【完結】 『未熟』スキル 最強ではないが相手を最弱にすれば関係ない ~かつてパーティーを追放された者の物語~

はくら(仮名)

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第二十四話 ペアルック

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「サポートアイテムのウェアライトだ」

 ウェアライトは自然発光する発光石を加工して作られたアイテムだ。暗い場所を明るく照らすことができ、また伸縮性の高いバンドが付いていて、腕や額や足首などに巻いて使用することもできる。

「持ってきてたんですね」
「探索するなら、ないと困るからな。あんたは?」
「ありますけど……」

 ロウは左手首に巻いたライトを見せる。

「腕に巻いたら、もし魔物が出てきたときに戦うのに不便じゃね? おれみたいに頭に巻けよ」

 確かに手首や腕に巻いた状態では、戦闘などで激しく身体を動かす際に、光源の位置的にうまく視界や周囲を照らせない可能性がある。
 それは分かっているのだが……。

「いえ、まあ、その、なんというか……」
「なんだ、どうした?」

 歯切れの悪いロウに、ルタは疑問の声を飛ばす。

「おいおい、もしかして格好悪いとかダサイとか思ってんのか?」
「いえ、そういうわけでは……」
「だったら早くしろよ。こうしてる間も、魔物が出てくるかもしんねんだから」
「うう……」

 頭に巻くのがそんなに嫌なのか、ロウは声を漏らして躊躇していたが、それでも最終的には諦めて彼と同じように額に巻いた。

「こんなとこ、知り合いに見られたくないなあ……」
「おれはいいのかよ」
「あなたは別です」
「なんだそりゃ。せっかくのペアルックなのによ」
「だからイヤだったんですよ」
「まさかそれがしたくなかった理由か」
「当たり前でしょ」
「即答かよ。さすがに傷付くぜ」
「どうだか。うそくさいですね」
「やれやれ、まったく……」

 そんな会話をしながら、二人はダンジョンの探索をおこなっていく。マッピングのためのアイテムを使いながら、見つけた素材の位置や情報をマップに記録していった。

「お、こんなとこに古びた壺が置いてやがる。やっぱ遺跡っぽいな、ここ」

 進んだ先で見つけた壺のなかに光を当てて、ルタはそのなかを覗き見ている。その様子を眺めながら、ロウはつぶやくように口を開いた。

「それにしても、静かですよね、ここ。古びたような匂いはしますけど、腐敗臭とか異臭はほとんどしませんし」
「そうだな。もしかしたら魔物はいない可能性も高くなってきたな」
「かもしれませんね」

 ダンジョン探索において、視覚で得られる情報に引けを取らないくらい、音や匂いは重要な情報源になり得る。
 たとえば水滴が落ちる音や水が流れる音がすれば、そこに水が存在することになるし、足音や鳴き声や呼吸音があれば魔物や他の人物がいることになる。

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