転売屋(テンバイヤー)は相場スキルで財を成す

エルリア

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1145.転売屋はおせちを準備する

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色々あった受付作業を終えて屋敷に戻ったのはちょうどおやつ時。

匂いに誘われるまま食堂に向かうと、エリザがこの間買ったエプロンを身に着けて何やら甘い物を作っているようだ。

「ただいま。」

「あ、おかえり。どうだった?」

「色々ありすぎて疲れた。」

「ご苦労様、そこに出来てるのあるから好きに食べていいわよ。」

エリザの視線の先にあったのは大皿に乗った大量のクッキー。

10枚20枚というレベルじゃない、100枚単位のクッキーが山のように積まれている。

今日は朝から厨房を使うと宣言していたエリザだったが、まさかここまでの量を作るとは思っていなかった。

そういえば初日にあれこれ買い込んでいたなぁ。

気晴らしにお菓子を作ることはよくあったがいくらなんでも多すぎだろう。

とか思いながらも空腹に耐えきれず大皿から何枚か引っこ抜き、近くの椅子に座って口に運ぶ。

「ん!美味い、いつもと違うな。」

「あ、わかった?北でしか手に入らないエッシュホーンのバターが売られてたから思わず買っちゃったのよ。こんなに美味しくなると思わなくて作り始めたら止まらなくなっちゃった。」

「せっかくの感謝祭に菓子作りか、でもこれなら十分売れそうだ。」

「売らないわよ。お世話になった人に配るの。」

「そうなのか?」

「それにクッキーなんてこの時期誰も食べたいと思わないでしょ。もっとおいしい物が好きなだけ食べられるんだから。」

そうだろうか。

これだけ美味かったら十分売れるだろうし、なにより肉や酒ばかりだとすぐに飽きるんだよな。

現にドルチェの店は商品を出せばすぐ完売するみたいだし出せば間違いなく売れる。

とはいえ作り手が売りたくないって言ってるんだからそれを無理強いするのはよくない話だ。

「俺は好きだけどなぁ。」

「ふふ、ありがと。そうだ、さっきハルカさんとケイゴさんが来てたわよ。」

「二人が?」

「清酒を届けに来てくれたついでに感謝祭を見て回るんだって。」

「事前に言ってくれたら色々案内できたのに。あ、でも今から追いかけたらどこかで会えるか・・・ちょっと行ってくる。」

「あ!それならワイルドカウのミルクも買ってきて!」

さっきまで王都の金持ち相手に商売していた男が嫁さんにお使いを頼まれていると知ったら彼らはどう思うだろうか。

まぁ俺は何とも思わないけどな。

立ってるものは親でも使えっていうし、せっかくエリザが楽しそうにしているのを邪魔したくない。

クッキーをあと何枚かもらってから再び街へと繰り出す。

まさか西方国の元国王夫妻が大通りを歩いているとはだれも思わないだろうし、分かったところで彼らは戦争とは無関係だ。

だからどうという事もない。

大勢の人でごった返す大通りを抜け、そのまま牛乳を買いに市場へと足を向ける。

こちらも大通りに負けない凄い人。

飲み食いに金がかからない分冒険者が普段手を出さないような品を買おうと大勢集まっているからだろう。

昨日はそれで大儲けさせてもらったわけだが・・・。

「ん?なんだこれ。」

「いらっしゃいませ!美味しいブラックビーンズはいかがですか。」

「でかいな。」

「今年は特に大きくて炊くとふっくらもちもちして美味しいんですよ。西方方面では次の年が大きくなりますようにと縁起を込めて年明けに食べるんです。」

なるほど、年末といえばこういう食材も売られるのか。

新年早々縁起のいい食べ物で良い1年になりますようにと願掛けをする。

そう、おせち料理だ。

元の世界では一人で暮らしていることが長かったのでほとんど縁はなかったが、子供のころは自分の好きなものばかり食べていたなぁ。

基本日持ちがして酒のあてになる物がほとんどだが、その中で自分の食べれそうなものを食べて幼いながらに縁起を担いでいた気がする。

といってもごまめやくわいなんかは美味しいと思ったことないのでほとんど食べなかったし、食べてもかまぼことか栗きんとんとか、それこそ黒豆なんかもよく食べたもんだ。

西方関係の品でもしかしたらと思っていたのだが、まさか本当に出会えるとは思っていなかった。

「ほかにも縁起物はあるのか?」

「マロマロンを甘く煮たやつは金運を、スモールマイスフィッシュは健康と豊穣を、レッドハートは恋愛運ですかね。」

「なんだそのレッドハートって。」

「根菜の一種で、小さくて真っ赤な実を甘酸っぱく煮て食べるんです。」

「知らねぇなぁ。」

栗きんとんと田作りまではわかったが、最後のが全く分からない。

まぁすべてがすべて元の世界と同じじゃないのは理解しているものの、こうまで似ていると色々作りたくなるよなぁ。

「あれ、シロウ様?」

「ケイゴさん、それにハルカまで。」

「こんなところで会うなんて奇遇だな、買い物か?」

折角だからいろいろ買おうかと思っているとケイゴさん達に声をかけられた。

てっきり大通りを見て回っていると思ったのにまさかこんなところで会うとは思っていなかった。

「エリザにワイルドカウのミルクを頼まれたついでにな、ちょっと珍しい物があったから見ていたんだ。」

「あ、ブラックビーンズですね。」

「なるほど、そんな時期か。」

「やっぱり向こうではおせちを作るのか?」

「そもそも西方人でもないシロウがそれを知っている事自体が不思議なのだが、今更だったな。」

「向こうにいるときはよく作りました。簡単ではありますがこちらでもまた作りたいものです。」

そうか、やっぱりおせちはあるのか。

縁起物って話が出たときにあるんじゃないかと思っていたが、まさかの大当たりだった。

店主のおばちゃんが驚いた顔で俺たちを見てくるが、まぁ正体がばれたところで特に問題はない。

彼らはもう一般人だし西方国と何の関係もないからな。

「作れるのか?」

「一応向こうでは毎年作っていましたから。」

「女中たちが止めても厨房から出てこなかったんだぞ。」

「だってせっかくなら自分で作りたいじゃないですか。」

「それなら作ればいいじゃないか、何ならうちの屋敷で。幸い材料は目の前にいっぱいあるみたいだし、材料費ももちろん出すぞ。今なら広い厨房が好きなだけ使いたい放題だ。」

広い厨房、その単語にハルカがすかさず反応する。

隣町の家が狭いとは言わないが、女性は好きだよなぁ広い台所。

なんでなんだ?

「シロウ、お前がそんなことを言うからハルカがその気になってしまったではないか。」

「あはは、悪い悪い。でもまぁたまにはいいんじゃないか?感謝祭は長いんだし最後までいるんだろ?」

「そのつもりだ。ジョウジも誘ったんだが、仕込みで忙しいらしく断られた。」

「まぁ、仕込みはあの人の生きがいだから仕方がない。」

「奥様、ブラックビーンズってどのぐらいあります?」

「えっと、後ろにある革袋がそうですが・・・。」

「全部ください!」

どうやら本当にハルカのやる気に火をつけてしまったようだ。

まぁ俺としても大量に作ってもらえると色々とできることが増えるのでありがたい限り。

それから露店を見て回るハルカの荷物持ちとしてケイゴさんと共におせちに使う食材を買い付け、そのまま屋敷に戻ってエリザと交代するように厨房へと入っていく。

ワーとかキャーとかそういう感動は一切ない。

ただ己の欲を満たすべくハルカは厨房で腕を振るい続けた。


「とりあえずできました・・・。」

「ハルカ、よくやったな。楽しかったか?」

「はい、とっても。」

その日の夜遅く。

長時間の調理にその場にへたり込みそうになったが、ケイゴさんに支えられながらも達成感に満ち溢れた顔でハルカが微笑みを浮かべていた。

食堂の机に並んだ大皿は全部で5種類。

これだけではおせち料理というには少々少なめだが、それでもこの短時間で作ったことを考えれば上々だろう。

他にも味を染み渡らせるために寝かせているのが二品あるのでそれを含めれば7品作ったことになる。

「どれも美味しそう。」

「本当は重箱にびっちり入れたいんですけど、それでも今年は作れないとあきらめていましたから十分です。」

「これが西方国で年明けに食べられる料理なんですね。」

「1年がいい年でありますようにと願いながら食べるんだが、これでいい年が迎えられそうだ。」

「そう言っていただけると作った甲斐があります。」

俺もまさかこの世界でおせち料理が食べられる日が来るとは思っていなかった。

見た目は若干違うものの、見紛う事なきおせち料理。

最近じゃ変わり種おせちとか洋風おせちとか何でもありだったから違和感は全くないな。

「でもさすがに多すぎない?」

「それは・・・ちょっと張り切りすぎてしまいまして。」

「まぁまぁいいじゃないか、半分は俺がお願いしたようなもんなんだから。」

「また何か企んでいるんだな。」

「企むだなんて人聞きの悪い、俺はただこの文化を広めようと思っているだけだっての。」

西方国と戦争をしているとはいえ、それは遥か遠くでの話であってむしろこの街では西方文化が少しずつだが広まってきている。

もちろんその原因を作ったのはもちろん俺だが、せっかく耕した土壌を使わないなんてもったいないじゃないか。

清酒と共に楽しむおせちセット。

来年が素晴らしい1年になりますようにと願掛けをして売り出すのはどうだろうか。

清酒と一緒に売るのでどうしても値段は高くなってしまうが、貴族相手なら問題はないはずだ。

品数的に少ないようであればダンジョンでいい感じの肉を回収してきてそれを詰めるという手もある。

ほら、ローストビーフ的なのがあれば見栄えがするだろ?

この世界でも似たような料理はあるのでそれを入れてしまうという手もある。

もちろん大半を作ってくれたハルカの許可を得てからだが、そこまでガチガチに厳しい感じじゃないらしいのでおそらく大丈夫なはずだ。

それならプロボックスに入れるんじゃなくてもう少し入れ物にもこだわりたいわけで・・・。

だめだ、考え出すときりがない。

「まぁシロウならうまくやるだろう。ハルカもいいな?」

「もちろんです。もし足りないようでしたら遠慮なくおっしゃってください。」

「その時はよろしく頼む。とはいえ今日はゆっくり休んでくれ、もちろん明日もな。」

折角感謝祭を見に来たのにおせちづくりばかりになるのはさすがにあれだからな。

感謝祭はまだまだ続く。

残り五日、明日は何を楽しもうか。
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