【完結】 『未熟』スキル 最強ではないが相手を最弱にすれば関係ない ~かつてパーティーを追放された者の物語~

はくら(仮名)

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第百九話 彼らしい

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 ぼやくようにロウが言った。

「それにしても、けっこうな数がありますよね。一日当たりだいたい二人くらい失踪している計算になるじゃないですか」

 その声にはサージが気まずそうに答えた。

「理由は様々ですが、そうなってしまいますね。個人の判断でいなくなってしまう方もそれなりにいて、それはもうどうしようもないのですが……事件や事故に巻き込まれた方に関しては、我々官憲にも責任の一端はあるかもしれません。いまだに町の治安維持に不備があるということですから……」
「サージさん……」
「この資料に関しても、発見済みと未発見、そして失踪の種類別にきちんと整理出来ていれば、もっと効率良く知りたい情報を探せたはずです。日頃忙しいのは確かですが、その辺りの管理態勢もしっかり見直すべきでしょうね」
「…………」

 本人の手前、言葉に出して答えにくかったが、サージの言うことは一理あった。もしもっとちゃんと整理されていれば、余計な手間や時間を掛ける必要もなくなるだろうから。
 愚痴っぽくなってしまった雰囲気に、ルタが言葉を挟む。あまり気にしていないような、前だけを見ているような口調で。

「反省ならあとにしてくれ、おっさん。いまはとにかく時間がねえんだからな」
「いや、すみません、そうでしたね」

 ルタは付け足すように。

「それと、よく見てみろ。失踪した奴の大半はそのあと無事に見つかってるし、事件や事故に巻き込まれた奴もたいがいその事件や事故はちゃんと解決してる。あんたが自虐するほど、官憲はなにもやってねえわけじゃねえよ」
「……ルタさん……」

 サージがつぶやくなか、ロウがルタに言う。

「珍しいですね、ルタさんが誰かを励ますなんて。いつもテキトーな感じなのに」
「あんたんなかでおれはどんな奴なんだ。それに励ましたわけじゃなくて、事実を言ってるだけだ」
「……ぶっきらぼうですね」

 だがそれが彼らしいとも思ってしまうのだ。ロウは今度はサージに言う。

「ですけど、なんでこんなに多いんでしょうね、失踪する人」
「先程も言いましたが理由は様々です。しかしあくまで個人的な見解を述べさせていただきますと……嫌になってしまうのでしょうね」
「……嫌になる……」
「仕事や他人との付き合い、毎日同じことを繰り返すだけの単調な人生に嫌気が差してしまうのでしょう。全てを投げ出して、自分を知らない場所で一からやり直したいと思うのかもしれません」
「…………」
「…………」

 一瞬沈黙して、サージは訂正するように再び口を開く。

「……いえ……分からないくせに知ったふうなことを言ってしまいました……調べることに集中しましょう」
「……そうですね……」

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