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第二章 カイ攻略
入学式と選別の聖杯・2
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「…………」
「…………」
なんだか、むず痒い沈黙が続く。
私は別の話題がないか、頭をフル回転させた。
「あー……そういえば、平民の方はどうやって調べるんでしょうね」
「平民?」
「ほら、ここに来る前に平民の女性がいたじゃないですか。なら、入学に値する魔力を持っているかどうか、平民にも調べる機会があるのかなって思ったんです」
少し露骨な話題転換だったが、アレクシスも沈黙が続くのは嫌だったのか、会話に乗ってくれた。
アレクシスは少し考え込んだあと、おもむろに口を開く。
「おそらく洗礼式ではないか? 平民が魔術具に触れる機会があるとしたら、それぐらいしか思い浮かばないな」
「ああ。それはありそうですね」
洗礼式は七歳になった子どもが、市民登録をするために行うものだ。
前世で言えば、役所に出生届を提出するのが一番近いだろうか。
なぜ七歳まで登録しないのかというと、この世界は子どもの生存率がとても低いからだ。生まれてすぐに亡くなってしまう子どもが多いので、七歳まで生き延びられたことをお祝いする意味もあるらしい。七五三のお祝いも、元々は似たような理由で始まったそうなので、前世がいかに平和で健全な生活だったか実感する。
そんなことを考えながら待っていると、講堂のざわめきが急に静かになった。
校長らしき人物が、舞台に上がっている。ようやく入学式が始まるらしい。
校長が、新入生歓迎のスピーチを述べ始める。簡単にまとめると「入学おめでとう。充実した学生生活を送るように」といった内容だった。
スピーチが終わると、学院生活の注意事項などが伝えられる。魔法学院は全寮制なので、集団生活に関する注意が多かったように思う。
その後はいよいよ、選別の聖杯の出番だ。
少し気難しそうな教員が、先ほどのアレクシスとほぼ同じ説明をしている。
「この聖杯は、触れた者の魔力量と属性を調べることができる。属性は火・水・風・土・雷・光・闇の七種類があり、それぞれ赤・青・緑・茶・黄・白・黒の色に対応しているので、自分の魔力の色はよく確認するように」
どうやらこの属性と魔力量を見て、クラス分けが行われるらしい。
そのため立会人として、教員が一人横につくそうだ。
一通りの説明が終わると、生徒が一人ずつ名前を呼ばれて、壇上に上がっていく。
もちろん身分順なので、クリスティアン王子からだ。
クリスティアン王子が聖杯に触れると、立会人の教員が中をのぞきこんで確認する。そして「殿下はこちらへどうぞ」と舞台脇へ誘導していた。
第一王子が終われば、次は第二王子だ。アレクシスは名を呼ばれる前に、立ち上がる準備をしていた。
「じゃあ、先に行くぞ」
「はい、アレクシス王子」
名を呼ばれたアレクシスが聖杯に触れると、クリスティアンと同じ方へ案内されていく。
「……あれ?」
だが、次に呼ばれたクリスティアン王子の婚約者は、二人とは別の方向へ案内されたようだ。
なぜだろうと思って見ていると、続く貴族たちもアレクシスたちとは別の場所へ連れて行かれている。
もしかして、クラス別に案内されているのだろうか。
「次、ルシール・ギルグッド」
まあ答えは、行ってみればわかるだろう。
私は貴族らしくお淑やかに歩いて、舞台へ上がった。
「…………」
なんだか、むず痒い沈黙が続く。
私は別の話題がないか、頭をフル回転させた。
「あー……そういえば、平民の方はどうやって調べるんでしょうね」
「平民?」
「ほら、ここに来る前に平民の女性がいたじゃないですか。なら、入学に値する魔力を持っているかどうか、平民にも調べる機会があるのかなって思ったんです」
少し露骨な話題転換だったが、アレクシスも沈黙が続くのは嫌だったのか、会話に乗ってくれた。
アレクシスは少し考え込んだあと、おもむろに口を開く。
「おそらく洗礼式ではないか? 平民が魔術具に触れる機会があるとしたら、それぐらいしか思い浮かばないな」
「ああ。それはありそうですね」
洗礼式は七歳になった子どもが、市民登録をするために行うものだ。
前世で言えば、役所に出生届を提出するのが一番近いだろうか。
なぜ七歳まで登録しないのかというと、この世界は子どもの生存率がとても低いからだ。生まれてすぐに亡くなってしまう子どもが多いので、七歳まで生き延びられたことをお祝いする意味もあるらしい。七五三のお祝いも、元々は似たような理由で始まったそうなので、前世がいかに平和で健全な生活だったか実感する。
そんなことを考えながら待っていると、講堂のざわめきが急に静かになった。
校長らしき人物が、舞台に上がっている。ようやく入学式が始まるらしい。
校長が、新入生歓迎のスピーチを述べ始める。簡単にまとめると「入学おめでとう。充実した学生生活を送るように」といった内容だった。
スピーチが終わると、学院生活の注意事項などが伝えられる。魔法学院は全寮制なので、集団生活に関する注意が多かったように思う。
その後はいよいよ、選別の聖杯の出番だ。
少し気難しそうな教員が、先ほどのアレクシスとほぼ同じ説明をしている。
「この聖杯は、触れた者の魔力量と属性を調べることができる。属性は火・水・風・土・雷・光・闇の七種類があり、それぞれ赤・青・緑・茶・黄・白・黒の色に対応しているので、自分の魔力の色はよく確認するように」
どうやらこの属性と魔力量を見て、クラス分けが行われるらしい。
そのため立会人として、教員が一人横につくそうだ。
一通りの説明が終わると、生徒が一人ずつ名前を呼ばれて、壇上に上がっていく。
もちろん身分順なので、クリスティアン王子からだ。
クリスティアン王子が聖杯に触れると、立会人の教員が中をのぞきこんで確認する。そして「殿下はこちらへどうぞ」と舞台脇へ誘導していた。
第一王子が終われば、次は第二王子だ。アレクシスは名を呼ばれる前に、立ち上がる準備をしていた。
「じゃあ、先に行くぞ」
「はい、アレクシス王子」
名を呼ばれたアレクシスが聖杯に触れると、クリスティアンと同じ方へ案内されていく。
「……あれ?」
だが、次に呼ばれたクリスティアン王子の婚約者は、二人とは別の方向へ案内されたようだ。
なぜだろうと思って見ていると、続く貴族たちもアレクシスたちとは別の場所へ連れて行かれている。
もしかして、クラス別に案内されているのだろうか。
「次、ルシール・ギルグッド」
まあ答えは、行ってみればわかるだろう。
私は貴族らしくお淑やかに歩いて、舞台へ上がった。
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