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882.転売屋はゴミの分別を促す
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春。
冬から季節が変わり一気に気温が上昇し始めた。
いつもならある程度の所で落ち着くのだが、この春はどうも様子が違う。
まるで夏かと思わせるような日差しが照りつけ、歩くだけで汗が噴出してくる。
暑い。
季節を間違えた、とまでは言わないがそう錯覚してしまうぐらいの気温になっている。
「困りましたね。」
「だなぁ。」
「まさかここまでとは。住民からも苦情が出ていますし、早々に対処しなければなりません。」
腰に手を当てて大きくため息をつく。
ため息の原因は建設現場の端に積み上げられたゴミの山。
労働者冒険者が急に増えたことにより物の消費量が一気に増え、ソレに比例するように特に食べ物の廃棄が増加。
加えてこの暑さが影響してあたりには鼻を突くような臭いが充満していた。
思わず鼻を押さえたくなるのをぐっと我慢する。
横の羊男だって・・・って、我慢しきれずに鼻つまんでた。
「対処って言っても、どうするよ。どこもいっぱいなんだろ?」
「ほれはほうなんですが・・・。」
「ダンジョンに捨てようにも向こうは向こうで廃棄量が増えて満杯。ならこっちはこっちで対処するより他は無い。一番手っ取り早いのは土に埋めることなんだが・・・。」
「食べ物だけならともかくほかのものも埋没すると後で問題になります。この先掘ったらゴミが出てきましたはさすがに・・・。」
「ま、そうなるよな。」
さすがにしゃべりにくかったのか指を離した羊男は眉間にしわを寄せる。
通常ゴミはダンジョンに廃棄され、ダンジョンに吸収されるのが一般的。
だが、冒険者の増加にあわせてダンジョン内のゴミの廃棄量も増加。
どうやら吸収量にも限界があるようで、処理しきれないものが残るようになっているんだとか。
場所を変えて廃棄すればいけるのかもしれないが、わざわざ魔物の出るダンジョン内をゴミを持って歩くなんてのは馬鹿げている。
検証すれば良いだけの話なのだが、そんなことをしている前にこっちはこっちで片付けなければならないというわけだ。
「とりあえず消臭水でもぶっ掛けますか。」
「確かアネットが扱っていたな。とりあえず持ってくるが根本的な解決にはならないぞ。」
「そうなんですよねぇ。」
臭いを消すことはできても、上からゴミが乗ればまた臭いは発生する。
根本的にこれをどうにかしないと気温のもっと上昇する夏には大変なことになってしまうだろう。
それだけはなんとも避けたいところだが・・・。
とはいえ今の状況を放置できないので、ひとまずは前に空気清浄機で使った消臭草を溶かした水でその場をしのぐことにした。
処理方法を模索するべくひとまず畑に向かってアグリの話を聞くことにする。
生ゴミから思いつくのは肥料なんだが、この世界でも生ゴミの堆肥化ってやってるんだろうか。
「確かに農産物の廃棄を畑の隅などに積み上げ、自然分解することはありますがやはり臭いの問題があります。特に調理したものなんかは色々と混ざっていますのでその傾向は強いかと。どうしても堆肥にしたいのであれば、離れた所に穴を掘ってそこに埋めていくしかありません。とはいえ、臭いをかいだ魔物が掘り返さないという保障はありませんので、もしそうなると餌があると勘違いして魔物が街の近くまで来る可能性は高くなるかと。」
「ふむ、やっぱりそういう問題が出てくるか。じゃあ灰はどうだ?」
「幸いにもこの畑は魔素が豊富ですのであまり必要と致しませんが、どうしてもというのであればある程度あれば助かります。」
「つまりいらないってわけか。せっかく燃やすんだから何かにつけたらとも思ったんだが、よくよく考えたら燃やすとしてもかなりの火力が必要になるよなぁ。」
「水気を含んだものは燃えにくいですし、よほど強い魔法かもしくは長時間燃やすかのどちらかになります。」
長時間が一番簡単だが、その間にもどんどんゴミは出てくるので時間をかけるのはよろしくない。
じゃあ高火力の魔法で一気に焼く方法になるわけだが、その人材をどこから手配するのか。
わざわざゴミを燃やす為だけに、優秀な魔術師を一人雇うのか?
