19 / 123
お言葉に甘えて7
しおりを挟む
「ええとね…、お客さんにはこういう事しないんだ、基本的には…、一応…、こっちは公私を分けたいから…。ただ、三上さんとは仕事で知り合った人でも、店に来て知り合った人でもないし…いいかな、と」
「…はあ…」
「仕事の利害関係とか、面倒な人間関係とかない人と、こう、他愛もない話したりとか、飲みに行ったりとかしたいなって思ってて…それで…、三上さんさえ良かったら…僕、だいぶ年上だけど、えーっと、そのー…友達…に、なってもらえないかなあと…」
そこまで言われて、日和はハッとした。
「すいません、空気読めなくて! 嫌なんて全然! 良いんですか?」
「いや、お願いしてるのはこっちだよ」
日和の頓珍漢な答えに、副島は例の少年の様な顔で笑った。
「それも、そうですね…」
「仕事に出てる時間は、夜は十八時から朝はお客さんが帰るまでだから…、なかなか外で飲むのとかは無理かもしれないけど」
「大変ですね…。それなら、休みの日ならどうですか?」
「うちは水曜が固定の休みだから、合わないかなーって思ったんだけど…」
「大丈夫ですよ、たぶん。俺、友達全然いなくて、仕事場と家の往復みたいな生活してるんで」
日和が苦笑いを浮かべていると、副島は、
「じゃあ、今度の休み、仕事の帰りにでもいいから、どっかで少し飲もうよ」
と言ってくれた。
「嬉しいです、楽しみにしてます」
日和はスマホを取り出して、紙に書いてあるアドレスを登録していく。
それを見ながら、
「よかった。気持ち悪がられるんじゃないかと思って、ひやひやしてたんだよね」
副島はそんなことを言った。
「どうして…ですか?」
「いや…、三上君よりだいぶ年上のおじさんがね、プライベート用の携帯のアドレス渡すとか…、なんか…、へんな感じしない? 狙ってる~みたいな」
「…あぁ!」
そう言う事か、と俺が膝を打つのを見て、副島が噴き出した。
「なんだ、気にしすぎだったのかぁ」
「俺にそういう魅力を感じる人がいるなんて思ってないので、そういう事は考えませんでした」
副島の表情が何となく固まったような気がして、日和は首を傾げる。
「失礼な事聞くようだったらごめんね…? 三上さんって、恋人は…?」
「居たら、週末の夜に来ないと思います」
日和は自分の自虐的な言い回しについ苦笑いを浮かべてしまうと、副島は慌てたように手をぱたぱた振った。
「すいません、プライベートに立ち入って」
「いや、良いですよ。事実ですし」
登録したアドレスに、『三上です、よろしく』と短いメッセ―ジと電話番号をつけて送信する。すぐにどこからかバイブ音が聞こえて来た。
「アドレス、送っておきました」
「ありがとう。じゃあ、…今度の休みの前に連絡入れるね」
「はい。じゃあ…そろそろ。今日はごちそう様でした」
「いえいえ、こちらこそ楽しい時間をどうもありがとうございました」
そんなやり取りをしながら、日和は副島の店を出た。時刻は二十一時を少し回った所だった。
もしかしたら、社交辞令的な事だったのかもしれない。それでも、嬉しかった。まさか、相手から友達になりたいと言ってくれるなんて。
(もし社交辞令だったとしたら、本気にして連絡するのは…、何か言われたりするかもしれないなあ。でも…さすがにそんな風に考えるのは副島さんに失礼かな…)
そんなことを考えながら、日和はいつもとは違う感覚で帰路にについた。
「…はあ…」
「仕事の利害関係とか、面倒な人間関係とかない人と、こう、他愛もない話したりとか、飲みに行ったりとかしたいなって思ってて…それで…、三上さんさえ良かったら…僕、だいぶ年上だけど、えーっと、そのー…友達…に、なってもらえないかなあと…」
そこまで言われて、日和はハッとした。
「すいません、空気読めなくて! 嫌なんて全然! 良いんですか?」
「いや、お願いしてるのはこっちだよ」
日和の頓珍漢な答えに、副島は例の少年の様な顔で笑った。
「それも、そうですね…」
「仕事に出てる時間は、夜は十八時から朝はお客さんが帰るまでだから…、なかなか外で飲むのとかは無理かもしれないけど」
「大変ですね…。それなら、休みの日ならどうですか?」
「うちは水曜が固定の休みだから、合わないかなーって思ったんだけど…」
「大丈夫ですよ、たぶん。俺、友達全然いなくて、仕事場と家の往復みたいな生活してるんで」
