かつて天才と言われた落ちこぼれ。ムカついたので自由に生きてたらいつの間にか最強と言われるようになってた件

はくら(仮名)

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第一章 レイン=カラーの怠惰な一日

第六話 おまえが

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 ラルドの射撃。しかしラルドがボールを撃ち出そうとした時、突如としてボールが内部から膨張し始める。

「え……っ⁉」

 ラルドが困惑する声を出した直後、ボールが破裂して、その破片の雨がラルドに襲い掛かった。

「うわあ……っ⁉」

 ラルドだけでなく他の連中も驚いた声を上げる。教師が慌ててラルドに駆け寄って。

「大丈夫か⁉ ラルド=リーグ⁉」
「……うう……」

 返事も出来ず、うめき声だけが漏れる。いきなりのことに身を守れなかったのだろう、ラルドの顔や腕、足などがボールの破片で切れて、出血していた。
 ラルドへとトパも近寄っていき、

「先生! 早く回復魔法を!」
「……すまないが、俺は回復魔法が苦手なんだ。だから医務室に向かおう。医務委員、ついてきてくれ」
「あたしも行きます!」
「そうか、ありがとう、トパ=ロイ。……立てるか、ラルド=リーグ?」

 教師が声を掛けると、ラルドは痛そうにしながらも。

「な、なんとか……」
「そうか。だが一応肩を貸そう」
「あ、ありがとうございます……」

 教師は一度クラスメイト達へと振り返って。

「俺達は医務室に行ってくる。戻ってくるまでは各自、自習しているように。くれぐれも怪我やトラブルには気を付けるように!」

 そう言って、ラルドを連れて、教師とトパ達は医務室へと向かっていった。
 クラスメイト達はその背中を心配そうに見送ったあと、三々五々、それぞれの仲が良いグループでまとまって、キャッチボールしたり座り込んで話したり、あるいは魔法の練習をしたりし始める。
 …………。
 どこかから笑い声が聞こえてくる。

「それにしてもバカな奴だよなあ。風魔法の出力を間違えて、破裂させるなんてよお」
「本当だよなあ。これだからノロマのラルドは困るよなあ」
「あはははは」

 グラウンドの隅、木立の日陰になる場所にいたそいつらへと近付いていく。奴らも気が付いて顔を向けてくると。

「あ? なんだよ、落ちこぼれ。なんか用かよ」

 それには答えず、真ん中にいた奴を見据えて。

「……おまえがやったんだろ、あれ」

 そう言った。

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