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11.謝罪の理由
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アルフレッド様はそのまま自分のテントへ私も連れて行く。
ああ、私のテントはかなり奥まで血で汚れてしまったから、
あのままでは使うことはできないだろう。
「すまない……」
「え?」
テントの中で降ろされたら、
なぜかアルフレッド様が頭を深くさげて謝っている。
「どうして謝っているんですか?」
「ルーチェのテントで襲撃犯を殺してしまった」
「それは仕方がなかったと思います。狙われていたのは私ですから」
「だが、騎士たちに俺がルーチェのテントにいたことを知られてしまった」
「あ……」
そうだった。
今までの襲撃はアルフレッド様のテントだった。
私が中にいたことは知られないまま終わっていた。
今回はアルフレッド様が私のテントから出てくるところを騎士に見られた。
しかも、襲撃犯は私の寝床近くで倒されている。
あの状況ではアルフレッド様と私が一緒に寝ていたと思われても仕方ない。
「騎士たちに秘密にしてもらうわけには?」
「残念ながら、全員が信用できるわけではない。
隠していても、そのうち噂になるだろう」
「そうですか……」
噂になったらどうしたらいいのか悩んでいたら、
アルフレッド様からとんでもない申し出を受ける。
「ルーチェ、申し訳ないのだが、
アントシュ国王たちが戻って来るまででもいいから、
俺の婚約者になっていてくれないか?」
「え?」
「俺がルーチェを気に入ってると敵に知られてしまったら、
城に行った後も命を狙われることになる。
俺のそばで守るためには婚約するのが一番だ」
「婚約……アルフレッド様と」
「どうしても俺とは結婚したくないというのなら、
アントシュ国王が戻ってきた時に断ってくれてもいい」
急なことで驚いてしまったけれど、悪い提案ではなかった。
この婚約で得するのは私の方だ。
一緒に寝ていたことが知られたら傷物になるのは私だし、
アルフレッド様は城に行った後も守ってくれるという。
それなのにアルフレッド様は必死に頭を下げている。
「……私はアルフレッド様と婚約するのは嫌じゃないです」
「本当か?……では、婚約してもかまわないだろうか」
「ですが、アルフレッド様はそれでいいのですか?
さきほどの話だと、私が断らなければそのまま結婚するように聞こえたのですが」
「ああ、そのとおりだ。
俺はルーチェが問題ないと言ってくれるならそのまま結婚してもいい。
ルーチェの話し方は騒がしくないし、そばにいるのも嫌じゃない」
そういえば、ベルコヴァの話し方は騒がしくて嫌いだと言っていた。
私がそばにいても嫌じゃないのはうれしいけれど。
「アルフレッド様にばかり負担をかけてしまいませんか?」
「いや、俺にとっても婚約していたほうが楽になることもある」
「楽に?」
「実は、第一王女にしつこく追われている。
兄上は俺が第一王女と結婚して国王になればいいと思っているようだ。
だが、俺は第一王女が苦手で……困っている。
ルーチェと婚約できれば、第一王女の誘いを断る理由になる」
「私はアルフレッド様のお役にたてますか?」
この婚約で得するのは私だけな気がして申し訳なかったけれど、
女性避けだとしても何か役にたてるならうれしい。
そう思った私に、アルフレッド様はふわりと微笑んだ。
まるで、愛しい人を見るような目で。
「そばにいてくれるだけでもいい。
俺と婚約してほしい」
「っ!……はい。よろしくお願いします」
そんな風に見つめられたら誤解してしまいそうになる。
これはお互いに利があるから婚約するだけの話なのに。
差し出された手のひらに手を重ねたら、そっとくちづけされる。
アルフレッド様の唇が指先にふれて、一瞬で顔が熱くなる。
「えっ。あのっ」
「顔が真っ赤だな」
「あの……男性に慣れていないので、お手柔らかにお願いします」
「そのようだ。安心していい。成人するまで手は出さない。
ほら、明日も旅は続くんだ。早く寝よう」
「は、はい」
また抱き上げられたと思ったら、毛布にくるまれ、
アルフレッド様の隣に寝かされる。
このまま眠るのかと思ったら、アルフレッド様は毛布の上から私を抱きしめた。
毛布にくるまった状態とはいえ、抱きしめられたまま眠るのに落ち着けるわけがない。
「ルーチェの髪は柔らかくて気持ちいいな」
そう言いながら、アルフレッド様は私の頭をそっと撫でる。
その撫で方がまるでお父様やお兄様に撫でられているみたいで、
久しぶりに二人を思い出した。
どこの国に売られたのかもわからないけれど、
きっとアルフレッド様が助け出してくれる。
そう思ったらようやく安心することができて、目を閉じた。
アルフレッド様は私が眠りにつくまで、撫で続けてくれていた。
翌朝、アルフレッド様のテントで目を覚ましたら、
二人分の朝食が運び込まれていた。
私がここにいることは騎士たちに知られているらしい。
「今日の夜からはずっと俺のテントに寝てもらうことになる。
昨日、全員を倒したけれど、他にもいないとは限らない」
「わかりました」
あの血だらけになったテントで寝たいとも思わないし、
アルフレッド様のテントにいるのが一番安全なのはわかっている。
城に着くまであと二日。
リマはそれまでに回復できないだろうから、
回復した後でゆっくり説明しよう。
その日は馬車に乗る時も、休憩の時も、
騎士たちから見られているような気がしていた。
祝福するような感じではなく、嫌がられているようでもない。
驚いている、というのが視線から伝わって来る。
「アルフレッド様、騎士たちが驚いているような気がするのですが、
何かあったのでしょうか?」
「ああ、婚約する予定だと説明したせいだな。
俺が婚約するなんて思わなかったんだろう。
女嫌いだと思われていたからな」
「そういうことですか。
本当に女嫌いだったわけではないのですね?」
「女だから嫌いだったわけじゃない。
近くにいたのが嫌いな女ばかりだっただけだ」
「なるほど……」
すべての女性が嫌いなわけではないけれど、
周りから女嫌いだと思われるくらい、嫌いな女性ばかりだったんだ。
最初の頃の壁を感じるようなアルフレッド様を思い出す。
あれはきっと、私も嫌いな女性なのかどうか確認していたんだろう。
「城に着いたら、兄上にすぐに報告にいく。
そして、俺の宮で生活できるように手配するから」
「わかりました。よろしくお願いします」
ああ、私のテントはかなり奥まで血で汚れてしまったから、
あのままでは使うことはできないだろう。
「すまない……」
「え?」
テントの中で降ろされたら、
なぜかアルフレッド様が頭を深くさげて謝っている。
「どうして謝っているんですか?」
「ルーチェのテントで襲撃犯を殺してしまった」
「それは仕方がなかったと思います。狙われていたのは私ですから」
「だが、騎士たちに俺がルーチェのテントにいたことを知られてしまった」
「あ……」
そうだった。
今までの襲撃はアルフレッド様のテントだった。
私が中にいたことは知られないまま終わっていた。
今回はアルフレッド様が私のテントから出てくるところを騎士に見られた。
しかも、襲撃犯は私の寝床近くで倒されている。
あの状況ではアルフレッド様と私が一緒に寝ていたと思われても仕方ない。
「騎士たちに秘密にしてもらうわけには?」
「残念ながら、全員が信用できるわけではない。
隠していても、そのうち噂になるだろう」
「そうですか……」
噂になったらどうしたらいいのか悩んでいたら、
アルフレッド様からとんでもない申し出を受ける。
「ルーチェ、申し訳ないのだが、
アントシュ国王たちが戻って来るまででもいいから、
俺の婚約者になっていてくれないか?」
「え?」
「俺がルーチェを気に入ってると敵に知られてしまったら、
城に行った後も命を狙われることになる。
俺のそばで守るためには婚約するのが一番だ」
「婚約……アルフレッド様と」
「どうしても俺とは結婚したくないというのなら、
アントシュ国王が戻ってきた時に断ってくれてもいい」
急なことで驚いてしまったけれど、悪い提案ではなかった。
この婚約で得するのは私の方だ。
一緒に寝ていたことが知られたら傷物になるのは私だし、
アルフレッド様は城に行った後も守ってくれるという。
それなのにアルフレッド様は必死に頭を下げている。
「……私はアルフレッド様と婚約するのは嫌じゃないです」
「本当か?……では、婚約してもかまわないだろうか」
「ですが、アルフレッド様はそれでいいのですか?
