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1221.転売屋はライトを使ってみる
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「ってことで夏までに製品化しようと思っているだが、ぶっちゃけどう思う?」
「君のそのお金にかける情熱は嫌いじゃないけれど出来れば相談をしてほしかったっていうのが本音だね。」
フェルさんとマイクさんの前で啖呵を切ってしまった手前なんとしてでも製品化にこぎつけなければならない。
そんなわけで早速カーラの所に行って事情を説明したのだが、帰って来たのは盛大なため息。
まぁ気持ちはわかる、俺が同じ立場ならため息どころか文句の10や20が雨のように降ってきたことだろう。
それをため息だけで済ませるとは流石だな。
「それに関しては申し訳ないと思ってる。だがおおよそその仕組みは解明できたんだろ?」
「おかげさまでおおよそは解読できたかな。実用化目前といえば聞こえはいいけれど、ここからが本当の闘いなんだ。実際何をどれだけ入れたらどうなるのかっていう数値を取っていかないといけないからねぇ。」
「数値化するのは確かに大事なことだが、それを一人でやるのか?」
「今更だと思うよ、化粧品の時も一人でやって来たしそれに他の人がいると自分の思うように仕事がやりにくいからそっちの方が面倒なんだ。」
なんとなく気持ちはわかる。
別に群れるのが苦手というわけではないが、何事にも自分のペースという物がある。
それを他人にかき回されるのは非常に苦痛だしそうなるぐらいなら自分一人でやった方が何倍も気楽だったりする。
もちろん自分一人にかかる負担は大きくなるがそのデメリットを加味しても一人の方が良かったりするものだ。
「まぁ人手が必要になったら声をかけてくれ。それで、どういう仕組みで光ったんだ?」
「ミカールラッケイトの樹液がなんで魔力を含んだ水に反応して光るかっていう根本的な仕組みは正直まだわからない。でも、二つを混ぜ合わせるときに樹液が多いと発光する時間が長くなって、魔力が濃くなると発光量が増えるのは解明できた。あとはその配合量を調べていけば実用化には近づくと思うよ。でも、残念なことに魔灯の代わりにはならなさそうだね。」
「む、そうなのか。」
「近くを照らすには確かに効果的なんだけど、広範囲を光らせるのには向いていないようなんだ。もちろん量を増やしたり入れ物の形を変えたりすれば可能かもしれないけど、費用対効果を考えると量を増やす意味はなさそうだね。」
うーむ、もしかすると世紀の大発見になるかもしれないと期待したのだが世の中そんなに甘くはなかったようだ。
とはいえ、燃料を使わずに光を確保できるのは非常に便利なのは間違いない。
広範囲を照らすことはできなくても手元だけなら十分に実用的だし、むしろ灯りに気付かせたくない状況では重宝するかもしれない。
なにより一番は材料の手軽さだよな。
魔力を含んだ水なら何でもいいので、魔石を水に溶かしても十分効果がある。
樹液を出す木も近郊に自生しているので輸送に時間も費用も掛からない分単価を抑える事も出来るだろう。
とはいえ問題がないわけではない。
「まぁ当初の感じではそこまでできるとは思っていなかったし、原理がわかってコントロールできるだけでも十分な成果だろう。で、もう一つの問題はどうなった?」
「君に言われた通り例の森に所有者がいるのかどうか調べてみたけどありがたいことに誰の所有物でもなかったみたいだ。厳密にいえば国の持ちモノなんだろうけど、この前のように誰でも好きなように出入り出来る状態だね。」
「誰のものでもないからこその問題もあるが、国が所有しているとなればまだ動きやすいか。」
「いくら豊富に樹液が出るとはいえ限度はあるわけだし、森を守るためにも過剰な採取は禁物。それを防ごうと思ったら誰の物かを明確にして保護する必要がある。君に言われなかったら考えもしなかったけど確かにこの結果を見ればあり得る話だね。使い道はたくさんある、それこそ君が今回考え付いたような使い方も面白そうだ。」
