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1143.転売屋は感謝祭を迎える
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いよいよ感謝祭が始まった。
一年24か月、その締めくくりとなる一大イベントだけに街は朝からお祭り騒ぎ。
「の、はずだったんだがなぁ。」
「この雪じゃ仕方ありませんね。」
大通りには朝から冒険者をはじめ多くの住民が溢れ最後の一週間を心行くまま楽しむはずが、まさかの大雪。
確かにこの冬は例年と違うと思っていたのだが、雪に始まり雪で折り返す感じになりそうだ。
エントランスから見えるだけでも中々の雪の量。
こりゃ早めに雪かきしないと前みたいに動けなくなりそうだ。
「とはいえ雪かき道具もあるし皆やる気に満ち溢れてるわよ。なんせ感謝祭だもの、ただの雪に邪魔されてたまるものですか。」
そんな俺達の横に防寒装備に身を固めたエリザがやって来た。
いつも使う武骨な得物の代わりに雪かき用のスコップを握っている。
「なるほどどおりで冒険者が気合十分なわけだ。」
「ただ酒にただ飯、それで燃えない冒険者はいないわよ。さっきギルドを通じて全冒険者に通達が行ったから昼ぐらいには除雪できると思うわ。」
「そりゃ楽しみだ。」
感謝祭。
一年の締めくくりを祝うお祭りだが、その期間は飲み食い全て無料。
無料といっても費用は街が持ってくれるという感じなので、売る方もがぜん気合が違う。
客は自分の財布を気にすることなく飲み食いしてくれるので、売れば売るほど利益が出る。
それで燃えない商売人がいるだろうか、いやいない。
「そういう事だからシロウも頑張ってね。」
「別に俺が頑張る事は何もないんだが?感謝祭期間は仕事もしないし、のんびりゆっくり楽しませてもらう。」
「ふふ、そうだといいんだけど。それじゃあ行ってきます!」
「いってらっしゃいませエリザ様。」
気合十分な感じでエリザが出発する。
その後姿はまるで除雪機の様。
進む度に左右に雪が飛び散って進んだ後には綺麗な道が出来上がる。
しまった、出発前にエントランス全体を除雪してもらえばよかった。
「一体何が起きるんだ?」
「さぁ・・・。」
「ま、今日から楽しい感謝祭。子供たちにとっても初めてのイベントだからな、精一杯楽しむとしよう。」
ひとまず目の前の雪を見なかったことにして中に戻り、食堂で少し軽めの朝食を作る。
折角美味しい物がたくさん食べられるのに今からお腹を膨らますのは勿体ない。
感謝祭の期間はグレイス達にも基本休んでもらうようにしているので各々思い思いに楽しんでくれるはずだ。
今日は楽しい楽しい感謝祭、俺達も準備をして出発しよう。
「シロウさん!これ、これはいくらですか?」
「それは銀貨1枚、そっちの小さいのは銅貨50枚だ。」
「えー、どれも可愛くて決められない。全部ください!」
「毎度あり。」
どうしてこんなことをしているのかと自問自答しながら客から金を受け取る。
食事に金がかからないからか、今日はどの冒険者も金払いがかなりいい。
そういう意味では非常にありがたい話なのだが、なぜ俺は感謝祭の初日に商売をしているのか。
それは二時間ほど前にさかのぼる。
「トト、ただいま!」
「ただいま帰ったぞ。」
「バーン、それにディーネまで感謝祭なのにどこに行ってたんだ?」
屋敷の前の雪かきも終わりさぁいよいよ感謝祭!そう思っていた俺たちの前に、空から思わぬ人物が降りてきた。
雪を巻き上げながらゆっくりと木箱が降ろされ、その後人化したバーンとディーネが華麗に着地する。
朝から好き放題飲み食いできるというのにいったいどこに言っていたのだろうか。
「ちょいと南方まで野暮用でな。」
「エリザハハからお願いされた物を取りに行ってた!ちゃんとおかねはもらったよ、偉い?」
エリザが言っていたのは間違いなくこれの事だろう。
頼んだ当の本人は今頃冒険者と一緒に除雪にいそしんでいるはずだが、それにしても南方までとは大変だっただろうに。
えらいえらいといいつつバーンの頭をなでて褒めつつ中庭に鎮座する木箱を見つめる。
これは開けていいってことだよな?
