アナザー/ライフ 〜やっと就職できたと思ったら、ノルマあり、契約期限ありの社畜に成り果てた〜

弓月下弦

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第1話 失われた日常

享年16歳の少女

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「おい・・・まじかよ」

窓の外側には街が広がっていた。日本というより、西洋の街っぽい。レンガ造りの建物が目立ていた。
馬が2頭で荷物を運んでいる。その馬の脚は4本。
信じられないことに1つの体から2つの頭が生えていた。それだけじゃない、どう見ても人間ではない生物があちらこちらで歩いている。あれは、本やゲームで出てくる「エルフ」というやつか?
詳細は良くわからないが、耳と鼻が長く、控えめの身長の「エルフ」らしき生物が外にいる。
今のところ人間の姿が見られないが、ここは何なんだ。俺は夢でも見ているのか?

きっとそうに違いない。ここは夢だ。いや、もしかすると「あの世」なのか。やっぱり、俺はあの時死んでしまったのか・・・

とにかく、ここを出た方が良さそうな気がした俺は脱出しようと、ドアノブに手を掛けた。

その時、ドアの向こう側で女性の悲鳴が聞こえたと同時にドアがいきなり開いた。

しかも、とんでもない力で。

頭を強くドアにぶつけて、視界に火花が散り、俺の意識は一瞬途切れた。

※※                       ※※

「ごめんなさい!ごめんなさい!!ごめんなさい!!!ごめ・・・」

鉄の床に頭を打ち付けながら、謝罪している人間の姿を朦朧とする意識の中で俺は見ていた。
だんだん視界がクリアになっていく。
その人は推定15歳前後の女性だった。小柄で茶色で長い髪、服装は意外にもボーイッシュな感じで、上下黒のTシャツ、短パン姿。先ほどまでスポーツしていました的な。

「ああ、、、俺は大丈夫だから、、」

とにかく、頭を上げてくれ。

「あっ!すみません!本当に大丈夫ですか?」

「多分、今のところは」

「本当にすみません。あ゛ぁぁぁぁxxx?●----」

突然悲鳴を上げた少女は、窓の外を覗いた。

「ヤバイ。逃がした。」

がっかりと首を落とした少女は何かこの世界について知っていそうだ。

「あの、、、何がどうなっているのか教えてほしいのですが、俺、いきなりここに運ばれたみたいで」

「え、ああ。そうよね。あなたは今日ここにスカウトされたみたいだし。何も知らないよね。」

「スカウト?」

なんのことかさっぱりの俺はひたすら、少女の話に耳を傾けるしかない。

「実は私も一か月前くらいにここに来た者だから、詳しくは分からないんだけど。多分あなたはもう亡くなっているよ」

今、この少女は何と言った?俺はもう亡くなっている?確かにあの事故の規模的に俺は即死だったろう。
でも、ここにこうして、、、

「じゃあ、、、この俺は、、、」

「うーんと、正確には死ぬ直前の体?かな」

「。。。。。」

ちょっと、何を言っているか分からないぞ。死ぬ直前の体って?

「あなた、ここに来る前の記憶はあるよね?」

「まぁ、一応」

「じゃあ、なんとなく察しはつくでしょ?」

「確かに、俺は事故で・・・」

「でも、あなたはここにいる」

「なぜ、、、俺はここに」

「私たちはあっちの世界で死んだ・・・はずだった。でも、ここにいるの、しかも無傷で」

「さっぱり分からないのですが」

「まぁ、普通の人間だったらそうだよね。分からないし、信じられないでしょうね。」

「、、、、」

少女は真面目な顔になり、俺にこう告げた。

「私たちは死ぬ直前にここに転送されたの。ある組織によって」

「そんなことってありえるのかよっ!」

転送?は?非現実的なんですが。この女は正気なのか?

「私も初めはさっぱりだった。何言ってるんだこの連中はってね。でも、この世界では可能なの」

「この世界?」

「あなたも外に出れば分かるよ。この世界は普通じゃない。私たちの知らない世界だって」

「確かに、窓の外は普通じゃない。2つ頭の馬とか、エルフ?とか」

「でしょ?まぁ、詳しい話は協会の方から伝えられると思うから、ここで待ってなさい」

「協会?」

「そう。私たちを雇ってる組織。AL協会がそろそろここに来ると思うから」

AL協会?聞いたことがないな。何か怪しい組織な気がする。

「あと、君の名前って何ていうの?」

「私はロゼ。享年16歳!死因は他殺。凶器は拳銃!だから、私の武器は銃です!」

「えぇえぇ。。。と」

「あぁ、ごめん(笑)いきなりこの自己紹介はドン引きだよね」

「はい、ドン引き過ぎです」

「私たちは死因に関連する武器を所有することが前提となっているの、目には目を的な?」

「武器?」

「だって、この世界危険だらけだし!そして、契約更新の為のノルマ達成には戦闘が必要ってこと」

「えぇーーーーーー」

どうやら、俺はヤバイ組織に捕まり、ヤバイ世界に転送されたみたいだ。どうやってここから脱出するか。

「あなたの詳細は後で分かるから、また後で会いましょ、今私は仕事中だから、じゃ!」

ガタンと閉まるドアの音が部屋中に響き、俺はそこに呆然と立ち尽くしていた。
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