1 王への献上品と、その調教師(ブリーダー)αp版

華山富士鷹

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翡翠の純潔

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鷹雄さんとの生活にも慣れ、新妻みたいなその役目も板についた頃、セキレイさんから献上の儀式の日取りを知らされた。
セキレイさんはとても気落ちしている様に見えたけれど、私は自分でも驚くくらい冷静でいられた。
勿論、セキレイさんへの愛は変わらず、寧ろ燃え上がるようだったけれど、覚悟を決めて彼と決裂していたおかげで献上品としての務めもすんなり受け入れられた。
周りの調教師や献上品達は目の色を変えて正室の座を狙ったが、私はセキレイさんに国をあげれれば側室だろうが正室だろうがどうでも良くて、ただ儀式の日まで自分の出来る限りの事をしようと思った。
木葉にも儀式のお声がかかったが、彼女が目を腫らして嫌がるものだから、翠はどうしたものかと思い悩んでいる。
鷹雄さんに至っては『翡翠が望むなら、仮死状態になれる薬を投与して、死んだものとして外に出してやるよ?』等と荒唐無稽な提案をしてきたが、たとえそんな事をしたとして、私はいいけど、不正がバレた時に裁かれるのは鷹雄さんなのだ、彼に迷惑をかけてまで自分の自由を優先したいとは思わない。鷹雄さんは凄くスケベだけどとても優しくて、とてもいい人だ、そんな彼に不幸になってほしくないし、私が彼の愛したユリを間接的に死なせてしまった報いも受けなければならない。セキレイさんの事だって、私が絶対に幸せにしてあげたい。

