もっと甘やかして! ~人間だけど猫に変身できるのは秘密です~

いずみず

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157話 「子猫は町に行く その1」

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「あら? 珍しいわね。メンテちゃーん?」


 子供部屋に入るレディー。いつもならすぐに抱き着いてくるメンテだが、今日はどこにも姿が見えないので心配になった。部屋中をよく観察すると、メイド達が1か所に集まっていたので静かに近寄るレディー。


「フフッ、みんなそこで何をしているのかしら?」
「あ、奥様。今はダメです!」
「あら、メンテちゃんここにいたのね。ママ、メンテちゃん見ーつけた!」
「えぐぅ?!」


 ビクッっと驚くメンテ。そして……。


「…………うええええええええええええええええええええええええええん!」
「え?! どどど、どうしたのメンテちゃん」
「奥様、今驚かせたらダメです! メンテ様は、ポンポン(お腹)が痛いとうんちを出来る場所と適切な姿勢をずっと探していたのです。時間が掛かったもののやっと丁度良いポジションを見つけて、これから本番を始めるぞ! というときに話かけてしまわれたわけです」
「えええ!? そ、そうだったの。ごめんねメンテちゃん」
「うわあああああん!」ぎゅう
「もう泣かなくてもいいのよ。よしよし。……臭ってきたわ。く、くちゃいわね~メンテちゃん」
「うわあああああああああああ!」
「くちゃいわ。くちゃいから今お尻をきれいにするからね? ちょっとだけ手を離してくれる?」
「うえええええええええええええええん!!!」ミシミシミシミシ。
「な、なんで強く抱き着いてくるのメンテちゃん?! 早く離して!」
「まんまあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」


 今日もメンテとレディーの戦いは続く。


 ◆


 ここは子供部屋。今日も夜中にこっそりと猫に変身しています。にゃんにゃん。


「シロ先生。もう1週間経つけど誰も猫が来ないね」
「そうねえ」
「暇だね」
「……それなら私寝ててもいい?」
「えー。最近暇なんだよ。もっと付き合ってよ」
「しょうがないわねえ」


 父とタクシーの制裁から1週間が経ちました。僕の家の周辺は大変なことになっています。


「1回外に出てみようか?」
「……でもどうするのあれ?」
「ん~。どうしようか」
「やっぱり私寝ててもいい?」
「まだダメ~」


 僕とシロ先生は外を眺めます。でも外は

 現在、ナンス家は陸の孤島みたいな状態になっています。簡単に説明すると、母が怒って地形が大きく変わってしまいました。カフェさんが使った”バトル・メイド”とかいう魔法は、対象にとんでもない強化をもたらすそうです。母の場合は魔法が強化されすぎて天変地異かな? って感じになりましたね。さらにあの腰の悪いキッサさんが、俊敏な動きでタクシーにとび蹴りをしていたので驚きました。

 僕は気になってカフェに聞きまくりました。教えてくれるときだけ笑うようにするのがコツですね。それで分かったのが普通の支援魔法の場合、魔法を使った人の力がそのまま付与されるor魔法を受けた人の力を利用して発動するのどちらかになるそうです。

 例えば、武器に属性を付与するという場合は、魔法を使った人の力がそのまま付与されます。回復魔法で治癒力を高める場合は、魔法を受けた人の力を利用して発動するに該当します。でもカフェさんの魔法の場合、両方をいっぺんに発動させます。さらに対象の潜在能力やスキルも一時的に開花させちゃうとか。これをゲームで例えるなら、そのゲームに存在する全ての支援を1回で受けられるみたいな感じです。とんでもないバランスブレイカーですよ。


「シロ先生、ちょっとそこから動かないでね」
「え?」


 僕は魔法で出来たしっぽを伸ばします。先端に魔力のかたまりを作り、シロ先生に向かって飛ばします。


「どう?」
「どうって何が?」
「何か体に変化が起きてない? 例えば急に体が軽くなったとかさ」
「にゃ? よく分からないけど……」


 シロ先生は身体を動かしますが特に変化はみられません。魔力だけだと効果がないのかな? 今度は魔法を使ってみましょう。


「今の魔法は”猫強化!” ……何か変化ある?」
「新しい魔法? 全くいつ覚えたのよ……。ちょっと試すから待って。こっちはちょっと体が軽く感じるわ。あくまで私の体感的にだけど」
「そっか~、思ったより変化はみられないんだねえ。シロ先生ありがとう」


 猫魔法で支援魔法が使えるか試したところ、多少は効果があるみたいです。カフェさんみたいな超絶強化は出来ないようですがね。まあ自分じゃなくて他の猫に魔法を掛けるのは慣れてないのでね。毛の色変えることしかやったことないもん。だからまだ容量が分かりません。もっと練習しましょう。


「魔法で思い出したけど、私この家の中から騒動をずっと見てたの。すご~く引いたわ」
「その話は何回目だっけ?」
「もう毎日言ってるわ。最初はタクシー様だけが変なのかなと思ってたけど、メンテの母親もメイドとかいう人間達もおかしいわね。この家ヤバいって猫に噂されてるみたいだし」
「まあね。でも猫ばあが来てくれて良かったよ。幽霊だから普通に入ってこれたしさ」
「うーん。幽霊が見える時点で私もおかしいの一員なのね……」


 まあそれはさておき、僕は暇なのです。あの日から猫が1匹たりともお家に遊びに来ていないのですよ。来たのは幽霊である猫ばあだけですよ。ここで何があったのかと確認しに来たんだって。透けてるし浮いているから障害物なんて関係ないんだとか。

 それで僕は何があったか説明し、猫ばあに連絡役をして貰ったのですが、教会の猫はドン引きしたそうです。落ち着くまで遊びに行かないとか。使用人の猫達は、猫じいがあの屋敷はやっぱり危険じゃったと広めいているそうです。

 おかげで誰も来なくて外の情報が入って来ません。前世の日本では、ネットがあるから家の中で知りたいことを調べられたんですがねえ。この世界だと自分で試したり動く方が手っ取り早いかもしれません。ここは行動あるのみです。そこで僕は決心します。



「よし、町に行こう! 猫変身!!」



 僕は黒い子猫から白い子猫に色が変わります。


「……もしかして私も行くの?」
「そうだよ。よく考えてみてよ、今の状況で僕が外にいるって誰も思う訳ないよね? だからこれは外出のチャンスなんだよ! それに少数の方が動きやすいと思わない?」
「まあそうかもしれないけど、ちょっと急すぎない? 明日でもよくないかしら? 私寝たいなあって思うの」
「だから親子という設定で道案内よろしくね、シロ先生!」
「ダメだ、話を聞いちゃいないわ……」
「にゃん……」←目をうるうるして嘘泣きする子猫
「……もう、しょうがないわね。少しだけよ?」
「やったー!」


 こうしてメンテとシロ先生の2匹は、町に行くことが決まった。

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