「そして何より金になる。金になるとわかれば自分もと思ってしまうのが俺達だからなぁ。いくら製法を秘密にしていてもいつか誰かが同じ結果にたどり着くだろうからそれまでにしっかり管理できる体制を作っておかないと後々大変になるぞ。」
製法が解明され量産できるようになったのはいいことだ。
金になるのは間違いないし、発案者特権で誰かが真似をする前にしっかりと儲けを出せるのはありがたい。
だが化粧品なんかと違って材料が少ない上に作り方も簡単となれば誰かが同じように製法に気付く時が来るだろう。
そしてそれが隠されることもなく広がれば我先にと樹液を求めて森に人が殺到するのは目に見えている。
その結果樹は枯れ果て、樹液が手に入ら無くなれば灯りを作ることはできなくなる。
この木が世界中どこにでもあればこんなことをしなくてもいいんだろうけど、王都周辺にしか自生していないのならばなおの事保護しておかなければならない。
もっとも、保護が優先されてしまうと採取そのものが出来なくなってしまうので理想は全体の半分ほどを管理できること。
もしくは所有することができれば何も気にせず金儲けができるのだが、その金をどこから捻出するのかっていうのが問題なんだよなぁ。
「でもいくら所有者がいないとはいえそう簡単に管理させてもらえるかな。」
「わからん。最悪購入できなくても、長期間賃借できればそれだけでも十分だ。」
「森を買う…いったいいくらぐらいになるんだろうねぇ。」
「さぁなぁ。」
価値があるならまだしも食用にもならない上に材木にも加工できないような木だからそこまで価値がつくとは思えないんだけど。
開墾するわけでもないのでそこまでシビアには見られないんじゃないかってのが俺の考えだ。
さっきも言ったように購入できなくても借りる事が出来ればそれだけで十分価値がある。
まずは夏の催しが上演されるまでにしっかりと責任の所在を明確にしておかなければ。
「まぁ私は研究が出来れば文句はないよ。森の方は君に任せて構わないよね。」
「あぁ、そっちは俺の方で何とかしてみる。身分は無くなったが顔はまだまだ利く方なんでね。」
「期待してるよ。」
いざとなったらエドワード陛下に直訴するという手も残されている。
新しい灯りの製造法を開示するという条件なら貸出ぐらいはしてくれるんじゃないだろうか。
だってその方が森が荒れる心配はなくなわけだし、管理ができるようになれば新しい収入も確保できる。
なにより俺の懐が最高に温かくなるのが最高だ。
その為なら喜んで交渉の席についてやろうじゃないか。
「ってことであとは現物の確認だけだな、用意はもうできてるんだろ?」
「もちろんだとも。ちょうど確認しようと思っていたところだからこっちで見てくれるかな。」
難しい話はこれぐらいにしてまずは現物を確認しようじゃないか。
カーラの後ろを追いかけるようにして地下室へと移動する。
8畳ほどの狭い地下室の中央には大きなテーブルが置かれており、その真ん中にミカールラッケイトの樹液が入った入れ物が置かれ、その横には魔石が沈められた水差しが静かにその時を待っていた。
壁沿いの机から試験管が複数本刺さった機材を回収し、樹液を全く同じ量になるように試験管に注いでいく。
「それじゃあこれに水を注いでもらえるかな。」
「どんな量でもいいのか?」
「溢れなければ十分だよ。」
「わかった。」
水差しを手に取り、入れる量を変えながら試験管に魔力水を注いでいく。
最初は光る気配もなかったものの、水を注いだ後試験管を左右に振ると同時に一気に淡い光があふれだした。
「どうだい、なかなかの反応だろ?」
「これは想像以上の反応だ。たったこれっぽっちの量でこれだけ光るとなれば濃くしたときいったいどうなるんだ?」
「それはもうサングラスをかけないと目を開けられないぐらいさ。もっとも、そんなるためにはかなり濃厚な魔力水が必要になるからよっぽどの事じゃないとそこまで光ることはないと思うけど。」
「これだけ光れば十分だと思うが、後はどうやって混ぜるかだな。」
自慢げな顔をするカーラをよそに光を放つ試験管をじっと見つめる。