だから私は、必ず儀式を成功させてみせる。

その日は朝からどんよりと不穏な雲が立ち込めていて、横殴りの雨が降ったり止んだりを繰り返し、遠くの方では雷の閃光が度々見られた。
なんだか不吉な天気だな。
夕方、私は鷹雄さんの部屋の窓から外を眺め、夜には雷が近付きそうだなとため息を漏らした。
「お、今夜は雷か~」
一方の鷹雄さんは、帰って来て隣で空を眺めるなり歓喜の声をあげる。
「……嬉しそうですね」
「そりゃそうさ。雷の夜だけは翡翠と一緒に寝られるからね」
とか言いながら鷹雄さんはそれとなく私の肩を抱いてきた。
これがセキレイさんだったらな……
雑念が頭をよぎり、私は頭を振ってそれを振り払う。
「これがセキレイだったらなとか思っただろ?」
うりゃうりゃと鷹雄さんに頬っぺをつつかれ、私は冷たい眼差しで彼を軽く睨んだ。
「思っていません。私はもう王に献上されるんですから、誰の事も何とも思いません。最初からこの体は王の物ですし」
鷹雄さんは私の本当の気持ちに気付いている。だからこんな身も蓋もない事を聞くのだろう。
「へぇ?王の物ねぇ、王の所有物って言ったって、心や気持ちはあるもんじゃない?本当のところ、初めてはセキレイに捧げたいんじゃあないの?」
鷹雄さんは私を冷やかす様にニヤニヤと笑いかけてくる。
何だか心を見透かされている様で居心地が悪い。
「私の初めては王のものです。それ以外は考えられません」
私が憤慨すると、鷹雄さんはより悪乗りに拍車をかけてくる。
「ねー、ねー、翡翠、俺をセキレイだと思ってさぁ、AもBもCも、ついでにDもしてあげよっか?」
鷹雄さんは間延びした口調でまとわり付く様に後ろから私を抱き締め、私を呆れさせた。
やっぱり、抱かれた感じ、セキレイさんとは全然違う。
「Dって何なんですか?」
私が呆れ気味に聞き返すと、鷹雄さんは茶目っ気たっぷりに『ディープキスだよ』と言った。
そしたらAとBとCは何なんだよ!?
「くだらない事言ってないで放して下さい。今日は貴方が苦手で大好物なエビフライを揚げますから」
セキレイさんにとって代われる人はこの世の何処にも存在しない。たとえ目を閉じて鷹雄さんとキスしたとしても、それがセキレイさんではないという認識はきっと変わらない。それは王も例外じゃないだろう。
初めてがセキレイさんだったらどんなにか幸せだったか。
「え?あんな手の込んだ物を作ってくれるの?やっぱり好きだなー、翡翠」
そう言って鷹雄さんは厚かましく私の頬に何度もキスしてきたが、きっと彼も、私がユリの代わりにはならないという事にいずれ気付くはずだ。
「ほら、鷹雄さん、いい加減放して下さい」
私は両腕を押さえ込まれ、芋虫みたいに身をくねらせて鷹雄さんに抗った。
いつもの鷹雄さんなら、細々したセクハラはするが、どれも単発で終わるのに、今日は何だかねちっこいなと不審に思っていると、彼がいきなり私の肩に顔を沈め、ゾクッとするような甘く掠れた声を出した。
「翡翠、したい」
「え?」
私は一瞬聞こえないふりをしたが、鷹雄さんはもう一度はっきりと『したいんだよ、翡翠』と言って私を困らせる。
「な、何が……」
私は嫌な予感がして、今度は知らぬふりをしたが、鷹雄さんが返答の代わりに私の胸元に手を差し込んできて、私は驚いて猫背になり、勢いで腰が彼のヤル気に当たった。
ジーザス!!!
