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244話 「密林ひょろひょろ その2」
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私はCランク冒険者のカエス。セルバの森にて活動している男だ。
セルバの森は年中雨が振り、つる植物が生い茂って見通しの悪さが特徴的だ。生き物や植物の種類が豊富で、未だに全容が解明出来ていない広大な土地でもある。その調査の依頼を受けるのが冒険者であり、その中の一人が私だ。
拠点にしている町はセルバ要塞。元々はセルバの森を開拓して生まれた名前のない小さな村で、森の中にポツンとある僻地だった。そんな小さな村に動物や植物の生態系を調べたい専門家がどんどん集まり、町といえる規模にまで発展したのだ。
この町は魔物に頻繁に襲われるという問題があった。野生動物との距離が近すぎるのだ。そこで防衛する力が必要と町の周りは大きな壁で囲われることとなる。その壁のあまりの頑丈さから要塞と言われるようになり、いつしかセルバ要塞という名前が定着したのだとか。
冒険者にとっては仕事が多いので住みやすい町。それがセルバ要塞だ。
「そろそろ時間だな」
早朝のトレーニングの後、宿屋を後にしてギルドへと歩く。今日は仲間と待ち合わせがある。定期的に森の調査をする依頼があるのだ。
私は特殊なスキルを持っている。そのスキルは”反転”。
”反転”とは通常とは反対になる力のこと。一般的にあべこべ系のスキルと言われている。私の場合、体調が悪くなれば悪くなるほど力が湧いて来るというもの。例えば風邪を引けばいつもより頭が冴えたり運動する能力が向上するのだ。
そんな限定的な力をどうやって使うのか分かるか? 答えは簡単。ギルドに併設された酒場へと向かえば良い。
時間もあるし先に準備を済ませておこう。おーい、酒を売ってくれ。これは必要になったときに飲むんだ。
うーん、早く来過ぎたか。仲間はまだ誰も来ていない。お、あそこに朝から飲んでいるグループがいるな。会話から察するに護衛の仕事で今朝方にここへ着いたようだ。森の様子はどうだったか聞いてみるか。時間も潰せるしな。
――数十分後。
「遅いぞリーダー」
「悪い悪い、ちょっと野暮用で遅れたわ。もうみんな揃ってるか?」
「いや、カエスがまだ来てない」
「寝坊でもしてるんじゃないの?」
「あいつが遅れるなんて珍しいな。いつも一番に来るじゃん」
「なら待つか……っておい?! ここでカエスを一人にするんじゃねえ! ほらやっぱり。あそこにいるじゃねえか!!」
「あ、本当だ」
「いたね」
「うわあ、あいつ朝から飲んでやがる」
「あちゃー」
ふっふおーーーー!
わでは酒を飲んで絶好調~。酔って反転させりゃあいいんだぜ!!
「おそいどでめーら。一緒に飲もうぜ!」
「酒くさっ?! なんで朝から飲んでるんだよ」
「きっと我慢出来なかったんだろうなあ」
「……今日のカエスはダメだな」
「だなあ。カエス抜きで行くしかないか」
「普段真面目なのに酒飲むと性格変わるからなあ。おい、絡んでくるな。お前は今日休みな」
「さすが1分間のカエス」
ふわ~、なんか仲間が言ってんわ。
わでの”反転”というスキルはなあ、体調が悪くなるのを防ぐ効果は全くないんだ。体調悪いのにいつも通り動けるやついるか? 無理だっての。他にも息切れは反転の条件を満たさねえし、疲労や怪我もダメらしい。ほんと糞みてえな役立たずスキルなんだわなあ。っふうふふふふふー!
わでの酔いが全身に回るのはだいたい1分。完全に酔う前の1分の間だけ体を思い通りに動かせるから強いんだぞ。とぅえー魔物が出たら酒飲んでドーンっとするのがわでの役目ぇ~い。1分だけわでは最強ぼーけんしゃなりぃ。
さて、仕事いくどおおおおー。
…………ん? どこだここ。もう外が暗いじゃないか。
「あ、カエス起きた」
「もう夜だぞ」
「お前飲みすぎ」
「…………え??」
「ダメだ、こいつ状況を理解してないぞ」
「もう今日の仕事は終わったよ」
「さすが1分間のカエス」
どうやら俺はギルドで寝ていたらしい。朝、仕事用に酒を買ったのは覚えてるんだがなあ。少し飲んだのがいけなかったのだろうか?
「今日はカエスがいなかったから近場で採取しただけだぞ」
「お前いないと奥まで行くのは危険だからな」
「私達戦闘苦手だもんね」
「仕事前に酒飲むのは勘弁してくれよ」
もう仕事が終わって飲んでいるところか。どうやら私は仲間たちに迷惑を掛けたようだ。
ここは私が奢って皆のご機嫌取りをするべきか? 見捨てられるのが一番怖いからな。その前に目の前にある酒を飲んで喉を潤そう。これでまともに会話が出来る。俺の謝罪の気持ちも伝わるだろう。
「ぐひー」
「うわ、なに勝手に飲んでやがるんだ?! 返せこのやろー!!」
「やべえ、酒を守れ!」
「もぐもぐ。これうまいな」
「ちょ、それ私の頼んだ肉なんだけど?!」
「誰かカエスを止めろー!!」
あいつらなにをおこってんだかあ。お、それうまそうだな。わでにくれよ。
んでなあ。気付いたらもう寝る時間よ。
「今日はわでがおごるわ。仕事いってくりゅー」
「ふう、やっとカエスが帰った」
「いつも仕事行くとか言って宿屋直行だからな。放置しとけばいい」
「あいつ明日になったら何も覚えてないんだろうなあ。またやらかしそう」
「酒癖だけが問題だね」
「あれでもうちの切り札だもんなあ」
「1分過ぎたらお荷物だけど」
「あいつ自分でお代出す言ってたからもう一度飲み直すか」
「「「「賛成!」」」」
ふえええ。なんか聞こえるけどわでは仕事にいくんだどー!
セルバの森は年中雨が振り、つる植物が生い茂って見通しの悪さが特徴的だ。生き物や植物の種類が豊富で、未だに全容が解明出来ていない広大な土地でもある。その調査の依頼を受けるのが冒険者であり、その中の一人が私だ。
拠点にしている町はセルバ要塞。元々はセルバの森を開拓して生まれた名前のない小さな村で、森の中にポツンとある僻地だった。そんな小さな村に動物や植物の生態系を調べたい専門家がどんどん集まり、町といえる規模にまで発展したのだ。
この町は魔物に頻繁に襲われるという問題があった。野生動物との距離が近すぎるのだ。そこで防衛する力が必要と町の周りは大きな壁で囲われることとなる。その壁のあまりの頑丈さから要塞と言われるようになり、いつしかセルバ要塞という名前が定着したのだとか。
冒険者にとっては仕事が多いので住みやすい町。それがセルバ要塞だ。
「そろそろ時間だな」
早朝のトレーニングの後、宿屋を後にしてギルドへと歩く。今日は仲間と待ち合わせがある。定期的に森の調査をする依頼があるのだ。
私は特殊なスキルを持っている。そのスキルは”反転”。
”反転”とは通常とは反対になる力のこと。一般的にあべこべ系のスキルと言われている。私の場合、体調が悪くなれば悪くなるほど力が湧いて来るというもの。例えば風邪を引けばいつもより頭が冴えたり運動する能力が向上するのだ。
そんな限定的な力をどうやって使うのか分かるか? 答えは簡単。ギルドに併設された酒場へと向かえば良い。
時間もあるし先に準備を済ませておこう。おーい、酒を売ってくれ。これは必要になったときに飲むんだ。
うーん、早く来過ぎたか。仲間はまだ誰も来ていない。お、あそこに朝から飲んでいるグループがいるな。会話から察するに護衛の仕事で今朝方にここへ着いたようだ。森の様子はどうだったか聞いてみるか。時間も潰せるしな。
――数十分後。
「遅いぞリーダー」
「悪い悪い、ちょっと野暮用で遅れたわ。もうみんな揃ってるか?」
「いや、カエスがまだ来てない」
「寝坊でもしてるんじゃないの?」
「あいつが遅れるなんて珍しいな。いつも一番に来るじゃん」
「なら待つか……っておい?! ここでカエスを一人にするんじゃねえ! ほらやっぱり。あそこにいるじゃねえか!!」
「あ、本当だ」
「いたね」
「うわあ、あいつ朝から飲んでやがる」
「あちゃー」
ふっふおーーーー!
わでは酒を飲んで絶好調~。酔って反転させりゃあいいんだぜ!!
「おそいどでめーら。一緒に飲もうぜ!」
「酒くさっ?! なんで朝から飲んでるんだよ」
「きっと我慢出来なかったんだろうなあ」
「……今日のカエスはダメだな」
「だなあ。カエス抜きで行くしかないか」
「普段真面目なのに酒飲むと性格変わるからなあ。おい、絡んでくるな。お前は今日休みな」
「さすが1分間のカエス」
ふわ~、なんか仲間が言ってんわ。
わでの”反転”というスキルはなあ、体調が悪くなるのを防ぐ効果は全くないんだ。体調悪いのにいつも通り動けるやついるか? 無理だっての。他にも息切れは反転の条件を満たさねえし、疲労や怪我もダメらしい。ほんと糞みてえな役立たずスキルなんだわなあ。っふうふふふふふー!
わでの酔いが全身に回るのはだいたい1分。完全に酔う前の1分の間だけ体を思い通りに動かせるから強いんだぞ。とぅえー魔物が出たら酒飲んでドーンっとするのがわでの役目ぇ~い。1分だけわでは最強ぼーけんしゃなりぃ。
さて、仕事いくどおおおおー。
…………ん? どこだここ。もう外が暗いじゃないか。
「あ、カエス起きた」
「もう夜だぞ」
「お前飲みすぎ」
「…………え??」
「ダメだ、こいつ状況を理解してないぞ」
「もう今日の仕事は終わったよ」
「さすが1分間のカエス」
どうやら俺はギルドで寝ていたらしい。朝、仕事用に酒を買ったのは覚えてるんだがなあ。少し飲んだのがいけなかったのだろうか?
「今日はカエスがいなかったから近場で採取しただけだぞ」
「お前いないと奥まで行くのは危険だからな」
「私達戦闘苦手だもんね」
「仕事前に酒飲むのは勘弁してくれよ」
もう仕事が終わって飲んでいるところか。どうやら私は仲間たちに迷惑を掛けたようだ。
ここは私が奢って皆のご機嫌取りをするべきか? 見捨てられるのが一番怖いからな。その前に目の前にある酒を飲んで喉を潤そう。これでまともに会話が出来る。俺の謝罪の気持ちも伝わるだろう。
「ぐひー」
「うわ、なに勝手に飲んでやがるんだ?! 返せこのやろー!!」
「やべえ、酒を守れ!」
「もぐもぐ。これうまいな」
「ちょ、それ私の頼んだ肉なんだけど?!」
「誰かカエスを止めろー!!」
あいつらなにをおこってんだかあ。お、それうまそうだな。わでにくれよ。
んでなあ。気付いたらもう寝る時間よ。
「今日はわでがおごるわ。仕事いってくりゅー」
「ふう、やっとカエスが帰った」
「いつも仕事行くとか言って宿屋直行だからな。放置しとけばいい」
「あいつ明日になったら何も覚えてないんだろうなあ。またやらかしそう」
「酒癖だけが問題だね」
「あれでもうちの切り札だもんなあ」
「1分過ぎたらお荷物だけど」
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