絶対に誰もやりたがらないよな。
あぁ、そのままゴミを廃棄できたダンジョンがどれだけ便利だったか。
結局最後に残ったのは、埋めるという選択肢。
色々と考えてみたが、それが一番簡単かつ経済的。
問題があるとすれば様々なゴミが混ざってしまっていることだ。
これまでは全てダンジョンが吸収してくれたので分別する必要は無かったが、今後住民が増えれば間違いなく同じ問題が発生する。
そうなる前に今のうちからその準備をしておかないと後が大変なことになるだろう。
まさかこんな所で新たな問題が発覚するとは。
いや、今で良かったのかもしれないな。
場所を変え、ついでにニアも呼んでまずはこの問題についての解決案を提示してみた。
「分別ですか。」
「あぁ、労働者がたったこれだけ増えただけでこの状態なんだ。今後を見越して早々に徹底しておかないと大変なことになる。」
「具体的にはどうするの?」
「まずは燃えるゴミと燃えないゴミに分ける。単純に言えば、金属やガラス、陶器なんかは燃えないゴミで、燃えるゴミも濡れているものとそうでないもので分ける。具体的には紙とか布なんかと、食品廃棄物を分ける感じだ。臭いの原因は菌による腐敗が多いからな、乾燥してる奴はそこまでにおいは強くない。食品系は土に埋めれば肥料になるし、時間が経てば土に戻るからゴミが出てくる心配も無いだろう。それ以外の燃えるゴミは乾燥している分燃やすのにそこまで時間は掛からないはずだ。」
元の世界ではごく当たり前だったゴミの分別。
本当はリサイクルとか考えるべきなんだろうけど、それを行うための場所も技術も確立されていないのでその辺は一切無視することにした。
まずは燃えるか燃えないか。
次に燃えるとしても燃やしやすいかそうでないか。
まずはそれを徹底して、ダンジョンに廃棄するゴミの総量をコントロールする。
金属系はマートンさん達に頼めば再加工できそうだが、それ以外のものは基本ダンジョンに吸収してもらう。
燃えるゴミは灰にすることで質量を一気に減らし、生ゴミ系は土に埋めることで自然に吸収してもらう。
最終的にそれができないものに関しては今まで同様にダンジョンにお願いすることになるだろう。
土地は腐るほどあるわけだし産業廃棄物処理場的な場所も作るべきなのかもしれないが、土壌汚染やら何やらを考えると勝手にやっていいかすらわからない。
ならば現状使える万能ゴミ捨て場をいかに効率的に使うかという部分に注力するべきだ。
「聞く限りでは簡単なようにも思えますけど、うまくいくかどうか。」
「私がこう言うのもあれだけど徹底させるのが大変じゃない?ほら、冒険者って適当だし。」
「そこは研修やら何やらで何度も教育していくしかないだろう。」
「そう上手くいくかしら。」
「そうなる為の施策をこれから考えないといけないっていう話だ。今からやらないと後で痛い目見るのは間違いなく俺達なんだぞ。」
ゴミ問題はどの世界でも起きている。
参考にするべきはここよりも人口の多い王都や港町なんだろうけど、それよりも簡単かつ即効で行えるのが分別なんだ。
苦痛無くして改革無しっていうじゃないか。
あれ?ちがったっけ?
「確かに後々になって大慌てするのも我々です。今ならまだ手の打ちようがあるということですね。」
「そういうこと、まずはやるとしたらゴミ箱の設置からだな。屋外もそうだし各家庭にも支給してやればやろうと思う人は増えてくるだろう。とはいえしばらくはできているものとそうでないものが混ざるだろうから、回収後の再分別も必須だろうけどな。」
「でもそんな仕事誰がやるの?」
「別に誰でもいいさ。高い給金を出したりで人を雇えばいい、今後を考えた必要経費だと思えば安いもんだろ。」
「わかりました、早急に仕分けについてお知らせを出すことにします。」
「その時に具体例を一緒に提示してやると問い合わせが少なくなるぞ。其れはもう徹底的に載せまくったら安心だ。」
わざわざこれは何ゴミですか?って聞かれるほうがめんどくさい。
ちなみに二人には言わなかったが分類分けするメリットはもう一つある。
現状ではゴミは全て自己責任にてダンジョンに廃棄、吸収されている。
価値のあるものもそうでない物も全てだ。
もしかすると金になるものもあるかもしれないし、修理して直るものもあったかもしれない。
でもそれを確認する術もなく、全て無になってしまった。
だが一度回収してから再度分別することで、そういった品を発見するチャンスが生まれる。
もちろん生ごみから漁るのは大変なのでそっちに捨てられたものは諦めるが、燃えないゴミなら確認のしようがある。
もちろん見つかる可能性はかなり低いだろうが、金属系の分別もあるし一緒にやればそこまで苦じゃないはずだ.
