あぁ、もう!婚約破棄された騎士がそばにいるからって、聖女にしないでください!

gacchi(がっち)

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7.油断した

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最初の頃はそれなりに共同生活することに緊張していたと思う。
だけど講師と助手として一緒に授業を考えたり、実習の下準備をしたり、
光属性の使い方を教えたりしているうちに距離は縮まっていった。

ユリアスは高位貴族じゃないし、もう貴族でもない。
それにあの日、婚約破棄されことを間近で見たことで仲間意識があったのだと思う。
王族に振り回されて、婚約破棄された仲間。


暑くなってきて、授業が終わり夕食の前に研究室の自室に戻った。
汗だくで気持ち悪くてシャワーを浴びたかった。
着ていた講師用の仕事着を脱いで、さっとシャワーを浴びてスッキリすると、
もう堅苦しい恰好をする気にはなれなかった。

部屋着用に置いてあったワンピースに着替え、
半分乾いた髪も結ばずにそのまま居住区のリビングでくつろいでいた。
もうすぐ夕食が届く時間だ。
自分で料理ができない私は、食堂から食事を届けてもらっていた。
ユリアスが来てからは二人分。
それを待つ間、ソファーに座って本を読んでいた。

足音が聞こえたから、ユリアスだと思って振り向いた。


おそらくユリアスも自室でシャワーを浴びて来たのだろう。
こちらも部屋着ではあるが、騎士の訓練服のようだ。
私がソファーでくつろいでいるのを見て、後ろに飛びのいた。

「っ!」

「え?どうしたの?ユリアス?」

「…ロージー?」

「何?」

なんだろう。こんなユリアスは初めて見たのだけど。
婚約破棄事件の時も目を見開いていたけど、それ以上。
そんなに目を開けたのって思うくらい。何を驚いているんだろう。


「ロージー、何でいつも姿を変えているんだ?
 その姿が本当のロージーなんだろう?」

「あ。」

しまった。シャワー浴びるのに変化用の腕輪と眼鏡を外したままだった。
しかも今は髪が乾ききっていないから、おろしたまま。
つまり、ロージーの本当の姿のままでくつろいでいた。
いつかは話そうと思っていたけど、こんな状態で見せることになるとは思ってなかった。

ユリアスはまじまじと私を見ていたけど、ため息をついて向かい側のソファに座った。

「いくらなんでも油断しすぎだろう。
 俺を異性と思っていないのはわかってるけど、どうでもいいと思ってないか?」

「え?」

どうして怒っているのかわからないけど、どうやら私が怒らせたようだ。
どうでもいいと思ってるから、こんな姿を見せたと思われている?

「あのね、油断してたのは否定しないけど、どうでもいいからじゃないよ?
 なんかユリアスとは仲間意識って言うか、そういうのがあって。」

「仕事仲間?」

「ううん、違う。王族に振り回されて婚約破棄された仲間。」

「は?」
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