「鷹雄さん、悪ふざけはやめて下さい!」
私は身じろいで鷹雄さんを振り切ろうとするも、彼に完全にマウントをとられる。
「翡翠、献上品を辞めて俺の物になってよ。ここから2人で逃げ出して、毎日エビフライ作ってよ」
それってつまり──
鷹雄さんは私から献上品の資格(処女)を奪って、私を嫁にしようとしている!?
「駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目駄目!!」
そんなもの、私の覚悟が水の泡になってしまう。
「なんで?新婚夫婦みたいな生活はしてるのに、性活はしちゃ駄目なの?」
「誰がうまい事言えと?駄目に決まっているでしょう!私は王の所有物なんですよ!?」
「だから?」
「だからっ!?」
鷹雄さんに平然と言われ、私は思わずコケそうになった。
そうだった、鷹雄さんには秩序という概念がない。
でもこの人、多分、ただ寂しいだけなんだと思う。
ユリみたいに手の込んだ物を作ってくれる人(私)に依存しているんだ。
「ごめんなさい、鷹雄さん、私はユリの代わりにはなれないし、鷹雄さんもセキレイさんの代わりにはなれないんです」
私がそう言って鷹雄さんの腕に触れると、彼は項垂れて絶望した。
「寂しいんだよ、翡翠。ユリは死んでしまうし、お前は献上されてしまうし、ダリアには嫌われているし、今度こそ独りになってしまう」
「鷹雄さん……」
ダリアに嫌われてたんだ……どおりでダリアが翠の所から帰って来ないわけだ。
翠もそうだけど、思えばこの人も可哀想な人だ。体が2つあったらずっとそばについててあげるのに。
私は鷹雄さんに同情して暫し黙って抱かれていると、調子に乗った彼の魔の手が再度胸を攻めだす。
「鷹雄さん!私の話聞いてましたかっ?!」
鷹雄さんが元気になったのはいいが、意味合いがだいぶ違う。
私は全身に鳥肌を立てて身震いした。
「ハハー、バッカだなー、翡翠、それとこれとは別なんだよ」
さっきまでの絶望はどこへやら、鷹雄さんは我が物顔で私の体を触りまくる。
本当に鷹雄さんて人は!
同情して損した!
「今、俺がお前の初めてを奪ったら、後は大好きなセキレイと好きなだけパコパコ出来るぞ?翡翠」
本当の本当に鷹雄さんて人は、モラルが無さすぎる!
「私は好きな人とのその場限りの情欲に溺れるよりも、その人の永遠の幸せの方が大事です。それが私の愛です」
胸を張ってこっぱずかしい事を口走ってしまったけれど、私は全身全霊でセキレイさんの幸せを願っていた。
「あーあ、そう言うと思ってたよ」
がっくりと肩を落とし、鷹雄さんは諦めて私から離れる。
「すみません、鷹雄さん。鷹雄さんにはとてもお世話になっているのにお役にたてないです。その、辛かったらせめて指南を受けましょうか?」
私は控え目に妥協策を提案してみる。
やっぱり私には鷹雄さんを放っておけない。私が鷹雄さんから指南を受ける事で彼の慰めになるのなら、ちょっとくらい手伝ってもいい。
「いいよ、それに別に女に困っている訳じゃあないんだよ。ただ、翡翠がどれ程セキレイを想っているのか知りたかったんだ。もしかしたら俺がセキレイの代わりになれるんじゃないかって思ってたんだけど、つけ入る隙がまるで無くて残念だよ」
「鷹雄さん……鷹雄さんは優しくて良い人です。だからセキレイさんみたいにはなれませんよ笑」

