絶妙だ。典型的なテンプレの世界観で複数国。


 どこかの誰かさんがテンプレ設定した。世界を含めた環境が微妙すぎるんだ。
もちろん貴族が対象の犯罪行為はヤバい。平民が問題を起こせば死罪も確定だ。

 一族と郎党まで巻きこんで打ち首獄門。下手すると村ごと町単位での虐殺だ。
それでもバカはどこの世界にもいるんだ。常識のないバカは生きる資格がない。


「そこのオバカさん。最後の忠告になる。ここで手を引くなら見逃してあげる」
 構えずにゴミ扱いの命令口調になった。気分だけは物語世界の主人公なんだ。

 驚く姿はガラ悪い冒険者だけじゃない。周りの町民や少女たちも同様だった。

「アンタどこかで会った? 地味……顔。どうして関係ないのに介入するのよ」
 双眸を開いて叫ぶ少女は真っ当だよね。とてもじゃないけど貴族に見えない。


「いろいろと訳アリなんだよね。ゴメン」謝罪して左指先全集中。巨大な炎だ。
徐々に膨張で巨大化するファイアボール。認識してざわざわするゴロツキども。

 あわてる顔の2メートル近いゴリラ男。少女の身体を突き飛ばしても手遅れ。
改めて周囲を確認する五人組が固まった。前にいギルドの職員と上級冒険者だ。

 オッサンは背中の巨大な剣を抜く寸前。職員美女は無言で魔法を放つ準備だ。
左右首を振りながら片手を伸ばし苦笑い。お手上げで処置なしの意味だろうか。


 ダラダラ汗が止まらない五人組なんだ。冒険者の末期には慈悲もありえない。
死罪にはならないよう口添えするつもり。その意識も領主一族の義務感だけど。

 妙にニヤニヤ手招きのオッサン冒険者。ゴリラを呼ぶオッサンは古い知人だ。
運動から剣術の指導までお世話になった。親父のパーティーメンバーは無双だ。

 もちろん自由を好んで選択した冒険者。爵位を蹴ったA級は人類最強レベル。
美人は何度も家を訪れたギルドの副代表。超絶美女に見える恐ろしいエルフだ。


 あっさり身バレしたから仕方ないよね。両手のひらを上にして背後を進んだ。
「別にアンタたちまで来なくていいけど。なんかさぁ距離感が妙に近くねぇ?」

「アンタこそまさかの魔法学校で同期? どこかに見覚えのある顔がさぁ……」
 隣人と呼べるかわからない伯爵令嬢だ。なんかビックリ。オレをしってるの?

「そうですね……モンタナ伯爵令嬢さま。紹介遅くなりまして申し訳ないです。
わたくしども子爵家を拝命しております。領主の長男でお隣のクラスでしたよ」

「アーッ見たことあるある。有名な勇者と魔女の長男でも超絶地味な空気くん」


 おぅふっ。まったく褒められてないね。でも認識された驚きの美少女ちゃん。
「サンパレス侯爵令嬢さま……でしたか。改めてですが初めましてになります」

「アッハッハーおもしれぇヤツじゃんか。魔法学校で会話のできない空気くん」
 からかい口調の割に嫌味ない長身痩躯。美少女戦士は魔法学校でも有名人だ。

「こちらもお返し致します第三王女さま。麗しのお顔を拝見しまして恐悦至極」
 なんでアンタ辺境のここにいるんだよ。ここにいちゃダメだおかしいじゃん。

 いやいやいやいやテンプレありえねぇ。360度一周する展開おかしいから。


 典型的な巻き込まれ型の主人公じゃん。苦難の日々を送るタイプのハーレム。
やばいよやばいよ天丼でも仕方ないから。こんな主人公じゃ誰もが納得しない。

 ハーレム風……そうだそう。それだよ。ハーレムに見えて絶対ならないヤツ。
地味平凡なフリをするやれやれ系主人公。なんかありえないネタでもないけど。


『ちょっと待ってちょと待ってお嬢さん。異世界ハーレムってなんですのん!』
 一瞬おかしな脳内パニック状態だった。……オレの前世って吉本の芸人さん?


 まさかアイちゃんがしばく新喜劇俳優。あの流れだけは勘弁してねお願いだ。
パチパチパンチも無理だ無理だムリムリ。カメじゃないから腹筋はできるけど。



「ねぇ空気くん。ちゃんと聴いてるかな。無理とかイヤなんて絶対いわせない。
アタシたちそれぞれの目的があるからさ。それぞれが強くなるのも絶対条件ね」

 うるうる目線で真珠の涙を浮かべる姿。見上げる瞳は絶対可憐なチルドレン。
空気くん呼びも現実そうだから認めるよ。だけどさぁ。対応どっかおかしくね。


 地味なオレが三人娘……便宜的に呼ぶ。フルネームもしらない美少女たちだ。
伯爵令嬢。侯爵令嬢。第三王女。三人同伴でダンジョン攻略することになった。

 絶対おかしい。完全死亡フラグじゃん。前と後ろに逃げ場のないワナまみれ。

 行きはよいよい帰りはコワいじゃねぇ。ダンジョン前から転生終わってるわ。
新しいフラグ……違う。妄想のアレだよ。なんか自分でフラグ立てたんじゃね?


『チートの能力はない。明るく楽しみながら死ぬまで笑ってすごしたいんだよ』

 いやいやチートの科学技術は芽生えた。明るく楽しい美女ばっかりの三人娘。
それでも絶対マズい。正しい意味だから。前門の虎後門の狼そのまんまじゃん。
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