狂い狂って狂わせて

粒豆

文字の大きさ
11 / 13

11

しおりを挟む
動物園自体は空いていたけど、帰りの電車は打って変わって混んでいた。
おそらく学生の下校と、それからサラリーマンやOLの退勤と重なったのだろう。

「浬、大丈夫か……?」

車内はぎゅうぎゅうに人が詰まっている。
俺は背が高いお陰でそこまで苦には感じないが、浬くらいだとやはり苦しいのだろうか。
眉間に皺を寄せ、俺の胸にぎゅっとしがみ付いている。
後ろの人に押されて、俺と浬は完全に密着しきっている。

「んっ……はぁ……」

「か、浬…………?」

「はぁ……く……」

浬は頬を火照らせ、息を荒くしていて、なんというか苦しいというよりは……


「あんっ……」

「わっ……」


電車が急激に揺れると同時に、浬が高い声をあげる。


「く、くーちゃん……っ」

「浬……?」

俺の服を握って、上目使いで見つめてくる。
涙がたっぷり溜まった瞳は色っぽくて、不覚にもドキドキした。


「くーちゃん、オレ…………痴漢されてる……」

「えぇ……!? え、ちょ……えぇ……」

「ひゃ……ど、どうしよ……あっ」

「…………っ」


俺の胸にしがみ付きながら、小さく喘ぐ浬。
車内はぎゅうぎゅうで、身動き一つとれない。どうする事もできない。


「あ……あっ……くーちゃんっ」

車内が揺れた瞬間、浬の足が俺の股間を刺激する。
半起ちのそこを、ぐりぐりと程よい力加減で押される。
揺れに紛れて、わざとやっているような気がしなくもない。

「…………んっ」

「くーちゃん、なんで勃ってるの?」

「…………!?
 あ、ご、ごめ……浬っ、次の駅で、降りよう」

「…………うん」






人混みを掻き分けて、なんとか電車から降りた。

「はぁ……はぁ……浬、大丈夫か?」

「うん。っていうかそっちこそ、大丈夫?」

浬が、楽しそうに、不敵に笑っている。
この駅で降りるまで、浬は俺の股間を執拗に弄び続けた。
先走りで下着がぐちゃぐちゃになって気持ち悪い。


「痴漢って嘘……?」

「うん。これがしたくて今日、誘ったんだよ」

「そ、そんな……」


先程の「楽しかった」と言って笑っていた浬はなんだったんだろう。
演技だったのだろうか。
なんだか少し、裏切られた気分だ。


「あの動物園の駅からこの時間帯の下りの電車、すっごい混むんだよ。
 どう? 結構楽しかったでしょ?」

「た、楽しくないよ……」

「嘘だ~。気持ち良かったくせにっ」

「…………っ」

「あとね、この駅のトイレ、発展場なんだって!」

「は、発展場……!?」

「凄いよね、発展場だよ? 発展場! 寄って行こうよ!
 誰か居たら捕まえて3Pしようよ!」

「はぁ……!?」

「ね、行こうよ! きっと楽しいよ!」

「…………」

「ね、行くよね? 行こうよ!」

「…………う、うん」

中途半端に浬に遊ばれた俺の身体は未だ火照ったままで、このままでは帰れそうにない。
俺は黙って、頷くしかなかった。

俺はいつも浬の言いなりで、自分の意見がない。
浬に依存されなくなるのが怖くて、浬の機嫌を損ねまいとしている。
本当に飼い主に従順なペットみたいだ。
もしかしたら本当に依存しているのは、浬じゃなくて俺なのかもしれない。




「うわ、何ココ……暗っ」

「電気、壊れてるのか……」

浬と話しているうちにいつの間にか日が暮れてしまって、トイレの中も外も真っ暗だった。
証明が壊れているらしく、トイレそのものの古さも相まってなんとも不気味な雰囲気だ。
此処が発展場というのはどうやら本当らしく、トイレ中に雄の臭いが充満していた。

