転売屋(テンバイヤー)は相場スキルで財を成す

エルリア

文字の大きさ
234 / 1,738

234.転売屋は遺跡を見つける

図書館に通いつめ、例の盃が旧王朝時代の祭器である事は確認が出来た。

何でも遥か彼方から何かを呼び出すために使ったのだとか。

だが、その祭事を行う為にはかなりの犠牲を伴うらしく、記録はほとんど残されていない。

ってのが今の所わかっている内容だ。

個人的にはふ~んって程度だが、まさかこれを使って俺が呼ばれたとかそういうのは無いよな?

呼び出したところで何が出来るわけでもなく、こうやって金儲けに精を出すしか能のない男だ。

それに七つ全部が土に埋もれていたわけだし、隠されていたと考えるのが妥当だろう。

まぁ、埋められていた場所は浅く土は固くなかったからそれ程前ではないというのも気がかりではあるが・・・。

「ただいま。」

「おかえりなさいませ。」

「なにかわかった?」

「わかったようなわからないような。ともかく大昔の大事な物ってのは間違いなさそうだな。」

「ふ~ん。」

お宝ではないと知りすぐに興味を無くすエリザ。

まぁ、脳筋かつ冒険者気質だし仕方ない。

「ではあれは・・・。」

「あれはあれで置いておくつもりだ。次のオークションにでも出せばそれなりの値段がつくだろう。」

「今の王家に献上される気はないのですね?」

「国王陛下とは多少のご縁があっただけでそこまで積極的に媚を売りたい相手ではない。それに、こんな事で連絡するのもあれだしな。必要であれば声をかけるさ。」

「献上しちゃったら稼げないもんね。」

「褒美は貰えるだろうがやっぱり売るに限るよな。」

願いの小石は連絡する必要があるが、そうでないのならワザワザこっちからアポを取る必要はない。

好きにやらせてもらうさ。

「で、そっちはどうだった?」

「シロウの見つけた場所はこっちでも確認できたけど、目ぼしい物は無かったみたい。」

「そうか、あれだけか。」

「でもね!近くに同じような場所が発見されたの。それも三か所も!」

「そんなにか。」

「うん、今はそっちを調査しているみたいよ。久々の大発見かもしれないから皆気合が入ってるみたいね。」

大発見って、別に何が見つかったわけじゃないんだが。

いや、見つかったのか。

「夜を徹してやるものかね。」


「最近はダンジョン人気も下火になって来たから、新しい発見が必要なのよ。もし何か見つかったらまた大勢の冒険者が集まってくるわ。それこそ、この間のジェイドのようにね。」

「余所者が来るのは迷惑とか言ってなかったか?」

「そりゃ多すぎると邪魔だけど、冒険者が増えればシロウも儲かるでしょ?」

「まぁなぁ。」

「じゃあ良い事じゃない。その間ゆっくりすればいいんだし。」

ゆっくりナニをするつもりなんだろうか。

順番は守れよ、何が起きても俺は知らないからな。

「ひとまず何か見つかったら連絡が来ることになってるから、その時は鑑定宜しくね。」

「俺が鑑定するのかよ。」

「ギルドはいつも通り営業するからそっち関係の子は外にいけないんだもの。自由に出入りできるのは第一発見者のシロウだけよ。」

「なんだかなぁ。」

「ってことで明日は朝一番で現場に集合だからね。」

「店番はお任せください。」

「なんだかなぁ。」

俺が発見したとはいえなんで調査まで手伝わねばならないのだろうか。

確かにエリザの言うように冒険者が増えれば儲かるかもしれないが・・・。

取り越し苦労って可能性もあるんだけどな。

とか何とか思いながらも迎えた翌朝。

エリザと共にルフを迎えに行き、調査団の基地へと向かった。

「おはようさん。」

「おはようございますシロウさん。」

「なんだ、ニアまで来てるのか。」

「だってこんな面白い事ギルドで待ってるなんて勿体ないでしょ。」

「でもシープさんが心配しない?」

「むしろ喜んで送り出してくれたわ。自分も手が空いたら行くって言ってたわ。」

「あいつも来るのかよ。」

ギルド協会が何しに来るんだ?

監視か?

「仕事を休む口実かもね、還年祭の後始末でまだ忙しいみたいだから。」

「同情するよ。で、どんな感じだ?」

「新たに発見された四か所からは残念ながら何も出てこなかったわ。で、これがその場所。」

待ちを中心にした地図だが、その右上に四つのバツが記されていた。

若干ずれてはいるものの、ほぼ正方形な感じ。

「これはどう考えても怪しいよな。」

「ね、怪しいわよね。」

「そう思って調べてみたんだけど中心には何もなかったのよ。」

「マジかよ。」

出来上がった四角形の対角同士を線で結び、交差したど真ん中を調べるのはセオリーだがどうやらそれははずれだったようだ。

「今は魔力検知を試してる所だけど、おそらく何も出ないでしょうね。」

「魔力検知?」

「地面に魔力を流して魔力を発する物がないか探すの。」

「あぁ、ソナーみたいなものか。」

「大体深さ10mまでは検知できるからそれで出なかったら難しいでしょうね。」

「掘るのも大変だしな。」

10mもの大穴を開けるのは大変だ。

そこにあるとわかっているのならばやりようもあるが、そうでないのならその労力をかけるだけ無駄というもの。

しっかし、ここにないとなると・・・。

「なぁ、俺が見つけたのってここだよな?」

「えぇ、シロウさんが見つけたのはそこね。」

地図を見てふと気が付いた。

俺が発見したのが右下。

左上からまっすぐに線を引き、右下を中心とした真反対が俺達の街だ。

そこに何がある?

ダンジョンじゃないか。

ならさ、右上から左下に線を引いた時はどうだろうか。

「この辺って何かあるか?」

「え、そこ?」

俺が指さしたのは左下を中心として右上から線を引いた場所。

丁度ダンジョンと向かい合うような場所だ。

「この辺は・・・確か古いダンジョンがありましたね。ダンジョンと言っても階層は浅く探索しつくされて放置されています。特に目ぼしい者も無かったと記憶していますが・・・。」

「じゃあこれをこうやって・・・ここは?」

四角形の中心を頂点とし、街と、その古いダンジョンを点に見立てて線を引く。

するとあらびっくり、三角形の出来上がりだ。

「え、ここ?」

「そこは何もなかったと思いますけど。」

「調べたのか?」

「そういうわけではありませんが・・・。」

「なかったら別に構わないさ。どうせここにいても暇なんだし、ルフ行くぞ。」

「あ、待ってよシロウ!」

「それでしたらこれをお持ちください。簡易の魔力検知機です。」

「助かる。」

地図上ではわかりやすいが肉眼だとどこが目的地かわからないので、とりあえず何も見つからなかった中心地へと向かい、そこからまっすぐ降りることにした。

四角形の中心が北で、街が南東、古いダンジョンが南西の正三角形。

なら中心地からまっすぐ南に降りれば目的地だ。

太陽で方角を確認して・・・こっちだな。

「ねぇ、本当にあってるの?」

「多分。」

「適当ねぇ。」

「それぐらいでいいのさ、気負えばそれだけ見つからなくなる。俺が見つけたのも偶然だったんだし、気の向くまま適当に行けばいいんだよ、なぁルフ。」

ブンブン。

ルフからすれば散歩の延長みたいなものだ。

もし見つかればご褒美がもらえる程度のな。

「お前だって、宝物を狙ってダンジョンに入って見つけたか?」

「ん~、言われてみればそうかも。」

「だろ?狙えば狙うだけ外れるんだよ、世の中そう出来てるんだ。」

目的の品を狙って買いに行ったら大抵売り切れ。

何も考えずに入った店で偶然それを見つけた、何てのは良くある話だ。

なんだっけ、物欲センサー?

欲しいと願えば願うほど欲しい物は逃げていく。

足でもついているのかもな。

なんて考えながら当てもなくウロウロしていたその時。

「イテッ。」

何かに躓きこけそうになった。

「ちょっと危ないわね。」

「すまん、何かに引っかかったみたいだ。」

後ろを振り返るとそこにはとがった石があった。

ご丁寧にとがった方が上を向いている。

何も知らずにこけて頭を打ったら死ぬなってぐらいに鋭角だ。

「なぁ、普通に考えてあんなにとがった石があるか?」

「・・・ないわね。」

どう見ても怪しいそれに近づいて周りを掘ってみる。

掘れば掘るほどそれは大きくなり、途中で掘るのを止めた。

「っと、そうだこれを使うか。」

ニアから預かった魔力検知機を取り出してみる。

魔道具と同じでスイッチを入れるだけで作動し、検知すれば音が鳴る設計だ。

「いくぞ。」

ポチっとな。

『ビィーーーー!』

「うるせぇよ!」

入れた瞬間に耳をつんざく音が響き慌ててスイッチを切る。

三人・・・二人と一匹が顔を見合わせ、そして改めて地面を見る。

「・・・ニアに報告だな。」

「そうね。」

「ルフ、場所は覚えたか?」

ブンブン。

急ぎ基地に戻り、ちょうど戻ってきていた調査隊を引き連れて元の場所に戻る。

その日を境に街が大騒ぎになったのは言うまでもない。
感想 41

あなたにおすすめの小説

即席異世界転移して薬草師になった

黒密
ファンタジー
ある日、学校から帰ってきて机を見たら即席異世界転移と書かれたカップ麺みたいな容器が置いてある事に気がついた普通の高校生、華崎 秦(かざき しん) 秦は興味本位でその容器にお湯と中に入っていた粉を入れて三分待ち、封を開けたら異世界に転移した。 そして気がつくと異世界の大半を管理している存在、ユーリ・ストラスに秦は元の世界に帰れない事を知った。 色々考えた結果、秦は異世界で生きることを決めてユーリから六枚のカードからスキルを選んだ。 秦はその選んだスキル、薬草師で異世界を生きる事になる。

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~

味のないお茶
ファンタジー
Sランクパーティのリーダーだったベルフォードは、冒険者歴二十年のベテランだった。 しかし、加齢による衰えを感じていた彼は後人に愛弟子のエリックを指名し一年間見守っていた。 彼のリーダー能力に安心したベルフォードは、冒険者家業の引退を決意する。 故郷に帰ってゆっくりと日々を過しながら、剣術道場を開いて結婚相手を探そう。 そう考えていたベルフォードだったが、周りは彼をほっておいてはくれなかった。 これはスローライフがしたい凄腕のおっさんと、彼を慕う人達が織り成す物語。

転生したら世界一の御曹司だった〜巨乳エルフメイド10人と美少女騎士に溺愛されています〜

まさき
ファンタジー
異世界転生した最強の金持ち嫡男、 専属エルフメイドと美少女騎士に囲まれて至福のハーレム生活   現代日本で「地味だが実は超大富豪」という特殊な人生を送っていた青年は、ある日事故で命を落とす。   しかし目を覚ますと、そこは魔法と様々な種族が存在する異世界だった。   彼は大陸一の富を誇る名門貴族―― ヴァン・バレンティン家の嫡男カイルとして転生していたのだ。   カイルに与えられたのは ・世界一とも言える圧倒的な財力 ・財力に比例して増大する規格外の魔力   そして何より彼を驚かせたのは――   彼に仕える十人の専属メイド全員が、巨乳美少女だったことである。   献身的なエルフのメイド長リリア。 護衛騎士でありながら隙あらば誘惑してくる女騎士シルヴィア。   さらに個性豊かな巨乳メイドたち。   カイルは持ち前の財力で彼女たちの願いを叶え、最高級の装備や生活を与えていく。   すると彼女たちの忠誠心と愛情はどんどん加速していき――   「カイル様……今日は私が、お世話をさせてください」   領地を狙う貴族を金と魔力で圧倒し、 時にはメイドたちの愛が暴走して甘すぎる時間に巻き込まれながらも、   最強の御曹司カイルは 世界一幸せなハーレムを築いていく。 最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ応援をお願いいたします。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)