1 王への献上品と、その調教師(ブリーダー)αp版

華山富士鷹

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翡翠16の春

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翡翠と出会ってから約6年、彼女は他の献上品達をも凌ぐ美貌やスタイルを手に入れ、誰もが振り返るような透明感ある16歳になっていた。
一方の俺はというと、20代にして腰痛持ちという不名誉な称号を手に入れ、かねがね翡翠から心配されている。
「腰痛のセキレイさんの為にぬいぐるみを分解してクッションを作ってみたんです!」
そうして翡翠から意気揚々と自信作を渡されたが、それは真ん中に大きな穴が空いたドーナツ型で、毛がモジャモジャ生えていて、耳まであって、髭なんかが飛び出し、臀部に2つのでかい目玉がグリグリと当たるように出来ていて、翡翠に悪気はないのだろうが、見れば見る程嫌がらせの為に作られた産物に見えて仕方がない。しかもグロテスクだ。元ウサギだった奴が、まるで大口を開けて悲鳴をあげている様に見える。
「ドーナツクッションて、俺は痔主じゃないし、俺があげたぬいぐるみを分解するな、可哀想だろ、俺が」
「だって私、何でもセキレイさんから与えてもらっているけど、自分の稼ぎがないから誰かを犠牲にせずにはいられなかったんです。セキレイさんのお尻の為に」
こうして話を聞いていると、翡翠は俺を心配しているんだか、からかっているんだか、解らなくなる。
「だから腰痛だって」
翡翠は若干、人(俺)のお話を聞けない娘になっていた。
それでも、ユリが死んでから何ヵ月も塞ぎ込んでいたのがここまで回復してくれてホッとしている。正直、あの時は翡翠まで死んでしまうんじゃないかって程彼女は食べ物を拒絶して衰弱しきっていて、俺は翡翠から片時も目が離せなかった。
本当に、元気になって良かった。
──良かった、けれど、今度は新しい問題が俺の頭を悩ませる。

題して『翡翠、性に目覚める』だ。
翡翠は16という事もあり、ダリアや木葉から指南の話を聞いて触発されたのだろう。あいつらは際どいところまできちんと指南を受けているだろうし、そうなると翡翠としても焦るのかもしれない。
俺としては、ほぼ予備知識だけで夜伽に挑み、その初々しさで勝負をかけたいのに、翡翠の純粋そうなあの顔でやたらと手練れ感があると風斗も引くのではないかと思う。
でもよく考えてみると木葉も純粋枠だが、あんな田舎くさくてどんくさそうなのが翠相手に奉仕なんか出来ているのだろうか?
想像もつかない。

