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第1話 組合長レイモンド
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夏というには早いが、空の青さはそれに近い色だった。
だが、俺の気分は余り冴えなかった。
それと言うのも、昨日、依頼を終えて遅くに組合に行くと受付のマリアから報酬とは別に、組合長からのメッセージを受け取ったからである。
マリアが何も言わなかったところを見ると、依頼主からの苦情ではない。
もっと厄介なことだ。
部屋を出るころには日も高くなっていた。
近くにある食堂で遅い朝食を終えて組合に向かった。
マリアはおはようございます、とにこやかに声をかけてくれた。
彼女の笑顔にはいつも癒される。
いるかい?と上を見て聞いてみた。
「お待ちですよ、見かけたらすぐに来いと言えと言われています」
「ありがとう」
苦笑いしながら俺は礼を言った。
組合長と書かれたプレートがあるドアをノックすると、入れという声が聞こえた。
失礼します、とドア開けた。
組合長のレイモンドは俺が騎士団にいた時の隊長だった。
とある魔獣討伐の際に重傷を負って引退し、冒険者組合にスカウトされて組合長になった。言いたくはないがうってつけの役どころだ。
今でも俺がまともに戦っても勝たせてはくれないだろう。
「遅いぞ」
「お忙しいかと思って」
「会いに来るのが嫌だっただけだろう。まあ、いい」
否定する間すら与えない、と言ってもこれはいつも通りなのだが。
「そこに座れ。用件を言っておこう。お前に指名依頼が来ている。依頼の内容は人探し。報酬は経費を含めて前金として五十万ギル、後金も同額だ。気前のいい話だが探しに行くのが隣国のイエナ王国だからだ」
ただの人探しでもないし、イエナに行くだけが高額報酬の理由でもないだろう。俺は、咳ばらいをした。
「依頼人は軍務卿のフィール侯爵だ」
俺は腕を組んでレイモンドを見た。
「組合長、これは指名ではなく、あなたの推薦ですね」
ふん、とレイモンドに鼻であしらわれた。
「お前は腕が立つ。ランクが宙ぶらりんなのもサボっているからだ。ただ、組合としては実力相応には働いてもらう。国に対して存在意義を示さねばならないからな」
長年冒険者をやっていれば、冒険者組合は民間の護衛や魔獣の駆除をするためだけに存在しているわけはない事はわかる。
「俺より腕の立つ奴はいるでしょう。チームだってある。一人でやるよりその方が効率もいい。依頼が軍務卿ならやりたいという連中はいくらでもいるはずです」
「お前がやりたくないのはわかるが連中では難しい。顔が売れている連中では都合が悪いのだ。その点お前は無名の銅級冒険者だ。イエナでは誰にも知られていない」
レイモンドは唇の端をひねり上げるような笑顔を浮かべた。
どうせ断れない。その上、組合長には断れない訳もある。
まあ、今回いうことを聞いておけば、当分は無理難題を言われなくなるだろう。浮世の義理ということだ。
わかりました、と俺は依頼を受けた。
レイモンドは顔には出さないが安堵したように、詳しい話はフィール侯爵に聞いてくれと告げて、紹介状を俺に渡した。
だが、俺の気分は余り冴えなかった。
それと言うのも、昨日、依頼を終えて遅くに組合に行くと受付のマリアから報酬とは別に、組合長からのメッセージを受け取ったからである。
マリアが何も言わなかったところを見ると、依頼主からの苦情ではない。
もっと厄介なことだ。
部屋を出るころには日も高くなっていた。
近くにある食堂で遅い朝食を終えて組合に向かった。
マリアはおはようございます、とにこやかに声をかけてくれた。
彼女の笑顔にはいつも癒される。
いるかい?と上を見て聞いてみた。
「お待ちですよ、見かけたらすぐに来いと言えと言われています」
「ありがとう」
苦笑いしながら俺は礼を言った。
組合長と書かれたプレートがあるドアをノックすると、入れという声が聞こえた。
失礼します、とドア開けた。
組合長のレイモンドは俺が騎士団にいた時の隊長だった。
とある魔獣討伐の際に重傷を負って引退し、冒険者組合にスカウトされて組合長になった。言いたくはないがうってつけの役どころだ。
今でも俺がまともに戦っても勝たせてはくれないだろう。
「遅いぞ」
「お忙しいかと思って」
「会いに来るのが嫌だっただけだろう。まあ、いい」
否定する間すら与えない、と言ってもこれはいつも通りなのだが。
「そこに座れ。用件を言っておこう。お前に指名依頼が来ている。依頼の内容は人探し。報酬は経費を含めて前金として五十万ギル、後金も同額だ。気前のいい話だが探しに行くのが隣国のイエナ王国だからだ」
ただの人探しでもないし、イエナに行くだけが高額報酬の理由でもないだろう。俺は、咳ばらいをした。
「依頼人は軍務卿のフィール侯爵だ」
俺は腕を組んでレイモンドを見た。
「組合長、これは指名ではなく、あなたの推薦ですね」
ふん、とレイモンドに鼻であしらわれた。
「お前は腕が立つ。ランクが宙ぶらりんなのもサボっているからだ。ただ、組合としては実力相応には働いてもらう。国に対して存在意義を示さねばならないからな」
長年冒険者をやっていれば、冒険者組合は民間の護衛や魔獣の駆除をするためだけに存在しているわけはない事はわかる。
「俺より腕の立つ奴はいるでしょう。チームだってある。一人でやるよりその方が効率もいい。依頼が軍務卿ならやりたいという連中はいくらでもいるはずです」
「お前がやりたくないのはわかるが連中では難しい。顔が売れている連中では都合が悪いのだ。その点お前は無名の銅級冒険者だ。イエナでは誰にも知られていない」
レイモンドは唇の端をひねり上げるような笑顔を浮かべた。
どうせ断れない。その上、組合長には断れない訳もある。
まあ、今回いうことを聞いておけば、当分は無理難題を言われなくなるだろう。浮世の義理ということだ。
わかりました、と俺は依頼を受けた。
レイモンドは顔には出さないが安堵したように、詳しい話はフィール侯爵に聞いてくれと告げて、紹介状を俺に渡した。
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