日和が苦笑いを浮かべていると、副島は、
「じゃあ、今度の休み、仕事の帰りにでもいいから、どっかで少し飲もうよ」
と言ってくれた。
「嬉しいです、楽しみにしてます」
日和はスマホを取り出して、紙に書いてあるアドレスを登録していく。
それを見ながら、
「よかった。気持ち悪がられるんじゃないかと思って、ひやひやしてたんだよね」
副島はそんなことを言った。
「どうして…ですか?」
「いや…、三上君よりだいぶ年上のおじさんがね、プライベート用の携帯のアドレス渡すとか…、なんか…、へんな感じしない? 狙ってる~みたいな」
「…あぁ!」
そう言う事か、と俺が膝を打つのを見て、副島が噴き出した。
「なんだ、気にしすぎだったのかぁ」
「俺にそういう魅力を感じる人がいるなんて思ってないので、そういう事は考えませんでした」
副島の表情が何となく固まったような気がして、日和は首を傾げる。
「失礼な事聞くようだったらごめんね…? 三上さんって、恋人は…?」
「居たら、週末の夜に来ないと思います」
日和は自分の自虐的な言い回しについ苦笑いを浮かべてしまうと、副島は慌てたように手をぱたぱた振った。
「すいません、プライベートに立ち入って」
「いや、良いですよ。事実ですし」
登録したアドレスに、『三上です、よろしく』と短いメッセ―ジと電話番号をつけて送信する。すぐにどこからかバイブ音が聞こえて来た。
「アドレス、送っておきました」
「ありがとう。じゃあ、…今度の休みの前に連絡入れるね」
「はい。じゃあ…そろそろ。今日はごちそう様でした」
「いえいえ、こちらこそ楽しい時間をどうもありがとうございました」
そんなやり取りをしながら、日和は副島の店を出た。時刻は二十一時を少し回った所だった。
もしかしたら、社交辞令的な事だったのかもしれない。それでも、嬉しかった。まさか、相手から友達になりたいと言ってくれるなんて。
(もし社交辞令だったとしたら、本気にして連絡するのは…、何か言われたりするかもしれないなあ。でも…さすがにそんな風に考えるのは副島さんに失礼かな…)
そんなことを考えながら、日和はいつもとは違う感覚で帰路にについた。
15
あなたにおすすめの小説
BL小説家ですが、ライバル視している私小説家に迫られています
二三@冷酷公爵発売中
BL
BL小説家である私は、小説の稼ぎだけでは食っていけないために、パン屋でバイトをしている。そのバイト先に、ライバル視している私小説家、穂積が新人バイトとしてやってきた。本当は私小説家志望である私は、BL小説家であることを隠し、嫉妬を覚えながら穂積と一緒に働く。そんな私の心中も知らず、穂積は私に好きだのタイプだのと、積極的にアプローチしてくる。ある日、私がBL小説家であることが穂積にばれてしまい…?
※タイトルを変更しました。(旧題 BL小説家と私小説家がパン屋でバイトしたらこうなった)2025.5.21
Take On Me
マン太
BL
親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。
初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。
岳とも次第に打ち解ける様になり…。
軽いノリのお話しを目指しています。
※BLに分類していますが軽めです。
※他サイトへも掲載しています。
【完結】取り柄は顔が良い事だけです
pino
BL
昔から顔だけは良い夏川伊吹は、高級デートクラブでバイトをするフリーター。25歳で美しい顔だけを頼りに様々な女性と仕事でデートを繰り返して何とか生計を立てている伊吹はたまに同性からもデートを申し込まれていた。お小遣い欲しさにいつも年上だけを相手にしていたけど、たまには若い子と触れ合って、ターゲット層を広げようと20歳の大学生とデートをする事に。
そこで出会った男に気に入られ、高額なプレゼントをされていい気になる伊吹だったが、相手は年下だしまだ学生だしと罪悪感を抱く。
そんな中もう一人の20歳の大学生の男からもデートを申し込まれ、更に同業でただの同僚だと思っていた23歳の男からも言い寄られて?
ノンケの伊吹と伊吹を落とそうと奮闘する三人の若者が巻き起こすラブコメディ!