「ちなみに中身は?」
「酒と砂糖、それとこまごまとした物じゃな。ウンチュミーが海で見つけた物なんかも入ってるそうじゃぞ。まったくごみをこんなにも押し付けおって。」
「ウンチュミーにも会ったのか。」
「息子が世話になっておるのだ当然じゃろう。相変わらず考えの古い堅物じゃったが、封じられている間に少しは丸くなっていたようじゃな。」
「まぁ元気そうならそれでいいさ。」
酒は十中八九エリザだろうけど、砂糖なんかは前々から頼んでいたのをついでに積み込んでくれたんだろう。
気になるのはウンチュミーが拾ってきたやつなんだが、まぁ開けてみればわかるか。
バーンに手伝ってもらいながら木箱を開けると、右半分はきれいに整理されていたものの左半分は非常に雑多な状態だった。
とりあえず整理されている方から酒と砂糖を回収し、残りはビープルニールの革を地面に引いてその上にぶちまけることに。
「これは中々すごいな。」
「キラキラいっぱい!骨もある!」
「これをゴミと言わずしてなんという。」
「確かに見た目はゴミみたいなもんだが・・・いや、ゴミなのか?」
ビープルニールの上に散らばったのは色鮮やかな宝石、ではなくくすんだ光を放つ欠片たち。
そのほかにも巨大な骨やサンゴの欠片っぽい物もたくさんある。
おそらくはウンチュミーが海で見つけたものなんだろうけど、なぜこれをくれたのかはわからない。
恩返し的なものではないと思うんだが・・・。
ま、くれるっていうんだから遠慮なくもらうとしよう。
『スティンググラスの破片。海底に生息するスティンググラスは、ガラスのような鋭利な触手を漂わせながら獲物を待ち伏せ獲物が近づいたら触手を硬化させて切り刻む。海底に生息する為直接姿を見ることはないが、稀にちぎれた色鮮やかな触手が浜に漂着することがある。最近の平均取引価格は銅貨50枚、最安値銅貨23枚最高値銅貨61枚。最終取引日は7日前と記録されています。』
『ジュエルサンゴの欠片。別名海底の華とも呼ばれる非常に煌びやかな海底植物。見た目は非常に華やかだがその身は固く、輝いている部分は長い年月をかけて海中から吸収した魔素が魔石化したもの。魔物同士の戦いなどで破損した物が海流などにより運ばれてくることがあるが非常に珍しい。最近の平均取引価格は銀貨1枚、最安値銅貨70枚最高値金貨1枚。最終取引日は74日前と記録されています。』
『オーシャンエレファントの骨。海底を闊歩する巨大な海洋生物。性格は非常に温厚だが、一度売られた喧嘩は相手が逃げだすか死ぬまで続けられる。海底の水圧にも耐えられる非常に丈夫な骨は巨大建築や城壁の屋台骨として使われることが多い。最近の平均取引価格は銀貨40枚、最安値銀貨30枚最高値銀貨50枚。最終取引日は146日前と記録されています。』
大半はスティンググラスの破片だが、ジュエルサンゴもそれなりの数がある。
骨は全部で3本しかないが、かなり大きくて立派だ。
残りのくすんだ欠片のほとんどはグラススラグの破片だろう。
俺が砂浜で素材を集めたって話を聞いてわざわざ集めてくれたのかもしれない。
「それで、すべてゴミなのか?」
「いや、ゴミなように見えて全部使い道はありそうだ。とりあえずこのまま置いておいても雪に埋もれるだけだし、グラススラグとそうでないものを分けてそれから考えよう。やれやれ遊びに行くのはもう少し先になりそうだな。」
「今日はお祭りなのだろう?さっさと終わらせてあそびにいくぞ。」
「僕も手伝う!」
「そんじゃま光ってるのと光ってないやつで分けてくれ。」
雪に埋もれたらそれはそれでめんどくさい。
ってことで仕分けを始めたのが二時間前、それで終わるはずだったのだが思った以上にジュエルサンゴが綺麗だったので思わず俺の商売っ気に火がついてしまった。
今日は感謝祭。
別に商売する必要なんてないし、年明けに販売しても何ら問題ない。
なのに俺はなぜ仕分けしたジュエルサンゴを袋に押し込んで市場に向かっているのか。