「超精液の臭いすんね。あっはは、たまんねー。
 誰もいないっぽいのはちょっと残念だけど、まあ貸し切りってコトで」






「…………ん……あ、浬ッ……」

狭い個室で後ろから浬に突かれて、身を捩って快感に耐えた。
肌を打ちつける音と、ぐちゃぐちゃという卑猥な音がトイレ中に響いている。

「空也、気持ちい?」

「はぁっ……あ……」

「気持ちいいって言って。
 言ってくんなきゃわかんないっ」

「んっ……はっ……気持ちい、よ……浬っ……」


浬に抱かれていると、本当は俺が浬を抱きたいと思っている事が嘘のように思えてくる。
浬と他の男とのセックスに興奮したのは事実だけど、実際に俺が抱きたいという欲望は昔より薄れたように思う。
どんな形であれ、浬と繋がる事によって欲望が満たされているというわけだろうか。


「んあぁっ」


腸内を掻き回されながら、同時に前も弄られる。
先端を乱暴に擦られて、声を抑えるのも忘れて快感に耐えた。
発展場とはいえ、いつ誰が入ってくるか分からないのに。
声も卑猥な音も、全く抑えられる気がしない。


「くーちゃん、いつもより興奮してる?
 外でヤるの好きなの?」

「んっ……あっ、す、好き……ぁああぁあっ!?」


浬のペニスがぐりぐりと一際感じる部分を責め立てる。
おかしくなりそうな程の快感に全身が支配される。

「あっ、あっはは……くーちゃんのケツまんこ……凄い、ぎゅうぎゅう絞めつけてきて、超エロイよっ!
 そんなにオレが好き? それともチンコが好きなの?」

「ああっ、浬ッ!浬、が……っ、か、浬……好き、好きだよ……あっ、あぁッ」

「ん……オレも、好きだよっ……空也が、世界で一番ッ……」

「んっ……んぅ……っ!」


好き、と言われると、胸が熱くなる。
浬に必要とされる事が嬉しくてたまらない。


「ああっ、ああぁ……!」

「ん、ん……っ、はぁっ……」

ペニスがドクドクと大きく脈打って、俺の汚い精液がトイレの壁や床に向かってぶちまけられる。
それと同時に、腸内に熱いものが注ぎ込まれるのを感じる。


「あ……あッ……」

浬の精子……。
浬が俺なんかで、ちゃんと気持ちよくなってくれているのが嬉しい。
きっと沢山の変態が欲しているであろう、浬の精液が俺の体内に入ってくる。
考えただけでゾクゾクする。
その事実だけで、絶頂に似た快感を得る事ができる。


「あっ、んあ……ひぁ……っ」


本当に再びイってしまいそうだ。
今この瞬間だけは、浬は俺だけのものなんだ。
浬を抱きたいと思う男や、実際に抱く男は沢山いるけれど、逆に浬に抱かれる事ができるのはきっと俺だけなんだ。
俺はやっぱり、特別なんだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
 漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。  漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。  陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。  漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。  漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。  養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。  陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。  漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。  仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。  沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。  日本の漁師の多くがこの形態なのだ。  沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。  遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。  内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。  漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。  出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。  休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。  個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。  漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。  専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。  資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。  漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。  食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。  地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。  この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。  もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。  翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。  この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

創作BL短編集

さるやま
BL
短編まとめました。 美形×平凡、ヤンデレ、執着・溺愛攻め多め

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

一度も話したことないイケメンのクラスメイトと二人組になったらめちゃくちゃ執着されてた

BL
「はい、じゃあ二人組作って」──あまり人付き合いが得意ではない夏稀(なつき)にとってそれは地獄の言葉。 けれど高校ではちがう。なぜなら新しくできた友達と『二人組』協定を結んだから。 もう二人組なんて怖くないと思っていた矢先、その友達が風邪で欠席。 ほかに組む相手が見つからず、先生と組むことも覚悟する夏稀だったが、そこで声をかけてきたのは美形の転校生──緒川聖夜(おがわ・きよや)だった。 「俺と二人組にならない?」 その一言をきっかけに聖夜は夏稀との距離を急速に縮めてきて──。 愛が重い執着美形攻め×無意識に人を引きつける平凡受けのちょっと不穏な学園BL。 ※色々設定変えてたら間違って消してしまったので再投稿しました。本当にすみません…!

処理中です...