BLです。
性的表現有り。
伊吹視点のお話になります。
題名に※が付いてるお話は他の登場人物の視点になります。
表紙は伊吹です。
青は藍より出でて藍より青し
フジキフジコ
BL
ヤクザの跡取りの高校生とその同級生の話。高校生からはじまり40代になるまで続きます。
【青は藍より出でて藍より青し】本編。高校時代。
【番外編/白い花の家・月を抱く】葉月と綾瀬が出会った頃の話。
【番外編/Tomorrow is another day ・Sweet little devil】綾瀬と高谷の高校時代の短いエピソード。
【朱に交われば赤くなる】本編「青は藍~」の続き。
【狭き門より入れ】本編「朱に交われば~」の続き。7年後のお話になります。
【番外編/BLEED】篤郎の事情
【三代目の結婚】本編「狭き門~」の続き。綾瀬の結婚問題。
【番外編/刺青】高谷×綾瀬のいちゃいちゃ
【瑠璃も玻璃も照らせば光る】本編「三代目の結婚」の続き。主役は篤郎です。エピローグに高谷×綾瀬のいちゃ。
【番外編/古傷】高谷×綾瀬のいちゃいちゃ
【番梅花は蕾めるに香あり 】本編「瑠璃も玻璃~」の続き。高谷と男子高校生の話。
【天に在らば比翼の鳥】本編の完結編。
他シリーズ『チェリークール』の【番外編】「東京ミスティ」「東京ミスティ2」「微笑みの行方」に綾瀬と高谷が出ています。
僕の部下がかわいくて仕方ない
まつも☆きらら
BL
ある日悠太は上司のPCに自分の画像が大量に保存されているのを見つける。上司の田代は悪びれることなく悠太のことが好きだと告白。突然のことに戸惑う悠太だったが、田代以外にも悠太に想いを寄せる男たちが現れ始め、さらに悠太を戸惑わせることに。悠太が選ぶのは果たして誰なのか?
相性最高な最悪の男 ~ラブホで会った大嫌いな同僚に執着されて逃げられない~
柊 千鶴
BL
【執着攻め×強気受け】
人付き合いを好まず、常に周囲と一定の距離を置いてきた篠崎には、唯一激しく口論を交わす男がいた。
その仲の悪さから「天敵」と称される同期の男だ。
完璧人間と名高い男とは性格も意見も合わず、顔を合わせればいがみ合う日々を送っていた。
ところがある日。
篠崎が人肌恋しさを慰めるため、出会い系サイトで男を見繕いホテルに向かうと、部屋の中では件の「天敵」月島亮介が待っていた。
「ど、どうしてお前がここにいる⁉」「それはこちらの台詞だ…!」
一夜の過ちとして終わるかと思われた関係は、徐々にふたりの間に変化をもたらし、月島の秘められた執着心が明らかになっていく。
いつも嫌味を言い合っているライバルとマッチングしてしまい、一晩だけの関係で終わるには惜しいほど身体の相性は良く、抜け出せないまま囲われ執着され溺愛されていく話。小説家になろうに投稿した小説の改訂版です。
合わせて漫画もよろしくお願いします。(https://www.alphapolis.co.jp/manga/763604729/304424900)
イケメンキングαなおじいさんと極上クィーンΩなおばあさん(男)の幸せをねたんで真似したゲスなじいさんとばあさん(男)がとんでもないことに
壱度木里乃(イッチー☆ドッキリーノ)
BL
誰もが知っている昔話の懐かしさあり、溺愛あり、禁断の主従関係ありの――BL大人の童話第2弾。
戸籍年齢と肉体年齢が見事に一致しないオメガ妻を愛するイケオジの桁外れな武勇伝です。
※ですます調の優しい語り口でお送りしながら、容赦なくアダルトテイストです。
※少し変わっています。
※エンターテイメント型小説として楽しんで頂ける方向けです。
※横書きの利点として英数字表記も併用しています。
※美表紙はのんびり猫さん♡
うちの鬼上司が僕だけに甘い理由(わけ)
藤吉めぐみ
BL
匠が勤める建築デザイン事務所には、洗練された見た目と完璧な仕事で社員誰もが憧れる一流デザイナーの克彦がいる。しかしとにかく仕事に厳しい姿に、陰で『鬼上司』と呼ばれていた。
そんな克彦が家に帰ると甘く変わることを知っているのは、同棲している恋人の匠だけだった。
けれどこの関係の始まりはお互いに惹かれ合って始めたものではない。
始めは甘やかされることが嬉しかったが、次第に自分の気持ちも克彦の気持ちも分からなくなり、この関係に不安を感じるようになる匠だが――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる