辺境子爵家長男はモブ。流され転生バッチ来い!

内村うっちー

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第一章「記憶あるのに個人情報なし」モブなオレ。

第六話「金の宝箱。命の法具どっち?」世知辛いよ。

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「ふーん信じられない……早すぎるわね。たった半日よ。美少女のハーレム?」
 いぶかしむ視線で胡散臭そうに語る声。レイラさんが凄んだら怖すぎるよね。

 なんだろう討伐報告に再訪したギルド。木製扉を潜った瞬間からヤバすぎた。

 早い時間帯だからあまりひとはいない。酒場で飲食いするバカも無視でいい。
入室後刺さるそこかしこの視線がヤバい。受付嬢に階段まで速攻引きずられた。


 おかしい。こうなる理由がわからない。どこかが間違いでなにかが悪かった。
右腕にすがりつく姿は小柄な妹系美少女。左が腕を絡める金髪天然系お嬢さま。

 後ろで上着の下端をつかむ長身女性だ。わざと短い髪にした金髪美少女戦士。
いやいやいやいやマジでおバカなんだよ。いろんなことまで想像するとヤバい。


 あれは三年前……昔の話じゃないから。早朝に目覚めた直後で余計おかしい。

 なじみの天井で安心したら記憶が統合。流れで登録にきたギルド。手前の……
テンプレだ。異世界になろう転生だった。オタクのネタと苦労した前世の記憶。

 いろんな立場の状況とネタが芽生える。美少女見守り隊長はお仕事じゃない。
だがしかし……ネタのハーレムは全開だ。なろう小説で定番だから超絶ヤバい。


 また時間を戻してダンジョン10層……ビッグベアだ。瞬殺した直後になる。

 偶然が作用した。稼いだ経験値は多い。美少女を守りたい……だけじゃない。
塩と香辛料を投擲。超絶カンタンだった。転生記憶と過去の訓練を融合させた。

「ジンさん……助けて。マジ弱っちぃよ」おまけに金色。宝箱まで現れたんだ。
「ヤバい。ヤバいよ。ヤバすぎる」オレは……主人公じゃないよ。モブなんだ。


 15歳なりの身長に細マッチョの肉体。黒い髪の平面顔は誰が見ても地味だ。
ほとんど記憶にない無口ですごした数年。女の子にモテる要素を探してみるよ。

 前世なら割と平凡な公家系ショーユ顔。実は脱ぐとスゴイ系の細マッチョだ。
女性には真摯な紳士であれと教育された。前世記憶と概念から火魔法は進化系。

 勇者と魔女が両親で師匠は無双になる。辺境に近い新興子爵家の長男で誕生。
二歳下に男女双子で生意気な弟妹がいる。基本は放置されるボッチで大金持ち。

 ダンジョンには出会いを求めていない。依頼のお仕事が美少女見守り隊長だ。
魔法学校卒業特権でいきなりD級の登録。剣技と高度な格闘技術は自慢できる。

「おぉ?」もしやもしかでもしかするの。おバカな貴族は除いても有能じゃね?


 子供時代のオヤジもこんな状況だった。辺境の神童扱いからダンジョン行き。
「力が正義だっ!」おバカ頭で特攻した。気づけば魔女と無双とエルフに貴族。

 常勝無敗のパーティーが誕生したんだ。メンバーが伯爵さまとレイラさんか?

 ヤバいヤバいヤバい隣領の伯爵さまだ。確か侯爵家と王家に連なる縁戚派閥。
バカなオヤジは国王さま直々での任命だ。つまり……オレでも囲いこまれるの?


 ギルド代表のご老人もかつては教育者。国王から高位の貴族多数を教育した。
つまりつまりつまりワナに引っかかった。昔からオレを理解するギルド幹部だ。

 侯爵令嬢は年齢まで詐称した甘えた系。伯爵令嬢も親から過去を伝えられた。
もちろん第三王女は同様に国王の愛娘だ。ハメられたか偶然かもいまさらだよ。


 オレにもそれなりの土台と素養はある。偶然だけど記憶が覚醒したのは早朝。
あまりにタイミング良すぎる感はあるよ。それでも美少女の見守りを任された。

 その結果わずか半日で10層を攻略だ。莫大な経験値まで同時に手に入れた。
おバカな王族とか貴族なら余裕で倒せる。それでも新たに婚約の候補は必要だ。


 勇者と魔女の長男……悪くない選択肢。性格と能力を確認するため近づいた。
偶然に感じるような細工されたクモの糸。見えないクモの巣に捕らわれたオレ。

 こんな結果でも宿命と呼ばれるのかな。それとも運命の出会いと呼ばれるか。
魔法学校時代はオレであって違う誰かだ。オレたちも近いのに認識していない。

 未来は誰にも見えないからわからない。まぁ仕方がない。それも成り行きだ。


 豪奢な宝箱にワナがあるはずもないね。これも因果であり応報かもしれない。

 見事なほどの予定調和……誰かの作為。それぞれに必要な武器と防具なんだ。
使用者好みに合致した能力で高い性能だ。高レベル冒険者パーティー爆誕だよ。

 美少女たちの双眸が驚きに見開かれる。初めに視点を戻して考えるしかない。
オレはモブだけど巻きこまれサブ主人公。この異世界で必要とされて選ばれた。


 視点を変えれば方向性と目線も変わる。世界それとも三人の誰かは主人公だ。
それを前提にするなら立ち位置もわかる。振り回されて苦労するモブキャラだ。

 そのために必要ならば記憶が芽生える。主人公を助けるために置かれたモブ。

 それはそれでおもしろいかもしれない。主人公なら最後にかならず勝利する。
そこで誰が生き残れるかは決まってない。最後まで死なないために努力しよう。

 言霊みたいにおもらし実現が怖すぎる。それでも役得みたいな感覚はあるね。


 10層は狭い空間……奥までテンプレ。指定階に移動するエレベータがある。
行きはよいよい帰りはこわいの真逆だね。行きはよいよいで帰りもラクだった。

 異世界ダンジョンはかなりのお約束だ。ゲームの知識に異世界まで連動する。


「……アランくん。聴こえているかな?」「うぉぅ!」長すぎた脳内の妄想だ。
 もちろんここはギルド二階の代表部屋。正面にあきれた顔で語るレイラさん。

「えっとですね。すべてが偶然なんです。どこから表になるか裏があるのかな。
お伝えした方法でモンスターを倒せます。彼女たちそれぞれで認識も違います」

 間違いないけど達観した応答になった。美少女たちの真意が現状わからない。

「美少女三人を守る護衛役の意識に近い。オレがやるべきことなら逃げません。
生まれたときから未来は決まってるんだ。すべてを流れに任せるのも悪くない」


「ほほぉ。世界を救えと指示されたら?」豪華なイス。座る代表のエンデ老人。

「モブですけど可能な限りガンバリます。救うのも義務じゃなく自分の意志だ」
 エンデ老を見る目線を周囲移動させる。左で見つめる熱い視線は侯爵令嬢だ。

 すぐ右がフフンと鼻息も荒い伯爵令嬢。その先であきれる顔は第三王女さま。
オレが世界を救うのかよ。どんな状況だ……言霊ヤべぇ。うかつにもらせねぇ。
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