【完結】 異世界に転生したと思ったら公爵令息の4番目の婚約者にされてしまいました。……はあ?

はくら(仮名)

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33 立ち向かうという決意


 ホースが写真へと手をかざし、写真の上部の空間に先ほどリズが見たのと同じウィンドウが出現する。そしてそこに先ほどと同じ、フランソワーズと二人の不良学生の記録映像が映し出されていった。
 その映像を一目見たとき、まずヴォクス夫人がこぼしたのは、ぱらぱら漫画を見たときのホースと同じような驚きの声だった。

「これは……⁉ 魔法って凄いのね……」
「『エイゾウ』という概念だそうです。……私も、つい先ほどリーゼロッテ様より伺った概念でして、詳しいことはリーゼロッテ様にお聞きください」

 ホースがちらりとリズのほうを見て、ヴォクス夫人もまた一度リズを見る。リズは一瞬どきっとしてしまったが、二人はすぐにまた記録映像に顔を戻した。
 ……まさか前世の世界では当たり前のものだったなんて、言っても信じないよね……。そう思いながら、リズも記録映像を見つめる。

 映像を見始めた当初のヴォクス夫人は、これがなにを意味しているのか、いまだによく分かっていないようだった。ホースとリズが事前説明を省いていたのでその反応は仕方がなかったのだが……二人の不良学生がフランソワーズと会い、そこで交わされる会話を目にしたときから、ヴォクス夫人は真面目な顔つきになる。

 ついさっきリズとホースも目にした会話。フランソワーズが策を立て、不良学生達が実行した計画……そして不良学生達が去ったあとの、フランソワーズが一人つぶやく、ヴォクス家を乗っ取る策謀。
 リズの気持ちを考えてさっきホースが映像を止めた箇所まで映し終えると、ホースはまたそこで映像を一時停止した。ホースが口を開く。

「これが、この写真に記録されている事実でございます」
「…………」

 口を閉ざして神妙な顔をするヴォクス夫人。
 ホースは今度はリズに顔を向けて言う。

「リーゼロッテ様。先ほどもここで見るのをやめましたが……エリザベス様との事実確認のために、このあとの続きを映したいと思います。もしご観覧するのがお嫌であれば、お席をお外しになられても……」
「いえ、わたしも見ます。これはわたしの問題でもあります。見させてください」
「……承知いたしました」

 リズの顔には、困難に立ち向かうという、己に害なす悪に立ち向かうという決意があった。彼女のその決意を汲み取って、ホースが再び手をかざして映像の続きを映し出そうとしたとき……。
 唐突に部屋のドアが開かれて、聞き覚えのある声が……ついいましがたまで見聞きしていた声と姿が室内に入ってきた。

「スクエア様ぁー、貴方のことを愛していて、貴方も愛している愛しのフランソワーズが遊びに来ましたよぉー」

 それは件のフランソワーズに違いなかった。開け放したドアの付近には近衛と思われる執事も控えている。

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