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6章 つながる世界
23.別れ
「ジョセ…。」
これで最後だというのに、顔を見ることすらできなかった。
エリザが消えた理由がわからない状況では、
護衛を連れて行ったとしても離宮に近付くことは許されなかった。
ジョセの遺体はそのまま離宮の裏に埋葬されることになった。
一度犯罪者となってしまえば、王族と同じ霊園に埋葬することはできない。
それに、最後の別れのためだけに王宮へ連れてくることなどできなかった。
この国の王としての最初の妃で、きっと俺個人としての最後の妻だった。
最初から側妃としていれば、こんなことにはならなかったのだろうか。
俺の妃になどならなければ、もっと幸せな人生が待っていたのだろうか。
夫だった俺とはもう10年以上会っていない。
息子は辺境公爵家に養子に出され、それから会っていないはずだ。
話によると、エリザとすら会っていなかったと。
ジョセの人生はなんだったのだろう。
愛妾の娘として満足な教育も受けられずに育ち、貢物のように妃にされた。
俺の中ではあの2年間は宝物のような時間だった。
ただの男として、何も考えずにジョセとフレデリックと過ごした。
レオルドとリリーアンヌに多大な迷惑をかけて、それでも幸せな時間だった。
俺はそれを心の中にしまい込んで国王に戻った。
だけど、ジョセはあの日々がもう一度戻ってくることを望んでいたのだろう。
「…すまない…ジョセ。
俺は…国王であることを選んでしまった。」
こんなに苦しくて、どうしようもないのに涙は出なかった。
もう俺個人としての心はどこかに置いてきてしまったのかもしれない。
キィと音がして、扉が開いた。
ノックもせずに入ってくるのは限られている。レオルドか宰相か。
振り向きもせずに放っておいたら、ソファに座る俺の隣に、誰かが座った。
「…ミランダ?」
めったに執務室に来ないミランダだった。
俺の隣に座ったと思ったら、何も言わずこちらも見ない。
ただ横にいて、ふれている身体から、体温だけが伝わってくる。
「…すまない。」
「いいえ。ここにいてもいいですか?」
「ああ。」
数日後、ジョセフィーヌ元側妃の病死が公表された。
あくまでも書類上で公表されただけの、ひっそりとしたものだった。
同時にエリザは精神的な疲れで療養すると学園に休学届けが出された。
その裏では、リオルに婚約を断られ暴走したことによって幽閉されていると噂された。
その噂も宰相が意図的に流したものであった。
エリザの居場所は手掛かりも無いまま、水面下で探され続けている。
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