王女への献上品と、その調教師

華山富士鷹

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絶体絶命

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 え、どうしよう。私の力で杉山さんをどかす事が出来るだろうか?
 こう見えて杉山さんも軍出身(参謀)だからある程度の押さえ込みは体得している筈。
 私が試しに杉山さんの胸板を押すと、その手を彼に絡め取られてしまう。
「距離があったらエデンから射殺されてたとこだろうけど、0距離なら身動きを封じれるんだよなぁ」
 確かに、脚を挟むすきさえあればなんとかなったものを、これでは杉山さんに襲われてしまう。

 万事休す。

 そう思った時──

 ガンッ!!!!!!

 ──と、何かが車に衝突する音がして、車体がその衝撃で横揺れした。
「びっくりした、落石?」
 ──かと思い、私が音のした運転席側を見ると、そこにいるはずのない人物、基、いてはいけない人物がハンドボールくらいの石だか岩だかをヒビの入った窓に向けて振り上げているのが見えた。
「氷朱鷺っ⁉」
 そこにいたのはえらく目を吊り上げた氷朱鷺だった。
「なんで?どうやって?」
 私は呆気にとられたが、その疑問の答えは氷朱鷺の背後にあった私のバイクで解決した、が、問題なのは交通手段ではなく、どうやって城の警備を抜けたのか、だ。
『エデンから離れろ』
 氷朱鷺は声を押し殺し、怖いくらい冷静な表情をしていたが、彼は第二波をくらわせようと振り上げた腕を更に大きく振りかぶる。
「氷朱鷺っ!!」
 修理代!!
 私の制止も虚しく、氷朱鷺はそのままその腕を振り切ろうとしたが、私に覆い被さっていた杉山さんが瞬時に運転席側のドアを思い切り開け放ち、その勢いで氷朱鷺を突き飛ばした。
「わっ!!」
 氷朱鷺は石を落として派手に尻もちを着き、その油断したところに杉山さんが馬乗りになり、頭の上で両手を束ねて押さえ付ける。
「くそっ、どけよっ!!」
 氷朱鷺は顔を真っ赤にしてジタバタと暴れたが、大の大人に組み敷かれては手も足も出ない様子だった。
「こうして組み敷くと、女性を無理矢理押さえ付けているみたいだな」
 氷朱鷺とは対照的に、杉山さんは余裕綽々でからかうように笑っている。
「杉山さん、放してあげて下さい。私がなんとかしますから」
 氷朱鷺は私を心配してここまでしてくれたのにと思うと、杉山さんの下で屈辱に耐える彼があまりに可哀想で不憫に感じた。
 私は氷朱鷺のそばへ直ぐに駆け寄り、杉山さんの下から引っ張り出した。
「氷朱鷺、杉山さんは銃を持ってる。絶対に暴れないでね」
「関係無い。エデンに手を出す奴は許さない」
 氷朱鷺は人の気も知らず鼻息を荒くしていて、私は彼が杉山さんに飛びかからぬよう抱きつくようにそれを阻止する。
「氷朱鷺、心配してくれるのはありがたいけど、これは駄目だよ。杉山さんを襲うのも駄目だけど、献上品が城の敷地外へ出るのも絶対に駄目だよ」
 おかげで助かったけれど、これじゃあ……
 私の脳裏に、月波と郡山の顔が浮かんだ。
「脱走はその場で射殺」
 杉山さんが放った一言に、私はドキッとする。
「杉山さん、脱走だなんて、氷朱鷺は私を心配して後を追って来ただけなんです。それに用があって私が氷朱鷺を連れ出した事にすればなんとかなるかもしれないじゃないですか」
 私は引きつった顔で不器用に笑い飛ばした。
「それがまかり通ったとして、申告漏れ扱いでエデンが何らかの処罰を受ける事になるけど?」
 氷朱鷺を撃つだって?