俺は早速会議室で翠を掴まえ、大先生のお話を窺った。
「なあ、翠、木葉には際どいところまできちんと指南しているんだよな?」
「何だい?藪から棒に、しかも立ち話で」
翠はうんざりしながらも俺の話に耳を傾けてくれる。
律儀な奴だ。
「勿論、木葉も献上解禁だから、いつお声がかかってもいいように仕上げているよ」
献上品は16から献上の儀式が解禁になる。そうなると王は好きな時に、好きな娘を試せる。しかしなかには、解禁してから何年経っても声のかからない者もいる。そういった者は二十歳になると同時に歴史の闇に消えていく。
「え、全然想像がつかないんだけど?」
あの木葉が……?
あの木葉が、この鉄の男と……?
もはやコントだろう。
「想像しなくていいよ。まったく下世話だな。俺は木葉が寝所で困らないように事細かに教えているし、木葉の純朴なイメージを壊さないように恥じらいまでちゃんと享受させてる」
「まあ、お前らしいっちゃお前らしいけど」
翠は紅玉を正室にまで育て上げた偉人だ、説得力はある。
「紅玉はもっと良く出来たけど、その子にはその子なりの良さがあるから、それぞれの魅力をどれだけ引き出せるか、調教師の腕次第だよ」
『その子にはその子なりの良さ』か……翡翠の純粋さを生かすも殺すも俺次第って訳だな。
「でも紅玉の時は、この子は将来必ずいいお嫁さんになるって直感が働いたんだよな……」
過去を噛み締めるようにしみじみと語った翠は、どこか哀愁が漂っていた。
ところで翠は、何故『いい正室』ではなく『いいお嫁さん』と言ったのだろうか?
やっぱり翠は……
俺がそこを突っ込みかけると、入り口を塞いでいた俺らの後ろから紅玉の一行が現れ、俺らは脇に寄って片膝を着き、頭を垂れた。
横目で翠を見ていると、調教師と元献上品、関係性がガラリと変わるものだなと感嘆とする。
「翠、久しぶりですね」
紅玉がゆっくりとした口調で優雅に翠に話し掛けた。
紅玉は平均的な容姿をしているせいかそこまで美人という訳でもなかったが、きらびやかな化粧や服装が彼女の気品を引き立て、大物オーラを醸し出している。
「はい、奥方様」
翠は更に深々と頭を下げた。
紅玉が献上品として翠の下にいた頃は主従関係が逆で、木葉みたいに子供っぽく翠に甘えたりしていたのに、今は天と地程距離がある。見えない壁とでも言うのだろうか、献上品が献上されてしまえばこうも他人行儀になるのか……
やはり、嫁いでしまえば今まで通りとはいかない。翡翠も王に選ばれれば、その日から紅玉みたいに手の届かない存在になる。
調教師なんて、世知辛い職業だ。
「翠、そんなに恐縮しないで、楽にして」
紅玉はニコニコと翠の肩に触れ、彼の目の前に白魚のように白くて細い右手を差し出し、それに口付けるように促す。
「いえ、大変恐縮です。私ごとき下民に、勿体ないお言葉」
翠は形式的に紅玉の手に口付けたが、2人を知っている俺には、結婚の誓いでもたてているように見えた。
昔の翠は今よりもう少し頭が軟らかくて、紅玉とは恋人同士のように仲睦まじかったと思う。だからこそ、2人にしか解らない、2人だけの世界がそこにあった。
決して見つめ合う事はないが、多分、互いに同じ気持ちなのだろう。
──て事は、翠は紅玉を正室として送り出す際、身を引き裂かれるような思いだった事だろう。それを思うと、やはり翠は鉄の精神を持つ偉大な人間だ。
「それではまたお会いしましょう」
と言って紅玉が上体を起こすと、急に彼女は口元を手で押さえてふらつき出し、翠は取り乱した様にその体を支えた。
「奥方様っ!!体調が悪いのですか?」
翠のあんな顔を見るのは初めてだ。紅玉本人より顔面蒼白じゃあないか。
「大丈夫です。懐妊の兆候があると言われたので、そのせいではないかと……」
紅玉はいとおしいそうに翠の顔に触れようとしたが、翠はそれを避け、一言だけ『おめでとうございます』と言った。
まあ、辛いけど、そう言うしかないよな。
好きな女が他の男の子供を身籠るなんて、普通は祝福出来ないんだ。翠はよくやったよ。
紅玉が名残惜しそうにその場に留まっていると、周りの取り巻き達に支えられ、どこかに連れて行かれた。
「……翠、つくづく、お前の精神力の高さには感心する」
俺は立ち上がって痛んだ腰を撫でる。
俺が翡翠を手放す時、俺は翠みたいに大腕を振って彼女を送り出してやれるか自信がない。
「そんなんじゃないよ。俺だって人間だからね」
そう言った翠は、やはり哀愁を漂わせていて、伝説の調教師とは違った顔をしていた。

夕食時、この頃の翡翠はテーブルに着くなり『なんでなんで』攻撃を俺にしてきた。
「セキレイさん、何で私だけ指南が遅れているんですか?その他の教科は全て終わらせているのに、何で指南だけは頑なに教えてくれないんですか?何でなんですか?」
飯を食いながら尋問にでもあっているような気分だった。
「知り過ぎるのもよくない。保健の教科書で勉強した事が全てとは言わないが、中学生レベルの知識さえあれば何とかなる」
と口では言ったが、風斗のプレイは保健の教科書を遥かに凌ぐハード&パワープレイだ、若葉マークの翡翠にはショッキング過ぎてハードルが高いだろう。いきなり『奥の間』に連れ込まれたら、臆病な翡翠はトラウマになる事必死。
やはり、ここはきちんと実戦で指南しないといけないだろうか……
翡翠はヤル気だけど、実のところ、俺の心の問題であるところが大きい。
ギリギリまで体を重ねて、翡翠を手放せなくなるのが怖いのだ。
臆病なのはどっちだか……
「だってセキレイさん、私はもう16で、いつなん時王からお声がかかっても不思議はないんですよ?何のテクニックも無しに、王を満足させられません」
翡翠は皿に残ったアボカドをフォークの背でペーストにしている。
成長しても、俺にしてみたら翡翠はまだまだ子供だ。
「こら、アボカドに当たるな。あのな、翡翠、世の中には何も知らないいたいけな少女を調教して服従させたい変態が思いの外わんさかいるんだ……王の事だけど」
俺はナイフとフォークを皿の端に置いた。
「え?セキレイさんみたいに?」
翡翠は開眼してどこか納得している。
「……認めよう。じゃあ、お前がその時になってショックを受けない程度に、もう少しマニアックな知識をつけよう」
俺は仕方なく、選りすぐりの秘蔵エロ動画(凌辱・鬼畜もの)を公開するに踏み切った。
翡翠、後悔するなよ。
これで少しは翡翠も黙るだろう。

