ヒメゴト

粒豆

文字の大きさ
5 / 7

5 グラウンドで

しおりを挟む
――放課後。

俺はグラウンドで部活動をしていた。
と言っても大会前だし主に練習するのは三年生の先輩達だ。
グラウンドは先輩が使っているので、後輩は練習の補佐や用具の整理をする。
マネージャーが居るほど大きな部でもないので、雑用も自分たちでやらなければならなかった。
用具の整理をしていたら、グラウンドが見渡せる木陰に葛城が居るのが見えた。
葛城は一人で座り込み、木に寄りかかってじいっとグラウンドを眺めていた。
もしかしなくても、佐々木先輩を見ているんだろう。
気づかなかったけど、今までもずっとそうやって先輩の練習を見てたのか?


「……おい」

「う、うわっ」


ちょっとだけ部活を抜けて、葛城の元へ行き、声をかける。
葛城は近づいて来る俺に気づかなかったのか、ビクっと肩を震わせ大げさに驚いた。


「先輩の練習見てるのか?」

「う、うん。ご、ごめん、ストーカーだよね、こんなの」

「いや、俺に謝られても……
 遠くから見てるだけじゃなく、直接話しかけてみれば?
 先輩優しいから話してくれると思うぞ」

「む、無理だよ。用事もないのに声かけたら変に思われちゃうもん」

「後輩の女の子とかはよく先輩に話しかけたりしてるぜ?
 手紙とか差し入れ渡したりしてる子も居るし」

「……そういうの、女の子だから出来るんだよ。
 僕がやったら気持ち悪いよ」

「佐々木先輩はそんなくだらない差別するような人じゃないだろ」

「そりゃ先輩はそうかもしれないよ、良い人だもん。
 でも他の人は違うでしょ、学校にはいろんな人が居るんだから。
 他の人に僕が先輩に手紙渡してるのとか見られたら、僕は……」

「でも……」

「あ、朝倉くんは良いよね……
 同じ部だからいつだって先輩と話せるもんね」

「…………」

「あ……ご、ごめん、なんか嫌なこと言っちゃったかも……
 ごめんなさい……」

「……いや、いいよ。俺もごめん」

「……女の子が羨ましいよ。
 僕だって、自分が女の子だったらこんな風にコソコソしたりしない……
 ほんとは嫌なんだよ、こんな自分が……」

「…………うん」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

十七歳の心模様

須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない… ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん 柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、 葵は初めての恋に溺れていた。 付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。 告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、 その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。 ※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。

白花の檻(はっかのおり)

AzureHaru
BL
その世界には、生まれながらに祝福を受けた者がいる。その祝福は人ならざるほどの美貌を与えられる。 その祝福によって、交わるはずのなかった2人の運命が交わり狂っていく。 この出会いは祝福か、或いは呪いか。 受け――リュシアン。 祝福を授かりながらも、決して傲慢ではなく、いつも穏やかに笑っている青年。 柔らかな白銀の髪、淡い光を湛えた瞳。人々が息を呑むほどの美しさを持つ。 攻め――アーヴィス。 リュシアンと同じく祝福を授かる。リュシアン以上に人の域を逸脱した容姿。 黒曜石のような瞳、彫刻のように整った顔立ち。 王国に名を轟かせる貴族であり、数々の功績を誇る英雄。

クズ彼氏にサヨナラして一途な攻めに告白される話

雨宮里玖
BL
密かに好きだった一条と成り行きで恋人同士になった真下。恋人になったはいいが、一条の態度は冷ややかで、真下は耐えきれずにこのことを塔矢に相談する。真下の事を一途に想っていた塔矢は一条に腹を立て、復讐を開始する——。 塔矢(21)攻。大学生&俳優業。一途に真下が好き。 真下(21)受。大学生。一条と恋人同士になるが早くも後悔。 一条廉(21)大学生。モテる。イケメン。真下のクズ彼氏。

冬は寒いから

青埜澄
BL
誰かの一番になれなくても、そばにいたいと思ってしまう。 片想いのまま時間だけが過ぎていく冬。 そんな僕の前に現れたのは、誰よりも強引で、優しい人だった。 「二番目でもいいから、好きになって」 忘れたふりをしていた気持ちが、少しずつ溶けていく。 冬のラブストーリー。 『主な登場人物』 橋平司 九条冬馬 浜本浩二 ※すみません、最初アップしていたものをもう一度加筆修正しアップしなおしました。大まかなストーリー、登場人物は変更ありません。

彼は罰ゲームでおれと付き合った

和泉奏
BL
「全部嘘だったなんて、知りたくなかった」

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

《完結》僕が天使になるまで

MITARASI_
BL
命が尽きると知った遥は、恋人・翔太には秘密を抱えたまま「別れ」を選ぶ。 それは翔太の未来を守るため――。 料理のレシピ、小さなメモ、親友に託した願い。 遥が残した“天使の贈り物”の数々は、翔太の心を深く揺さぶり、やがて彼を未来へと導いていく。 涙と希望が交差する、切なくも温かい愛の物語。

キミがいる

hosimure
BL
ボクは学校でイジメを受けていた。 何が原因でイジメられていたかなんて分からない。 けれどずっと続いているイジメ。 だけどボクには親友の彼がいた。 明るく、優しい彼がいたからこそ、ボクは学校へ行けた。 彼のことを心から信じていたけれど…。

処理中です...