2 / 42
第2話 フィール侯爵
しおりを挟む
うんざりするほどデカい屋敷で、俺みたいな平民は正直気後れする。
留置場の方がまだ親しみが湧くというものだ。
俺は深く深呼吸をして、門にいる衛兵に名を告げて紹介状を見せた。
そこで待て、と言われてその衛兵は屋敷に向かい、もう一人の衛兵に冷たく見守られていた。
こんなしょぼくれた男を見る視線としては間違ってはいない。
屋敷から戻ってきた衛兵は、入れと俺に告げた。
俺は一人寂しく屋敷に向かい、そこにいる衛兵にドアを開けてもらって中に入った。
そこには初老の表情は穏やかだが隙のない執事がいた。
「ご案内いたします」
俺は後について歩いて行った。
正面の階段を上り、廊下を歩いた突き当りに来ると、ドアを開けてここでお待ちください、と通された。
ここはどうやら応接室のようだ。と言っても俺がいつも飯を食う食堂くらいある。もちろん部屋の様子は全く違うが。
俺は所在なく、ドアのあたりに立っているしかなかった。
法廷で刑を言い渡される前の罪人はきっとこんな感じだろう。
向かって左手のドアからレイモンドとそう変わらない年齢と思しき三十後半くらいの銀髪の紳士が現れた。服装は整ってはいたが、ラフなものだった。
「フィールだ。よく来てくれた」
「ご依頼ありがとうございます」
俺は頭を下げた。
そこに座ってくれ、とソファを勧められて座った。
正面にフィール侯爵は腰を下ろし、俺を見た。
なるほどこれが面接か、と俺はフィール侯爵の威圧に耐えた。
跳ね返してもいいが、それは色々と問題を起こしかねないので吸収しておいた。
「悪かった。腕は保証すると言われたのだが」
「いいえ。銅級クラスをよこされたのでは不安でしょうから」
俺がそういうとフィール侯爵は、ドアの方に向かって入れと言った。
メイドがお茶と菓子を持ってやってきて置くと頭を下げて出て行った。
フィール侯爵は一息入れてくれと前に置かれた紅茶を勧めると、俺に訊ねた。
「君はレイモンドの隠し玉というわけか。それとも何かわけがあって銅級にとどまっているのか」
「面倒ごとは苦手なので、避けているとこんなものです」
「では、今回の依頼は面倒ではないと?」
とんでもないというように俺は首を振った。
「レイモンドさんにはいつもお世話になっているので」
「断れないわけがある、というわけか」
食えない貴族だ。
しかし、帝国の将軍を束ねる軍務卿らしい。
並みの連中では束になっても相手は難しいだろう。
それくらいの魔力を感じた。
「早速だが、依頼の詳細を話しておこう。当り前のことだが、これから話すことは口外厳禁だ」
俺はわかりました、と答えた。
留置場の方がまだ親しみが湧くというものだ。
俺は深く深呼吸をして、門にいる衛兵に名を告げて紹介状を見せた。
そこで待て、と言われてその衛兵は屋敷に向かい、もう一人の衛兵に冷たく見守られていた。
こんなしょぼくれた男を見る視線としては間違ってはいない。
屋敷から戻ってきた衛兵は、入れと俺に告げた。
俺は一人寂しく屋敷に向かい、そこにいる衛兵にドアを開けてもらって中に入った。
そこには初老の表情は穏やかだが隙のない執事がいた。
「ご案内いたします」
俺は後について歩いて行った。
正面の階段を上り、廊下を歩いた突き当りに来ると、ドアを開けてここでお待ちください、と通された。
ここはどうやら応接室のようだ。と言っても俺がいつも飯を食う食堂くらいある。もちろん部屋の様子は全く違うが。
俺は所在なく、ドアのあたりに立っているしかなかった。
法廷で刑を言い渡される前の罪人はきっとこんな感じだろう。
向かって左手のドアからレイモンドとそう変わらない年齢と思しき三十後半くらいの銀髪の紳士が現れた。服装は整ってはいたが、ラフなものだった。
「フィールだ。よく来てくれた」
「ご依頼ありがとうございます」
俺は頭を下げた。
そこに座ってくれ、とソファを勧められて座った。
正面にフィール侯爵は腰を下ろし、俺を見た。
なるほどこれが面接か、と俺はフィール侯爵の威圧に耐えた。
跳ね返してもいいが、それは色々と問題を起こしかねないので吸収しておいた。
「悪かった。腕は保証すると言われたのだが」
「いいえ。銅級クラスをよこされたのでは不安でしょうから」
俺がそういうとフィール侯爵は、ドアの方に向かって入れと言った。
メイドがお茶と菓子を持ってやってきて置くと頭を下げて出て行った。
フィール侯爵は一息入れてくれと前に置かれた紅茶を勧めると、俺に訊ねた。
「君はレイモンドの隠し玉というわけか。それとも何かわけがあって銅級にとどまっているのか」
「面倒ごとは苦手なので、避けているとこんなものです」
「では、今回の依頼は面倒ではないと?」
とんでもないというように俺は首を振った。
「レイモンドさんにはいつもお世話になっているので」
「断れないわけがある、というわけか」
食えない貴族だ。
しかし、帝国の将軍を束ねる軍務卿らしい。
並みの連中では束になっても相手は難しいだろう。
それくらいの魔力を感じた。
「早速だが、依頼の詳細を話しておこう。当り前のことだが、これから話すことは口外厳禁だ」
俺はわかりました、と答えた。
1
あなたにおすすめの小説
スローライフ 転生したら竜騎士に?