 それがいくら規則だとしても、私には出来ないし、やりたくない。私は氷朱鷺を引き取ったその時から、彼を守ると決めたんだから。
「私は平気です。どんな罰を受けようと、私に氷朱鷺は撃てませんから」
 これまで、氷朱鷺のような年端もいかない少年達を戦争という名のもとに無惨に殺してきた。だからこそ、戦争が終わった今、私は氷朱鷺という救済を見つけ、報いたいと思ったのだ。
「でもエデン、胸のホルスターに入れた拳銃には弾をこめてあるんだろ?それはこの時の為にある」
 杉山さんは立ち上がって膝の汚れを払うと、私の胸の辺りを指差す。
「例えそれ用だとしても、私は氷朱鷺を撃ちません。これからは自分の認めた敵しか撃たないと、戦争の終わりに深く心に決めたんです」
「じゃあ、お前が俺を敵とみなせば、お前は躊躇いもせず引き金を引くのか?」
「どうしてそうなるんですか?」
「お前は氷朱鷺の側に立っている。そうなると、つまり俺はお前の敵って事だろ?」
 そんなつもりは無かったが、立ち位置もあってか、いつの間にか私達と杉山さんという2対1の図が出来上がっていた。
「杉山さんこそ、それ用の銃をお持ちじゃあないですか。城の規則に背く私を撃てない事もない」
「撃てなくもなくもない」
「どっちですか」
「撃てる、が、撃つなら氷朱鷺を撃つ」
「私が盾になるんで同じ事です」
 私と杉山さん、両者睨み合い、一歩も譲らない。
「やれやれ。エデン、お前には解らないのか?」
「何がですか?」
「氷朱鷺の狂気に」
「狂気?」
 また何を言い出すのかと思えば、言うに事欠いて『狂気』だなんて。相手は年若い少年だと言うのに、これじゃあ、杉山さんはまるで氷朱鷺を消したいみたいじゃないか。
 杉山さんはどうしてそこまで執拗に氷朱鷺を排除したがるのか?
 杉山さんは誰にでも優しいから、ただ単に気に食わないという理由だけで氷朱鷺を追い込んでいる訳ではなさそうだけれど……
「氷朱鷺の目の奥に宿る悪魔が見えないのか?」
「悪魔だなんて、大袈裟ですよ。氷朱鷺は他人に興味が無いだけで、私の知る限りとても良い子です」
 氷朱鷺は人見知りだから、誰も本当の彼を知らないんだ。
「俺の知る限り、そいつはエデンが思うようないたいけな少年じゃない」
「そんな、氷朱鷺は人見知りで不器用なだけで、優しくて思いやりのある子です」
 そもそも杉山さんは氷朱鷺の何を知っているというのだろう?
 四六時中一緒にいる私の方が圧倒的に氷朱鷺を理解しているに決まってるのに。
「そんなもの、山と同じさ。一方から見ると緩やかな傾斜の山に見えて、その実、裏側から見ると険しく切り立った断崖絶壁に見えるんだ、見る観点が違えばおのずと見える表情も違うもんだ」
「誰の心にだって険しい部分はあります。私もそうだし、今の杉山さんだってそうです」
「なら俺が撃とう」
 杉山さんのセリフと『カチャッ』という金属音がして、私がハッとして彼の方を刮目すると、彼は懐から銃を取り出し、私の隣にいた氷朱鷺にその銃口を向けていた。
「杉山さんっ⁉」
「本来なら担当の調教師が手を下すのが筋ってものだけど、お前が出来ないのなら仕方がない」
 いつも穏やかな表情の杉山さんが、いつになく真剣な顔で、私の背中に緊張が走る。
「やめて下さい。相手は子供ですよ?」
 私はバイクを投げ出し、氷朱鷺と銃口の間に割って入った。
「子供じゃない、献上品だ。献上品のルールを破ったのなら処罰しないと」
 杉山さんが私に退くようにと軽く銃口を右へ振ったが、私はそれにも動じず断固として微動だにしなかった。
「処罰?処刑の間違いじゃないですか」
 杉山さんはまだ撃鉄を起こすどころか安全装置も外していない。

 でも、もし、杉山さんが安全装置を外して撃鉄を起こしたら、私に彼が撃てるのか?

 私には氷朱鷺も大事だけれど、それと同じくらい杉山さんも大事だし、大好きだ。彼を撃ちたくない。けれど氷朱鷺を撃たせる訳にはいかない。私にはどちらか一方を選べない。
 究極の選択だった。
 痺れをきらした杉山さんが安全装置を外すのは時間の問題だ。
 どうしたら……
 何が最善策なんだろう?
 平和的和解策はないのか?
 ちょうど胸の間を冷たい汗が伝った時、後ろから羽交い締めにされるように胸を探られて、私はその手から逃れるように前屈みになった。
「何っ?」
 一瞬、私は電車で痴漢にでもあったかのような気持ちになったが、小脇から重量感が失われ、すぐに事の重大さに気がつく。
 ホルスターが空だ!
 即座に後ろを振り返ると、そこに、私の銃を構えた氷朱鷺の姿が──
 銃口は真っ直ぐ杉山さんに向けられている。
「氷朱鷺っ、何して──」
「撃つんだよ」
「はぁっ!?」
 ずっと黙って杉山さんの動向を窺っていた氷朱鷺だが、突然スイッチが入ったかのように躍動的になったように見える。目を輝かせて杉山さんを狙う氷朱鷺は、言わば水を得た魚。待ってましたと言わんばかりに口の端を持ち上げている。
「冗談……」
 ──には見えない。
 何故なら氷朱鷺はいつの間にか拳銃の安全装置を外し、撃鉄を起こしていたからだ。
 杉山さんですら撃鉄はおろか安全装置すら外していなかったのに、氷朱鷺は迷わず杉山さんを撃つモーションに入った。
 氷朱鷺は本当に撃つ気だ。私が幾度も戦場で見てきた兵士の目をしている。
 こうなると当然杉山さんもそれに対抗せざるを得なくなり、安全装置を外して撃鉄を起こした。
「待って待って!2人共やめて!」
 私は銃口が向き合う狭間で両腕を伸ばして彼らの狙いを阻害する。
「エデン、危ないから下がって」
 2人同時にそんな事を言ったが、だったら2人共銃を下ろせよと思う。
「なんで隣人同士殺し合おうとしてるの?信じられないよ、どうかしてる」
「エデン、世の中の殺人事件の大半は家庭内で起こってるんだよ?」
「氷朱鷺、だからいいって訳でもないじゃない」
「氷朱鷺はどうやら動機が個人的な怨恨のようだけど、俺には正当な理由があるからね」
「どうだか。そんなのは口実で、俺が邪魔だから殺したいだけだろ?俺をエデンの近くに置いておきたくないだけだ」
 2人は邪魔する私を透過するように口元だけ半笑いを浮かべて会話した。
 2人共、この状況を好機と捉えているように見える。
「まあ、俺も人間だからね。1ミリも私情がないと言えば嘘になる。彼女が同じ部屋で若い男と寝起きを共にしているんだ、そりゃあ彼氏としては心中穏やかではないよ」
「彼女?」
 杉山さんがあまりにもサラッと爆弾発言をするものだから危うく聞き逃すところだったが、とんだ彼氏面をしている。
 杉山さん、何故、今、それを言うんですか?
 杉山さんは相当撃ち殺されたいらしい。
 氷朱鷺の眉がピクリと反応するのが見てとれた。
 まずい。
 氷朱鷺の親離れを促す為になし崩し的にそういう事になってはいるが、今はとても逆効果だと思う。
「もし、俺を騙そうとしているのなら撃ち殺す。逆にそれが真実としても撃ち殺す」
 ほら。
 空気がめちゃくちゃピリピリしている。
 これは本当に杉山さんを射殺しかねない。
 杉山さんもまた、氷朱鷺を撃ちかねないとだろう。
 どうしたらこの場を収められる?
 私はどうするべき?
「お互い、撃ち合う前に、目の前の私を撃ってからやりあえばいい」
 2人は絶対に私を撃ったりしない。だからこそ私は大きく腕を広げて弾の軌道上に身をやつせた。
「エデン、そんな事をしたって時間の無駄だ」
「杉山さん、そんな事を私にさせている事自体が無駄なんですよ。私は退きません」
 大事な人同士が殺し合うのなんか誰が見たいか。2人のどちらかを失うくらいなら私が死んだ方がマシだ。
「ねぇ、エデン、エデンはどっちを守りたいの?」
 氷朱鷺から氷のように冷たい口調で問われ、私は思ってもみなかった質問にピタリと身じろぎを止める。
「え?」
 そんなもの、どっちも守りたいに決まってる。
「りょ──」
「両方なんて陳腐な事は言わないでよ?」
 そう言いつつも氷朱鷺は私の肩越しに杉山さんを狙い、今にも引き金を引いてしまいそうで、私は氷朱鷺にバレないようジリジリと上体をずらし、杉山さんをカバーした。
「だってそんなもの、比べた事もないし、比べようとも思わないし、そもそも土俵が違うじゃん」
 さっきから冷や汗が止まらない。私が少しでも言葉を間違おうものなら誰かが怪我をするだろう。いや、怪我だけで済めばいいが……ほんとに一触即発だ。
「土俵か、どことどこの土俵が違うって言いたいの?」
「それは……」
 私は『土俵』というのが、ジャンルの話で言うところの何系と何系に分類されるのかまで考えが及んでいなかった。
 まずった。
「エデンは俺と杉山さんをそれぞれどういう目で見てるの?」
「え、えぇと……」
 杉山さんの事は男として意識している。それはさっき身に詰まされた。氷朱鷺の事はもう1人の弟のように思っている──
 ──そう答えたら怒られるだろうか?
 何と答えるのが正解か、逆に嘘をつくのも有りかもしれない。
「あの……」
「そんなもの、恋人と義理の弟みたいなものとは比較のしようがないだろ?」
 杉山。
 いきなり割って入ってきてとんでも発言をする杉山さんは命知らずを通り越してクレイジーだ。しかも好戦的な台詞なのになんでそんなに普段通りの朗らか笑顔で言えるのだろう?
 わからない……
「あんたには聞いてない。けど仮に、それが本当だとして、俺はあんたを撃つ」
 銃を握る氷朱鷺の手が僅かに揺れる。引き金に力が込められた証拠だ。
 そして私は氷朱鷺に肩を押されて横によろけ、弾の軌道上から逸れてしまう。

 しまった──

 そう思った時には銃を握る氷朱鷺の人差し指がスローモーションのように動き、引き金を引くのが見えた。
「氷朱鷺っ!!」

 私はこの時初めて、氷朱鷺の危うさを思い知った。
 氷朱鷺にとって杉山さんは友人ではないかもしれない。けれど、毎日顔を合わせる隣人であって、顔見知りよりもうワンランク親しい関係であるはずなのに、どうしてそんな彼に向けて引き金が引けるのだろうか?
 私も戦場で数多くの人々を撃ち殺してきた。けれど、それがもし、よく知る相手だったなら、私はきっと撃てなかった。
 それがやすやす出来てしまうのだから、氷朱鷺の精神世界がわからない。
 どうしてこんな事になってしまったのか、自分の、調教師としての教育方針が悔やまれる。
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