セキレイさんは鬼畜だから。

鷹雄さんは複雑そうな顔をしてソファーに横になり、肩肘を着いて私を見上げた。
「……翡翠ってさぁ、ちょこちょこセキレイの事ディスるよな?」
「……ん?」
そんなつもりは……まあ、そうか。
「なぁ、翡翠は、セキレイがお前の事をどう思っているのか知ってるのか?」
「さぁ、知りません。世話の焼ける犬くらいにしか思われてないでしょうね」
フフフと私は自虐的に笑う。
「いや、俺の見立てだと恐らくセキレイは──」
「いいんですよ、どっちでも。以前はセキレイさんに嫌われるのが怖かったり、好かれたかったりしましたけど、今は、そんなものはさして問題ではないってやっと悟れたんです」
そうなるまでに時間はかかったけれど、今はふっきれていっそ晴々とした気持ちでいる。
「そうか、それでお前が幸せならそれでいいか」
そうして漫画みたいにニッコリと笑った鷹雄さんもどこか晴々としていて、何かを悟ったようだった。

私がエビフライを揚げ、いよいよ雷がそこまで近付いてきた頃、一件のメールに気が付く。
そのメールは朝に受信したもので、差出人はセキレイさんだった。
私がセキレイさんから離れて初めてのメールだ。
うわうわうわうわうわうわ、不意打ちヤバい。
私は差出人欄の『渡辺鬼畜』という登録名を見ただけで気持ちが高揚した。
何だろう?どうしよう、戻って来いってメールだったら……どうやって断ろう。
セキレイさんからのメールはとても嬉しかったが、それはそれこれはこれである。
もう、私の決心は何があろうと覆らない。
「どうしたんだろう?」
私は高鳴る胸を押さえ、ドキドキしながらメールを開いた。
『お前が献上される前にどうしても特別に指南しておきたい事があるんだけど、夜7時に防音室に来れる?』
夜7時?
咄嗟にスマホの時刻を確認すると指定された時間より10分程過ぎていて、私は考える隙もなくエプロンを脱ぎ捨てていた。
「ヤバい、遅刻だ!セキレイさんを待たせたらグチグチ言われる……鷹雄さん、ちょっと出掛けてきます!」
「え?これから?何処──」
『に?』と鷹雄さんが聞き終わるのを待たずして私は部屋を飛び出す。
セキレイさんに会える。
私の決心は堅かったが、それでも大好きなセキレイさんに会えるのは嬉しい。しかも指南だなんてこれが最後かもしれないし、献上先での励みになる。
今の私にはもう迷いはない、セキレイさんと最後の思い出を作ろう。
エレベーターに乗って防音室がある階のボタンを押した時、私は、献上品が1人で居住フロアから出てはいけない事を思い出した。
「あれ、でもセキレイさん……」
調教師であるセキレイさん自らがタブーを誘発するなんておかしいな、そう思ったけれど、逆にセキレイさんが言うのだからいいのかと考え直す。
私はこの時、セキレイさんに会いたい一心で都合のいい解釈をしていたのだ。
防音室の前まで来て、私は深呼吸してそのドアをノックする。
──返事はない。
セキレイさんは短気だからもう帰っちゃったかな?
重厚な鉄扉を全力で押し開け、真っ暗な室内に足を踏み入れる。
音楽室みたいに広いそこに人影は無く、私はセキレイさんに電話しようとスマホを操作した。
「やっぱりセキレイさんは3分と待てない人だから帰っちゃったかー、あの人は待ち時間5分のカップ麺も3分で食べちゃう人だからなぁ……」
そんな事を呟きながら、私はセキレイさんの電話番号を開き、通話ボタンをタップしようとして──
「んっ!!」
突然後ろから口を押さえつけられ、そのまま床に押し倒された。
スマホは目先1メートルちょいの所に飛んでいき、私は容赦なく床で膝を打って何者かに馬乗りにあう。
倒れた衝撃で自分の歯で唇を切り、口の中がめいっぱい鉄臭くなった。
痛い……
セキレイさんに呼ばれたと思ったのに、これはセキレイさんじゃない。
直感ですぐに解った。セキレイさんは鬼畜だけど私が怪我をする様な手荒な事はしない。
このズシリとした重量感と肉質の硬さは大人の男のものだけどセキレイさんよりウエイトがある。やっぱりこれはセキレイさんじゃない。セキレイさんじゃない!
これは──
私が振り返ろうとすると、男が私の髪を掴んで顔面を床に叩きつけた。
「うぅっ」
頭が割れたかと思った。
痛すぎて咄嗟に『痛い』という言葉すら出せなかった。
頭からなのか、口からなのか判らない出血が床に滴っているのを見て、私は本気で殺されると思った。
なんで!?
まるで待ち伏せされたみたい……
私は誰かに嵌められた?
セキレイさんに?
でもそんなはずはない、セキレイさんはそんな人間じゃない。何より、私はセキレイさんを信じている。
「助けてっ!!」
私が全力で身じろいで前へずり上がろうとすると、後ろから男に布で猿ぐつわを噛まされ、顔面を床に押し付けられた。
一体誰なの!?
怖い、セキレイさん、セキレイさん!
私は過去に奴隷商や城の使用人から虐待された事があった。鞭で叩かれたり、殴られたり、体を引っ掛かれたり、でもそこに恐怖はなく、ただ苦痛だけが存在していて、私は歯だけを食いしばってそれに耐えた。
しかし今回はそれらの経験を完全に凌駕している。
私がじたばたと悪あがきしていると、男は私のズボンを足首まで一気に下げた。
「んんーーーーっ!」
私は生の尻を丸出しにされ、動転して抗議の阿鼻叫喚をあげる。
これは生命の危機どころの話じゃない!
そんな、まさか、嘘だ、こんな事がまかり通ってしまったら、私はここでは生きていけなくなる。
男の荒く湿った呼吸が最悪の事態を彷彿とさせた。
「んんんんんんんんんんっ!!」
嫌だと叫びたいのに、私の叫び声は猿ぐつわに全て吸収されているようでくぐもった息だけが口から排出される。
私は懸命に男の下から這い出ようと匍匐前進を試みるが、男のウエイトのせいで全く前進しない。まるで重しを付けられて蟻地獄に落とされた気分だ。
それでも私は逃げない訳にいかない。
だってこのままいったら、私は──
男は暴れる私の尻を思い切りひっぱたき、私が怯んだ隙に私の太腿の辺りに腰を据え、そこを手でぐいっと開いた。
露にされた秘部が冷たい外気にさらされ、私は恐怖でひきつる。
私には、これからこの男に何をされるのか解った。
男は私をなぶりものにして処女を奪おうというのだ。

