収奪の探索者(エクスプローラー)~魔物から奪ったスキルは優秀でした~

エルリア

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81.持ち帰った素材を堪能しました

事情説明を終えた後は素材の買取金を貰い無事に解散となった。

草壁さんからは後日詳細を報告すると言われたので次回ここに来る頃に何かしらの動きが出ていることだろう。

「お疲れ様でした、大変でしたね。」

「まぁね、でも素材が思ったより高く売れたから引き続き篠山ダンジョン目指して貯金を頑張ろう。」

「頑張ります!」

特別室で美味しいお菓子を堪能した桜さんは探索後にも関わらず元気いっぱい、逆に俺は疲労困憊なので早く家に帰りたい。

ギルドの外は夕方にも関わらず多くの学生で賑わっており、これからダンジョンに挑むであろうパーティーとすれ違いながら御影ダンジョンを後にする。

「どのパーティーにも運搬人ポーターがついているんだなぁ。」

「ギルドが斡旋してるって草壁さんが言ってましたね。」

「ということは最初受付で案内されたのは必然だったのか。でもなぁリルの件もあるしだれでもいいってわけじゃないんだよなぁ。」

「いっそのこと専属で雇いますか?そうしたら毎回同じ人ですから安心ですよ。」

「とはいえその人が言いふらさない保証がないわけだし、難しいところだね。」

探索に出る中で一番の問題は『荷物をどう運ぶのか』という事。

ゲームのように空間から取り出したりなんでも入る箱があるわけではないので、水や食料、休憩に使う探索道具一式を持って入らないといけないし何より収入に直結するドロップ品を持ち帰る必要がある。

多ければ多いほど収入も多くなるけれど、その分動きが阻害されるし体力の消耗する。

ただでさえ探索で疲れているのにその上素材の運搬までなんてやってられるか!ってなわけで運搬人が採用されているというわけだ。

彼らがいれば煩わしい荷物持ちから解放されるだけでなく、より多くの素材を持ち帰ることができるので結果的に彼らの給与を支払ってもお釣りが出る。

ただし戦う力はないので彼らを守りながら探索しなければならないという新たな制約は出てくるわけだけど。

まぁそれは今後の話であって今じゃない。

「さて、今日のメインイベントを満喫するためにここに来たわけだけど、予定通り30分後に集合でいいかな?」

「食材系はお任せください!」

「それじゃあこっちはお酒とおつまみ、それと甘い物を探してくるよ。」

「そうでした、味付けはどうします?」

「とりあえず最初はシンプルに塩かなぁ。」

「流石和人さん、通ですね。」

何がどう通なのかはわからないけど、やっぱり美味しい肉はシンプルに素材の味を楽しみたいじゃないか。

家に帰る前にやってきたのは近所の大型スーパー、ここのいいところはちょっとお高めのいい食材がたくさんある所、今回はロングホーンの肉の他に一緒に拾った食用キノコがたくさんあるのでそれに合う料理を桜さんに作ってもらうことになっている。

料理は桜さんの担当なので代わりに俺は酒とつまみを担当してよさげなものをチョイス、収入が増えたことで今まで食べたことのない物も食べるようになり今まで以上に食べることが好きになってきた。

今までは決まった物しか食べなかった、いや食べるお金がなかったので好き嫌いも決まった物しかなかたけれど収入が増えたことで同じものでもより美味しい物、初めて食べるものを経験。

