533 / 1,738
531.転売屋は春の気配を感じる
しおりを挟む
翌日になってもスキルは戻らなかった。
なんて展開もなく、寝て起きれば元通り。
いつものようにスキルは自動で発動し、エリザの持ち帰ったお宝の鑑定も終了。
特に問題ないはずなのに、女達にはもう一日休むようにといわれてしまった。
「なぁ、コレは戦力外通告なのか?」
「わふ?」
ぶんぶんぶん。
「そうだよな、違うよな。」
「わふ!」
「よしよしいいこだなぁ。」
もってきた干し肉をルフとレイの二匹に与え大きく息を吐く。
暖かな日差しの下。
冬の終わりを感じさせる太陽に眠気が増幅されていく。
店に戻ってもすることはなし。
かといって露天を見て回ろうにも持ち合わせはなし。
なんせ仕事をさせないために財布すら持たせてくれなかったんだよな。
飯はどうするんだよって話だが、まぁイライザさんに言えば何か作ってくれるか。
いや、屋敷に戻れば食い物ぐらいあるわけで。
自分の家なんだしそっちに行けばいいだろう。
「ん?」
「あ、お館様だ!」
「こらジョン!なれなれしく呼ばないの!」
「キルシュ、そんなに怒らなくてもいいぞ屋敷じゃないんだ。」
「でも・・・。」
「お館様なにしてるの?」
「特に何も。」
「暇なの?」
「そうだな暇だ。」
「そっかぁ。」
純真無垢のジョンがドストレートな質問をしてくるが悪意は一切ない。
が、聞いているキルシュは気が気ではないようだ。
二人とも買い物に行くのだろうか、手には空のかごを持っている。
普通買い物はミミィの仕事なんだが、何か合ったんだろうか。
「買い物はミミィの仕事だよな?」
「ミミィさんが熱を出したので代わりにお使いに行くんです!」
「熱?薬は飲んだのか?」
「はい。アネット様の作ってくださったお薬がありましたのですぐに飲んでいました。」
「ならいいんだが。後で見てもらうように言っておくか。」
「グレイス様が往診のお願いをしていましたから大丈夫だと思います。」
相変わらず仕事が早いな。
そうか、だから何か準備をしていたのか。
それならそうといえばいいのに。
「まぁアネットが見てくれるなら問題ないだろう。買い物手伝うか?」
「そんな滅相もない!」
「僕達だけで大丈夫です!」
「ちなみに何を買いに?」
「オニオニオンとオレンジキャロット、それとおコメを買い足しに。」
「後ねえっとね、グリーンパッペリカ・・・も。」
「食べれるようになったか?」
「ちょっと。」
だんだん元気がなくなっていくところが子供らしい。
大人でもピーマン嫌いはいる、まぁ無理やり食べる必要はないだろう。
「オニオニオンの予備が倉庫に合ったはず、あぁだからここに来たのか。後はコメならモーリスさんの店だな、重たくないか?」
「大丈夫!」
「任せてください!」
「なら頑張れよ、しっかりな。」
ルフとレイが二人に向かってパタパタと尻尾を振っている。
レイは子供が好きだ。
ルフはそこまででもないが、嫌いでもない。
二匹と一緒に二人を見送り、再びすることがなくなってしまった。
「あー、暇だ・・・な?」
汚れるのも気にせずそのままごろんと横になる。
レイがうれしそうに俺の横に伏せ、撫でろと頭をぶつけてきた。
低い視線になるといつもと見えないものが見えてくる。
撫でながら視線を奥に向けると、地面から何かが生えているのが見えた。
起き上がり近づいてみると、親指ほどの芽が地面から顔を出していた。
おかしいな、あそこには何も植えてないはずなんだが。
芽が出ていたのは畑から離れた倉庫の裏手。
日当たりはいいがあそこには何も植えたことがないはずだ。
「おーい、アグリちょっといいか?」
畑で水撒きをしていたアグリを呼び寄せ、見つけた芽を指差す。
それを見たアグリが少し驚いたように目を大きくさせた。
「これはファルファラッチョですね。暖かくなってきましたし出てくるかもと思ってはいましたが、嬉しいですねぇ。」
「嬉しいのか?」
「豊かな土壌、豊富な水、そして淀みのない魔力。これらが揃わないと芽を出さないんです。ファルファラッチョの生える畑は自然にも認められた土地というわけですね。」
「なるほどなぁ。で、食えるのか?」