その結果が今につながるというわけだ。
「え、シロウ何してるの?」
「見てわかるだろ、お前が取り寄せた酒の後始末をしてたらこんなことになったんだよ。」
「ごめん、ちょっとよくわからない。」
除雪を終えたと思われるエリザが露店にやってきて信じられないという顔で俺を見てくる。
俺だってなんでこんなことしてるかわからないが、とりあえず言えることはかなり儲かっているという事。
なんせ原価はタダだ。
売れば売るほど利益が出ると思うとやらずにはいられなかったんだよ。
「除雪は終わったのか?」
「とりあえずはね、今頃畑の方にはすごい雪山ができてるんじゃないかしら。」
「頼むから埋めないでくれよ、野菜が埋まってるんだから。」
「そこは大丈夫よ、きっと。」
「絶対って言ってほしいんだがなぁ。」
まぁ、アグリがいるから大丈夫だと思うけど。
幸いにも雪はやんでいるのでこれ以上積もる心配もないので、安心して感謝祭を楽しむことができる。
「あの、これください。」
「小さいのが三つに大きいのが二つ、銀貨5枚な。」
「ありがとうございます!」
エリザと話しながらもジュエルサンゴが売れていく。
その名の通り宝石のような輝きを発するそれはこの辺じゃまずお目にかかれない物だけに、文字通り飛ぶように在庫がなくなっていく。
この分だと早々に販売を終えて感謝祭に復帰できそうだ。
まさに降ってわいた南方からの贈り物。
子供たちも待ってるだろうし、さっさと金を稼いで待たせた分好きな物を買ってやろう。
感謝祭だからかいつも以上に露店が出ている気がする。
この間おもちゃを与えたところだが、それはそれ、これはこれ。
一年間のお礼を兼ねて女たちにも何か買ってもいいかもしれない。
送ってくれたウンチュミーにも今度何か持って行ってやるとしよう。
「それじゃあ先に買い物行ってるわね、何が欲しい?」
「食べるものを頼む、腹減った。」
「じゃあ飲み物も持ってきてあげる。」
「助かる。」
まだまだ感謝祭は始まったばかり。
一週間続く盛大なお祭り騒ぎをたっぷり楽しもうじゃないか。
一年24か月、その締めくくりとなる一大イベントだけに街は朝からお祭り騒ぎ。
「の、はずだったんだがなぁ。」
「この雪じゃ仕方ありませんね。」
大通りには朝から冒険者をはじめ多くの住民が溢れ最後の一週間を心行くまま楽しむはずが、まさかの大雪。
確かにこの冬は例年と違うと思っていたのだが、雪に始まり雪で折り返す感じになりそうだ。
エントランスから見えるだけでも中々の雪の量。
こりゃ早めに雪かきしないと前みたいに動けなくなりそうだ。
「とはいえ雪かき道具もあるし皆やる気に満ち溢れてるわよ。なんせ感謝祭だもの、ただの雪に邪魔されてたまるものですか。」
そんな俺達の横に防寒装備に身を固めたエリザがやって来た。
いつも使う武骨な得物の代わりに雪かき用のスコップを握っている。
「なるほどどおりで冒険者が気合十分なわけだ。」
「ただ酒にただ飯、それで燃えない冒険者はいないわよ。さっきギルドを通じて全冒険者に通達が行ったから昼ぐらいには除雪できると思うわ。」
「そりゃ楽しみだ。」
感謝祭。
一年の締めくくりを祝うお祭りだが、その期間は飲み食い全て無料。
無料といっても費用は街が持ってくれるという感じなので、売る方もがぜん気合が違う。
客は自分の財布を気にすることなく飲み食いしてくれるので、売れば売るほど利益が出る。
それで燃えない商売人がいるだろうか、いやいない。
「そういう事だからシロウも頑張ってね。」
「別に俺が頑張る事は何もないんだが?感謝祭期間は仕事もしないし、のんびりゆっくり楽しませてもらう。」
「ふふ、そうだといいんだけど。それじゃあ行ってきます!」
「いってらっしゃいませエリザ様。」
気合十分な感じでエリザが出発する。
その後姿はまるで除雪機の様。
進む度に左右に雪が飛び散って進んだ後には綺麗な道が出来上がる。
しまった、出発前にエントランス全体を除雪してもらえばよかった。
「一体何が起きるんだ?」
「さぁ・・・。」
「ま、今日から楽しい感謝祭。子供たちにとっても初めてのイベントだからな、精一杯楽しむとしよう。」
ひとまず目の前の雪を見なかったことにして中に戻り、食堂で少し軽めの朝食を作る。
折角美味しい物がたくさん食べられるのに今からお腹を膨らますのは勿体ない。
感謝祭の期間はグレイス達にも基本休んでもらうようにしているので各々思い思いに楽しんでくれるはずだ。
今日は楽しい楽しい感謝祭、俺達も準備をして出発しよう。
「シロウさん!これ、これはいくらですか?」
「それは銀貨1枚、そっちの小さいのは銅貨50枚だ。」
「えー、どれも可愛くて決められない。全部ください!」
「毎度あり。」
どうしてこんなことをしているのかと自問自答しながら客から金を受け取る。
食事に金がかからないからか、今日はどの冒険者も金払いがかなりいい。
そういう意味では非常にありがたい話なのだが、なぜ俺は感謝祭の初日に商売をしているのか。
それは二時間ほど前にさかのぼる。
「トト、ただいま!」
「ただいま帰ったぞ。」
「バーン、それにディーネまで感謝祭なのにどこに行ってたんだ?」
屋敷の前の雪かきも終わりさぁいよいよ感謝祭!そう思っていた俺たちの前に、空から思わぬ人物が降りてきた。
雪を巻き上げながらゆっくりと木箱が降ろされ、その後人化したバーンとディーネが華麗に着地する。
朝から好き放題飲み食いできるというのにいったいどこに言っていたのだろうか。
「ちょいと南方まで野暮用でな。」
「エリザハハからお願いされた物を取りに行ってた!ちゃんとおかねはもらったよ、偉い?」
エリザが言っていたのは間違いなくこれの事だろう。
頼んだ当の本人は今頃冒険者と一緒に除雪にいそしんでいるはずだが、それにしても南方までとは大変だっただろうに。
えらいえらいといいつつバーンの頭をなでて褒めつつ中庭に鎮座する木箱を見つめる。
これは開けていいってことだよな?
「ちなみに中身は?」
「酒と砂糖、それとこまごまとした物じゃな。ウンチュミーが海で見つけた物なんかも入ってるそうじゃぞ。まったくごみをこんなにも押し付けおって。」
「ウンチュミーにも会ったのか。」
「息子が世話になっておるのだ当然じゃろう。相変わらず考えの古い堅物じゃったが、封じられている間に少しは丸くなっていたようじゃな。」
「まぁ元気そうならそれでいいさ。」
酒は十中八九エリザだろうけど、砂糖なんかは前々から頼んでいたのをついでに積み込んでくれたんだろう。
気になるのはウンチュミーが拾ってきたやつなんだが、まぁ開けてみればわかるか。
バーンに手伝ってもらいながら木箱を開けると、右半分はきれいに整理されていたものの左半分は非常に雑多な状態だった。
とりあえず整理されている方から酒と砂糖を回収し、残りはビープルニールの革を地面に引いてその上にぶちまけることに。
「これは中々すごいな。」
「キラキラいっぱい!骨もある!」
「これをゴミと言わずしてなんという。」
「確かに見た目はゴミみたいなもんだが・・・いや、ゴミなのか?」
ビープルニールの上に散らばったのは色鮮やかな宝石、ではなくくすんだ光を放つ欠片たち。
そのほかにも巨大な骨やサンゴの欠片っぽい物もたくさんある。
おそらくはウンチュミーが海で見つけたものなんだろうけど、なぜこれをくれたのかはわからない。
恩返し的なものではないと思うんだが・・・。
ま、くれるっていうんだから遠慮なくもらうとしよう。
『スティンググラスの破片。海底に生息するスティンググラスは、ガラスのような鋭利な触手を漂わせながら獲物を待ち伏せ獲物が近づいたら触手を硬化させて切り刻む。海底に生息する為直接姿を見ることはないが、稀にちぎれた色鮮やかな触手が浜に漂着することがある。最近の平均取引価格は銅貨50枚、最安値銅貨23枚最高値銅貨61枚。最終取引日は7日前と記録されています。』