それによって食の好みも大きく変わり、今まで食べれなかったものも食べれるようになった。

それも踏まえ今回は初めて食べるものと好きになった物をチョイスしてみる。

「よし、これでツマミはオッケー。あとは甘いものだな。」

甘いものは別腹、桜さんもそうだけど自分も甘いものが好きなので食事の後はやっぱりこれがないとなぁ。

「お待たせしました!」

「おかえり、いいのはあった?」

「ばっちりです!和人さんはどうですか?」

「今回はフルーツタルトの美味しそうなのがあったよ。」

「わ!果物一杯!楽しみです!」

探索者になって一番変わったのはまさにここだろう、今までの自分なら自分のためにケーキを買ったりしなかっただろうし、ツマミだって手ごろな物しか手を出さなかった。

だけどある程度収入が増えたことでそういうことに意識を向けるようになれたのが一番の違い。

お金はあればあるほどいいというけれど、こういう部分で物理的にではなく心の方で豊かになっていくからだろうなぁ。

なんてしみじみ感じながら二人で帰宅、荷物を置いて軽く着替えたら早速調理を開始する。

こんな可愛い子のエプロン姿を見る日が来るなんて去年の今頃は考えもしなかっただろう。

というか考える余裕もなかった。

そもそもあの頃は・・・いや、これ以上はもう終わった話だ。

今が楽しければそれで良し!

「和人さん出来ましたよ!ご要望通りシンプルに塩だけで味付けしてみました。キノコのバター炒めは別添えでお召し上がりください。」

「おぉ、無茶苦茶美味そう!」

「美味そうじゃなくて美味い、です。」

「つまりもう味見済みと。」

「調理人の特権ですので、それじゃあいただきます!」

「いただきます!」

皿の上にはロングホーンの肉がミディアムレアの焼き加減でドドン!と鎮座し、周りに温野菜とキノコのバター炒めが添えられている。

なんだこのレストランで出て来そうな仕上がりは。

「うわ、うま!」

「すごいです、噛めば噛むほど肉の味が口いっぱいに広がって・・・これはワイルドカウには戻れません。」

「こんなに美味い肉が世の中にあったのか、っていうかこれよりもうまい肉がまだまだ存在するのか。」

「しますねぇ。」

「今まで肉の味なんてどれも同じだと思ってたけど、露骨にここまで違うのか。」

テレビで美味い肉がどうのこうのとか言っていたけど、そりゃここまで違うならいいものを食べたくなるのも仕方がない。

二人共美味しいしか言わずに無心になって肉を食べていると突然ブレスレットが光りリルが姿を現した。

「リルちゃん!」

「ぐぁぅ!」

「あ、コラ!それは俺に肉だぞ。っていうか自分はダンジョンでいっぱいだべただろ。」

「それとこれとは話が別ですよ。ほらほらリルちゃんの分はこっちにありますよ。」

「わふ!」

いつの間に用意したのか、皿の上に置かれた生肉に飛びつき美味しそうにかぶりつくリル。

口の周りを赤く染める姿は中々にスプラッタではあるけれど、ある意味これがあるべき姿なのかもしれない。

「こんなに美味しいお肉が食べられるなら、そりゃ皆さんあそこに通いますよね。」

「ロングホーンは突進さえ回避すれば十分対処できる相手だし、素材もそれなりに使い道があるからいい値段で売れるんだよなぁ。さすがに七頭一気には大変だったけど三頭ぐらいまでなら何とかなりそうだ。問題は中途半端な階層ってところだなぁ。」

「転送装置を使っても普通に行っても真ん中ですから。ディヒーアもお肉は落としませんし、かといってあのフィールドを探索するのはちょっと大変です。」

「ま、毎回上から下まで降りればついでに手に入るし。なんせあの収入だ、学生からすれば十分すぎる額だろう。」

「四人で潜って公平に割ったとしてもその日は十分遊べちゃいます。」

遊ぶ金欲しさにダンジョンに潜り、それを邪魔する一般探索者にちょっかいを出す。

なんともめんどくさい相手ではあるけれど下に潜れば潜るほどそいつらには遭遇しなくなるので、まずはそこまで行くことを考えよう。

もっとも草壁さんが色々動いてくれるみたいなのでもしかするとそれも改善するかもしれないけど、わざわざそれを待つつもりもないので行けるところまで行くつもりだ。

こうして人生初のロングホーン肉の他、ダンジョンの恵みををみんなで堪能しつつ次なる目標に向けて話し合うのだった。

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