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第百十話 三人目にいなくなった奴
しおりを挟むそして三人は書類の調査に没頭していく。会話もあまりなく、壁にある時計の針だけが時を刻む音を部屋に発していく。
しばらくの時間が経過したとき、疲れた目元をもみほぐすようにロウが手を顔に近付けて……隣に座るルタの動きが止まっていることに気が付いた。
「ルタさん? どうかしたんですか?」
彼の視線は手に持った一枚の書類に注がれていた。なにか見つけたのかと、ロウも彼の肩からその書類へと顔を覗き込ませる。
「女性の失踪者ですか? 名前は……メディ=イールさん。冒険者の方でまだ発見されていませんね」
この人物が通り魔事件の手掛かりにつながっているのかと、ロウは彼に顔を向ける。すぐ近くにある彼の顔は、しかしロウのことなどまったく気にしていないようにつぶやいていた。
「……こいつは……いったい誰が……」
いつもに似合わぬ少しばかり驚いた目付き。ただ単に手掛かりを見つけただけにしては思えず、まるで見知った人間を不意に見つけたような表情だった。
「もしかして、お知り合いの方ですか?」
尋ねたロウに、静かな声が返ってくる。
「……おれがいたパーティーのメンバーだ。昨日話した」
「え……」
思わずロウはまた資料に視線を向ける。そこには似顔絵も添付されており、十代半ばから後半くらいの少女の顔が描かれていた。
似顔絵自体は鉛筆描きの白黒であり、備考欄に金髪、碧眼と書かれている。
「……ということは、この方が最初にいなくなった方ですか? あれ? でも、いなくなったのは半年前じゃ……」
そこでロウは思い直す。
(……いえ、それはルタさんがパーティーを抜けたときだっけ……)
彼がいつパーティーを抜けて、いつその元パーティーメンバーが失踪したのか、具体的に詳しい日時は分かっていない。ただいずれにしろ、ルタが実はパーティーを抜けていたことはサージには話していない。
だから、それを口に出すことは躊躇われた。はたして言っていいものかどうかと。
だが彼女のそんな考えには気付かずに、ルタは小さな声で言う。ロウにもサージにも話すわけではなく、自分自身に問うているように。
「……なんでこいつが……誰が失踪届けを出したんだ……?」
言葉の意味がいまいち見えてこず、ロウは詳細を確かめるために問いを重ねた。
「……どういうことですか? あたし達にも分かるように説明してくれませんか?」
「……悪りい……少し混乱しただけだ。いま説明する」
ルタが二人に向いて、書類を見せながら話し始める。
「こいつはおれの元パーティーメンバーだ。ただしリーダーじゃない。昨日話した、三人目にいなくなった奴だ」
「「三人目……」」
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