【完結】 『未熟』スキル 最強ではないが相手を最弱にすれば関係ない ~かつてパーティーを追放された者の物語~

はくら(仮名)

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第八十話 見張りの官憲

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「一応、さっき官憲に知り合いはできたけど……あのおっさんに迷惑かけるわけにもいかねーしなー。とりあえずいまは、ここを直接調べんのは保留にしとくか。無駄に怪しまれたくねーし」

 そう言った彼に対して、今度はロウが提案と疑問を半々にしたような声音で言った。

「あの官憲やサージさんに話を聞くってことはしないんですか?」
「うーん……」

 だが彼は渋い顔と声で。

「確かに俺とあんたは事件の被害者だけどな、だからといって、おっさん達が情報を教えてくれるとは限らねえからなあ。それとこれとは別ってことで」

 事件の捜査や犯人逮捕にとって、事件や犯人に関する情報や証拠は極めて重要な事柄である。いくら事件の関係者といえど、うかつに官憲の外部に教えることはできないだろう。
 どこで犯人や共犯者が聞き耳を立てているか分からず、ほんのわずかな油断によって、犯人を逃がしてしまう危険性もあるからだ。
 無論、サージ自体がルタ達を疑っているわけではないだろう……しかし、万が一、なんらかの事態によって情報が漏洩してしまうことを防ぐために、機密は守る必要があるのだ。
 と、そんなことを話していると、見張りの官憲の一人が三人へと近付いてきた。路地の入口でずっと見ていたから不審に思ったようだ。

「お、向こうから来ちまったな」

 小さな声でルタが言う。もしいまここで思わず反射的に逃げてしまえば、相手に与える印象は悪くなってしまい、余計に怪しまれてしまうだろう。
 だから三人は官憲が話しかけてくるのを待った。そもそも逃げるつもりはなかったし、相手から話してくるならば、あまり期待はできないが可能な限り情報を聞き出しておこうと思った。

「すいませんが、いまこの路地は立ち入り禁止なんですよ。お手数ですが、他の道を迂回してください」

 どうやら道を通りたい一般人だと思われたようだった。もしも相手が威圧的な人物で、ただそこにいたという理由だけでルタ達を犯人だと疑ってかかるような性格だったならば、かなり面倒で辟易する事態になっていただろう。
 しかし一般人に対する普通の対応であれば、あるいはやりようはあるかもしれない。とぼけた様子でルタは相手に返答する。

「ああ、確か最初の通り魔事件が起きた場所だったな」

 事件そのものが初耳だったという体裁にしようかとも思ったが、それだと自分達が第二の事件の被害者だということが使えなくなるので、事件自体は知っているというふうにした。ルタの言葉に、ロウとニーサは黙ったまま成り行きを見守ることにする。

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