流石に試験管を持ったままうろうろさせるわけにはいかないし、かといって手軽に使えなければ意味はない。
例えば元の世界のように二つの素材が入った棒を軽く折るだけで勝手に中身が混ぜ合わさって発光するような手軽さが欲しいが、かといってあれを実現するのはさすがに非現実的すぎるのでせめて樹液の入った筒に魔力水を注ぎこむぐらいはしなければならないだろう。
じゃあ演目を見ながらそれが出来るのかという話も出てくるわけで。
出来るだけ簡単かつ確実に混ぜ合わせて発光させる、そんな道具を開発しなければならない。
それもあと一か月以内に。
しかも、それを量産できなければ意味はないわけで。
夏は四カ月も続くんだ、その間ほぼ毎日のように上演されるとなればものすごい量が必要になるのは間違いない。
一公演を300人が見るとしてそれを一日二回となると600個、いや予備を入れても700個は必要だろう。
それが一月に少なくとも20回上演するとなれば14000個必要になり、四カ月ともなれば5.6万個に膨れ上がる。
しかもこれは少なく見積もっての話だ。
マイクさんが言っていた屋外劇場がどのぐらいの収容人数かすらわからないのだが、仮に想定の倍の人数が入るともなればあっという間に10万個を超えてしまった。
まさに途方もない数。
それをあと一か月ちょっとで準備するっていうのは正直現実的じゃない気がしてきた。
「それに関しては君に一任しようと思う。私はできるだけ量産を急ぐからよろしく頼むよ。」
「はぁ、それが一番大変なんだよなぁ。」
「大丈夫さ、いつもなんとかしてきたじゃないか。」
「簡単に言ってくれるぜ全く。」
確かに今までは何とかなってきた。
だがそうならないかもしれない可能性だってある。
でもできないとは言っていられないところまで来てしまったんだよなぁ。
もう告知はされてしまったし、あそこまで言い切ってしまった以上覚悟を決めなければ。
手軽に量産出来て更には簡単に使えるようなもの。
そんなものが短時間で見つかるだろうか。
いや、見つけて見せる。
そうじゃないと金貨3000枚なんて金額を稼ぐことはできないんだから。
目の前で光るミカールラッケイトの光に勇気づけられるように、俺は小さくうなずくのだった。
「君のそのお金にかける情熱は嫌いじゃないけれど出来れば相談をしてほしかったっていうのが本音だね。」
フェルさんとマイクさんの前で啖呵を切ってしまった手前なんとしてでも製品化にこぎつけなければならない。
そんなわけで早速カーラの所に行って事情を説明したのだが、帰って来たのは盛大なため息。
まぁ気持ちはわかる、俺が同じ立場ならため息どころか文句の10や20が雨のように降ってきたことだろう。
それをため息だけで済ませるとは流石だな。
「それに関しては申し訳ないと思ってる。だがおおよそその仕組みは解明できたんだろ?」
「おかげさまでおおよそは解読できたかな。実用化目前といえば聞こえはいいけれど、ここからが本当の闘いなんだ。実際何をどれだけ入れたらどうなるのかっていう数値を取っていかないといけないからねぇ。」
「数値化するのは確かに大事なことだが、それを一人でやるのか?」
「今更だと思うよ、化粧品の時も一人でやって来たしそれに他の人がいると自分の思うように仕事がやりにくいからそっちの方が面倒なんだ。」
なんとなく気持ちはわかる。
別に群れるのが苦手というわけではないが、何事にも自分のペースという物がある。
それを他人にかき回されるのは非常に苦痛だしそうなるぐらいなら自分一人でやった方が何倍も気楽だったりする。
もちろん自分一人にかかる負担は大きくなるがそのデメリットを加味しても一人の方が良かったりするものだ。
「まぁ人手が必要になったら声をかけてくれ。それで、どういう仕組みで光ったんだ?」
「ミカールラッケイトの樹液がなんで魔力を含んだ水に反応して光るかっていう根本的な仕組みは正直まだわからない。でも、二つを混ぜ合わせるときに樹液が多いと発光する時間が長くなって、魔力が濃くなると発光量が増えるのは解明できた。あとはその配合量を調べていけば実用化には近づくと思うよ。でも、残念なことに魔灯の代わりにはならなさそうだね。」