「少し苦みもありますが春を告げる野菜としては一般的です。先程も申しましたように条件が条件ですので市場にはあまり出回りません。探せば他にも生えているのではないでしょうか。」
「ふむ、食えるならちょっと探してみるか。」
見た目にはフキノトウという感じ。
苦みもあるという部分から間違いないだろう。
天ぷらにすると美味いんだよなぁ。
ルフとレイにも手伝ってもらって畑の中を探して回る。
まだ地面から芽を出してなくても土が盛り上がっている部分を軽く掘るとすぐに見つけることができた。
『ファルファラッチョ。通称春を告げる芽。整った土壌からしか芽を出さない魔草。滋養強壮の効果があり、魔力欠乏などにも効果がある。ただし食べ過ぎると魔力漏れを起こしお腹が緩くなるので注意が必要。最近の平均取引価格は銀貨1枚。最安値銅貨79枚最高値銀貨1枚と銅貨23枚。最終取引日は340日前と記録されています。』
ふむ滋養強壮並びに魔力欠乏に効あり。
あれか、山菜とか野草ではなく魔草っていう分類なのか。
薬草とも違うみたいだし中々分類が難しいな。
「結構ありましたね。」
「そうだな。ふと思ったんだがこいつらどうやって生えてきたんだ?種とか撒いてないよな?」
「魔草は魔力を栄養として生えてきますので種とかはいらないんです。ある種魔力の塊と思って頂けるとわかり易いかと。」
「なるほど理解した。」
「春の初めの頃にしか生えてきませんし、生えても魔物に食べられることが多いのでこうやって畑で採取できるのは珍しい事です。」
「ルフとレイがたくさん見つけてくれたからな、よくやった。」
どんなもんだいと胸を張るレイとそれを穏やかな目で見るルフ。
匂いを嗅いで見つけているとおもったのだが、どうやら魔力を探知していたようだ。
魔物ならではの探し方だなぁ。
「さて、これだけの量が見つかったが食いすぎも良くない。どうする?」
「高価な品ですから売られてはいかがですか?」
「そのつもりだが全部ってのもあれだろ?とりあえずいくつか持って帰っていいぞ。」
「よろしいのですか?」
「アグリには世話になってるからな。」
「ありがとうございます。」
アグリの次はルフとレイにもおすそ分けだ。
食べ過ぎがよろしくないので少しだけだが、苦みも気にせずがつがつと平らげてしまった。
さて、残りは適当に配るか。
どこに行こうかなと大通りを歩いているとモーリスさんの店から出てくる二人を見つけた。
「あ、お館様!」
「二人ともちゃんと買えたか?」
「はい!買えました!」
「結構な量だな。」
「だいじょぶ、です。」
「どう見ても大丈夫じゃないだろうが。」
元気いっぱいのジョンだが手に持ったかごにはあまり荷物が入っていない。
その分姉のキルシュは大量の荷物加えてお米の入っていると思われる麻袋を背負っていた。
可愛い弟には無理をさせないつもりなのかもしれないが、さすがにこれはやりすぎだろう。
コメの入った麻袋を奪い、背負ってやる。
10kgはありそうだ。
かなりの重さだっただろう。
「あ、ダメです私が!」
「良いから気にするな、グレイスには俺から言っておく。」
「・・・ありがとございます。」
「ジョンも姉ちゃんが大変そうにしてたら手伝ってやれよ、男の子だろ。」
「は~い。」
渋々といった感じで姉の荷物をいくつか自分のカゴに移し替える。
軽そうなやつばかりだが、まぁ気持ちの問題だ。
そのまま三人で屋敷まで戻る。
「これはお館様、申し訳ありません。」
「キルシュを叱ってやるなよ、俺が勝手に持ったんだから。」
「もちろんです。二人ともそれを厨房へお願いね。」
「はい!」
「かしこまりました。」
グレイスの前だとさすがのジョンもきちっとするなぁ。
「じゃあ俺も。」
「丁度お館様には別のお仕事をお願いしようと思っていたところです。そちらをお願いできますでしょうか。」
「ちなみにどんな?」
「中々こちらには来てくださいませんので決裁待ちの書類が積みあがっております。」
「ハーシェがいるだろ?」
「奥様がお館様の判断に任せると仰いましたので。」
マジか。
全部任せたはずがまさかの仕事が積みあがっていた。
もしや俺を追い出したのはこの為か?
