王女への献上品と、その調教師

華山富士鷹

文字の大きさ
53 / 90

オマケ

しおりを挟む
 3日後のウナの泥抜きが終わったタイミングでカザンはキッチンに立ってアイスピックでウナの目打ちをした。
 ビクビクと飛び跳ね、息を引きとるウナ。俺はそれを見てカザンに狂気を感じる。
「よく、名前をつけた生き物を殺せるな」
「しかもそれを今から食べまーす」
 カザンが抑揚も無く答え、手際良くウナを捌いていく。
「動画配信者みたいに言うな」
「滋養の為だから。勿論、氷朱鷺の分もあるよ」
「え、せっかく捕まえたウナを、いいの?」
 しかもエデン(カザン)の久々の手料理、特別感があるじゃないか。
 俺は満更でもなかった。
「うん。鰻の生き血ー」
「毒あるじゃん」
 こいつ。
「肝は肝吸いにするとして、蒲焼きとウナゼリー、どっちが良い?」
 ウナ、ゼリー?
 咄嗟に画が浮かんだ。
「後者は止めた方がいい。絶対に」
「なんで?」
「嫌な予感がする」
 ここはやはりこの国の王道にしておいた方がいいだろう。
「ふーん、ワカッター」
 ほんとに解ってんのか?

 そんなこんなで巨大鰻の蒲焼きが完成した。
 見た感じは老舗の鰻重と相違ない。ただ通常の何人前分もあるので杵塚を呼んで急遽ウナパーティーを開催する事となった。
「土用の丑の日でもないのにどうされたんですか?」
 鰻重を前に杵塚が疑問に思うのも無理は無い。
「ウナの追悼パーティー、及び慰霊祭、鎮魂祭なんです」
 ダイニングテーブルの俺の隣、杵塚の真向かいに座ったカザンがニコニコしながら答えた。
「食べづらいわ」
 あの、ちょっとかわいいフォルムのあれが蒲焼きになって米に乗っているとは、それだけで食べづらいのに。
「ではいただきますか」
 カザンの号令で各々手を合わせ、鰻重に手をつける。
「お、旨い」
 一口食べると、味はあのお馴染みの蒲焼きの味で臭みは無く、食感は筋トレを頑張った鰻、という感じ。
「美味しいですね。一般的な鰻よりも少し鶏肉寄りですけど。しかもよくこんな綺麗に裁けましたね」
「ハジメテヤッター」
 カザンが米を口に掻き込みながら言った。
 いや、上手すぎだろ。
「捌くのは何でも得意だから」
『何でも』が地味に怖い。
「氷朱鷺は特に美味しく感じられるんじゃないかなあ」
 カザンが白々しく肘で俺の脇腹をつついた。
「何が?」
 こいつの藪から棒はいつだってコワい。
 俺は食べる手を止めて身構えた。

「エデンがウナニーしたウナを食べれてさあ」

 その後、その場が修羅場になった事は言うまでもない。
 そして真相は闇の中。俺は嘘つきな彼を信じたい。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

お父さんのお嫁さんに私はなる

色部耀
恋愛
お父さんのお嫁さんになるという約束……。私は今夜それを叶える――。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

処理中です...