「む、そうなのか。」
「近くを照らすには確かに効果的なんだけど、広範囲を光らせるのには向いていないようなんだ。もちろん量を増やしたり入れ物の形を変えたりすれば可能かもしれないけど、費用対効果を考えると量を増やす意味はなさそうだね。」
うーむ、もしかすると世紀の大発見になるかもしれないと期待したのだが世の中そんなに甘くはなかったようだ。
とはいえ、燃料を使わずに光を確保できるのは非常に便利なのは間違いない。
広範囲を照らすことはできなくても手元だけなら十分に実用的だし、むしろ灯りに気付かせたくない状況では重宝するかもしれない。
なにより一番は材料の手軽さだよな。
魔力を含んだ水なら何でもいいので、魔石を水に溶かしても十分効果がある。
樹液を出す木も近郊に自生しているので輸送に時間も費用も掛からない分単価を抑える事も出来るだろう。
とはいえ問題がないわけではない。
「まぁ当初の感じではそこまでできるとは思っていなかったし、原理がわかってコントロールできるだけでも十分な成果だろう。で、もう一つの問題はどうなった?」
「君に言われた通り例の森に所有者がいるのかどうか調べてみたけどありがたいことに誰の所有物でもなかったみたいだ。厳密にいえば国の持ちモノなんだろうけど、この前のように誰でも好きなように出入り出来る状態だね。」
「誰のものでもないからこその問題もあるが、国が所有しているとなればまだ動きやすいか。」
「いくら豊富に樹液が出るとはいえ限度はあるわけだし、森を守るためにも過剰な採取は禁物。それを防ごうと思ったら誰の物かを明確にして保護する必要がある。君に言われなかったら考えもしなかったけど確かにこの結果を見ればあり得る話だね。使い道はたくさんある、それこそ君が今回考え付いたような使い方も面白そうだ。」
「そして何より金になる。金になるとわかれば自分もと思ってしまうのが俺達だからなぁ。いくら製法を秘密にしていてもいつか誰かが同じ結果にたどり着くだろうからそれまでにしっかり管理できる体制を作っておかないと後々大変になるぞ。」
製法が解明され量産できるようになったのはいいことだ。
金になるのは間違いないし、発案者特権で誰かが真似をする前にしっかりと儲けを出せるのはありがたい。
だが化粧品なんかと違って材料が少ない上に作り方も簡単となれば誰かが同じように製法に気付く時が来るだろう。
そしてそれが隠されることもなく広がれば我先にと樹液を求めて森に人が殺到するのは目に見えている。
その結果樹は枯れ果て、樹液が手に入ら無くなれば灯りを作ることはできなくなる。
この木が世界中どこにでもあればこんなことをしなくてもいいんだろうけど、王都周辺にしか自生していないのならばなおの事保護しておかなければならない。
もっとも、保護が優先されてしまうと採取そのものが出来なくなってしまうので理想は全体の半分ほどを管理できること。
もしくは所有することができれば何も気にせず金儲けができるのだが、その金をどこから捻出するのかっていうのが問題なんだよなぁ。
「でもいくら所有者がいないとはいえそう簡単に管理させてもらえるかな。」
「わからん。最悪購入できなくても、長期間賃借できればそれだけでも十分だ。」
「森を買う…いったいいくらぐらいになるんだろうねぇ。」
「さぁなぁ。」
価値があるならまだしも食用にもならない上に材木にも加工できないような木だからそこまで価値がつくとは思えないんだけど。
開墾するわけでもないのでそこまでシビアには見られないんじゃないかってのが俺の考えだ。
さっきも言ったように購入できなくても借りる事が出来ればそれだけで十分価値がある。
まずは夏の催しが上演されるまでにしっかりと責任の所在を明確にしておかなければ。
「まぁ私は研究が出来れば文句はないよ。森の方は君に任せて構わないよね。」
「あぁ、そっちは俺の方で何とかしてみる。身分は無くなったが顔はまだまだ利く方なんでね。」
「期待してるよ。」
いざとなったらエドワード陛下に直訴するという手も残されている。
新しい灯りの製造法を開示するという条件なら貸出ぐらいはしてくれるんじゃないだろうか。