さきほどの話だと、私が断らなければそのまま結婚するように聞こえたのですが」
「ああ、そのとおりだ。
俺はルーチェが問題ないと言ってくれるならそのまま結婚してもいい。
ルーチェの話し方は騒がしくないし、そばにいるのも嫌じゃない」
そういえば、ベルコヴァの話し方は騒がしくて嫌いだと言っていた。
私がそばにいても嫌じゃないのはうれしいけれど。
「アルフレッド様にばかり負担をかけてしまいませんか?」
「いや、俺にとっても婚約していたほうが楽になることもある」
「楽に?」
「実は、第一王女にしつこく追われている。
兄上は俺が第一王女と結婚して国王になればいいと思っているようだ。
だが、俺は第一王女が苦手で……困っている。
ルーチェと婚約できれば、第一王女の誘いを断る理由になる」
「私はアルフレッド様のお役にたてますか?」
この婚約で得するのは私だけな気がして申し訳なかったけれど、
女性避けだとしても何か役にたてるならうれしい。
そう思った私に、アルフレッド様はふわりと微笑んだ。
まるで、愛しい人を見るような目で。
「そばにいてくれるだけでもいい。
俺と婚約してほしい」
「っ!……はい。よろしくお願いします」
そんな風に見つめられたら誤解してしまいそうになる。
これはお互いに利があるから婚約するだけの話なのに。
差し出された手のひらに手を重ねたら、そっとくちづけされる。
アルフレッド様の唇が指先にふれて、一瞬で顔が熱くなる。
「えっ。あのっ」
「顔が真っ赤だな」
「あの……男性に慣れていないので、お手柔らかにお願いします」
「そのようだ。安心していい。成人するまで手は出さない。
ほら、明日も旅は続くんだ。早く寝よう」
「は、はい」
また抱き上げられたと思ったら、毛布にくるまれ、
アルフレッド様の隣に寝かされる。
このまま眠るのかと思ったら、アルフレッド様は毛布の上から私を抱きしめた。
毛布にくるまった状態とはいえ、抱きしめられたまま眠るのに落ち着けるわけがない。
「ルーチェの髪は柔らかくて気持ちいいな」
そう言いながら、アルフレッド様は私の頭をそっと撫でる。
その撫で方がまるでお父様やお兄様に撫でられているみたいで、
久しぶりに二人を思い出した。
どこの国に売られたのかもわからないけれど、
きっとアルフレッド様が助け出してくれる。
そう思ったらようやく安心することができて、目を閉じた。
アルフレッド様は私が眠りにつくまで、撫で続けてくれていた。
翌朝、アルフレッド様のテントで目を覚ましたら、
二人分の朝食が運び込まれていた。
私がここにいることは騎士たちに知られているらしい。
「今日の夜からはずっと俺のテントに寝てもらうことになる。
昨日、全員を倒したけれど、他にもいないとは限らない」
「わかりました」
あの血だらけになったテントで寝たいとも思わないし、
アルフレッド様のテントにいるのが一番安全なのはわかっている。
城に着くまであと二日。
リマはそれまでに回復できないだろうから、
回復した後でゆっくり説明しよう。
その日は馬車に乗る時も、休憩の時も、
騎士たちから見られているような気がしていた。
祝福するような感じではなく、嫌がられているようでもない。
驚いている、というのが視線から伝わって来る。
「アルフレッド様、騎士たちが驚いているような気がするのですが、
何かあったのでしょうか?」
「ああ、婚約する予定だと説明したせいだな。
俺が婚約するなんて思わなかったんだろう。
女嫌いだと思われていたからな」
「そういうことですか。
本当に女嫌いだったわけではないのですね?」
「女だから嫌いだったわけじゃない。
近くにいたのが嫌いな女ばかりだっただけだ」
「なるほど……」
すべての女性が嫌いなわけではないけれど、
周りから女嫌いだと思われるくらい、嫌いな女性ばかりだったんだ。
最初の頃の壁を感じるようなアルフレッド様を思い出す。
あれはきっと、私も嫌いな女性なのかどうか確認していたんだろう。
「城に着いたら、兄上にすぐに報告にいく。
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「わかりました。よろしくお願いします」
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