「ってことで、早速うちでも取り入れようと思う。ゴミの回収の時に意識して分別するようにしてもらえるか?食堂は一律生ゴミ扱いでいいと思うが、割れた食器とかが出たら燃えないゴミに分けてくれ。」
早速屋敷に戻り、夕食後の時間を使って皆にも説明する。
話した感じではそこまで悪くない反応だけども・・・。
「なるほど、確かにゴミ問題は重要よね。」
「各部屋にゴミ箱を設置しますか?」
「各自の部屋からはそこまでゴミは出ないし、グレイス達には悪いが回収するタイミングで分別してくれ。」
「わかりました、明日から三つゴミ袋を用意して回収に当たります。」
執務室も含めて屋敷の各部屋からはそこまで複雑なゴミは出ないはずだ。
気をつけるとしたらアネットの製薬室だが、あそこは産業廃棄物として密封した状態で廃棄しているからなぁ。
あぁそうか、そういう開封しちゃいけないゴミとかも出てくるのか。
分別の際に其れは仕分けしないとかのルール作りは必要だな。
口で言うのは簡単だが、後から後から出てくるなぁ。
ま、それも生みの苦しみって奴だ。
今やればあとは楽になる。
加えて新たに雇用が生まれ、さらにはリサイクルの概念が出てくるかもしれない。
小さなことからこつこつと、ってね。
「夏を迎える前に何とかしたいところだ、皆よろしく頼む。」
「「「「はい!」」」」
「さーて、後は風呂に入って寝るだけだが・・・。」
「シロウ様、よろしいですか?」
「ん?」
さぁ解散だっていうタイミングでセーラさんが立ち上がり、俺を制す。
わざわざここで呼び止めるって事は全員で共有すべき話なんだろうけど。
なんだ?
「先ほど、ギルド協会より至急の伝達がありました。明日、魔術師ギルドの関係者がシロウ様の調査に来るそうです。」
「魔術師ギルドが、俺に?」
「詳しくは伝えられていませんが、気をつけたほうがいいかもしれません。」
いつにも無く緊張感のある声に思わずごくりと生唾を飲んでしまった。
魔術師ギルド。
魔法も使えない俺に一体何の用があるのだろうか。
冬から季節が変わり一気に気温が上昇し始めた。
いつもならある程度の所で落ち着くのだが、この春はどうも様子が違う。
まるで夏かと思わせるような日差しが照りつけ、歩くだけで汗が噴出してくる。
暑い。
季節を間違えた、とまでは言わないがそう錯覚してしまうぐらいの気温になっている。
「困りましたね。」
「だなぁ。」
「まさかここまでとは。住民からも苦情が出ていますし、早々に対処しなければなりません。」
腰に手を当てて大きくため息をつく。
ため息の原因は建設現場の端に積み上げられたゴミの山。
労働者冒険者が急に増えたことにより物の消費量が一気に増え、ソレに比例するように特に食べ物の廃棄が増加。
加えてこの暑さが影響してあたりには鼻を突くような臭いが充満していた。
思わず鼻を押さえたくなるのをぐっと我慢する。
横の羊男だって・・・って、我慢しきれずに鼻つまんでた。
「対処って言っても、どうするよ。どこもいっぱいなんだろ?」
「ほれはほうなんですが・・・。」
「ダンジョンに捨てようにも向こうは向こうで廃棄量が増えて満杯。ならこっちはこっちで対処するより他は無い。一番手っ取り早いのは土に埋めることなんだが・・・。」
「食べ物だけならともかくほかのものも埋没すると後で問題になります。この先掘ったらゴミが出てきましたはさすがに・・・。」
「ま、そうなるよな。」
さすがにしゃべりにくかったのか指を離した羊男は眉間にしわを寄せる。
通常ゴミはダンジョンに廃棄され、ダンジョンに吸収されるのが一般的。
だが、冒険者の増加にあわせてダンジョン内のゴミの廃棄量も増加。
どうやら吸収量にも限界があるようで、処理しきれないものが残るようになっているんだとか。
場所を変えて廃棄すればいけるのかもしれないが、わざわざ魔物の出るダンジョン内をゴミを持って歩くなんてのは馬鹿げている。
検証すれば良いだけの話なのだが、そんなことをしている前にこっちはこっちで片付けなければならないというわけだ。
「とりあえず消臭水でもぶっ掛けますか。」
「確かアネットが扱っていたな。とりあえず持ってくるが根本的な解決にはならないぞ。」
「そうなんですよねぇ。」
臭いを消すことはできても、上からゴミが乗ればまた臭いは発生する。
根本的にこれをどうにかしないと気温のもっと上昇する夏には大変なことになってしまうだろう。
それだけはなんとも避けたいところだが・・・。
とはいえ今の状況を放置できないので、ひとまずは前に空気清浄機で使った消臭草を溶かした水でその場をしのぐことにした。