だってその方が森が荒れる心配はなくなわけだし、管理ができるようになれば新しい収入も確保できる。
なにより俺の懐が最高に温かくなるのが最高だ。
その為なら喜んで交渉の席についてやろうじゃないか。
「ってことであとは現物の確認だけだな、用意はもうできてるんだろ?」
「もちろんだとも。ちょうど確認しようと思っていたところだからこっちで見てくれるかな。」
難しい話はこれぐらいにしてまずは現物を確認しようじゃないか。
カーラの後ろを追いかけるようにして地下室へと移動する。
8畳ほどの狭い地下室の中央には大きなテーブルが置かれており、その真ん中にミカールラッケイトの樹液が入った入れ物が置かれ、その横には魔石が沈められた水差しが静かにその時を待っていた。
壁沿いの机から試験管が複数本刺さった機材を回収し、樹液を全く同じ量になるように試験管に注いでいく。
「それじゃあこれに水を注いでもらえるかな。」
「どんな量でもいいのか?」
「溢れなければ十分だよ。」
「わかった。」
水差しを手に取り、入れる量を変えながら試験管に魔力水を注いでいく。
最初は光る気配もなかったものの、水を注いだ後試験管を左右に振ると同時に一気に淡い光があふれだした。
「どうだい、なかなかの反応だろ?」
「これは想像以上の反応だ。たったこれっぽっちの量でこれだけ光るとなれば濃くしたときいったいどうなるんだ?」
「それはもうサングラスをかけないと目を開けられないぐらいさ。もっとも、そんなるためにはかなり濃厚な魔力水が必要になるからよっぽどの事じゃないとそこまで光ることはないと思うけど。」
「これだけ光れば十分だと思うが、後はどうやって混ぜるかだな。」
自慢げな顔をするカーラをよそに光を放つ試験管をじっと見つめる。
流石に試験管を持ったままうろうろさせるわけにはいかないし、かといって手軽に使えなければ意味はない。
例えば元の世界のように二つの素材が入った棒を軽く折るだけで勝手に中身が混ぜ合わさって発光するような手軽さが欲しいが、かといってあれを実現するのはさすがに非現実的すぎるのでせめて樹液の入った筒に魔力水を注ぎこむぐらいはしなければならないだろう。
じゃあ演目を見ながらそれが出来るのかという話も出てくるわけで。
出来るだけ簡単かつ確実に混ぜ合わせて発光させる、そんな道具を開発しなければならない。
それもあと一か月以内に。
しかも、それを量産できなければ意味はないわけで。
夏は四カ月も続くんだ、その間ほぼ毎日のように上演されるとなればものすごい量が必要になるのは間違いない。
一公演を300人が見るとしてそれを一日二回となると600個、いや予備を入れても700個は必要だろう。
それが一月に少なくとも20回上演するとなれば14000個必要になり、四カ月ともなれば5.6万個に膨れ上がる。
しかもこれは少なく見積もっての話だ。
マイクさんが言っていた屋外劇場がどのぐらいの収容人数かすらわからないのだが、仮に想定の倍の人数が入るともなればあっという間に10万個を超えてしまった。
まさに途方もない数。
それをあと一か月ちょっとで準備するっていうのは正直現実的じゃない気がしてきた。
「それに関しては君に一任しようと思う。私はできるだけ量産を急ぐからよろしく頼むよ。」
「はぁ、それが一番大変なんだよなぁ。」
「大丈夫さ、いつもなんとかしてきたじゃないか。」
「簡単に言ってくれるぜ全く。」
確かに今までは何とかなってきた。
だがそうならないかもしれない可能性だってある。
でもできないとは言っていられないところまで来てしまったんだよなぁ。
もう告知はされてしまったし、あそこまで言い切ってしまった以上覚悟を決めなければ。
手軽に量産出来て更には簡単に使えるようなもの。
そんなものが短時間で見つかるだろうか。
いや、見つけて見せる。
そうじゃないと金貨3000枚なんて金額を稼ぐことはできないんだから。
目の前で光るミカールラッケイトの光に勇気づけられるように、俺は小さくうなずくのだった。
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