あぁ、もう!婚約破棄された騎士がそばにいるからって、聖女にしないでください!

gacchi(がっち)

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31.隣国の騎士団

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「えっ。…なんですか、これ。」

騎士団の訓練所に着いて、演習場の中に入って見たら、
演習場のいたるところに人が倒れていた。
遠くの方で剣がぶつかる音がする…真ん中にいるのは金色の髪。
ユリアスだろうか。それを囲むように数人の騎士がいるのがわかる。

「やっぱり今日もこうなってたわね。
 ユリアスが来たら、その日訓練所にいる者が全員で立ち向かうそうよ。
 まだ一度も勝てていないらしいわ。ユリアス一人に。」

「は?全員でユリアスに?」

じゃあ、あの倒れている人たちは全員ユリアスに負けたってこと?
…体力が無くなっているのか、ぼろぼろになって倒れている騎士たちに、
なんとなく申し訳なくなる。
うちのユリアスがすみませんでした…。

すぐさま演習場に入って、手あたり次第に治癒をかけて回る。
完全復活というわけにはいかないけれど、せめて歩いて帰れるくらいまでは。

半分くらいかけ終わった頃、なぜかわからないけれど罵声をあびせられた。

「この偽聖女!あんたなんか呼んでないのよ!
 今すぐ帰りなさい!」

振り向いてみると、かなりくすませた感じの金髪に水色の目の少女が仁王立ちしている。
年齢は12,3歳くらいだろうか。
顔立ちは可愛らしいが、目を吊り上げて怒る様は、可愛らしさを台無しにしている。
黙っていれば美少女に見えるだろうに…。
どうして怒られたのかわからず、他に何かあるのかと思って辺りを見ても、
その少女が怒ってる相手は私のようだった。

…偽聖女って言った?
聖女をかたったことはないけど、騙していると言えばそうなのかしら。

「私は聖女じゃありませんけど、何か御用ですか?」

誤解を解くようににっこり笑って問いかけたけど、逆に少女の怒りは増したようだった。

「…これが噂の。負けないわよ…。」

わなわなと震えながら小声でそう言い、演習場から出て行ってしまった。
今のは何だったのだろうか。

「ごめんなさい。
 今日もいるかもしれないとは思ってたけど、
 まさかああいう行動に出るとは思って無かったわ。」

「マリージュ様、今の少女は?」

「今のは私の義娘になる予定の、第一王女ミルフェよ。」

「第一王女様?…何か、私嫌われてません?初対面ですよね?」

「…実はね…困った子なのよ。
 あの子、自分は光属性だって言い張っちゃってて。」

「…えーっと。光属性じゃないですよね?
 髪は金色にも見えなくは無いですけど、あれって土属性ですよね。
 瞳が水色ってことは水属性もあるんじゃないですか?
 ルーニアの王族としては最高の組み合わせだと思いますけど…。」

「そうよねぇ。私もそう言ったのだけど…。
 自分は光属性と水属性で、聖女に違いないって。」

「え?聖女、ですか?」

「そう。聖女。」

聖女とはいうものの、何が聖女なのかは決まっていない。
聖女とは、歴史上に出てくる聖なる乙女のことであって、現実にはいないからだ。
言い張るのは自由だが、いないものなのに言っても、何も意味はない。
聖女だから何かできるというわけではない。

「それと、もう一つ。
 自分が聖女なのだから、ユリアスは自分のものだって思ってるのよ。」

「は?」
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