それは献上品にとっての死を意味していた。

私はより一層めちゃくちゃに暴れ、目先にあったスマホにめいっぱい手を伸ばしたが、あと数センチのところで届かない。
通話ボタンさえ押せたらセキレイさんに助けてもらえるのに!
私は憤りとジレンマを抱え必死で身を捩るが、室内に男がチャックを開けるジーという独特な音が響き、私は背筋が凍った。
それから腰に男の熱い塊を感じると、私は絶望で身を震わせた。
「んんんんんんんんんん!んんんんんんんんんん!」
セキレイさん!セキレイさん!セキレイさん!セキレイさん!セキレイさん!セキレイさん!セキレイ!
ここは防音室だし、届かないのは解っていたが、私はセキレイさんの名を呼び続け、床を掻いてスマホに手を伸ばす。
雷の閃光が防音室内を不気味に照らし出し、雷鳴の轟音が窓をガタガタと騒がせた。
私は雷の衝撃に驚き、身を縮めて構えていると、その衝撃を遥かに凌ぐショックを腰に受ける。
「!!!!!!!!」
激痛が腰を突き抜け、私は思わず意識を手放しそうになった。
「うぅ……」
力ない声が口から惰性の様に漏れる。
内腿にぬるりと生温かいものが滴るのを感じた。
私は完全に終わった。

私はこんなところで献上品としての死を迎えたのだ。

私はセキレイさんの幸せを願ってここまで何年も頑張ってきた、彼が幸せになれれば彼への想いも報われると思っていた。けれどそれがこんなところで、誰とも知らぬつまらない人間に打ち砕かれるなんて、こんな酷い話はない。
こんなのってない!
どうしてこんな目に……
私は現実を受け入れられずにいるのに、後ろから男に縦横無尽に腰を打ち付けられると、否応なく耐え難い現実を突き付けられた。
怖い、凄く痛い、気持ちが悪い、ゾッとする、吐き気がする、気味が悪い。
誰に犯されているのか判らない恐怖、他人の物が自分の中に捩じ込まれる気持ちの悪さ、耳について離れない性急な息遣い、どれをとっても私を絶望のどん底に突き落とすには充分すぎる材料だった。
男に腰を振るわれる度、私は吐き気と鋭痛で猿ぐつわを噛み締めた。
死んだ方がましと思える程の悪の所業は、屈辱的に私を穿たれ続ける。
「ぅ……」
セキレイさん……
もう、私には悲鳴をあげる余力さえ残っていなかった。
「ハッハッハッハッハッ」
男の短い呼吸が耳につく。
私を気遣う事のない彼の激しい律動が、私の体を僅かに前進させ、ようやく私はスマホを手にする事が出来た。
私は夢中で腰を進める男の目を盗んで通話ボタンを押し、セキレイさんのスマホに繋がったところで全身全霊で叫んだ。
「おーおんひつ!おーおんひつ!おーおんひつ!おーおんひつ!おーおんひつ!おーおんひつーーーーーー!」
猿ぐつわのせいでうまく発音出来なかったが、私は出来る限り『防音室』にいる事をセキレイさんに一方的に訴えた。
「チッ」
頭上で男の舌打ちが聞こえ、私はスマホを取り上げられて殺されそうなくらい強く首を押さえ込まれる。
息が苦しい……
私の横に電源が切られたスマホが投げ出され、私はこのまま死ぬんだろうなと朦朧とする意識の中で思った。
処女を失った私にここでの利用価値はない。セキレイさんの手を煩わせるくらいなら、いっそここで死んだ方がいいのかもしれない。
セキレイさんと過ごした何気無い日常が走馬灯の様に頭をよぎり、私は彼にあげたドリームキャッチャーの事を思い出す。

私がとりつけた、セキレイさんへの約束……
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