食後、翡翠はポップコーンを大量に作り、それをサラダボウルに入れてベッドに横になる。
「何で人のベッドに上がり込んでるんだよ?ベッドで並んでAV観賞とか、普通に駄目だろ。しかもお前、ホットパンツに生足じゃないか」
けしからん。
俺は翡翠からポップコーンを奪おうとサラダボウルを引っ張った。
「何でいけないんですか?観ている途中で眠くなったらそのまま寝落ち出来るじゃあないですか。それに生足にホットパンツの何がいけないんですか?」
キョトン顔で尋ねてくる翡翠は、この後に、居眠りすら許されぬ程ハードなショッキング映像を見せられるとは微塵も思っていないのだろう。
のんきな奴。
「ポップコーン食って歯磨きしないで寝るな。虫歯になるだろ。それに生足にホットパンツは大人の男の目には毒なんだよ」
そうと相場が決まっている。決して俺の趣味嗜好とはだな……ゴニョゴニョ……
「えー、でも、テレビを観るならここが一番条件がいいじゃないですか。セキレイさんだってベッドの方が腰が楽でしょ?」
翡翠は俺からサラダボウルをひったくり、勢いで数個ポップコーンを布団に溢した。
「ああ!もう!人のベッドの上でポップコーンを食うな!映画鑑賞とは違うんだぞ!?」
俺はチマチマと落ちたポップコーンを拾ったが、布団にバター風味がついてイライラする。
「もうどうせ落としちゃったんですから、気兼ねなく食べれるじゃないですか、ほらほら始まっちゃう」
「何が!?」
俺がまだ動画をセットしていないというのに、翡翠は俺の手を引いて隣に誘う。
「仕方ないな」
俺は中腰の姿勢が辛くてそのままベッドに寝転んだ。
「セキレイさんて、傲慢そうでいて、何だかんだで女に振り回されるタイプですよね?」
翡翠はじっと俺の方を見て真顔でそう言った。
「違う。お前に振り回されてるんだよ」
翡翠は成長して俺の扱いが上手くなったと思う。時々、俺は彼女に転がされている気さえする。
「じゃあ、泣いても笑っても知らないからな」
俺はそういった脅しで動画をテレビに映し出した。
何回か視聴した動画だから、翡翠と一緒に観てムラムラする事もないか。
そうたかを括って始められたエロ動画観賞だったが、タイトルもそこそこに、本編ならぬ本番が前触れもなくいきなり始められる。
「セ、セキレイさん、これ、ストーリーとか無いんですか?」
いきなりのモザイクに翡翠はさっそく動揺した。
だから言わんこっちゃない。これだから子供は──
「あるのもあるけど、王との夜伽だってこうしていきなり始まるかもしれないだろ?勉強しとけ」
「え……はい……」
翡翠は恥ずかしそうに顔を赤くしてモジモジしだし、ポップコーンを食べてそれを誤魔化す。
室内に女の容赦ない喘ぎ声と、男の生々しい吐息や暴言がこだまし、おぞましいオモチャや電動マッサージ機のモーター音がやけに耳についた。
「セ、セキレイさん、あれっていつもセキレイさんが肩に当ててるマッサージ機ですよね?」
「そうだね」
マッサージ機は元々指南の教材として購入した物だが、実技をやらない我が家では専ら正式な用途に使われている。
「あれをあんなところに当てて、あすこは大丈夫なんですか?」
ゴクリと翡翠の喉が鳴るのがわかった。
「試してみたら?」
こんな風に返すのは意地悪かもしれないが、それで翡翠が閉口するのが面白かった。
「……」
まだ序盤で、モザイクだって強目なのに、ここまで顔を赤くするなんて、翡翠もまだまだだな。
俺はフッと鼻で笑って翡翠のポップコーンに手を伸ばすと、彼女が過敏に反応し、ポップコーンが数粒溢れた。
「どうした?」
翡翠が意識しているのは解ったが、俺はサド心から敢えてそう尋ねる。
「何でも……ないです」
耳まで赤くして、可愛いなぁ。
そんな事を思いながらも、俺は溢れたポップコーンをきちんと回収する。
「セ、セキレイさん、何であすこにあんな物を?あれって鷹雄さんの部屋にあるやつでしょ?」
翡翠は見る物全てに怯えて大いに取り乱した。
「何でって、気持ちいいからじゃないのか?」
俺がわざとしれっと答えると、翡翠は騒ぎ立てていた自分が急に恥ずかしくなったのかしおらしくなる。
「え……まあ、そうか……」
前戯の段階で翡翠は既に息があがっていて、いざ本番が始まったら卒倒するんじゃないかと思った。
ヌルヌルとかピチャピチャとかいやらしい湿った音が続き、翡翠はそれをかき消すかのように無心でポップコーンをかっ食らう。
馬鹿だな、可愛いな。
その間にも画面上ではめくるめく官能のバトルが繰り広げられ、翡翠は次第に無口になっていった。
やっぱりお子ちゃまの翡翠にはまだ早かったかな、刺激が強すぎた。
俺は何故か満足感でいっぱいだった。翡翠がまだ子供でいた事が逆に嬉しかったのかもしれない。
「もういいだろ?止めるぞ?」
俺がリモコンを手にすると、翡翠は『見る!』と頑なに譲らなかった。純粋培養されてきた翡翠としては、目の前の事があまりに新鮮で興味を引かれるのだろう。
しかしここからはちょっと……かなり生々しいんだけど、大丈夫か?
俺は献上品との生活をよぎなくされ、終始欲求不満気味の自分自身に対しても一抹の不安はあったが、直接指南するよりはましかと思い、上映を続けた。
動画はどんどん過激になり、翡翠は目を白黒させて未曾有の出来事に驚いている。
遂にはいわゆる『本番』が始まり、肌同士がぶつかり合う衝突音が室内に響き渡たり、翡翠はポップコーンを食べる事も忘れ、何度も画面から目を反らした。
まるでホラー映画でも観てるみたいだな。
ちょっと笑える。
「お前が見るって言ったんだろ?ちゃんと最後まで直視しろよ」
俺は翡翠の反応がいちいち可愛いくて、つい意地悪な事を言ってしまう。
「いや、なんか、思ったのと違って……凄くエッチでびっくりしてしまって……私はてっきり、もっと端的でシンプルだと思ってて……あ!」
翡翠が声をあげたのは、およそ保健の教科書には載らないであろう嗜好性の高いシーン。
可哀想に、さぞやセンセーショナルだっただろう。
「……」
「どうした?まだ続くぞ」
うつ向いてサラダボウルを抱き締める翡翠がどうにも可愛いくて、俺は、何なら無修正の物を翡翠に見せつけて、恥ずかしがる彼女を堪能したい欲求にかられる。
「……」
「やに無口じゃないか、ん?翡翠?」
俺がからかうように翡翠の顔を覗き込むと、彼女は氷の彫刻みたいにカチコチに体を強ばらせた。
面白いなぁ。
「う、うん……」
俺はモジモジと両膝を擦り合わせる翡翠がちょっと可哀想になり、動画を一旦停止させた。
まあ、初めてAVを観たらそうなるわな。
「え?なんで止めたんですか?」
翡翠はさっきまであんなに恐る恐る動画を観ていたというのに、物足りなそうにこちらを向いた。
「トイレ休憩。行ってこいよ」
免疫がない翡翠にはちょっと刺激が強すぎたな。俺も悪のりし過ぎた。
「え、トイレならさっき済ませたばかりですよ?」
翡翠が潤んだ瞳で首を傾げ、俺は後頭部を掻いて動画を再生させた。
「いや、いいけど」
無垢だなぁ。

