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第三十八話 満腹
しおりを挟む「うめー。やっぱこの店のメシはサイコーだぜ」
元気な声を上げながら、ホクホクとした顔で二口三口と続けて食べていく。
そんな子供みたいな様子を見ながら、ロウもまた自分が注文したパスタを口に運びつつ。
「お行儀よく食べてくださいね。あと他のお客さんに迷惑ですから、声も小さく」
若干の呆れを含みながら、そう注意するのだった。
そうして、その後ニーサが運んできた残りの料理も、ルタはペロリとたいらげて、膨れた腹に手を当てながら満足そうに。
「ふうー、食った食った、満腹満腹」
彼はロウがパスタと海鮮サラダを食べる間に、牛丼と豚丼と馬肉丼と焼き鳥、および刺し身と漬け物と皮を剥いたリンゴをたいらげていた。
全部合わせれば三人前か四人前分くらい、どんなに少なく見積もっても二人前以上は明らかにある量だ。どんだけ大食いなんだと、ロウは何度目になるか分からない呆れた気持ちになってしまう。
「そんじゃ帰るか。ついでだからそこまで送ってくぜ」
「はあ、ありがとうございます」
正直なところ、べつに送ってもらわなくてもいいとは思ったが、断って文句を言われるのも面倒だったので、ロウは素直に礼を言うことにした。それに……。
(この人の強さのことを聞き出してないし……)
スキルが『未熟』という名称なのは分かった。しかしそれ以上のことを聞こうとしたら。
『いまはメシだ』
とかなんとか、丼のなかのご飯を豪快にかきこみながらそう言われてしまい、聞き出せないでいた。
その食事も終わり、これから帰宅の途につくので、話を聞くには絶好の機会といえるだろう。
「おーい店員さーん、会計頼むー」
「はーい、ただいまー」
ルタが手を上げながら立ち上がり、店の奥にいた店員が早足でやってくる。対応したのはまたまたニーサであり、彼女とともに二人は店の一隅にあった会計場に向かう。
「それじゃあ割り勘で……」
「待て待て」
ロウが財布を出そうとするのを、ルタが言い止める。
「昨日はあんたにおごってもらったからな、今日はおれがおごる番だ」
「そんな、悪いですよ。それに昨日のは助けてもらったお礼ですし」
「いいからいいから」
「でも……」
根が真面目なのだろう、ロウはなおも言おうとする。しかし彼女のその口を止めるように、ルタは。
「そんじゃこうしようぜ。次にまたメシを食うことがあったら、そんときに割り勘ってことで」
「…………」
ここで言い合っていても店の迷惑になるだろうし、彼も引く気はないだろう。ケンカをしたいわけでもなかったので、渋々ながらもロウはうなずいた。
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