可能性は・・・あるなぁ。
書類仕事をしに行けって言ったら絶対に行かないもんなぁ。
「そうだ、畑でファルファラッチョを見つけたんだ。ミミィに食わせてやりたいんだが・・・。」
「それは良い物をありがとうございます。ハワードに下ごしらえをさせますので、どうぞご安心を。」
「物は渡したしそのまま帰るのは?」
「それを私が許すとお思いですか?」
「だよな。」
かつては凄腕の冒険者として名を馳せたらしい。
年を召してもその実力はいまだ健在。
俺なんかすぐに捕まえられ組み敷かれてしまうだろう。
仕方ない、覚悟を決めるか。
「はぁ。」
「書類は奥様のお部屋に置いてあります、後で香茶をお持ちしますのでがんばってください。それとたまには御顔を見せてくださらないと寂しがっておいでですよ。」
「善処する。」
「善処ではなく行動で示して頂かないと。」
「・・・わかった。」
「結構です。まぁ、こんなにもたくさん。ミミィの風邪もすぐに良くなりますね。」
まったくグレイスには頭が上がらんなぁ。
頼んでいた家具がそろい次第引っ越しだし、引っ越すと毎日いわれるようになるのか。
ちょっと引越し遅らせようかなとか思ってしまうなぁ。
「なにか?」
「ナンデモアリマセン。」
ま、それはそれだ。
いつもの通り店には出勤するわけだし、別にここに缶詰めでもない。
最悪店に泊まるという手段もある。
なんとでもなるさ。
もうすぐ春。
それを少し先取りした青々しい香りを感じながら、俺は戦場へと向かうのだった。
なんて展開もなく、寝て起きれば元通り。
いつものようにスキルは自動で発動し、エリザの持ち帰ったお宝の鑑定も終了。
特に問題ないはずなのに、女達にはもう一日休むようにといわれてしまった。
「なぁ、コレは戦力外通告なのか?」
「わふ?」
ぶんぶんぶん。
「そうだよな、違うよな。」
「わふ!」
「よしよしいいこだなぁ。」
もってきた干し肉をルフとレイの二匹に与え大きく息を吐く。
暖かな日差しの下。
冬の終わりを感じさせる太陽に眠気が増幅されていく。
店に戻ってもすることはなし。
かといって露天を見て回ろうにも持ち合わせはなし。
なんせ仕事をさせないために財布すら持たせてくれなかったんだよな。
飯はどうするんだよって話だが、まぁイライザさんに言えば何か作ってくれるか。
いや、屋敷に戻れば食い物ぐらいあるわけで。
自分の家なんだしそっちに行けばいいだろう。
「ん?」
「あ、お館様だ!」
「こらジョン!なれなれしく呼ばないの!」
「キルシュ、そんなに怒らなくてもいいぞ屋敷じゃないんだ。」
「でも・・・。」
「お館様なにしてるの?」
「特に何も。」
「暇なの?」
「そうだな暇だ。」
「そっかぁ。」
純真無垢のジョンがドストレートな質問をしてくるが悪意は一切ない。
が、聞いているキルシュは気が気ではないようだ。
二人とも買い物に行くのだろうか、手には空のかごを持っている。
普通買い物はミミィの仕事なんだが、何か合ったんだろうか。
「買い物はミミィの仕事だよな?」
「ミミィさんが熱を出したので代わりにお使いに行くんです!」
「熱?薬は飲んだのか?」
「はい。アネット様の作ってくださったお薬がありましたのですぐに飲んでいました。」
「ならいいんだが。後で見てもらうように言っておくか。」
「グレイス様が往診のお願いをしていましたから大丈夫だと思います。」
相変わらず仕事が早いな。
そうか、だから何か準備をしていたのか。
それならそうといえばいいのに。
「まぁアネットが見てくれるなら問題ないだろう。買い物手伝うか?」
「そんな滅相もない!」
「僕達だけで大丈夫です!」
「ちなみに何を買いに?」
「オニオニオンとオレンジキャロット、それとおコメを買い足しに。」
「後ねえっとね、グリーンパッペリカ・・・も。」
「食べれるようになったか?」
「ちょっと。」
だんだん元気がなくなっていくところが子供らしい。
大人でもピーマン嫌いはいる、まぁ無理やり食べる必要はないだろう。
「オニオニオンの予備が倉庫に合ったはず、あぁだからここに来たのか。後はコメならモーリスさんの店だな、重たくないか?」
「大丈夫!」
「任せてください!」
「なら頑張れよ、しっかりな。」
ルフとレイが二人に向かってパタパタと尻尾を振っている。
レイは子供が好きだ。
ルフはそこまででもないが、嫌いでもない。
二匹と一緒に二人を見送り、再びすることがなくなってしまった。
「あー、暇だ・・・な?」
汚れるのも気にせずそのままごろんと横になる。
レイがうれしそうに俺の横に伏せ、撫でろと頭をぶつけてきた。
低い視線になるといつもと見えないものが見えてくる。
撫でながら視線を奥に向けると、地面から何かが生えているのが見えた。
起き上がり近づいてみると、親指ほどの芽が地面から顔を出していた。
おかしいな、あそこには何も植えてないはずなんだが。