気が付くと、翡翠は体育座りをして膝から目だけを出して動画のフィナーレを観察していた。
アクロバティックな体勢のオンパレードに派手な擬音と喘ぎ声、これを翡翠はどんな思いで観ているのやら……
翡翠は後に王からこんな事をされると理解しているのだろうか?
俺は動画よりも翡翠の事が気になり、彼女を観察していると、思わぬ翡翠と目が合い、気まずい空気になる。
「セ、セキレイさんも、あ、あんな感じなんですか?」
翡翠は両膝に顔を埋め、くぐもった声で尋ねてきた。
「何が?」
「あれをあんな風にして、あんなに激しく動いて、何か変なものが、その……するのかなって……」
翡翠は消え入りそうな声でパタパタと両足をばたつかせている。
てか何で、王じゃなく、俺でそれを想像した?
「いや、男なら皆そうだよ。調教師だって男だから、気持ちが良ければああなる」
「へ、へぇ……びっくり」
翡翠は熱くなった熱を冷ます様に手で真っ赤な顔を扇ぐ。
あ、まずった。
今の発言は、翡翠に俺が男だと意識させてしまった。
尚更気まずい空気が流れ、それにつけて動画がソープランドものに変わり、室内がピンク一色に染まる。
「う、うわぁ……」
ソープ嬢がローションで男性にマッサージする様子を見て、翡翠は目を泳がせた。
「あんな悦ばせ方もあるんですね……」
チラッとこちらを見た翡翠の瞳が物欲しそうに揺れて、腰痛を患っていた俺の腰がゾクゾクと疼く。

これはまずい。

あまり意識していなかったが、俺は新しいジャンルの悦びに目覚めていた事を悟る。
それは──
翡翠にエロ動画を見せて、恥ずかしがる彼女を更に言葉で辱しめ、焦らし、放置するという超限定的なマニアックプレイ。
この俺が、お子ちゃまな翡翠相手に?
信じられなかった。
でも、恥じらいながらもワニみたいに膝から目だけ出して動画を観察する翡翠とか、無意識に体を捩るところとか、見ているこっちが興奮して動画どころではなくなっていた。
それに、あんなにまな板で棒切れみたいだった彼女の体も、こうして改めて見てみると、シャツの襟首から僅かに谷間がのぞいていたり、腰や太腿に美しいメリハリが出来ていたりととても艶かしい。
もう大人じゃないか。
そう、この国では女性の16はもう立派な大人なのだ。それを忘れていた。
自分でもいただけなかったが、これ以上翡翠と動画を見続けるのは危険だと思い、今日のところはこの辺で上映を自粛した。
「え、もっと見たい!見ようよ、見ようよ」
と翡翠は駄々を捏ねたが、俺の理性がもたない。
「うるさい、十分見ただろ?もうお前とは見ない。見たいなら海外のギョロ目アニメでも観て、さっさとシャワーして寝ろ」
そう言って翡翠を突き放したが、寧ろ俺の方が冷たいシャワーを頭から浴びたい気分だった。

先日のエロ動画のおかげで少しは翡翠の好奇心も収まるかと思っていたが、それどころか逆に彼女の興味に火を着けたようだった。
翡翠は以前にも増して指南のお願いを俺にしてくるようになった。