『ジュエルサンゴの欠片。別名海底の華とも呼ばれる非常に煌びやかな海底植物。見た目は非常に華やかだがその身は固く、輝いている部分は長い年月をかけて海中から吸収した魔素が魔石化したもの。魔物同士の戦いなどで破損した物が海流などにより運ばれてくることがあるが非常に珍しい。最近の平均取引価格は銀貨1枚、最安値銅貨70枚最高値金貨1枚。最終取引日は74日前と記録されています。』
『オーシャンエレファントの骨。海底を闊歩する巨大な海洋生物。性格は非常に温厚だが、一度売られた喧嘩は相手が逃げだすか死ぬまで続けられる。海底の水圧にも耐えられる非常に丈夫な骨は巨大建築や城壁の屋台骨として使われることが多い。最近の平均取引価格は銀貨40枚、最安値銀貨30枚最高値銀貨50枚。最終取引日は146日前と記録されています。』
大半はスティンググラスの破片だが、ジュエルサンゴもそれなりの数がある。
骨は全部で3本しかないが、かなり大きくて立派だ。
残りのくすんだ欠片のほとんどはグラススラグの破片だろう。
俺が砂浜で素材を集めたって話を聞いてわざわざ集めてくれたのかもしれない。
「それで、すべてゴミなのか?」
「いや、ゴミなように見えて全部使い道はありそうだ。とりあえずこのまま置いておいても雪に埋もれるだけだし、グラススラグとそうでないものを分けてそれから考えよう。やれやれ遊びに行くのはもう少し先になりそうだな。」
「今日はお祭りなのだろう?さっさと終わらせてあそびにいくぞ。」
「僕も手伝う!」
「そんじゃま光ってるのと光ってないやつで分けてくれ。」
雪に埋もれたらそれはそれでめんどくさい。
ってことで仕分けを始めたのが二時間前、それで終わるはずだったのだが思った以上にジュエルサンゴが綺麗だったので思わず俺の商売っ気に火がついてしまった。
今日は感謝祭。
別に商売する必要なんてないし、年明けに販売しても何ら問題ない。
なのに俺はなぜ仕分けしたジュエルサンゴを袋に押し込んで市場に向かっているのか。
その結果が今につながるというわけだ。
「え、シロウ何してるの?」
「見てわかるだろ、お前が取り寄せた酒の後始末をしてたらこんなことになったんだよ。」
「ごめん、ちょっとよくわからない。」
除雪を終えたと思われるエリザが露店にやってきて信じられないという顔で俺を見てくる。
俺だってなんでこんなことしてるかわからないが、とりあえず言えることはかなり儲かっているという事。
なんせ原価はタダだ。
売れば売るほど利益が出ると思うとやらずにはいられなかったんだよ。
「除雪は終わったのか?」
「とりあえずはね、今頃畑の方にはすごい雪山ができてるんじゃないかしら。」
「頼むから埋めないでくれよ、野菜が埋まってるんだから。」
「そこは大丈夫よ、きっと。」
「絶対って言ってほしいんだがなぁ。」
まぁ、アグリがいるから大丈夫だと思うけど。
幸いにも雪はやんでいるのでこれ以上積もる心配もないので、安心して感謝祭を楽しむことができる。
「あの、これください。」
「小さいのが三つに大きいのが二つ、銀貨5枚な。」
「ありがとうございます!」
エリザと話しながらもジュエルサンゴが売れていく。
その名の通り宝石のような輝きを発するそれはこの辺じゃまずお目にかかれない物だけに、文字通り飛ぶように在庫がなくなっていく。
この分だと早々に販売を終えて感謝祭に復帰できそうだ。
まさに降ってわいた南方からの贈り物。
子供たちも待ってるだろうし、さっさと金を稼いで待たせた分好きな物を買ってやろう。
感謝祭だからかいつも以上に露店が出ている気がする。
この間おもちゃを与えたところだが、それはそれ、これはこれ。
一年間のお礼を兼ねて女たちにも何か買ってもいいかもしれない。
送ってくれたウンチュミーにも今度何か持って行ってやるとしよう。
「それじゃあ先に買い物行ってるわね、何が欲しい?」
「食べるものを頼む、腹減った。」
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