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第44話 緊急対策会議
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ヴァンの言葉と口調にロランは一瞬寒気が走ったが、努めて落ち着いて反論した。
「しかし、我々は魔王陛下に歯向かうつもりなど毛頭ありませんし、第一、魔王領は強大な物理結界で守られているではないですか。いかにあの兵器の威力が従来の物より強かろうとも、魔王領を侵すほどのものではありません」
「魔王陛下も王国の防衛について口をさしはさむ気はないだろう。技術が進めば、いずれどこかの国が同じようなものを作ります、と私が申し上げると、魔王陛下はそれは理解していると言われたからな」
「では、なにが問題なのですか」
ロランはヴァンの言わんとするところがわからず、困惑した表情でそう訊ねた。
ヴァンはそれを聞くとため息をついた。
「ロラン。兵器の開発は実験の成功が終わりではない。それは始まりに過ぎないのだ。その威力が強大であることがわかれば、その管理には大きな責任が伴う。万が一、あれが悪心を抱く者の手に渡ったらどうするのだ。王国がいかに言い訳をしようと、国民や周辺国がそれに納得するだろうか。危険な兵器の管理は、その開発と同じくらいに資金も時間も労力も必要なものなのだ」
ロランはその言葉を聞くと、自分の考えの足らなさに気づき、事の重大さに恐怖を感じた。
「王国の防衛が強化できたと喜んでばかりいた不明を恥ずかしく思います。今、改めて、閣下にあれをお預けしたことをよかったと思いました」
ヴァンはロランがそういうと首を振った。
「長い間生きていると、色々なことが気になるものだし、事々に慎重を期すようになる。王国のことであるから杜撰な管理はしていないと思うが、兵器のことが明るみに出る前に対策を講じた方がよかろうと、老婆心から申したことだ」
国王ロランは、ヴァンに直ちに対策を講じることを約束し、近いうちに何等かの報告をすることを約した。
ヴァンはこれを了承した。そして最後に、
「アメリアのことをよろしく頼む」
そう言い残すとワース村に帰っていった。
王国では兵器の管理について緊急の会議が設けられた。
ロランを議長として、宰相、議会議長、軍務卿が招集され、ヴァンの助言をどのように具体化するかを議論した。
軍務卿ハリスは兵器の管理についてのヴァンの慧眼に感服し、それと同時に反省を述べた。
「軍を率いることについて日ごろから部下には慢心を慎むように言っておきながら、己の足元に危険があることに気が付かないとは、恥じ入るばかりです」
ほかのメンバーは我らもそれは同じ事、ヴェルド侯爵閣下はまるで我らの慈父のように導いて下さる方であると口々に讃えた。
「しかし、その父ともお慕いする閣下に苦言を呈された以上、我らはこれに万全の体制を計画して実行する必要がある。我らは我らなりに計画を立て、それをご報告し、管理計画に齟齬がないか閣下にご意見を伺ってはどうだろう。計画の実行は直ちに行うとしてもある程度の変更は可能だろう」
国王ロランのその意見に一同は賛成し、さっそく管理計画の策定に取り掛かった。
「しかし、我々は魔王陛下に歯向かうつもりなど毛頭ありませんし、第一、魔王領は強大な物理結界で守られているではないですか。いかにあの兵器の威力が従来の物より強かろうとも、魔王領を侵すほどのものではありません」
「魔王陛下も王国の防衛について口をさしはさむ気はないだろう。技術が進めば、いずれどこかの国が同じようなものを作ります、と私が申し上げると、魔王陛下はそれは理解していると言われたからな」
「では、なにが問題なのですか」
ロランはヴァンの言わんとするところがわからず、困惑した表情でそう訊ねた。
ヴァンはそれを聞くとため息をついた。
「ロラン。兵器の開発は実験の成功が終わりではない。それは始まりに過ぎないのだ。その威力が強大であることがわかれば、その管理には大きな責任が伴う。万が一、あれが悪心を抱く者の手に渡ったらどうするのだ。王国がいかに言い訳をしようと、国民や周辺国がそれに納得するだろうか。危険な兵器の管理は、その開発と同じくらいに資金も時間も労力も必要なものなのだ」
ロランはその言葉を聞くと、自分の考えの足らなさに気づき、事の重大さに恐怖を感じた。
「王国の防衛が強化できたと喜んでばかりいた不明を恥ずかしく思います。今、改めて、閣下にあれをお預けしたことをよかったと思いました」
ヴァンはロランがそういうと首を振った。
「長い間生きていると、色々なことが気になるものだし、事々に慎重を期すようになる。王国のことであるから杜撰な管理はしていないと思うが、兵器のことが明るみに出る前に対策を講じた方がよかろうと、老婆心から申したことだ」
国王ロランは、ヴァンに直ちに対策を講じることを約束し、近いうちに何等かの報告をすることを約した。
ヴァンはこれを了承した。そして最後に、
「アメリアのことをよろしく頼む」
そう言い残すとワース村に帰っていった。
王国では兵器の管理について緊急の会議が設けられた。
ロランを議長として、宰相、議会議長、軍務卿が招集され、ヴァンの助言をどのように具体化するかを議論した。
軍務卿ハリスは兵器の管理についてのヴァンの慧眼に感服し、それと同時に反省を述べた。
「軍を率いることについて日ごろから部下には慢心を慎むように言っておきながら、己の足元に危険があることに気が付かないとは、恥じ入るばかりです」
ほかのメンバーは我らもそれは同じ事、ヴェルド侯爵閣下はまるで我らの慈父のように導いて下さる方であると口々に讃えた。
「しかし、その父ともお慕いする閣下に苦言を呈された以上、我らはこれに万全の体制を計画して実行する必要がある。我らは我らなりに計画を立て、それをご報告し、管理計画に齟齬がないか閣下にご意見を伺ってはどうだろう。計画の実行は直ちに行うとしてもある程度の変更は可能だろう」
国王ロランのその意見に一同は賛成し、さっそく管理計画の策定に取り掛かった。
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