処理方法を模索するべくひとまず畑に向かってアグリの話を聞くことにする。
生ゴミから思いつくのは肥料なんだが、この世界でも生ゴミの堆肥化ってやってるんだろうか。
「確かに農産物の廃棄を畑の隅などに積み上げ、自然分解することはありますがやはり臭いの問題があります。特に調理したものなんかは色々と混ざっていますのでその傾向は強いかと。どうしても堆肥にしたいのであれば、離れた所に穴を掘ってそこに埋めていくしかありません。とはいえ、臭いをかいだ魔物が掘り返さないという保障はありませんので、もしそうなると餌があると勘違いして魔物が街の近くまで来る可能性は高くなるかと。」
「ふむ、やっぱりそういう問題が出てくるか。じゃあ灰はどうだ?」
「幸いにもこの畑は魔素が豊富ですのであまり必要と致しませんが、どうしてもというのであればある程度あれば助かります。」
「つまりいらないってわけか。せっかく燃やすんだから何かにつけたらとも思ったんだが、よくよく考えたら燃やすとしてもかなりの火力が必要になるよなぁ。」
「水気を含んだものは燃えにくいですし、よほど強い魔法かもしくは長時間燃やすかのどちらかになります。」
長時間が一番簡単だが、その間にもどんどんゴミは出てくるので時間をかけるのはよろしくない。
じゃあ高火力の魔法で一気に焼く方法になるわけだが、その人材をどこから手配するのか。
わざわざゴミを燃やす為だけに、優秀な魔術師を一人雇うのか?
絶対に誰もやりたがらないよな。
あぁ、そのままゴミを廃棄できたダンジョンがどれだけ便利だったか。
結局最後に残ったのは、埋めるという選択肢。
色々と考えてみたが、それが一番簡単かつ経済的。
問題があるとすれば様々なゴミが混ざってしまっていることだ。
これまでは全てダンジョンが吸収してくれたので分別する必要は無かったが、今後住民が増えれば間違いなく同じ問題が発生する。
そうなる前に今のうちからその準備をしておかないと後が大変なことになるだろう。
まさかこんな所で新たな問題が発覚するとは。
いや、今で良かったのかもしれないな。
場所を変え、ついでにニアも呼んでまずはこの問題についての解決案を提示してみた。
「分別ですか。」
「あぁ、労働者がたったこれだけ増えただけでこの状態なんだ。今後を見越して早々に徹底しておかないと大変なことになる。」
「具体的にはどうするの?」
「まずは燃えるゴミと燃えないゴミに分ける。単純に言えば、金属やガラス、陶器なんかは燃えないゴミで、燃えるゴミも濡れているものとそうでないもので分ける。具体的には紙とか布なんかと、食品廃棄物を分ける感じだ。臭いの原因は菌による腐敗が多いからな、乾燥してる奴はそこまでにおいは強くない。食品系は土に埋めれば肥料になるし、時間が経てば土に戻るからゴミが出てくる心配も無いだろう。それ以外の燃えるゴミは乾燥している分燃やすのにそこまで時間は掛からないはずだ。」
元の世界ではごく当たり前だったゴミの分別。
本当はリサイクルとか考えるべきなんだろうけど、それを行うための場所も技術も確立されていないのでその辺は一切無視することにした。
まずは燃えるか燃えないか。
次に燃えるとしても燃やしやすいかそうでないか。
まずはそれを徹底して、ダンジョンに廃棄するゴミの総量をコントロールする。
金属系はマートンさん達に頼めば再加工できそうだが、それ以外のものは基本ダンジョンに吸収してもらう。
燃えるゴミは灰にすることで質量を一気に減らし、生ゴミ系は土に埋めることで自然に吸収してもらう。
最終的にそれができないものに関しては今まで同様にダンジョンにお願いすることになるだろう。
土地は腐るほどあるわけだし産業廃棄物処理場的な場所も作るべきなのかもしれないが、土壌汚染やら何やらを考えると勝手にやっていいかすらわからない。
ならば現状使える万能ゴミ捨て場をいかに効率的に使うかという部分に注力するべきだ。
「聞く限りでは簡単なようにも思えますけど、うまくいくかどうか。」
「私がこう言うのもあれだけど徹底させるのが大変じゃない?ほら、冒険者って適当だし。」
「そこは研修やら何やらで何度も教育していくしかないだろう。」
「そう上手くいくかしら。」
「そうなる為の施策をこれから考えないといけないっていう話だ。今からやらないと後で痛い目見るのは間違いなく俺達なんだぞ。」
ゴミ問題はどの世界でも起きている。
参考にするべきはここよりも人口の多い王都や港町なんだろうけど、それよりも簡単かつ即効で行えるのが分別なんだ。
苦痛無くして改革無しっていうじゃないか。
あれ?ちがったっけ?
「確かに後々になって大慌てするのも我々です。今ならまだ手の打ちようがあるということですね。」
「そういうこと、まずはやるとしたらゴミ箱の設置からだな。屋外もそうだし各家庭にも支給してやればやろうと思う人は増えてくるだろう。とはいえしばらくはできているものとそうでないものが混ざるだろうから、回収後の再分別も必須だろうけどな。」
「でもそんな仕事誰がやるの?」
「別に誰でもいいさ。高い給金を出したりで人を雇えばいい、今後を考えた必要経費だと思えば安いもんだろ。」
「わかりました、早急に仕分けについてお知らせを出すことにします。」
「その時に具体例を一緒に提示してやると問い合わせが少なくなるぞ。其れはもう徹底的に載せまくったら安心だ。」
わざわざこれは何ゴミですか?って聞かれるほうがめんどくさい。
ちなみに二人には言わなかったが分類分けするメリットはもう一つある。
現状ではゴミは全て自己責任にてダンジョンに廃棄、吸収されている。
価値のあるものもそうでない物も全てだ。
もしかすると金になるものもあるかもしれないし、修理して直るものもあったかもしれない。
でもそれを確認する術もなく、全て無になってしまった。
だが一度回収してから再度分別することで、そういった品を発見するチャンスが生まれる。
もちろん生ごみから漁るのは大変なのでそっちに捨てられたものは諦めるが、燃えないゴミなら確認のしようがある。
もちろん見つかる可能性はかなり低いだろうが、金属系の分別もあるし一緒にやればそこまで苦じゃないはずだ.
「ってことで、早速うちでも取り入れようと思う。ゴミの回収の時に意識して分別するようにしてもらえるか?食堂は一律生ゴミ扱いでいいと思うが、割れた食器とかが出たら燃えないゴミに分けてくれ。」
早速屋敷に戻り、夕食後の時間を使って皆にも説明する。
話した感じではそこまで悪くない反応だけども・・・。
「なるほど、確かにゴミ問題は重要よね。」
「各部屋にゴミ箱を設置しますか?」
「各自の部屋からはそこまでゴミは出ないし、グレイス達には悪いが回収するタイミングで分別してくれ。」
「わかりました、明日から三つゴミ袋を用意して回収に当たります。」
執務室も含めて屋敷の各部屋からはそこまで複雑なゴミは出ないはずだ。
気をつけるとしたらアネットの製薬室だが、あそこは産業廃棄物として密封した状態で廃棄しているからなぁ。
あぁそうか、そういう開封しちゃいけないゴミとかも出てくるのか。
分別の際に其れは仕分けしないとかのルール作りは必要だな。
口で言うのは簡単だが、後から後から出てくるなぁ。
ま、それも生みの苦しみって奴だ。
今やればあとは楽になる。
加えて新たに雇用が生まれ、さらにはリサイクルの概念が出てくるかもしれない。
小さなことからこつこつと、ってね。
「夏を迎える前に何とかしたいところだ、皆よろしく頼む。」
「「「「はい!」」」」
「さーて、後は風呂に入って寝るだけだが・・・。」
「シロウ様、よろしいですか?」
「ん?」
さぁ解散だっていうタイミングでセーラさんが立ち上がり、俺を制す。
わざわざここで呼び止めるって事は全員で共有すべき話なんだろうけど。
なんだ?
「先ほど、ギルド協会より至急の伝達がありました。明日、魔術師ギルドの関係者がシロウ様の調査に来るそうです。」
「魔術師ギルドが、俺に?」
「詳しくは伝えられていませんが、気をつけたほうがいいかもしれません。」
いつにも無く緊張感のある声に思わずごくりと生唾を飲んでしまった。
魔術師ギルド。
魔法も使えない俺に一体何の用があるのだろうか。
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