転売屋(テンバイヤー)は相場スキルで財を成す

エルリア

文字の大きさ
169 / 1,738

169.転売屋は天敵と交渉する

しおりを挟む
翌朝。

朝食を食べてさぁ、香茶でもと思っていた所にまさかの人物が襲来した。

香茶のさわやかな香りが香水の匂いにかき消される。

さすがに鼻を覆うわけにもいかないので呼吸を浅くしてそれに耐えた。

「よくお休みになれたかしら?」

「お陰様で。」

「そう、それはよかった。」

今日も色気たっぷりの胸元のぱっくり空いた服でやって来たのは、この街の隠れたドン、ナミル女史だ。

相変わらずのナイスバディーだが、生憎俺には通用しない。

横のトライゾンは鼻の下を伸ばして・・・ってあれ?

なんでそんなにガチガチに緊張してるんだ?

これ系の女性は苦手なんだろうか。

「始業前だってのに仕事熱心だな。」

「貴方がここに来ていると聞いて出向いてきたのよ。色々と買いに来てくれたみたいね。」

「闘技大会も近いのでね、入用のモノを色々と。」

「でも、一番大切なものは手に入らなかったのではなくて?」

「それも事前に聞いてきたのか?」

「そうじゃなかったらこんな所に来るはずないじゃない。」

こんな所って、ここで一番のお宿なんですけど。

必要経費なのを良い事に最上級の部屋でゆっくりさせてもらったわけだが・・・。

そりゃその辺の情報は全部筒抜けになってるよな。

「で?」

「食料とお酒はこの街でも品薄なの。でも、貴方次第で融通しないことも無いわ、先日のお礼もあるしね。」

「別に礼をされるような事をした覚えは無いんだが?」

「貴方が間に入ってくれた事で、それなりにスムーズな打ち合わせが出来たわ。シープは私の事が苦手みたいで中々いう事を聞いてくれないの。」

「そりゃ奇遇だ、俺も余り得意じゃない。」

「それは残念ね、私は好みなんだけどな。」

アンタは好みでも俺はそうじゃない。

この時点で平行線だよ。

「昼過ぎにはここを出たいんでね、さっさと要件を話してくれ。」

「せっかちな男は嫌われるわよ?」

「好みの男が急いてるんだ、それに応えるのが女ってもんだろ。」

「その返し、中々素敵よ。」

「食料と酒を馬車一台分、いや半分でもいい。代金は金貨2枚まで、用意できるか?」

「その金額じゃ無理よ。せめて金貨4枚は貰わないと。」

元々の予算は金貨3枚。

この時点で予算オーバーだ。

多少はオーバーしても良いと言われているが、流石に超え過ぎだろう。

「ならこの話は無しだ。」

「最後まで話を聞かない男は嫌われるわよ?」

「別にこれ以上好かれる必要も無くてね。」

「枯れるにも早いと思うけど。」

別に枯れてるつもりはないんだが・・・。

どうやら何か提案があるようだ。

出来ればそういうのには乗りたくないんだが、致し方あるまい。

「で?」

「ホワイトベリーって知ってるわよね?」

「あぁ、希少性の高い奴で冬に手に入る果実だ。」

「木箱一つ分持ってきてほしいの、もちろん持ってきてくれたら代金は払うからそれと金貨3枚で手を打ちましょ。」

「いや、冬の果実だって言ってるだろ?」

「別にすぐにじゃなくていいわ、収穫が終わったら、それこそ12月になったら持ってきてくれればいいの。」

「集まるかわからないぞ?」

「そんなはずないわ、絶対に手配できる。」

木箱一つ分と言えば庭に生えている分の三分の一ぐらいだろう。

どこでその情報を仕入れたかは不明だが、うちで栽培している事はバレているようだ。

聞いたとしてもはぐらかされるだけだろうな。

「銅貨1枚まからないぞ?」

「もちろん相当額はお支払いするわ。」

「収穫できるのは12月だ、それでもいいのか?」

「むしろ12月だからいいのよ。」

12月に何かあっただろうか。

感謝祭は24月だから関係ないし・・・。

戻ったらミラに聞いてみよう。

「仕方ないか。」

「そう言ってくれると思ってたわ。」

「今回は街の注文だが次回は個人的な注文なんだし、税金はまけてくれるんだよな?」

「残念ながら無理な相談ね、その分買い物してくれるなら考えてあげてもいいけど。むしろ無茶を聞いてあげるんだから割増したいぐらいよ。」

まぁ確かに無茶は聞いてくれているだろうけど・・・。

この女に恩を売るのだけはイヤなんだがなぁ。

「昼過ぎには出発する、それまでに用意してくれ。」

これ以上の交渉は無理だろう。

金貨3枚を革袋から取り出し、ナミル女史の方に滑らせると満足そうな顔でそれを受け取り、胸の谷間にしまい込んだ。

冷たくないか?と聞くのは野暮だろう。

っていうかそんな所にしまって落としても知らないからな。

「毎度ありがとうございます。」

「馬車は裏に止めてるから勝手にやってくれ。」

「じゃあお隣の彼を借りてもいいかしら。」

「お、俺!?」

「別に構わないぞ、こき使ってくれ。」

「うふふ、助かるわ。」

何故か挙動不審になるトライゾン。

やっぱりナイスバディーはお嫌いなようだ。

それとも年上がダメなのか?

ナミル女史に引きずられるようにして連れていかれる彼を一瞥して、ぬるくなった香茶に口をつける。

長い間香水の香りをかいでいたからだろうか、あのさわやかな香りを感じることは出来なかった。


「そりゃ災難だったな。」

「まったくだ、せっかくの香茶が無駄になったよ。」

「大きな声では言えないが、街長以上に権力を持っているのはあの女だ。悪い事は言わねぇ、目をつけられるようなことはしない方がいいぞ。」

昼前に注文した品を受け取りに工房へと向かった。

トライゾンが戻ってくる気配はなく、空の馬車は出て行ったままだ。

受け取ったらさっさと戻るつもりなんだが・・・。

ま、なんとかなるか。

「もう遅い。」

「そりゃ残念だ。っと、来たみたいだな。」

親方の視線の先を追うと、向こうから大きなリアカーを引いて三人の男たちがこちらに向かってきていた。

二台には銀色に輝く武器が積まれている。

「親方、持ってきました!」

「おぅそこに置け。」

「結構な量だな。」

「注文通り刃を潰した奴だ、確認するか?」

「確認するまでもないだろう、時間が無いのに悪かったな。」

「なに、見習いの練習材料に金までもらって礼を言うのはこっちの方だ。」

へへへとリアカーを引いてきた男たちが笑っている。

恐らく見習いっていうのはこの人達の事なんだろう。

「悪いが積み込みも任せていいか?」

「任せてください!」

「今度来る時なんだが、探し物も一緒にもってきてくれたら助かる。」

「探し物?」

「牙竜の翼膜を探してるんだがなかなか手に入らなくてな。ダンジョンの奥に出るってのは聞いてるんだが、手に入ったら持ってきてくれ。」

牙竜ねぇ。

聞いたことないな。

帰ってエリザに聞けばわかるだろうか。

「何かに使うのか?」

「あぁ、ちょっとな。」

守秘義務でもあるんだろう、その辺を聞く理由もない。

「手に入ったらで構わないか?」

「もちろんだ、悪いな変なこと言って。」

「聞くのはタダだ、気にしないでくれ。」

「それもそうだな。」

搬入作業を見ながら親方が笑っている。

この人とは今後もいい付き合いをしたいし、先も言ったように聞くのはタダだ。

手に入れば持ってくるし、手に入らなければ持ってこなければいい。

向こうも焦っているわけじゃないし、臨機応変で構わないだろう。

「親方終わりました!」

「おう、ご苦労さん。代金は後で持っていくからお前らはゆっくり休め。」

「ういっす!」

男たちが去っていくのを見送り、俺も馬車に乗り込む。

残るはナミル女史に頼んだ品だけだ。

っと、そうだ思い出した。

「今日は時化ないんだよな?」

「この時間なら大丈夫だろう。」

「この時期はそうなのか?」

「冬前だからな、どいつも腹ペコなんだよ。」

「冬ごもり前ってやつか。」

「人でも魔物でも動くものは何でも食う連中だ、気をつけろよ。」

なんともまぁ恐ろしい奴がいるもんだ。

どう考えても懐きそうにないので魔物なんだろう。

恐ろしい奴がいるもんだな。

「じゃあまた。」

「おぅ、またな。」

親方にお礼を言って宿に戻り、石材を積んだ馬車を呼んでくる。

そのまま街の出口へと向かうと、後ろから土煙を上げながら猛スピードで馬車が追ってきた。

「お待たせしちゃったかしら?」

「いや、今来た所だよ。」

「そう、それは良かった。」

「ん?トライゾンの姿が見えないようだが?」

「ちょっとお疲れみたいだったから宿に放り込んでおいたわ。替わりに別の冒険者を連れてきているから、安心して。」

「いや、安心してって・・・。」

勝手にうちの護衛を変更されても困るんですが、なにその『色々あったから』みたいな顔。

横の新しい冒険者もすみませんみたいな顔してるし。

俺はまぁ護衛が居てくれれば別にいいんだけどさぁ。

「ジャスティスです、よろしくお願いします。」

「シロウだ。」

「それじゃあ後、お願いねジャスティス。」

「お任せを。」

サラサラシルバーヘアーの超絶イケメンで名前がジャスティスって。

出来過ぎじゃないですかね。

俺の横にしれっと乗り込んで手綱を交代するイケメン。

もっかい言う、イケメン。

「そういや税金は?」

「卸しは少ないみたいだし、たくさん買ってくれたから今回は許してあげる。」

「おいおい、いいのかよ。貸しとか言わないよな。」

「むしろお礼、かな?」

「どういうことだ?」

「ほら、早くいかないと時化るわよ。」

っと、急がないと到着が夜中になってしまう。

ヤバイものが出てくる前にさっさと帰らなければ。

「詳しくは道中お伝えします。」

「よろしく頼む。」

その後聞いたことの顛末は驚きの内容だった。
しおりを挟む
感想 41

あなたにおすすめの小説

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~

一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。 しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。 流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。 その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。 右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。 この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。 数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。 元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。 根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね? そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。 色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。 ……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

中途半端なソウルスティール受けたけど質問ある?

ミクリヤミナミ
ファンタジー
仮想空間で活動する4人のお話です。 1.カールの譚 王都で生活する鍛冶屋のカールは、その腕を見込まれて王宮騎士団の魔王討伐への同行を要請されます。騎士団嫌いの彼は全く乗り気ではありませんがSランク冒険者の3人に説得され嫌々魔王が住む魔都へ向かいます。 2.サトシの譚 現代日本から転生してきたサトシは、ゴブリンの群れに襲われて家族を奪われますが、カール達と出会い力をつけてゆきます。 3.生方蒼甫の譚 研究者の生方蒼甫は脳科学研究の為に実験体であるサトシをVRMMORPG内に放流し観察しようとしますがうまく観察できません。仕方がないので自分もVRMMORPGの中に入る事にしますが…… 4.魔王(フリードリヒ)の譚 西方に住む「魔王」はカール達を自領の「クレータ街」に連れてくることに成功しますが、数百年ぶりに天使の襲撃を2度も目撃します。2度目の襲撃を退けたサトシとルークスに興味を持ちますが……

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

処理中です...