芽が出ていたのは畑から離れた倉庫の裏手。
日当たりはいいがあそこには何も植えたことがないはずだ。
「おーい、アグリちょっといいか?」
畑で水撒きをしていたアグリを呼び寄せ、見つけた芽を指差す。
それを見たアグリが少し驚いたように目を大きくさせた。
「これはファルファラッチョですね。暖かくなってきましたし出てくるかもと思ってはいましたが、嬉しいですねぇ。」
「嬉しいのか?」
「豊かな土壌、豊富な水、そして淀みのない魔力。これらが揃わないと芽を出さないんです。ファルファラッチョの生える畑は自然にも認められた土地というわけですね。」
「なるほどなぁ。で、食えるのか?」
「少し苦みもありますが春を告げる野菜としては一般的です。先程も申しましたように条件が条件ですので市場にはあまり出回りません。探せば他にも生えているのではないでしょうか。」
「ふむ、食えるならちょっと探してみるか。」
見た目にはフキノトウという感じ。
苦みもあるという部分から間違いないだろう。
天ぷらにすると美味いんだよなぁ。
ルフとレイにも手伝ってもらって畑の中を探して回る。
まだ地面から芽を出してなくても土が盛り上がっている部分を軽く掘るとすぐに見つけることができた。
『ファルファラッチョ。通称春を告げる芽。整った土壌からしか芽を出さない魔草。滋養強壮の効果があり、魔力欠乏などにも効果がある。ただし食べ過ぎると魔力漏れを起こしお腹が緩くなるので注意が必要。最近の平均取引価格は銀貨1枚。最安値銅貨79枚最高値銀貨1枚と銅貨23枚。最終取引日は340日前と記録されています。』
ふむ滋養強壮並びに魔力欠乏に効あり。
あれか、山菜とか野草ではなく魔草っていう分類なのか。
薬草とも違うみたいだし中々分類が難しいな。
「結構ありましたね。」
「そうだな。ふと思ったんだがこいつらどうやって生えてきたんだ?種とか撒いてないよな?」
「魔草は魔力を栄養として生えてきますので種とかはいらないんです。ある種魔力の塊と思って頂けるとわかり易いかと。」
「なるほど理解した。」
「春の初めの頃にしか生えてきませんし、生えても魔物に食べられることが多いのでこうやって畑で採取できるのは珍しい事です。」
「ルフとレイがたくさん見つけてくれたからな、よくやった。」
どんなもんだいと胸を張るレイとそれを穏やかな目で見るルフ。
匂いを嗅いで見つけているとおもったのだが、どうやら魔力を探知していたようだ。
魔物ならではの探し方だなぁ。
「さて、これだけの量が見つかったが食いすぎも良くない。どうする?」
「高価な品ですから売られてはいかがですか?」
「そのつもりだが全部ってのもあれだろ?とりあえずいくつか持って帰っていいぞ。」
「よろしいのですか?」
「アグリには世話になってるからな。」
「ありがとうございます。」
アグリの次はルフとレイにもおすそ分けだ。
食べ過ぎがよろしくないので少しだけだが、苦みも気にせずがつがつと平らげてしまった。
さて、残りは適当に配るか。
どこに行こうかなと大通りを歩いているとモーリスさんの店から出てくる二人を見つけた。
「あ、お館様!」
「二人ともちゃんと買えたか?」
「はい!買えました!」
「結構な量だな。」
「だいじょぶ、です。」
「どう見ても大丈夫じゃないだろうが。」
元気いっぱいのジョンだが手に持ったかごにはあまり荷物が入っていない。
その分姉のキルシュは大量の荷物加えてお米の入っていると思われる麻袋を背負っていた。
可愛い弟には無理をさせないつもりなのかもしれないが、さすがにこれはやりすぎだろう。
コメの入った麻袋を奪い、背負ってやる。
10kgはありそうだ。
かなりの重さだっただろう。
「あ、ダメです私が!」
「良いから気にするな、グレイスには俺から言っておく。」
「・・・ありがとございます。」
「ジョンも姉ちゃんが大変そうにしてたら手伝ってやれよ、男の子だろ。」
「は~い。」
渋々といった感じで姉の荷物をいくつか自分のカゴに移し替える。
軽そうなやつばかりだが、まぁ気持ちの問題だ。
そのまま三人で屋敷まで戻る。
「これはお館様、申し訳ありません。」
「キルシュを叱ってやるなよ、俺が勝手に持ったんだから。」
「もちろんです。二人ともそれを厨房へお願いね。」
「はい!」
「かしこまりました。」
グレイスの前だとさすがのジョンもきちっとするなぁ。
「じゃあ俺も。」
「丁度お館様には別のお仕事をお願いしようと思っていたところです。そちらをお願いできますでしょうか。」
「ちなみにどんな?」
「中々こちらには来てくださいませんので決裁待ちの書類が積みあがっております。」
「ハーシェがいるだろ?」
「奥様がお館様の判断に任せると仰いましたので。」
マジか。
全部任せたはずがまさかの仕事が積みあがっていた。
もしや俺を追い出したのはこの為か?
可能性は・・・あるなぁ。
