王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi(がっち)

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5.怒りの裏側

ようやく準備を整えたことで、リリーに会いに行った。
4日だ。こんなに会わなかったことなんて無かった。
この状況に陥ったことに、腹が立って仕方ない。

リリーが逃げたことはショックだった。
俺に確認してくれれば、すぐに誤解だって言えたのに。
どうして信じてくれなかったんだろうか。

ここ2年程、王妃の仕事で無茶をしていたのは気が付いていた。
俺自身が国王の仕事に手一杯で、十分に支えてやれなかった。
今の状況から逃げたい気持ちもあったんだろう。
王妃の仕事には向いていない性格だ。
本当なら少しでも自由にしてあげるつもりだった。
あの馬鹿兄貴たちがいなければ…。

魔女の森にいることは、シオンが知らせてくれた。
一緒にシーナとシオンがいる。
あの二人はどこに行ったとしても、リリーから離れることは無いだろう。
とりあえず安全なことがわかって、少しほっとした。
マジックハウスを持っているのは知ってる。
料理が趣味のリリーが、侯爵達に見つからないための家だ。
どうやって手に入れたのか、本人もわからないと言っていたが、
マジックハウスは人を選ぶそうだから、リリーが気に入られたのだろう。

魔女と魔術師向けのお茶屋を開くと聞いて、
もう王宮に戻るつもりは無いんだなと思った。
リリーは俺がいなくても、平気なのかもしれない。
俺は4日でもう限界で、我慢しきれずに会いに行ったのに。


ブラウスにスカートの町娘の格好でも、リリーは可愛い。
軽くカールされた銀髪が白いブラウスにかかって、
驚きで大きく開かれた緑色の瞳、白い肌に映える赤い唇。
抱きしめて、その場で押し倒してしまいたいくらい綺麗だった。

そのまま押し倒して、好きなだけさわって、キスして、
溶けるみたいに一緒にいられたら、どれだけいいか。

だけど、気持ちを疑われたままで、無理に押し倒したりしたら。
きっと心が離れて、二度と許してくれないだろう。
問題をすべて片付けて、疑いをきっちり晴らしてからじゃないと、
リリーは許してくれない。

早く迎えに行きたい。
その思いでいろんな証拠を集めていた。

「ジョン、準備はできてるな?」

「はい!すべて、終わりました。
 王宮には噂を聞きつけた貴族たちが集まっています。」

「ミリナとやらは?」

「そのまま殿下の私室に居座っています。
 父親の伯爵も来ているようです。
 もうすでに側妃の扱いを求めています。
 殿下がいないことで否定もできず、そのままになっています。

 …本当にもうしわけ」

「謝るのは後にしろ…。」

「はっ!」




王宮に戻ると一気に周りが騒がしくなる。

「殿下、待っていましたぞ!」

駆け寄ってくる貴族たち。
めんどくさいから、一気に片付けたい。


「俺から話がある。謁見室に集まれ。」



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