そんな中、ある日の夕食時の事。
「セキレイさん、木葉は最近翠から96とかいうのを教えてもらったそうですよ」
え、96……
翡翠が突拍子もなくぶっ込んできて、俺は卵スープを吹くかと思った。
「翡翠、お前はその意味が解って言っているのか?」
「え?互い違いになって器械体操みたいな事をするんですよね?」
翡翠が何の照れも無しにこういった事を口にする時は、決まって内容を把握していない時だ。
「当たらずも遠からずだ。言っておくけど家ではやらないからな」
「えー、木葉はやってるのに、狡い~」
翡翠は既にペースト状であるポテトサラダを更にフォークでペーストにする。彼女は不満があるといつもこれだ。
「あのな、翡翠、それはもはや指南じゃなくてエッチだ」
「えっ!?」
翡翠はガチャンとフォークを皿の上に落とす。
動揺してる、動揺してる。
「じ、じゃあ、エッチは教えてくれないんですか?だって、将来王と──」
「その先は言うな、飯が不味くなる」
俺は翡翠が言い切る前に強引に遮った。
翡翠はいつ献上されてもおかしくない状況だが、俺は、翡翠と王との秘め事を連想する様な不快な事はしたくない。
「でも、本当に、早く全部教わらないと、側室になる機会を失いそうで心配なんです」
翡翠は思い詰めた表情でまたポテトサラダを潰していて、俺は調教師として複雑な心境だった。
「そんなに側室になりたいのか?」
俺は調教師でありながら、側室を希望する翡翠に不安を覚える。
「はい。その為に頑張ってきましたから」
「……」
何だか、早く俺の元を巣立ちたいと言われているようで腹が立った。
「言っておくけど、俺は酷いよ?それでもいいのか?」
俺はちょっとやさぐれて、いつにも増して意地悪な気持ちになる。
「はい、側室になる前に、私も調教師のセキレイさんに際どく愛してもらいたいんです」
翡翠の口から『愛』という言葉を聞いた時、俺はいてもたってもいられず座っていた椅子を弾き飛ばして彼女を抱き締めに行っていた。
「翡翠、だから、俺はお前を愛してやれないんだってば」
だからこんなに我慢しているのに、翡翠は何も解っちゃいない。
「解ってます。私も、セキレイさんを愛せないのを理解していますし、そのようにしようと思ってます。自分の心もちゃんとコントロール出来るし、セキレイさんが指南中に理性を失って最後までしようとしても、私は抵抗します。握り潰します」
翡翠はパチンコでもやるようなジェスチャーをして俺を脅かす。
「何ならスゲーやりたくねーよ」
潰されてたまるかよ。
「そこをなんとか」
色気もへったくれもなく翡翠に頭を下げられ、俺は彼女にもっと艶っぽい誘い方を教える必要があると思った。
「いつかは全部教えないといけないとは思っていたが、本当にこんな日がくるなんてな……ずっと子供のままでいてほしくてお前を子供扱いしてきたけど、それもう無理があるのか」
それでも俺は、いつものくせで子供にするみたいに翡翠の頭を撫でた。
「俺ももう覚悟を決めるか」
半ばヤケクソで翡翠を抱き抱え、夕食そっちのけでベッドに彼女を下ろす。
翡翠はあれだけ自分から指南を志願していたにもかかわらず、いざベッドに下ろされると表情や体を硬くしていっそ可哀想なくらいだった。
そういえば翡翠は昔から臆病だったな。
今になって小さかった頃の翡翠の姿が頭に思い浮かんだ。
「どうした?止める?」
今ならまだ、酷い事をする前に止めてあげられる。
「やる!やります!98、やらせて下さい!」
え、98て……
翡翠はその場の空気に見合わぬ勢いで志願し、俺のやる気を削ぐ。
「意気込みは解ったから、若手社員の接待みたいな言い方やめて」
ここらへんは後日訂正してあげよう。
「じゃあ、まず服を全部脱いで、その後に俺のを脱がして」
「え!全裸でやるんですか!?」
翡翠がベッドで飛び上がり、指南はいきなり頓挫する。
「そうだよ、基本だよ。服が汚れるからね。服を着たままやる事もあるだろうけど、献上の儀式の時はきっと脱ぐと思うから、脱いで。そんで王である俺の服も脱がして差し上げてね」
「ええと、はい……」
翡翠は素直に従い、身を縮めてゆっくりシャツのボタンを上から外していく。
「そんなんじゃあ、王は先に寝てしまうよ?退屈させないように扇情的に脱ぐのが基本だよ」
俺は涅槃像の様なスタイルでわざとらしくあくびをして見せた。
「せ、扇情的に!?ええと……」
翡翠はあたふたしながらもはだけたシャツを肩まで落とし、そこから長く伸びた脚を通してホットパンツを脱ぎ捨てる。
戸惑ってたくせに悪くないじゃないか。寧ろどこでそんな技を仕入れたのか、ちょっと妬ける。
それから翡翠がワイシャツを脱ぎ捨て、立ち膝でパンツを脱ぐと、俺は数年ぶりに彼女の成長した肢体と対面した。
これはヤバい。
たったの数年で、翡翠は別の生き物みたいに孵化していて、白くて軟らかな女性の体つきに変貌を遂げていた。
あんなにまな板でちんちくりんだったのに!
俺の可愛い翡翠は一体どこへ……
ものの数年で翡翠の体がここまで完成されるなんて、保護者としてはショックでもある。
誠にけしからん。
その脇腹に触れてみると、痩せているのに軟らかくてすべすべしている。胸も尻も、ささやかではあるが綺麗な弧を描いて隆起しており、俺は堪らず生唾を飲む。
「セキレイさんの前で裸になるのは久しぶりなんで、電気を消してもらえますか?」
翡翠は前屈みの変な体勢で自身の恥ずかしいところを隠す。
「ん?ああ」
いけない、翡翠の裸体に夢中だった。
俺はリモコンで部屋の電気を消し、間接照明だけにする。
「じゃ、じゃあ……」
そう言って翡翠は、おずおずと俺の服を脱がせていき、とりあえずパンツだけにした。
「セキレイさん……テン──」
「言わなくていいよ」
翡翠が何を言いたいか解ったが、俺は問答無用で翡翠の手を自身の下腹に導く。
「ええ!!うわぁ、そんな、嘘だ!そんな馬鹿な!鬼っ!!」
翡翠はそれに触れるなり顔を赤くしたり、青くしたり、とにかく大騒ぎしていた。 
そんなに驚くものか?
「翡翠、王にどんな物が付いていても、今みたいなオーバーリアクションは絶対にしちゃ駄目だよ、解った?」
俺の問い掛けに翡翠は無言で何度も首を縦に振る。
「じゃあ、待望の器械体操をしようか。翡翠はこっちに尻を向けて俺の顔を跨いで」
俺は気分の高揚を抑え、翡翠を互い違いの格好に促した。
「え!?今、何て!?」
一方の翡翠は、俺の言ったやり方に耳を疑っているようで大変狼狽している。
「聞こえてただろう?互い違いになって器械体操をするよ」
「やだやだやだやだやだやだやだやだ、無理無理無理無理無理無理無理無理無理!!」
予想通り、翡翠は両手を振って早口でいやがった。
「お前がやるって言い出したんだろ?」
ここまできたらやるしかない。
俺は立ち膝の翡翠の太腿を自分の頭側に力ずくで引き寄せ、シーツを握り締めて全力で抵抗する翡翠の膝に無理矢理割って入ると、彼女は変な悲鳴をあげて俺の腰にしがみ付いた。
「ヒィィィィィィィィィ!!」
うるさっ!
「なんでこんなご無体な事をするんですかぁ!!」
翡翠は半泣きで俺を非難したが、そんな事をされると俺のサド心は尚も燃え上がる。
「だから、お前が言い出したんだろ?それに、俺は酷いって言ったろ?」
俺がペシッと翡翠の尻を叩くと、彼女はカブトムシみたいにちょっと前に出た。
面白。
「じゃあ、始めるよ」
一応声をかけ、俺は手探りでサイドテーブルの引き出しから眼鏡を取り出し、装置した。
カチャッと眼鏡のフレームが鳴り、翡翠がこちらを振り返るなり卒倒する。
「セキレイさんっっっ!!何、眼鏡掛けてるんですかっっっ!!」
翡翠はこれ以上ないくらい顔を真っ赤っかにして頭から湯気でも上がりそうだった。
「いや、だって、目ぇ悪いから、見えないだろ?」
別に、俺は誇り高きどサドだけど、今のは本当に悪気はない。
「絶っっっ対、やめて下さいっっっ!!普段かけないのに何でこんな時に限ってかけるんですかっ!!変態っ!!エッチ!!鬼畜っ!!いんきんたむしっ!!」
鬼畜はいいけど、いんきんたむしはやめろ。
翡翠が見た事もないくらい物凄い勢いで嫌がるものだから、俺は仕方なく眼鏡を外してリモコンで電気を点けた。
「ぎゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃっ!!」
翡翠の断末魔が城中にこだまする。
勿論、これも悪気はない。
「なんで電気を点けるんですかっっっ!?」
翡翠は慌てて片手で秘部を隠した。
「だから、見えないんだって」
俺は嫌がる翡翠を無視してその腕を力ずくで取り去る。
「だから、見てほしくないからこんなに騒いでるんでしょうっ!!」
翡翠は俺に負けまいと懸命にそこを手で押さえ、軽く小競り合いになる。
「だから、見ないで穴間違ったらどうするんだよ!?」
まあ、そんな事はないだろうけど、やるならちゃんと目で確認して翡翠のウィークポイントをおさえてやりたいのだ。
俺は指南という主旨も忘れ、翡翠に気持ち良くなってほしいと思っていた。
「穴っ!?セキレイさん、童貞ですかっ!!」
「どこに、誇り高き童貞のどサドがいるんだよ!」
「玄人っ!?セキレイさんの不潔!!」
「何で両極端なんだよ」
そうして押し問答をしているうち、俺は嫌がる翡翠に恥ずかしい格好をさせて無理矢理視姦するというトリッキーなプレイに体を熱くさせていた。
ちょっと待て、これはさすがに変態だ。
でも、見られただけでこんなに恥ずかしがるんだ、触ったらどんな顔をして、どんな反応をするのだろう?
俺は敢えて考えないようにしていたのに、中学生のガキみたいに想像を働かせてしまって、全身の血が沸騰するのを感じる。
無知な翡翠にとんでもなく卑猥な愛撫をして、経験した事のない快感を味あわせてやりたい。それからめちゃくちゃに彼女を抱いて足腰を立たなくしてやりたい。

でも、本気でそう思ってしまう自分が怖かった。

「ぁーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」
俺は固く目を閉じ、鬱憤を晴らす様に低く唸った。
「ちょっ、セキレイさん、変なところで唸らないで下さいよ」
「今、葛藤してるんだよ」
「何と?」
「己」
そう、ちょっともう自分の忍耐力が限界を迎えていて、非常に危険な状況だった。
「セキレイさん」
「ハァ……」
俺が熱を冷ます様に熱い吐息を吐くと、翡翠はそれに反応して腰をしならせる。
「変なとこで深呼吸しないで下さい!!」
「うるさいな」
お前のその一挙一動が腰にくるんだよ。
まったく、人の気も知らないで……
しんどい。目の前に大好物があって空腹なのに食べれないとか、生殺しだろ。
「あの、セキレイさん」
翡翠が控えめに声をかけてくる。
「うっさい、眼鏡かけるぞ」
ペシッと翡翠の尻を叩くと、彼女はまた前のめりになった。
だから、カブトムシか。
「いや、だから、電気を消してくれたら、私もセキレイさんの欲求を解消してあげられるんですけど……最初からその方向で進んでいたと思うんですけど、セキレイさんは何で葛藤してるんですか?」
「……」
俺の頭の中では翡翠を飽きることなく抱いていただなんて、お前には解るまい。
「だったら頼もうかな」
俺が毒気のある言い方をして翡翠を追い込むと、彼女は俺の下半身と対峙して息を飲む。
「き、鬼畜!!!!」
そして案の定、翡翠はベッドから逃げ出してしまった。

翌朝の朝食、翡翠は最近はまっていたジャンボソーセージを手付かずで残した。
「……お前な、俺に指南してほしいんだか、ほしくないんだか、はっきりしろ」
俺は翡翠が食べやすいようにジャンボソーセージを原型がなくなるまで細切れにしてやる。
「してほしいんですけど、恥ずかしいし、びっくりする事ばっかしだし、セキレイさんのソーセージが凄く生々しくて怖いし、どうしても前に踏み出せないんです」
翡翠は俺の向かいの席でもじもじとテーブルを指でなぞっている。
弱虫め、可愛いな。
「あのさ、俺も男なんだから、そんなに焦らされると我慢出来なくなっちゃう訳」
「解ってます。すみません。私も早く次のステップに行きたいんです。何なら今から挑戦してもいいんです」
翡翠の目には焦りの色が見えた。
「いいのか?まだ明るいけど」
「あっ……」
やるつもりはなかったが、一応翡翠に確認をとると、彼女はその事を失念していたようで顔を赤面させてうつむく。
「そんなに嫌なのに、どうしてそこまで焦る?」
俺が細切れになったソーセージの皿を翡翠に差し出したが、彼女は首を振ってそれを拒絶する。
「私は、早く側室になって、セキレイさんや、亡くなったユリを安心させてあげたいんです」
翡翠に曇りなき眼で真っ直ぐ見つめられ、俺はソーセージを投げ出して今すぐにでも翡翠を抱き締めて、彼女の体を繋ぎ止めたかった。
「翡翠……」
普通なら、孝行娘という事でジーンといい話になるのだろうけど、俺としては複雑なのだ。

だって俺は、心の底では翡翠を自分の物にしたいと切に願っていたから。
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