書類仕事をしに行けって言ったら絶対に行かないもんなぁ。
「そうだ、畑でファルファラッチョを見つけたんだ。ミミィに食わせてやりたいんだが・・・。」
「それは良い物をありがとうございます。ハワードに下ごしらえをさせますので、どうぞご安心を。」
「物は渡したしそのまま帰るのは?」
「それを私が許すとお思いですか?」
「だよな。」
かつては凄腕の冒険者として名を馳せたらしい。
年を召してもその実力はいまだ健在。
俺なんかすぐに捕まえられ組み敷かれてしまうだろう。
仕方ない、覚悟を決めるか。
「はぁ。」
「書類は奥様のお部屋に置いてあります、後で香茶をお持ちしますのでがんばってください。それとたまには御顔を見せてくださらないと寂しがっておいでですよ。」
「善処する。」
「善処ではなく行動で示して頂かないと。」
「・・・わかった。」
「結構です。まぁ、こんなにもたくさん。ミミィの風邪もすぐに良くなりますね。」
まったくグレイスには頭が上がらんなぁ。
頼んでいた家具がそろい次第引っ越しだし、引っ越すと毎日いわれるようになるのか。
ちょっと引越し遅らせようかなとか思ってしまうなぁ。
「なにか?」
「ナンデモアリマセン。」
ま、それはそれだ。
いつもの通り店には出勤するわけだし、別にここに缶詰めでもない。
最悪店に泊まるという手段もある。
なんとでもなるさ。
もうすぐ春。
それを少し先取りした青々しい香りを感じながら、俺は戦場へと向かうのだった。
29
あなたにおすすめの小説
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
世の中は意外と魔術で何とかなる
ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。
神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。
『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』
平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~
イノナかノかワズ
ファンタジー
助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。
*話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。
*他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。
*頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。
*本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。
小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。
カクヨムにても公開しています。
更新は不定期です。
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~
一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。
しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。
流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。
その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。
右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。
この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。
数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。
元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。
根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね?
そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。
色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。
……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる