辺境子爵家長男はモブ。流され転生バッチ来い!

内村うっちー

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第二章「子爵領任され先が見えない」モブなオレ。

番外1「任務を拒否する権利がない?」これもオチ。

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「おはようアラン君。キミに対するお願いだ。喫緊で入手して欲しい物がある」
 いきなり前に現れた偉い人の言葉だ。目立つ口ひげ。金属鎧に全身を包む姿。

「キミが代理差配する子爵領でも高い難易度。上級ダンジョンのモンスターだ。
ラッキーキャット討伐でまれにドロップする。唯一無二アイテムがぜひ欲しい」
 呆然として声を発する間合いもなかったよ。呼吸できないオレが悪いのかな。

 どこか同じような依頼主。シチュエーションの古い海外ドラマあったじゃん。
チャッチャチャッチャチャッチャチャッチャチャララーン♪って幻聴が響いた。

 すげぇオッサンなのにスタント使わないイケメン俳優。あの映画版じゃない。
原題が実行不可能な作戦「ミッション・インポッシブル」邦題スパイ大作戦だ。


 すんげぇダサい昭和タイトル。スター・トレックの邦題が宇宙大作戦なんだ。
批判集中したからナイトライダーやブルーサンダー。シンプルでも格好いいね。

 もちろん前世ネタだから妄想。サンパールに理解できる人がいるはずもない。

 まぁ特攻野郎Aチームとかも超絶ダサい。それが一周回ればアリっぽいんだ。
白バイ野郎ジョン&パンチはカリフォルニア・ハイウェイ・パトロールでいい。


 改めて自己紹介が必要かな。そもそもおまえダレってツッコミどころだよね。
15歳で成人のサンパール。いわゆる中世ヨーロッパ風の異世界なろう転生者。

 誕生日に目覚めて強烈な異和感だ。異世界の15年と漠然とした前世の結合。
おかしなネタはガンガン浮かんでも個人情報のない日本だった。想い出がない。

 知識チートで魔改造とゲームの開発に調味料。生みだすのが定番なんだよね。
すでに似た代用品が魔法技術で再現されてたよ。前世持ちが過去にいたのかも。

 まずは冒険者ギルドに向かうとテンプレの嵐。襲われる美少女三人を助けた。
流されるようにD級登録から初心者ダンジョン。目標10層攻略でハーレム化。



 なぜか屋敷に美少女を案内するとテンプレだ。おバカ王子三人組の待ち伏せ。
ファイアボール威嚇だけで追い払えて助かった。そこから子爵代理に任命だよ。

 おかしなぐらいにスムーズすぎる展開だった。オレ以外ほぼ全員の企みごと。
指示した相手が国王なら批判できるはずもない。前内務大臣のお墨つきは得た。

 ここで冒頭に戻る……再び現れた近衛兵隊長。前はバカ王子の護衛役だった。
オレに会釈して王都で陛下に現状を伝えた相手。今回は勅命のアイテム手配だ。


 もちろん専門家が頼り……ギルド二階に移動。無双にエンデ老とレイラさん。
この案件でオレと仲間になにがあっても当局は一切関知しない……はずがない。

 今回のミッションはA級冒険者が絶対条件だ。前世記憶のスパイは関係ない。

 陛下勅命のダンジョンミッションがおかしい。D級なり立ての初心者なんだ。
子爵代理として高い難易度のドロップが目標物。上級ダンジョンは怖いからね。

 前内務大臣である家令から差配を学ぶ最中だ。初級のダンジョンも20層前。
アイテムについて情報収集とお助け人を依頼だ。ジンさんレイラさんがいるよ。


「ラッキーキャットのドロップ品。あれだよな。身にするだけでも運マシマシ」
 痛い経験があるらしいジンさんの顔も歪んだ。掌を上に向けて苦笑いしてる。


「タイミング次第で10層の周辺に現れますね。20層を超えることはないわ。
アラン君の相手に理想的すぎるモンスターかな。火魔法で倒すと高確ドロップ」
 無双と交代してレイラさんが詳細を伝えたよ。オレが有利なモンスターかよ。

「お前たちと近衛隊長。護衛なら問題なかろう。一緒にいて学べる機会になる」
 ギルド代表のエンデ老も苦笑いで了承したね。今回も逃げ場所がないらしい。

「お荷物だけどね……わたしたちも同伴します。王命なら婚約者として当然よ」
 背後にたたずむ三人の代表としてアリー王女。両サイドの二人もうなずいた。


 おかしな状況に流される……この転生フラグ。いつでも最初から変わんない。
大剣を構えて先頭を歩むのがA級冒険者の無双。すこし離れて近衛隊長が追う。

 細剣を手に真剣な顔の王女。その傍のオレだ。腕にしがみつく小柄なミーア。
シンシアとレイラさんが後背位置でチェックだ。ここは上級ダンジョン10層。

 いつも不思議と照明がなくても周囲は見える。もちろん洞窟形状に岩肌の壁。
迷宮と呼ばれるダンジョンは基本的に一本道だ。時折トラップが現れるぐらい。

 それでも口笛を吹く余裕のある無双ジンさん。20層まで楽勝らしいからね。
たまに出現するモンスターもほとんど鎧袖一触。複数が相手なら範囲魔法だよ。

 11層に降りるとなぜか一瞬空気が固まった。女性陣はキョロキョロ首振り。
「いよいよおでましらしい。ヤツらは群れない。まれに番の状況なら厄介だぜ」


 ジンさんの声が響くのとほとんど同時だった。奥の左右から飛んでくる電撃?

 予測したらしいレイラさんが魔法を展開する。風の防壁に弾かれるプラズマ。
イナズマ戦隊じゃない……ラムちゃん風味。『お仕置きだっちゃ』幻聴だけど。

 左壁の天井付近。なにか見えてファイアボールを無意識のまま放ったらしい。

 ドサッとなにか落下した音が響く。同時に右の天井付近から雷光が反撃した。
「うわぁっ!」ほとんど紙一重で避けたらしい。リアルの諸星あたる気分だよ。

 横転しながら左の指先に全集中っ。そのままおおきく振りかぶって投擲する。
「キャイーン!」ちょっと可愛い感じの鳴き声。もちろんお笑い芸人じゃない。


 なんとなく視線を移動させる。金色の猫だった。もちろんモンスターだけど。
一見するとトラ柄じゃない。1メートル近い大きさ。ヒョウかパンサー並みだ。


 見つめていたら光が消える。同時にキラキラと輝く玉ねぎみたいなドロップ?

「うぉぅ。いきなり一発目からゲットできたじゃん。あれが目的。金の玉ねぎ」
 うつろな視線に見える。おかしな態度のジンさんに納得してしまうアイテム。

『大きな玉ねぎの下で』歌が有名になった。日本武道館の屋根で光る擬宝珠だ。
 なんかおかしくねぇ? 今更かもしんないけど。あのまんまでドロップだよ。

 結局のところ午前の遅めに出発して日がある時刻。冒険者ギルドまで戻れた。

 いつものギルド代表室に到着する。落ちついた途端にため息までこぼれたよ。
「モンスターのドロップ品についてなんにもしらない。教えて欲しいんだけど」

「まぁ半ば以上公然の秘密だから問題ない。金の玉ねぎってどんなイメージ?」
「うーん植物とか野菜だよね。からくて切ると涙がでたりするから薬用品かな」

 躊躇しながらレイラさんから逆質問されたんだ。異世界に擬宝珠は関係ない。
「そっちじゃないんだよね。金いろの玉ねぎ……」レイラさんも苦笑いしてる。

「なるほど野菜じゃなくてキンタマ。ラッキーキャットのドロップですからね。
もしかしてになりますけど普段から身につける。子宝の効果があったりして?」
「それで正解よ。それなりの高値で取引されるんだけど痛しかゆし。珍品でね」

 ジンさんまで情けない表情でうつむいた。なんとなくイメージできちゃった。
「陛下のご依頼品です。隣国皇太子に嫁ぐご息女。次女に対するはなむけです」
「そうよね。お母さま違いになるけど。姉になる第二王女は優しいひとだから」

 よくよく考えてみる。確かに大っぴらにできないネタ成分。多分に含まれる。
激務だろう近衛隊長が単身なんだ。この辺境子爵領にアリー第三王女も滞在中。

 これでも終わりよければすべてよし。いずれ義理の姉になるのかもしんない。
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