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しおりを挟む「はあ、相変わらずしつこいわね」
私は肩をすくめながら、レオンのほうを見る。彼は強く拳を握りしめ、歯を食いしばっている。
「レオン、大丈夫?」
問いかけると、彼はぎこちなくうなずく。
「うん……フローラ、あんなに必死だったんだね。自分の道を守るためなら何でもするんだ……怖いよ」
「でも、これでもう終わり。フローラは決定的な手段を失ってる。周囲にも悪評が広まってるし、王家は私たちを認める流れになっている」
ギルバートが安心させるように言う。私はその言葉に同意を示し、レオンの肩に手を置いた。
「さあ、仮登録を済ませましょう。あなたは堂々と捨て猫を卒業するの」
レオンはその言葉に、少し笑みを取り戻す。
仮登録の手続きは、書類への署名や簡単な質問。そして王家の紋章を委ねられる儀式と実質的には小一時間ほどで終わった。
レオンは緊張した面持ちでサインし、最後に王家の侍従から“印”を受け取る。
「これであなたは、王家の遠縁として正式に登録されました。といっても簡易的なものですので、本格的な復帰を望む場合は
改めて申し出ていただく形になりますが」
侍従がペコリと頭を下げる。レオンは印を握りしめ目を潤ませる。
「ありがとうございます……」
ギルバートが拍手し
私も「よかったわね!」と声をかける
ヴィクトリアは扇子を閉じて柔らかく笑い
「おめでとうございます。レオン殿、これで“身元不明”などと言われる筋合いはなくなりましたね」
「はい。本当にありがとうございました。ヴィクトリアさんにも感謝です」
レオンは深々とお辞儀をする。私たちもホッと一安心。思えばこの瞬間を迎えるまで、どれだけ妨害されてきたか
“捨て猫”の青年は、今や王家の一員として認められフローラのもくろみは完全に崩れたはず。私はほっと息をつきながらレオンの肩を叩く。
「やったわね、これで少しは安心よ」
「うん。アデルのおかげだよ。それとギルバートもいろいろ教えてくれてありがとう」
「いえいえ、まだ終わりじゃありません。フローラの動向は今後も要チェックです」
ギルバートが釘を刺すように笑う。そのとき、廊下のほうで衛兵の声が聞こえた。何やら慌ただしい気配。
「フローラ嬢が……王宮の外で暴れているとの報告が……!」
「……またか?」
私とギルが顔を見合わせる。どうやら最後の悪あがきか。フローラは王城の外でまた騒ぎを起こそうとしているらしい。
「まあ、もう私たちには関係ないわ。レオンの手続きは完了したし」
「そうですね、放っておきましょう」
ただ、レオンが少し心配そうに「でも、大丈夫かな……?」とつぶやく。
フローラは本当に不憫な人だ。自分の望みが叶わず、今暴れたところで何も得られない。
「大丈夫。アルトだっているでしょうし王宮の衛兵が止めるはずよ。私たちがわざわざ関わる必要ないわ」
あえて近寄れば、またわけのわからない罵倒を受けるだけ。私たちはせっかくの祝いムードを壊されるのを避け、その場を離れることにした。
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