梨香
ファンタジー
『田舎でスローライフをしたい』バカップルの死神に前世の記憶を消去ミスされて赤ちゃんとして転生したユーリは竜を見て異世界だと知る。農家の娘としての生活に不満は無かったが、両親には秘密がありそうだ。魔法が存在する世界だが、普通の農民は狼と話したりしないし、農家の女将さんは植物に働きかけない。ユーリは両親から魔力を受け継いでいた。竜のイリスと絆を結んだユーリは竜騎士を目指す。竜騎士修行や前世の知識を生かして物を売り出したり、忙しいユーリは恋には奥手。スローライフとはかけ離れた人生をおくります。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
俺とエルフとお猫様 ~現代と異世界を行き来できる俺は、現代道具で異世界をもふもふネコと無双する!~
八神 凪
ファンタジー
義理の両親が亡くなり、財産を受け継いだ永村 住考(えいむら すみたか)
平凡な会社員だった彼は、財産を譲り受けた際にアパート経営を継ぐため会社を辞めた。
明日から自由な時間をどう過ごすか考え、犬を飼おうと考えていた矢先に、命を終えた猫と子ネコを発見する。
その日の夜、飛び起きるほどの大地震が起こるも町は平和そのものであった。
しかし、彼の家の裏庭がとんでもないことになる――
42歳メジャーリーガー、異世界に転生。チートは無いけど、魔法と元日本最高級の豪速球で無双したいと思います。
町島航太
ファンタジー
かつて日本最強投手と持て囃され、MLBでも大活躍した佐久間隼人。
しかし、老化による衰えと3度の靭帯損傷により、引退を余儀なくされてしまう。
失意の中、歩いていると球団の熱狂的ファンからポストシーズンに行けなかった理由と決めつけられ、刺し殺されてしまう。
だが、目を再び開くと、魔法が存在する世界『異世界』に転生していた。
追放された無能鑑定士、実は世界最強の万物解析スキル持ち。パーティーと国が泣きついてももう遅い。辺境で美少女とスローライフ(?)を送る
夏見ナイ
ファンタジー
貴族の三男に転生したカイトは、【鑑定】スキルしか持てず家からも勇者パーティーからも無能扱いされ、ついには追放されてしまう。全てを失い辺境に流れ着いた彼だが、そこで自身のスキルが万物の情報を読み解く最強スキル【万物解析】だと覚醒する! 隠された才能を見抜いて助けた美少女エルフや獣人と共に、カイトは辺境の村を豊かにし、古代遺跡の謎を解き明かし、強力な魔物を従え、着実に力をつけていく。一方、カイトを切り捨てた元パーティーと王国は凋落の一途を辿り、彼の築いた豊かさに気づくが……もう遅い! 不遇から成り上がる、痛快な逆転劇と辺境スローライフ(?)が今、始まる!
追放された万能聖魔導師、辺境で無自覚に神を超える ~俺を無能と言った奴ら、まだ息してる?~
たまごころ
ファンタジー
王国一の聖魔導師アレンは、嫉妬した王子の策略で「無能」と断じられ、国を追放された。
辿り着いた辺境の村で、アレンは「ただの治癒師」として静かに暮らそうとするが――。
壊れた街を再生し、疫病を一晩で根絶し、魔王の眷属まで癒しながら、本人はただの村医者のつもり。
その結果、「あの無能が神を超えた」と噂が広がり、王と勇者は頭を抱えることに。
ざまぁとスカッとが止まらない、無自覚最強転生ファンタジー開幕!
ジャングリラ~悪魔に屠られ魔王転生。死の森を楽園に変える物語~
とんがり頭のカモノハシ
ファンタジー
「別の世界から勇者を召喚する卑怯な手口」に業を煮やした堕天使・ルシファーにより、異世界へ魔王として転生させられた大学生・左丹龍之介。
先代・魔王が勇者により討伐されて100年――。
龍之介が見たものは、人魔戦争に敗れた魔族が、辺境の森で厳しい生活を余儀なくされている姿だった。
魔族の生活向上を目指し、龍之介は元魔王軍の四天王、悪魔公のリリス、フェンリルのロキア、妖狐の緋魅狐、古代龍のアモンを次々に配下に収めていく。
バラバラだった魔族を再び一つにした龍之介は、転生前の知識と異世界の人間の暮らしを参考に、森の中へ楽園を作るべく奔走するのだが……
異世界に無一文投下!?鑑定士ナギの至福拠点作り
花垣 雷
ファンタジー
「何もないなら、創ればいい。等価交換(ルール)は俺が書き換える!」
一文無しで異世界へ放り出された日本人・ナギ。
彼が持つ唯一の武器は、万物を解析し組み替える【鑑定】と【等価交換】のスキルだった。
ナギは行き倒れ寸前で出会った、最強の女騎士エリスと出会う。現代知識とチート能力を駆使して愛する家族と仲間たちのために「至福の居場所」を築き上げる、異世界拠点ファンタジーストーリー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる